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付録4 管理委託契約 (ANNEX IV Management contract)

 はじめに

 ※免責事項
   このマンションNPOのHpでは国連発行文書(UNITED NATION PUBLICATION-ECE/HBP/198)の
   内容をご紹介しています。同文書の日本における公式の文書ではありません。
   また文中の翻訳表現は権威ある公式の翻訳ではない事をお断りしておきます。(マンションNPO)

見 本 (Specimen)

(管理組合名称)

.               .  管 理 委 託 契 約 書

1. この管理委託契約書は      日の管理組合総会で多数決により決定された、当共同住宅の
  共用部の管理に関する契約書である。

 管理組合が管理を委託する管理者及び総会決定により契約権限を与えられた総会議長がこれに署名する。

署名
管理者氏名     :.               .

管理組合総会議長:.               .

2. 1年を契約期間とし更に1年の自動更新を予定してこの契約を締結する。当管理組合は、総会の
  普通決議により、契約の終了を決定することができる。各区分所有者の議決権は1戸1票である。
  契約の終了は契約満了3ケ月前までに文書で管理者に通知するものとする。

3. 管理者は、契約満了3ケ月前までに文書で管理組合に対し、契約の終了を通知することができる。

4. 当事者双方は、破産、契約違反、職務怠慢、総会決定事項の不履行などにより
  結果として管理組合との信頼関係を失わせしめた事を理由として、文書で契約の終了を通知する
  権利を与えられる。この規定は直接に効力を発する。

5. 管理者は、本契約により対外的及び管理組合内部においても管理組合を代表する法的権限を
  与えられる。

 5.1 管理者は、定期総会または総会のすべての決定関連事項を遂行する。

 5.2 管理者は、共有部の保全と管理に関する計画を立て、その遂行に必要な業務を実行する。
    その中には、従業員の雇用と監督、請負契約した外部業者や供給業者の監督を含む。

 5.3 管理者は、請求書を発行し、定期総会で決定された区分所有者からの管理費を徴収し、
    その総計の収支管理を行う。管理費の納付期限は毎月10日としなければならない。
    必要な場合は、管理者は管理規約で決められている年率15%の延滞加算金を請求
    できる。延滞加算金は前月分月額の10%を超えてはならない。月額の15%を
    超える延滞加算金を請求するときは、管理組合の承認を得なければならない。
    管理者は、支払期限を2週間経過する管理費の滞納が発生したときは区分所有者に
    通知する。その後は4週間後に通知する。滞納が2ヶ月以上に及ぶときは、管理者は
    債務不履行の法的手続きを開始する義務を負う。すべての債務者は延滞加算金を
    課せられる。

 5.4 管理者は、管理組合の名義で銀行口座を開設する権限を与えられる。
    区分所有者からの管理費は一般会計("Common costs")と特別会計(修繕積立金会計
    "repair fund")に分別管理しなければならない。
    一般会計("Common costs")には、管理者の報酬が含まれる。いかなる事情があっても、
    管理組合会計は管理者個人や他の主体的権利をもつ組織の管理下にあってはならない。

 5.5 管理者は、契約業者からの請求に応じて管理組合に係る経費の管理と支払を行う。
    管理者は、月次の収支管理を行う。

 5.6 管理者は、会計帳簿の記帳と四半期ごとの会計報告を行う義務がある。四半期ごとの会計
    報告は、管理組合の理事会に対して行う。事業年度の年間の会計報告は内部監査の手続き
    (もしも、監査委員会があるなら、その手続き)を経て、定期総会で行われる。

 5.7 管理者は、年間事業計画を作成し、事業年度末の12月15日に相当する期日前に委員会
    (owners’council)に提出し、修正を受けた後、定期総会で報告する。
    年間事業計画には、管理関連行事、保全計画、主要な修繕、改良工事等を含み、年間予算
    と月額管理費の推奨すべき水準への提案は定期総会での承認を要する。

 5.8 管理者は、管理規約に基づき定期総会の開催召集通知を区分所有者に発行する。定期総会の
    開催召集通知には会計報告書と年間事業計画その他の議案を記載する。

 5.9 管理者は全区分所有者の10%以上の要求があるときは総会を召集しなければならない。

 5.10 共用部の保全、修繕、改良工事の目的で、必要あるときは、管理者は専有部に入室する権利
    を与えられる。区分所有者はその事を留意しなければならない。
    管理者は管理規約の規定に基づき、専有部の売買記録を保管しておかなければならない。
    (「第4章 区分所有の問題と解決法」) 参照

 5.11 管理者は、共用部の火災、水漏れ、台風・水害などの事故や災害に備えて、損害賠償保険
    (indemnity insurance)の契約・更新を行うものとする。

 5.12 管理者は、管理組合が裁判の当事者となるか否かにかかわらず、法的な問題が発生したときは
    管理組合に対して報告をしなければならない。管理者は、区分所有者が管理組合で承認され
    ている管理費や修繕積立金その他の費用の徴収に応じないときの措置権限を有している。
    その他の法的な問題については、管理者は、管理組合の代表者としての権限に基づき対応する。
    管理者は、管理組合に対する法的な主張や行動に対しては、個人としての責任は有しない。

6. 理事会は管理者を監督する機関(supervisory body)として行動し、且つ、すべての契約上の問題に
   関して公式に管理組合を代表する。
   管理者に対し、理事会との実用的な関係を緊密にするように、また、実行可能な場合はいつでも
   助言を非公式に理事会に求めることで、管理者は業務の遂行が促進される。
   理事会はまた、管理組合内部の管理者として行動し、四半期ごとに提出される会計報告書、及び
   年次事業報告書が実施可能となるよう、その責任において行動する。

7. 通常の定期的業務に対する報酬として毎月、全床面積×平米単価  、年総額で  
   管理者報酬を受け取る。この報酬はこの契約に基づき、毎日の管理、保全、会計業務を含む。
   大規模修繕、改良工事その他の新築工事における特別な業務にかかわる報酬は、日常業務報酬と
   分別区分され、当該業務予算ごとの総計の中に含むものとする。

8. 管理者は管理者自身の故意(intentionally)又は重大な過失(gross neglect)を原因とする損害を賠償する
   責任を有する。したがって、管理者は損失をカバーする損害保険を1事故あたり  の賠償額
   で契約しなければならない。この保険契約が有効であり、かつ、理事会議長の承認を得たもので
   なければ、正当な保険契約とは認めない。

9. 管理組合と管理者は、この契約が当事者双方の予想される紛争のほとんどを解決するものであることを、
   当事者の直接的な交渉の結果として宣言する。この協定において当事者間の問題が発生した場合は、
   当事者双方は管理組合の総会又は定期総会において解決を図るものとする。
   管理組合内部において協議が整わなかった場合は、  裁判所の調停に委ねることとする。

 (場所).               . (日付).               .

 (管理者).               .         (管理組合).               .

(2021年5月24日初版掲載・随時更新)