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コンドミニアム裁判所 判決  No. 2018 ONCAT 9

判例2. これにて一件落着

目 次    まえがき   判決     [訳注](あとがき)

   

まえがき

 コンドミニアム裁判所(Condominium Authority Tribunal (以下 CAT と略 )の判例をシリーズでご紹介しています。

第一回目の判例(1)の訳注で遠山の金さんの話をしましたが、このマーク裁判官も実際に判決の最後で言っています。 ”I order that this case be closed.”・・・(これにて一件落着)・・・

それでは [訳注](あとがき)でお会いしましょう。

コンドミニアム裁判所 判決

法の適用条項 コンドミニアム法(1998)1.44項
裁判官: マーク・バーラ(Marc Bhalla)
原告: イングゥイン・リゥ(Yingying Liu)(区分所有者) 代理人弁護士 なし(本人訴訟)
被告: トロント・スタンダード・コンドミニアム・コーポレーション(Toronto Standard Condominium Corporation)(管理組合)
     代理人弁護士 ジョシュア・ミルグロム(Joshua Milgrom)
聴聞: 2018年7月10日から2018年9月4日(オンライン文書送達による聴聞)
判決: 2018年9月13日

判決

[1] 原告イングゥイン・リゥは、被告トロント・スタンダード・コンドミニアム管理組合の区分所有者である。 原告は、管理組合の会計記録、及び、共有部使用同意書に関係する記録の提出を管理組合に求めてCATに提訴し、 CATの第三段階に至ったものである。

[2] 原告の質問に対し、被告側弁護士は19の記録をオンライン紛争解決制度(CAT-ODR)を通じて提出した。

[3] 原告は被告から受領した記録については満足した。

[4] 原告及び被告双方(当事者と総称)は、CATでの紛争解決協議を通じて、争点もなく、
  あらためて聴聞をするまでもないことを確認した。

[5] 当事者が共同作業を通じて相互に共通の同意を見出したことを本裁判官は賞賛する。 
  裁判官はオンライン紛争解決制度(CAT-ODR)はまた、CATの裁判制度を超えて、
  相互理解を共有し互いに高めることがいかに重要なことかを認識する。
  裁判官は本件が良い結果となったことを賞賛する。

[6] 費用は議論の対象にならなかった。本件に関する費用は当事者各自で負担する。

[7] 当裁判所における裁定前に争点が当事者において解決されたことをもって本件落着とす。

裁判官 マーク・バーラ Marc Bhalla Member, Condominium Authority Tribunal
判決日 2018年9月13日  RELEASED ON: September 13, 2018

[訳注] あとがき

裁判官は手放しで”よかった!よかった!”といってますが、この判決を見て、 なんじゃこりゃ!と思われた方もいらっしゃると思います。(特にプロの方・・)それは当然の反応です。

この判決の中でこの訴訟手続きがCATの第三段階まで進んだと説明していることにこの裁判の裏の真実が隠されています。

オンライン紛争解決システム(CAT-ODR)は、裁判所実務規則{訳注} で説明している通り、 CATの第三段階に至るまでの手続きとして、
Filing a case(提訴前本人相談)⇒2. Joining a case(提訴前当事者協議)⇒3. Negotiation(和解)(ここからCATの第一段階が始まる)へと進み、 この協議段階での和解調書で結審するか、これが不調に終われば、更に⇒4. Mediation(調停)へと進み、 この段階での調停同意書で結審する場合もあるのに、なぜ 5. Tribunal Decision(判決)の段階(これをCATの第三段階といいます) まで進んで、わざわざCATに判決を出させなければならない事情があったかということです。

裁判記録に関する公開手続きの規定により当事者の合意がなければその内容は非公開とされるから、 何が原因で 5. Tribunal Decision(判決)の段階まで行ったのかは外部の人にはわかりません。

原告は第一段階から第三段階までの各段階ごとに合計3回のCATの裁判手数料を払わないと、 その時点で裁判が却下されますので、第三段階まで進むことを決めたのは原告の意思です。 判決前に被告側が急遽、要求文書の提出に応じて判決前に引渡しを行い、それによって原告の確認が終了したので、 判決での提出命令は出ずに、一件落着の判決となりました。 組合側がなぜ判決の直前まで関係文書の引き渡しを拒んでいたかは、この裁判では明らかにされていません。

ー([訳注] 終り)ー

2018.12.7 掲載