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管理組合のための
個人情報保護ガイドライン (Privacy Guidelines for Strata)

6. 議事録の個人情報の扱い

  第6章 議事録の個人情報の扱い 目次
  1.議事録の個人情報の扱い
    1. 定期総会議事録の個人情報
    2. 理事会議事録の個人情報
  2.監視システム上の個人情報
  3.問題のある事例の記載
  4.理事会議事録の個人情報の記述

6.1 議事録の個人情報の扱い

個人情報保護法では、管理組合総会議事録に含まれる個人情報をどう扱うべきか、 またはどう扱ってはいけないのかについての規定はありません。

下記は、個人の尊厳の基本原則を踏まえながら、 管理組合の文書に記載される個人情報の扱いについて、 管理組合の意思の決定と行動の助けとなるよう一般的なガイドラインをまとめたものです。

6.1.1 定期総会議事録の個人情報

管理組合の定期総会、 又は準定期総会の参加者は管理組合の構成員及び総会参加資格者として本人の暗黙の同意があったものとして、 総会議事録に氏名と部屋番号が記載されます。

部屋番号だけで出席者個人の特定ができる場合の議事録は、 個人情報保護法第35条の規定に従います。

本人が記名した出席票を集めて保存することになっている管理組合の場合、 それらの出席票の扱いは個人情報保護法第36条の規定に従います。

6.1.2 理事会議事録の個人情報

理事会出席者及び理事会に招致された参加者が含まれる理事会の議事録に記録される個人情報については、 本人の暗黙の同意があったものとして扱われます。

この理事会に参加を認められた理事以外の区分所有者及び居住者、更に欠席理事の氏名も 議事録に記載されますが、これも同様に本人の暗黙の同意があったものとして扱われます。

標準管理規約18(3)の規定
「理事会におけるすべての投票の結果は理事会議事録に記載されなければならない。」

理事会議事録は理事会におけるすべての決定事項を記載しなければなりません。
しかし、議事の経過については、その厳密な記載の必要性までは認めていません。

これはとても重要なことです。
理事会議事録は理事会での議論の結果、 「最終的に議案がどのように修正され、採決の結果がどうなったか」を明確にする文書です。

理事会は個人情報を議事録に記載するにあたって、「必要最小限の情報を正確に」記載するよう、 注意しなければなりません。

6.2 監視システム上の個人情報

標準管理規約17(4)で機微情報リストに挙げられている監視システム上の個人情報について、 理事会で議論になることがあります。

議事録の中でそれらの個人の氏名及び部屋番号をどう扱うかについて、 一般的な事例ごとの判断要素を下記に示します。

1.法又は規約に明白に違反している事例か、又は証拠なしの単なる違反の申立てによる事例か。
2.罰金は徴収されているか
3.理事会が区分所有者又は居住者に対して法的措置に入ることを検討中か
4.対象となっている区分所有者は関係修復に向けて責任ある改善措置をとっているか
5.理事会が賃貸料金制限規約における聴聞免除規定の適用を指導してきたか

上記の、或いは同様の事例についての理事会の協議の中で個人情報を暴くことになるとき、 理事会議事録では理事会がどのような決定を下したかを記載しなければなりません。

但し、議事録には理事会の決定によって影響を受ける者の氏名は記載すべきではありません。 議事録には部屋番号のみ記載が許されます。

同様に、他の区分所有者によって、 規約違反によって罰金を科された区分所有者又は居住者の氏名を明かすよう求められた場合でも、 理事会メンバーはその者の氏名を公開するべきではありません。

管理費等を滞納している者、罰金を科されている者、 又は管理規約上の強制的措置を受けている者の議事録の記載及び議事録の保管については、 共同住宅法第135条の規定に従って適正に行われなければなりません。

6.3 問題のある事例の記載

問題のある事例を審議中の理事会の議事録には、 氏名を特定できる部屋番号などは記載しないように配慮すべきです。

しかしながら、理事会が最終決定を下したとき、問題ある事例かどうかに関わらず、 部屋番号は議事録に記載されてその保存期間中、残り続けます。
理事会がその決定記録を保持している間、 所有者はその部屋を人に貸すことができます。

当然ながら、問題のある事例を審議し決定を下すことができるのは区分所有者ではなく、 理事会メンバーだけです。

6.4 理事会議事録の個人情報の記述

理事会議事録は正確、客観的、証明できる事実に基づいて、 必要最小限の情報で記載されなければなりません。 下記はブリティッシュ・コロンビア州最高裁の判決の一部です。

【組織は専門家意識をもって敵対的に他人の名声を傷つけようとする意図を持って、 危険な個人攻撃を行うことがある。
議事録には、そのような記述が存在していないことを注意深く確認されなければならない。】

訳注

原文に対する訳語は下記のとおりです。

【第6章 議事録の個人情報の扱い】
・定期総会("annual general meeting(AGM)")
・準定期総会("semi-annual general meeting(SGM)")

(掲載)2017/2/28