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耐震改修

1. 耐震改修工法の種類

耐震改修工法は目的別に次の4つが挙げられます。

耐震改修工法の種類
ねらい 解 説
強度の向上 大地震に耐え得るだけの強度を有していない建物に対して、 建物の壁・柱・梁といった部材を補強または新設し、 建物の頑丈さ(強度)を向上させることを目的とする。
靭性能の向上 建物の頑丈さ(強度)はあるが粘り強さ(靭性能)がないため、 大地震時にもろく破壊されることが想定される建物に対して、 建物の柱に鋼板を巻くなどにより、建物の靭性能を確保することを目的とする。
構造上のバランスの改善 一部の階だけ耐震壁が抜けている場合や、 構造種別が中間階で変わる場合など、 平面的・立面的なバランスが悪い建物に対して、 壁などの新設等によって、構造上のバランスを改善することを目的とする。
地震力の低減 地震力の低減 地震のエネルギーを吸収する装置を建物に設置し、 地震時に建物が大きく揺れることを防ぐことを目的とする。

耐震改修工法の種類

強度増大型補強
ブレース,耐震壁の新設など

靭性能増大型補強
柱鋼板巻立て補強など

地震力低減@免震改修
免震層以外は建物の使い勝手は変わらない
免震層変位が大きいので敷地に余裕が必要。設備の免震化も必要。

地震力低減A制震改修
在来補強よりも補強箇所が減る場合がある
変形性能(靭性能)が低い建物には不向き

強度・靭性能増大のための補強工法の種類

2. 耐震工事の影響

○ <工事中>
※ 工事中の影響は、耐震改修特有の問題ではなく、大規模修繕工事に共通の問題です。

@ 騒音・振動・粉塵の発生
 仕上げ材の除去やコンクリートのハツリ(削ったり、切ったり、壊したり、穴をあけたりする作業全般の通称)、 柱や梁へのあと施工アンカー(既存部材と補強部材を繋ぐ金具)の打設時等に、騒音・振動・粉塵が発生する。

A 仮住居への移転
 住戸内部に作業者が立入って作業する必要がある工法については、 工事中は仮住居への移転が必要な場合がある。

B 廊下・階段等の通行支障
 耐震補強工事の作業スペースや資材置き場として、 廊下や階段の一部を使用することにより、 通行に支障をきたす場合がある。

Cその他の支障
 工事に伴い、停電、断水、空調停止を伴う場合がある。 また、安全性・セキュリティに配慮して、警備員の常駐や機械警備ではなく一時的に人的警備を行う必要が出てくる場合がある。

○ <工事後>
※ 耐震工事特有の問題があります。

@ 使い勝手への影響・面積の増減
 補強部材を住戸内に設置することにより、改修後の使い勝手に影響したり、 専有面積が増減する場合がある。 また、外付けフレーム補強等により、専用庭面積が増減したり、バルコニー面積、 駐車場や敷地内通路等の共用部分の面積が減少する場合がある。

A 日照・採光・圧迫感の影響
 補強部材を開口部に設置する工法については、日照・採光が遮られたり、圧迫感がある場合がある。

B 外観への影響
 ブレース補強やバットレス補強により、鉄骨が露出し外観に影響を与える場合がある。 なお、工法の組合せや仕上げ等により、外観への影響は異なるため総合的に判断する必要がある

各工法の事例を次に示します

※ 耐震改修工事の工期は、各マンションの耐震性能や立地、補強範囲、補強材料等により異なるため、 あくまで参考としてください。

事例1 枠付き鉄骨ブレース補強

枠付き鉄骨ブレース補強
工法名称 枠付き鉄骨ブレース補強
工法概要 既存建物の柱・梁フレーム内に枠付き鉄骨ブレースを挿入する。
耐震改修のねらい 強度の向上
工事箇所 耐震壁のない箇所
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁のハツリ作業時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 広い作業スペースが必要であるため補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内や住戸の開口部に設置する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少、バルコニー面積の増減が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 住居の開口部に設置する場合は、日照・採光・圧迫感の影響が生じる場合あり
適用事例

(開口部に設置した例)

(工期:一構面30日程度(躯体工事のみ、仕上げ除く)

備 考

コンクリート部材より軽いため、補強部材による重量増加を避けたい場合や、 開口部が必要な場合に適する。
マンションの場合、1階ピロティ(自転車置場や通路)に設置することが多い。 耐震改修促進法に基づく耐震改修計画の認定を受けた場合には、 火災の早期覚知のための措置を講ずれば、耐火建築物に係る制限が緩和される。

2 RC造壁増設

RC造壁増設
工法名称 RC造壁増設
工法概要 既存建物の柱・梁フレーム内に鉄筋コンクリート造壁(RC造壁)を新設する。
耐震改修のねらい 強度の向上、構造上のバランスの改善
工事箇所 耐震壁のない箇所
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁のハツリ作業時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースは比較的小さいが、補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内や住戸の開口部に設置する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少、バルコニー面積の増減が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 住居の開口部に設置する場合は、日照・採光・圧迫感の影響が生じる場合あり
適用事例


(施工中)                 (施工後)

工期:一構面30日程度(躯体工事のみ、仕上げ除く)

備 考

開口部等が不要な共用部分で用いられることが多い。

3 増打ち壁

増打ち壁
工法名称 増打ち壁
工法概要 既存壁に鉄筋コンクリート造壁(RC造壁)を増打ちする。
耐震改修のねらい 強度の向上、構造上のバランスの改善
工事箇所 既存耐震壁のある箇所
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁のハツリ作業時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースは比較的小さいが、補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内の壁を補強する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 開口を閉塞しない限り影響はない
適用事例

工期:一構面30日程度(躯体工事のみ、仕上げ除く)

備 考  

4 鋼板壁増設

鋼板壁増設
工法名称 鋼板壁増設
工法概要 既存建物の柱・梁フレーム内に鋼板壁を新設する。
耐震改修のねらい 強度の向上、構造上のバランスの改善
工事箇所 耐震壁のない箇所
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁のハツリ作業時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 広い作業スペースが必要であるため、補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内や住戸の開口部に設置する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少、バルコニー面積の増減が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 住居の開口部に設置する場合、日照・採光・圧迫感の影響が生じる場合あり
適用事例

開口部に開口部付き鋼板壁を増設した例

工期:一構面30日程度

備 考

壁厚を薄く抑えることが可能である。
耐震改修促進法に基づく耐震改修計画の認定を受けた場合には、火災の早期覚知のための措置を講ずれば、耐火建築物に係る制限が緩和される。

5 そで壁補強

そで壁補強
工法名称 そで壁補強
工法概要 既存建物の柱に鉄筋コンクリート造のそで壁を新設する。
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耐震改修のねらい 強度の向上
工事箇所 ピロティ階または一般階の柱
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁のハツリ作業時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースは比較的小さく、廊下・階段の通行への支障は少ない
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住居内の柱を補強する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 住居の開口部の柱を補強する場合、日照・採光・圧迫感の影響が生じる場合あり
適用事例

窓際の既存柱にそで壁を設置した例

工期:一部材30日程度(躯体工事のみ、仕上げ除く)

備 考

開口が必要とされる場合や、通り抜けが必要とされる場合に用いられる。

6 そで壁補強(増打ち補強)

そで壁補強(増打ち補強)
工法名称 そで壁補強(増打ち補強)
工法概要 既存建物のそで壁に増打ちする。
耐震改修のねらい 強度の向上
工事箇所 そで壁
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱・梁・そで壁のハツリ作業時に発生
仮住居への移動 住戸内に補強部材を設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースは比較的小さく、廊下・階段の通行への支障は少ない
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住居内の柱を補強する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 あまり影響はない
適用事例

そで壁増打ちした例

    鉄筋セット状況        ポリマーモルタル塗付け状況
工期:一部材30日程度(躯体工事のみ、仕上げ除く)

備 考

開口が必要とされる場合や、通り抜けが必要とされる場合に用いられる。

7 外付けフレーム補強

外付けフレーム補強
工法名称 外付けフレーム補強
工法概要 既存建物の柱・梁フレームの外側に新たにフレームを設ける
耐震改修のねらい 強度の向上
工事箇所 既存建物外側に柱・梁フレームを新設
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存建物の仕上げ材撤去時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内には立入らないため仮住居への移動は不要であるが、バルコニー先端にフレームを取り付ける場合、バルコニーに立入る
廊下・階段等の通行支障 敷地に広い作業スペースが必要であるため、敷地内通路等に支障が生じる場合がある。建物内の通行支障はなし。
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 使い勝手への影響はほとんどなく、専有面積の減少もないが、バルコニー面積の増減、専用庭や駐車場等の面積の減少が生じる場合がある。
日照・採光・圧迫感の影響 枠付きブレース補強に比べると採光等への影響は少ない
適用事例

バルコニー外側にフレームを新設した例

工期:10階建SRC造共同住宅(50u/戸、1階当り10戸)を施工する場合で概ね6ヶ月(但し、杭の有無等により工期が延びる場合がある)

備 考

敷地に余裕が必要である。
場合によっては、杭の新設が必要である。

< h3>補強工法の事例

外付けフレーム補強の事例

バットレス補強の事例

外側改修工法のメリットと制約:
耐震改修後も居住空間は改修前と変わらないメリットがありますが、 一般的に耐震壁増設などと比べると補強効果が小さく、外側改修だけでは目標性能を満足できないことがあります。

8 バットレス補強

バットレス補強
工法名称 バットレス補強
工法概要 既存建物の外側にバットレスを設ける
耐震改修のねらい 強度の向上
工事箇所 既存建物外側にバットレスを新設
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存建物の仕上げ材撤去時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内・バルコニーに立入ることはなく、仮住居への移動は不要
廊下・階段等の通行支障 敷地に広い作業スペースが必要であるため、敷地内通路等に支障が生じる場合がある。建物内の通行支障はなし
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 使い勝手への影響はほとんどなく、専有面積、バルコニー面積の減少もないが、専用庭や駐車場等の面積の減少が生じる場合がある。
日照・採光・圧迫感の影響 主に開口部の少ない妻側に設置するため採光等への影響は少ない
適用事例 共同住宅の妻側にバットレス(制震ダンパー付)を設置した例

工期:10階建SRC造共同住宅(50u/戸、1階当り10戸)を施工する場合で概ね6ヶ月(但し、杭の有無等により工期が延びる場合がある)

備 考

比較的整形な建物の妻側に用いる。
敷地に十分な余裕が必要である。
場合によっては、杭の新設が必要である。

バットレスによる補強事例
建物の外側に耐震改修部材を配置する場合は、建物の形状が変化するため、 建築基準法との関係に注意を要する場合があります。

建物の外部に補強部材を取り付けた事例
方立壁位置に耐震改修部材を新設しており、ベランダが少し狭くなった以外、 生活環境への影響は殆どない。

9 鋼板巻き立て補強

鋼板巻き立て補強
工法名称 鋼板巻き立て補強
工法概要 既存建物の柱に鋼板を巻き立てて、耐震性能を向上させる
耐震改修のねらい 靭性能の向上
工事箇所 ピロティ階または一般階の柱
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱の仕上げ材撤去、溶接作業時に発生
仮住居への移動 住戸内の柱を補強する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 工事中は広い作業スペースが必要となり、補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内の柱を補強する場合は、補強後の柱は既存柱に比べて太くなるため、使い勝手への影響・専有面積の減少が生じる場合がある。
日照・採光・圧迫感の影響 採光等への影響なし
適用事例


(仕上げ材の撤去後)    (鋼板巻き立て後)

工期:柱1本2週間程度

備 考

壁の付いていない柱に用いられることが多い。
耐震改修促進法に基づく耐震改修計画の認定を受けた場合には、火災の早期覚知のための措置を講ずれば、耐火建築物に係る制限が緩和される。

10 連続繊維巻き補強

連続繊維巻き補強
工法名称 連続繊維巻き補強
工法概要 既存建物の柱に連続繊維シートを巻く
耐震改修のねらい 靭性能の向上
工事箇所 ピロティ階または一般階の柱
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱の研磨や面取り作業時に発生
仮住居への移動 住戸内の柱を補強する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースが小さいため廊下・階段の通行への支障は少ない
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 補強後の柱はほとんど太くならないため、使い勝手への影響・専有面積の減少は少ない
日照・採光・圧迫感の影響 採光等への影響なし
適用事例

工期:柱1本1日程度

備 考

壁の付いていない柱に用いられることが多く、制震補強と組み合わせて用いられることがある。

11 RC巻き立て補強

RC巻き立て補強
工法名称 RC巻き立て補強
工法概要 既存建物の柱の周囲に厚さ10〜15cm程度の鉄筋コンクリートを増打ちする
耐震改修のねらい 強度の向上、靭性能の向上
工事箇所 ピロティ階または一般階の柱
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱の仕上げ材撤去作業時や床スラブ貫通作業時に発生
仮住居への移動 住戸内の柱を補強する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースが小さいため廊下・階段の通行への支障は少ない
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内の柱を補強する場合は、補強後の柱は既存柱に比べて太くなるため、使い勝手への影響・専有面積の減少が生じる場合がある。
日照・採光・圧迫感の影響 採光等への影響なし
備 考

工期:鋼板巻き立て補強に比べて長い
柱断面を増大させることによって、靭性能の向上に加えて強度の向上を図ることができる。

12 耐震スリットの設置

耐震スリットの設置
工法名称 耐震スリットの設置
工法概要 柱に取り付く腰壁やそで壁と柱の間にスリット(隙間)を設ける
耐震改修のねらい 構造上のバランスの改善、靭性能の向上
工事箇所 柱に取り付いている腰壁やそで壁
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 スリット設置のための壁の切断時に発生
仮住居への移動 住戸内を補強する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 作業スペースが小さいため、廊下・階段の通行への支障は少ない
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内を補強する場合は、使い勝手への影響・専有面積の減少が生じる場合がある。
日照・採光・圧迫感の影響 影響なし
備 考

 

13 免震

免震
工法名称 免震
工法概要 既存建物に免震装置を設置する
耐震改修のねらい 地震力の低減
工事箇所 既存の柱や基礎
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存柱切断時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内を補強する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 工事中は工事区域の使用不可
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 使い勝手への影響はほとんどなく、面積の増減はない
日照・採光・圧迫感の影響 影響なし
適用事例

共同住宅の2階柱に免震装置を設置した例:
         (下の解説に拡大写真あり)

        (補強前)              (補強後)

1階店舗は営業したまま工事を行い、改修後も2階は居住階として用途・機能の変更はなかった。

※写真:日本郵政公社提供 国交省「耐震化マニュアル」より転載

工期:10階建SRC造共同住宅(50u/戸、1階当り10戸)を施工する場合で10ケ月程度

備 考

通常の補強工法では必要補強量が多くなりすぎ、著しく居住性を損なう場合に採用される備場合が多い。
地震時に大きく変形するため隣接建物との距離に余裕が必要。

免震改修工法

免震改修工法のメリットと制約:
免震層より上部は耐震改修後も居住空間は改修前と変わらない、 地震による被災リスクが改修前よりも著しく低くなるメリットがありますが、 建物周囲の敷地に余裕が必要(免震層が数10cm変位する)、 新築と異なり、免震装置に作用する力を自由にコントロールできないため、 免震層の設計が困難な場合があります。

14 制震

制震
工法名称 制震
工法概要 既存建物の柱・梁フレームに制震ダンパー付きブレー
耐震改修のねらい 強度の向上、地震力の低減
工事箇所 耐震壁のない箇所
居住者への影響 工事中 騒音・振動・粉塵の発生 既存の柱梁の仕上げ材撤去時、あと施工アンカー打設時に発生
仮住居への移動 住戸内に設置する場合は、仮住居への移動が必要な場合あり
廊下・階段等の通行支障 広い作業スペースが必要であるため、補強箇所周辺は通行に支障が生じる場合あり
工事後 使い勝手への影響・面積の増減 住戸内や住戸の開口部に設置する場合は、使い勝手への影響や専有面積の減少、バルコニー面積の増減が生じる場合あり
日照・採光・圧迫感の影響 住居の開口部に設置する場合、日照・採光・圧迫感の影響が生じる場合あり
適用事例 病院(管理棟)の外側に制震ダンパーを組込んだ鉄骨ブレースを設置した例

※写真:日本郵政公社提供 国交省「耐震化マニュアル」より転載

工期:10階建SRC造共同住宅(50u/戸、1階当り10戸)を施工する場合で、2〜6ヶ月(但し、条件によりかなりの誤差がある)

備 考

壁が少なく、靭性能のある建物に用いられることが多い。靭性能のない建物に用いる場合には、柱の鋼板巻き立て補強や炭素繊維巻き補強と併用される場合が多い。

制震改修工法

制震改修工法には、減衰力を付加する方法のバリエーション、制震装置(ダンパー)の形状のバリエーションにより様々な種類があります。
既存建物の耐震性能に影響されるが、制振装置を用いることで、強度増大型の補強工法よりも補強個所を減じることができる場合があります。

制震改修工法の種類(ダンパーの種類)
オイルダンパー

・ シアリンク形
・ 筋違形

粘性ダンパー

・ 壁形
・ シアリンク形
・ 筋違形
・ トグル形

粘弾性ダンパー

・ シアリンク形
・ 筋違形
・ パネル形

弾塑性ダンパー

・ 筋違形
・ 間柱形
・ パネル形

摩擦ダンパー

・ シアリンク形
・ 筋違形
・ パネル形

シアリンク(Shear-link)の、シア(Shear)は「せん断」という意味です。鋼せん断パネルダンパーは,建築構造用の鋼製履歴ダンパーとして広く利用されています。

 

出典:
国土交通省・持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に向けた勉強会資料 別紙4「共同住宅ストック再生のための技術の概要(耐震性)」
国土交通省・「マンション耐震化マニュアル」