ホーム > 大規模修繕目次 【前頁】 > 18.耐震改修 > 19.大規模修繕工事瑕疵保険 > 【次頁】 C1.将来につながる大規模修繕

大規模修繕工事瑕疵保険

大規模修繕を実施するときの不安や疑問

○「工事後に瑕疵が見つかって、そのとき業者が倒産していたらどうしよう?」
 ・このための保険が「大規模修繕工事瑕疵保険」です。
 ※ 但し、保険でカバーするのは工事後5年間だけです。(一部特約あり)
 ※ 工事後の瑕疵を発見する責任は組合側にあります。「工事後のアフターも重要」

○「工事業者にすべてまかせておいて大丈夫なの?」
 ・瑕疵のリスクは保険会社が負います。そのために保険法人は現場検査を行います。
 ※ 但し、全工程は立ち会いません。中間検査も含めて通常3回程度です。
 ※ そのため工事監理者は別に必要です。 「5.専門家の選定と委託業務内容」

○「この工事業者は大丈夫なの?」
 ・信用リスクは瑕疵保険会社が負います。保険法人は契約前に事業者の審査を行います。
 ※ 但し、工事仕様の決定と業者選定に関わる専門家は別に必要です。「同上」

○「このマンションは、これまでどんな修繕・補修をしてきたんだろう?」
 ・瑕疵保険会社では保険契約前に事前確認検査を行います。
 ※ 但し、責任あるコンサルタントなら、工事前に下記の業務を行うのが普通です。
   (マンションの調査診断・住民アンケートの分析・診断報告書の提出) 「同上」

○「将来売却する際にこの修繕・補修は査定に有利になるの?」
 ・保険のオプション契約で、工事完了後に発行される検査・修繕記録が査定に使えます。
 ※ 瑕疵保険でなくても専門家の工事監理では、工事が設計図書及び請負契約に合致するかどうかを確認し、 工事写真を添付した報告書を管理組合に提出します。 「同上」

1. 業者の経営破綻リスクへの備え

 大規模修繕工事を行った工事業者が工事後に経営破たんし、工事後に見つかった瑕疵を 当該事業者の負担で補修することが出来なくなった場合に、 他の業者に依頼する場合の費用を保険金として受け取る制度として、 平成22年(2010年)12月、大規模修繕工事瑕疵保険制度が出来ました。(住宅瑕疵担保履行法第19条第2号に基づく保険契約となります)

大規模修繕工事の業者選定に際して保険への加入を業者入札条件にするマンション管理組合が増え、 平成27年(2015年)の申込件数は955棟で平成22年(2010年)度に比べて5倍に増えました。

 国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人は下記の5社です。(平成28年1月1日現在)
  (一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会に加盟)
    株式会社 住宅あんしん保証:03-3562-8122
    住宅保証機構 株式会社:03-6435-8870
    株式会社 日本住宅保証検査機構:03-6861-9210
    株式会社 ハウスジーメン:03-5408-8486
    ハウスプラス住宅保証 株式会社:03-5962-3814

2. 大規模修繕工事瑕疵保険の仕組み

1. 保険料は工事の規模や保険法人によって異なりますが、
請負金額3,000万円で13〜28万円、5,500万円で25〜40万円程度です。

2. 工事業者が保険に加入するためには保険法人の審査を受けて登録する必要があります。
一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会のサイトでは工事業者の登録の有無が確認できるので、 依頼する工事業者を探す際の参考になります。

3. 保険契約は大規模修繕の工事ごとの契約となります。 保険の対象は、大規模修繕工事を実施した部分のうち、構造部分、防水部分、給排水管路・電気設備などです。 保険が適用されている工事では、保険法人が定める「設計施工基準」に適合することを確認し、 工事の際には検査員(一級建築士等)が事前確認検査・工事完了時検査を実施します。(瑕疵保険の有責・無責の判断のため)

4. 工事後の保険期間は5年間(手すり等については2年間)ですが、 工事内容によっては保険期間延長特約をつけることができる場合もあります。

 大規模修繕工事に瑕疵が見つかった場合、保険で補修費用をまかなうことができます。
万が一、工事業者が経営破綻して補修工事が実施できなくなった場合には、 管理組合が直接請求で保険金を受け取り、他の業者に依頼する際の費用に充てることができます。

3. 保険が加入できるマンションと工事内容

1. 保険が加入できるマンションの条件

@ 延床面積が500u以上または階数が4以上(地階を含む)の共同住宅の共用部分に対する大規模修繕工事であること。
※ 構造耐力上主要な部分の大規模修繕工事を伴う場合は、 新耐震基準等を満たす住宅(以下のいずれかに該当する住宅)に対する大規模修繕工事に限る。
イ. 建築確認日が昭和56年6月1日以降の住宅
ロ. 建築確認日が昭和56年5月31日以前、または不明の場合で、新耐震基準等に適合することが確認できる住宅
ハ.上記イまたはロにより新耐震基準等が適合することが確認できた後に、 構造耐力上主要な部分の新設または撤去を含むリフォーム工事等が行われた住宅で、 新耐震基準等に適合することが確認できる住宅

A 基礎の新設または撤去を伴う工事を含まないこと

B 管路および設備の解体・撤去・分解もしくは取片づけ工事または清掃作業のみを対象とする工事ではないこと

2. 瑕疵保険の対象工事

工事業者と管理組合との間で締結した工事請負契約に基づいて修繕工事を実施する以下の部分および設備が対象

@構造耐力上主要な部分(耐震改修工事、柱・梁・壁工事など)
  ただし、新耐震基準に適合する工事に限ります。

A雨水の浸入を防止する部分(外壁工事、シーリング工事、屋上防水工事、サッシ工事など)

B給排水管路(管路の更新・更生工事など)専有部分の給排水管路の工事を含む場合には、
  当該専有部分の給排水管路についても保険対象となります。

C給排水設備(受水槽、高架水槽等の設置、更新または修繕など)

D電気設備(配線、照明器具等の設置、更新または修繕など、配線にあっては専有部分も対象)

Eガス設備(ガス配管、ガス器具等の設置、更新または修繕など)

F防錆工事を行った手すり等の鉄部(バルコニー、屋上などの手すり、柵、鉄骨階段、 防火戸 (玄関扉含む)など)

G外壁タイル工事(タイル剥落に係る特約契約が附帯された場合に限る)

(注)保険に加入できるのは大規模修繕工事に上記「保険対象となる部分」に記載 の@〜Eのいずれかの部分または設備に対する工事が含まれていることが必要。 Fの部分に対する単独工事については保険に加入できない。

4 瑕疵保険を受取るときの注意

(1) 工事業者が、保険対象部分の瑕疵によって下記のいずれかの事由が生じたことにより、 管理組合に対し瑕疵担保責任を負担することによって生じた損害について、保険金が支払われます。

保険金支払い事由
@構造耐力上必要な部分が基本的な耐力性能を満たさないこと
A雨水の浸入を防止する部分が防水性能を満たさないこと
B給排水管路が通常有すべき性能または機能を満たさないこと
C給排水設備、電気設備まやはガス設備の機能が失われること
D防錆工事を行った手すり等の鉄部が通常有すべき安全性を満たさないこと
(ただし、防錆工事に由来する瑕疵に起因するものに限る。)

(2)上記(1)の@〜Dのいずれかの事由が生じた場合に、工事業者が倒産などの事由により、 相当の期間を経過してもなお瑕疵担保責任を履行しない場合には、管理組合が直接保険金を請求することができます。

 ※(注)上記(1)(2)について、保険契約約款により免責事由に該当する場合など保険金が支払われない場合があります。

(3) 故意・重過失損害の取扱いについて
 工事業者の故意・重過失を原因とする損害については、工事業者には保険金は支払われません。 しかしながら、工事業者が倒産などの事由により相当の期間を経過してもなお瑕疵担保責任を履行しない場合には。 工事業者の故意・重過失を原因とする損害であっても管理組合に対して保険金が支払われます。
  ※ただし、発注者が住宅建物取引業者の場合は、故意・重過失損害は支払対象外となりますので、ご注意ください。

支払われる保険金は契約する保険の種類によって異なります。
それぞれ支払限度額の上限があります。

補修費用・損害賠償保険瑕疵による事故を補修するために必要な材料費、労務費、その他直接補修に要する費用 (補修が著しく困難な場合は補修に代わり損害賠償金)
訴訟費用保険瑕疵担保責任に関する解決のために必要となる訴訟、裁判上の和解もしくは調停又は仲裁もしくは示談に要した費用
求償権保全費用保険事故につき被保険者が第三者に対して損害賠償その他の請求権を有する場合に、その権利の保全または行使にについて必要な手続きを行うために要した費用
事故調査費用保険事故が発生したことにより補修が必要となる場合に、補修が必要な範囲、補修の方法または補修の金額を確定するために調査に要した費用
仮住まい費用保険大規模修繕工事を実施した住宅の補修期間中に転居を余儀なくされた住宅居住者から請求を受けた宿泊、住居賃借または転居に要した費用
駐車場賃貸借費用保険瑕疵による事故を補修する際に、足場の設置により駐車場施設からの車の移動を余儀なくされた住宅居住者から請求を受けた駐車場賃貸借に要した費用

(注)
雨漏りが原因で家具や電気製品への損害が発生しても、家具などへの補償はありません。
保険契約時の対象工事以外で不具合が発生しても保険での支払いは対象外になります。
10万円の免責金額が設定されているので、10万円以下の補修工事の費用では保険金を受け取れません。 管理組合が保険金額を直接受け取る場合も、補修工事代金から10万円を差し引いた額になります。

5 工事会社選定の入札と工事契約にあたっての注意点

入札条件に特約の有無も記載してください

保険法人にもよりますが、保険契約に特約を設けている場合があります。
管理組合は工事会社選定の入札条件に特約の有無も記載してください。

@防水工事に係る保険期間延長特約(10年)
Aタイル剥落に係る特約(5年・10年)
B外壁塗膜担保特約(5年)
C給排水管路工事に係る保険期間延長特約(10年)
D太陽光発電設備工事に係る特約(5年)
E手すり・柵・鉄部に係る特約(2年)

工事契約の際は、保険契約内容確認シートで確認してください

工事契約の際は、工事業者は加入している保険の内容を説明の上、 契約内容確認シートに発注者である管理組合代表者の署名または記名・押印を いただき、その他の必要書類とともに保険法人に提出することになっています。 管理組合代表者は保険契約内容を確認してください。

※詳細は、各保険法人の「大規模修繕工事瑕疵保険 商品概要のご案内」及び「大規模修繕工事瑕疵担保責任保険 普通保険約款・特約条項」をご確認ください。