ホーム > 大規模修繕目次 【前頁】 > 8.工事中に予想される生活支障 > 9.資金計画 > 【次頁】 10.施工業者選定の手順

資金計画

大規模修繕における総会提案(承認)の最大のポイントは資金計画にあり、
修繕積立金の範囲内でまかなえる場合は取り崩し額と残額はいくらで将来の修繕工事はどうなるのか、
一時金を徴収する場合、その負担割合と徴収額は幾らになるのか、
借入れをした場合、返済計画と毎月の修繕積立金が幾らに増額されるのかを示す必要があります。

1. 修繕積立金が不足する場合

 修繕積立金が不足する場合、計画案と資金との調整が必要になります。
十分な検討なしに予算の範囲内で出来る工事だけを実施したとしても 中途半端な工事となり、
長い目で見れば無駄な工事になります。

そのようなことを避けるための優先判断基準を示します。

 1) 計画案に対し積立金が不足する場合の優先判断基準

  1) 調査結果による劣化進行により緊急を要する箇所
  2) 多少改修時期を送らせてもよい個所でも、足場仮設がないとできない箇所
  3) 足場仮設なしでできる箇所の数年の分割実施の判断
  (修繕積立金の見直し必要)

 2) それでも不足する場合の選択肢 〜借入れと一時金徴収〜
  (この場合も修繕積立金の見直しを必ず行うことが必要です)

  1) 住宅金融支援機構から借り入れを行う。   マンション共用部分リフォーム融資
  2) 自治体によっては利子補給を受けられる場合がある。
  3) 修繕費の滞納、総会議決議事録等の提出、管理費と修繕費の会計の分離等融資条件がある。
  4) 各戸からの一時金徴収
  5) 1)、2)の折衷案

上記の検討、調整は管理組合(修繕委員会、理事会)と専門家とのキャッチボールを何回か行い、じっくり皆が納得する案になるまで練り上げることが大切です。
又、この時期には同時に、施工業者の選定方法も検討、方針を決定していきます。

2. 工事金額が長期修繕計画の予算と乖離する原因

 Q: 長期修繕計画の工事金額が実施設計時より概して低いのは何故?

長期修繕計画と実施設計の工事金額が大きく乖離する原因は、

@長期修繕計画が建物及び設備の性能・機能を新築時と同等水準に維持・回復させる修繕工事を基本とした。
A法定点検等の点検及び経常的な補修工事が適切に実施されていることを前提条件とした。
B長期修繕計画が簡易的に作成されたもので、精度が本来必要なレベルに達していなかった。
C計画以後の材料費や人件費の変動要因について、その後の見直しがされていなかった。

上記のBの問題は長期修繕計画の質、内容、有用性に関するレベルの違いによるものです。
  (quality, content and usefulness of a maintenance plan)
長期修繕計画の工事概算金額の算出方法には次の4段階のレベルがあります。
管理組合は自分達の長期修繕計画がどのレベルによって算出されたものであるかを知っておく必要があります。

レベル内  容
T

建物診断を行わずに簡易的にモデル化して算出する方法
工事項目と部位ごとに工事モデル仕様を定め、戸当り標準工事費に対象となるマンションの建物データを入力し、 これに一定の係数を乗じて工事費を定める方法で、長期修繕計画の作成費は最も安い。 築年数の浅いマンションで修繕積立金の根拠を出すための簡易的なシステムとして使用される。

U

建物診断を行わずに部位別数量等を用いて算出する方法
工事項目と部位ごとに工事仕様を定め、各部位の大枠の数量を拾い上げ、各工事の単価を乗じて 算出する方法で、@よりは多少、精度が高い。

V

過去の工事実績を反映して算出する方法
1回目の大規模修繕を終えたマンションで、過去の実績数値を基に算出する方法。

W

建物診断を行い、実施設計を基に算出する方法
実施設計の仕様を根拠に算出する方法で、実施設計のレベルに近づくほど、長期修繕計画を 作成する手間(=費用)がかかるが、精度は最も高い。