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今できるすべての工事を

皆さんは、お住まいのマンションが築50年頃になった様子を想像したことがありますか?

古いマンションにはどんなことが起こるのか、

どこからどこまで手当てをすれば時代にあった快適な住まいになるのか……。

今年、築46年目を迎えるマンションをご紹介します。

管理組合理事長として2回の大規模修繕の指揮をとった武山昭英さんにお話を伺いました。


● ニュー外苑ハイツ管理組合(1969年竣工・SRC造・10階建・51戸)

2001年の大規模修繕のことを教えてください

 私たちのマンションは自主管理で、

 それまで、大規模修繕といえるよう

 な修繕をしてきていませんでした。

 当然、各所に傷みがでていたわけ

 で、ついにエントランスのタイルが

 落ちてしまったのです。

 しかし、当時、積立金は1,000万円

 しかありませんでした。

 

そこからです。相談先(マンションNPO)を探し当て、

どんな修繕をすればいいのか、どうやってこぎつけれ

ばいいのか、いちから相談しました。金融公庫(現在

の住宅金融支援機構)から借りられる最高額を借りて

も、足りないため、各戸から約100万円の一時金を集め

なければなりませんでした。分割払いのお宅もあり、

他の理事とかけずり回る日々でした。

その時に、担当してくれたのが今回も設計監理をお

願いした高橋行信建築士です。

その後、修繕積立金を値上げしましたね?

その後高橋建築士に作成してもらった長期修繕計画

で、約12年後に非常に様々な工事をする必要が示され 

 

ました。やりきるには、1億5,000万円以上かかること

がわかりました。そのため、総会で5年ごとにu単価を

50円ずつ上げる案の承認を受け、実行してきました。

現在の積立金の月額はu単価249円(専有面積が60u

の場合約15,000円)です(表参照)。

私たちは、集めるほうも出すほうも、もう2度と一

時金徴収はごめんだと思いました。それが、「値上げも

仕方がない」という意識につながったのだと思います。

 

今回の大規模修繕で懸案だったことは?

まずは、各戸の電気の契約容量のアップです。

もともと、各戸30Aだったのですが、事務所として

使っている部屋も多く、それぞれが電力会社に連絡し

て契約容量をアップしていました。早い者勝ち的状況

ですよね。

その結果、マンションが引き込める電気容量の限界

に達し、30Aでがまんしてきた多くのお宅が、まったく

アップできなくなっていたのです。

工事としては、配電盤、電気幹線ケーブルの改修、

各戸の電力計を新設、室内に50Aの分電盤の設置をし

ました。その費用は、950万円ほどでした。

● 電気幹線設備改修の概要

 もうひとつは、配線の整理です(写真上)。

今では考えられませんが、各階の配電盤から個別に

電気を引いてしまうなどということもあったのです。

インターネット関連のケーブルについては、事務所

が多いこともあり、それぞれが自由に契約していまし

た。ベランダには、外部からのケーブルが何本も渡っ

ていました。それらの配線が生きているのか、使われ

ていないのか不明なものも少なくありませんでした。

高橋建築士の提案で、廊下の天井にラックをつけま

した。電気幹線もインターネットのケーブルもすべてそ

こを通って各戸に引き入れられるようにし、その上で、

期限をきって、皆さんに既存のインターネットケーブル

の撤去とラックを通しての再配線をお願いしました。

露出配管ではありますが、以前に比べたら相当すっ

きりとしました。

室内工事も多かったそうですね?

電気幹線工事では、玄関扉の上にコア抜きをして電

力計を付け、室内に新しい分電盤を設置する工事があ

りました(2〜3時間の停電)。

玄関扉とアルミサッシの交換工事も在宅が必要でし

た。それに加え、古くなった専有部内の火災警報器も

交換し、配線し直しました。押入の中にもつける必要 

 

があり、これも室内工事となりました。各戸には、4

〜5回の在宅に協力してもらったことになります。

その他にはどんな工事を?

ベランダの手摺の交換、面格子など金物類の交換、

共用電灯のLED化、テレビアンテナ交換などです。12

年毎に行う基本の工事の他にもできる限りの箇所の改

修を実施しました(p2表)。

共用部分の給水管と排水管の更新は実施済みですか

ら、長期修繕計画で示されていた工事は、ほぼやり終

えたことになります。本当にほっとしました。

ただし、専有部分の給水管と排水管は、手がついて

いません。スラブ下配管(階下の部屋の天井裏を通る)

になっているため、非常に悩ましい問題だとは思って

います。

今後は?

管理費会計に余裕があるので、管理費を値下げして、

その分積立金にプラスしようと考えています(集める

金額は同じ)。その上で、今回の工事内容と残金、借入

金など新しいデータと、専有部分の給排水管の更新工

事も入れて、再度、長期修繕計画の見直しをしてもら

い、今後を見通したいと考えています。

● 高橋行信建築士から
   (2回の大規模修繕の設計監理と長期修繕計画作成を担当)

・インターネットケーブルの整理の際は、3か月間

という期間を設け、住民に撤去を依頼し、期限が

きても残っていたケーブルは切断することで完全

に整理ができました。これは、理事会の強いリーダーシップ

がなければできませんでした。

・今回、納得のいく工事ができたのは、12年前に、長期修繕

計画で提案した工事を管理組合がやりきろうと決め、積立金

を値上げして資金の準備をしてきたからに他なりません。

 その結果、電気容量がアップし、サッシも玄関扉等も新しく

でき、快適性も資産価値も向上しました。 

次は、第1回の大規模修繕の内容に戻ることになると思いま

す。長期修繕計画の見直しはこれからですが、今の金額で、

この先の修繕を乗り切っていけるでしょう(借入金は必要)。

・正直に言いますと、築40 年を過ぎたマンションにはふたを

開けてみないと何がでてくるかわからない怖さがあります。

予想してどれだけ仕様書(工事の指示書)に入れておけるか

が、重要なのですが、前回の大規模修繕に係わっていれば、

その分予想が立ち、的確な仕様書作成につながります。マン

ションは、古くなればなるほど、同じ技術者が継続して見て

いくことにメリットがあると考えます。

「マンションNPO通信 67号(2015/2/15発行)P2〜3所載」


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