法人は、大別して営利を追求することを主目的として設立された法人と、 非営利(公益)活動を法人の目的として設立された法人に分かれます。 前者は、商法上の規定に準拠した株式会社等の一般企業であり、営利企業といわれるものです。 この非営利活動法人は次の二つに分けられます。 (1)パブリックセクター (2)プライベートセクター 但し、非営利は必ずしも公益と同義語ではありません。 本来、これらの営利でもなく公益でもない法人の設立には一般法がなく、法人の種類ごとに労働組合法、各種の協同組合法
などの特別法があるのみでした。 |
区分 | 根拠法令 | 主務官庁 | 会計基準 | 会計の特徴 |
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地方自治体 |
地方自治法 (昭和22年法律第67号) |
総務省 (旧自治省) |
特になし (財務諸表の作成を地方自治法等に規定して自治体に義務付けるのか、会計基準の根拠を法律に置くか否かも未定 (平成20年11月総務省再建法制等問題小委員会) 海外では、修正現金基準又は発生基準を採用している国が多い。EUでは国際会計士連盟 IFACが作成した「国際公会計基準」PSASsの採用を決定。 |
現行の認識基準は現金主義であるが、発生主義的要素を加味していく流れがある。 |
特殊法人 |
特殊法人特別法 特殊法人 総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第15号(国の出資又は、補助金等の交付がなされている法人・公社、公団、事業団、特殊銀行、公庫、金庫、特殊会社などが対象) 認可法人 (特別の法律に基づいて主務大臣の認可を受けて設立される法人)日本銀行(日本銀行法・財務省)、日本赤十字社(日本赤十字社法・厚生労働省)等 |
各省庁 |
特殊法人会計処理基準(昭和62年10月2日制定) (但し、この基準は強制力をもたない) |
発生主義を原則とするが、事業により損益計算書は収益獲得型、収支均衡型、行政移管型があり、必ずしも、特殊法人等会計基準に準拠していない法人がある。 |
独立行政法人 |
独立行政法人通則法 (平成11年7月16日法律第103号) |
各省庁 |
独立行政法人会計基準(平成12年2月制定) 平成19年11月19日、「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」が改訂 |
発生主義を原則とするが、公共的性格を有し、利益の獲得を目的とせず、独立採算制を前提としていないので、厳密に発生主義を適用できない場合がある。 |
区分 | 計算書類の体系 | 正味財産(資本の部)の内容 | 法人税 | 消費税 |
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地方自治体 | 歳入歳出簿 平成19年10月17日、総務省自治財政局長名で各都道府県知事等に「公会計の整備推進について」を通知 (公会計原則(案)により次の体系が検討されている。) 貸借対照表 成果報告書 損益計算書 正味財産増減計算書 資金収支計算書 |
正味財産の部 正味財産 (うち基本金) (うち当期正味財産増加額 (減少額)) |
非課税 |
資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供については、国、地方公共団体も、会計毎に一法人とみなして適用がある。 なお、国庫補助金、都道府県からの補助金等、他会計からの繰入金等は、課税対象外。 課税対象限度額、簡易課税の適用も民間企業と同じ。 |
特殊法人 |
貸借対照表 損益計算書 財産目録 財務諸表の注記 付属明細書 |
資本の部 T 資本金 政府出資金 地方公共団体出資金 U 法定準備金 資本準備金 利益準備金 V 剰余金 資本剰余金 利益剰余金又は欠損金 |
非課税 |
資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供については、適用がある。 なお、国庫補助金、都道府県からの補助金等、他会計からの繰入金等は、課税対象外。 課税対象限度額、簡易課税の適用も民間企業と同じ。 |
独立行政法人 |
(1) 貸借対照表 (2) 損益計算書 (3) キャッシュ・フロー計算書 (4) 利益の処分又は損失の処理に関する書類 (5) 行政サービス実施コスト計算書 (6) 附属明細書 |
資本の部 |
非課税 |
資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供については、適用がある。 |
区分 | 根拠法令 | 主務官庁 | 会計基準 | 会計の特徴 |
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公益法人 |
2008年11月までは民法34条「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸等の公益に関する社団、財団にして営利を目的としない法人」 |
国所管(各省庁) |
公益法人会計基準(昭和60年9月制定) |
平成20年度改正までは、一般会計・特別会計等、会計区分単位の財務諸表(貸借対照表、正味財産増減計算書)および収支計算書が主とされ、法人全体の状況については、それぞれの総括表(貸借対照表総括表、正味財産増減計算書総括表、収支計算書総括表)で合算し、内部取引を消去して表示するものとされていた。 |
社会福祉法人 |
社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)は、平成14年に「社会福祉法」に改題された。(省008) |
厚生労働省所管 |
社会法人会計基準 |
収支計算 |
宗教法人 |
宗教法人法 |
文部科学省所管 |
宗教法人会計基準(案)(昭和46年11月) |
収支計算 |
学校法人 |
私立学校法(昭和24年法律第270号) |
文部科学省所管 |
学校法人会計基準 |
資金収支計算 |
労働組合 |
労働組合法 |
厚生労働省所管 |
労働組合会計基準 |
資金収支計算 |
医療法人 |
医療法 |
厚生労働省所管 |
病院会計準則 |
損益計算 |
特定非営利活動法人(NPO法人) |
特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号) |
経済企画庁所管 |
(NPO法第27条に、会計についての基準が示されている) |
「NPO法人等の会計指針」公開草案では、修正現金主義を採用 |
管理組合(人格なき社団) 管理組合法人 |
建物の区分所有等に関する法律昭和37年法律69号) |
法務省 |
なし |
会計基準がないため、多種多様に存在する |
区分 | 計算書類の体系 | 正味財産(資本の部)の内容 | 法人税 | 消費税 |
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公益法人 |
新公益法人会計基準(平成20年4月11日改正) |
正味財産の部 |
収益事業について低率課税 |
課税取引について課税 |
社会福祉法人 |
収支計算書 |
純資産の部 |
収益事業について低率課税 |
課税取引について課税 |
宗教法人 |
収支計算書 |
貸借対照表の作成は義務付けられていない。作成する場合、例えば、下記となる。 |
収益事業について低率課税 |
課税取引について課税 |
学校法人 |
資金収支計算書 |
基本金の部 |
収益事業について低率課税 |
課税取引について課税 |
労働組合 |
収支計算書 |
正味財産の部
|
収益事業について低率課税 |
課税取引について課税 |
医療法人 |
損益計算書(平成4年以前は収支計算書) |
資本の部 |
普通法人と同じ扱い。(30%)
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医療関係の取り扱いとして社会保険診療は、社会的配慮により非課税扱い、但し、下記の医療は課税 |
特定非営利活動法人(NPO法人) |
(標準型会計) |
純資産の部
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収益事業については、普通法人扱いとなり、 |
課税取引に対し課税。 |
管理組合(人格なき社団) | 規定なし | 規定なし |
特定の収益事業から生じた所得に対してのみ課税が行われ、それ以外の事業については課税の対象としない(法人税法第4条第1項) |
消費税法3条(人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第12条の2及び別表第3を除く)の規定を適用する)により納税義務者となるが、管理組合収入のうち管理費等及び借入金は不課税となり、更に駐車場、駐輪場、ルーフバルコニー、専用庭等の専用使用料のうち、組合員が使用している場合に限り不課税。(消費税法第2条第1項第8号) |
管理組合法人 |
最終改正:平成23年6月24日法律第74号「区分所有法第四十八条の二」
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規定なし |
区分所有法47条13項の規程により、法人税法上は公益法人等として取り扱う(法人税法第2条) |
区分所有法第47条の14 消費税法上、別表第3に掲げる法人とみなす。(非課税) |