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5.3 総勘定元帳への転記

総勘定元帳への転記

下記はExcelで作成した総勘定元帳です。
前頁の預金通帳から転記作成したExcel版「入出金台帳」から転記しています。

なぜ、わざわざ総勘定元帳の様式に転記するのか、
Excelで作成したオリジナルの様式ではいけないのか?

会計の計算書類と証憑
証憑(しょうひょう)とは、請求書、領収書、契約書、電算出力帳票、
その他 取引の事実と正当性を立証する書類をいう。(英)vouchers バウチャー)
保管期間を規約で定めていない場合でも、税法の規定を準用すれば
最低でも5年間は保存しておかなければなりません。

(参考) 通常、企業の経理規定では下記のように定めています。
経理業務に関する書類の保存期間は、次のとおりとする。
保存期間の起算日は、当該期の翌期とする。
1)財務諸表および付属書類 永久
2)会計帳簿 10年
3)会計伝票および証憑 10年
2.保存期間を経過した帳簿および書類の処分は、経理部長の指示により行う。

管理組合の会計役員は任期で代わりますので会計の継続性が重要になってきますが、
Excelで各科目を集計したオリジナルの様式では公的な証拠としての証拠能力に欠けます。
現在の監事や役員の理解は得られても、後からの役員には評価されないかも知れません。

総勘定元帳の様式は明治に複式簿記が導入されて以後、140年以上も変わらずに続けられてきました。
公的な証拠書類としての総勘定元帳の重要性は今後も変わらずに残ります。
そのためには、多少、手間でも、会計の正当性を立証する公的な証拠書類として残すべきだという考えです。

※ 下記の総勘定元帳はExcelの形式で書かれています。
   この表をそのままコピーしてExcelに貼付けることができます。(貼付け後の罫線の修飾は要)

No.

通常収入(管理費) 4月分

               
            丁数                     借又貸 差 引 残 高
 
4 1 303スミダ ノボル     8,000   8,000
4 12 302アオゾラ タロウ     7,500   15,500
4 20 304カワシタ フネオ     8,000  
4 20 203ハルノ ウララ     8,000   31,500
               
               
               
               

収入勘定科目の集計と転記

同様に、他の勘定科目も転記していきます。
以下、要点だけを簡略化して説明しています。(入ってくるお金は「貸方」に記帳ですよ!)

通常収入(修繕積立金) 4月分

月日 摘 要 借 方 貸 方 差引残高
4  1 303スミダ ノボル   5,400 5,400
4 12 302アオゾラ タロウ   4,500 9,900
4 20 304カワシタ フネオ   8,000  
4 20 203ハルノ ウララ   8,000 25,900
         

通常収入(駐車料) 4月分

月日 摘 要 借 方 貸 方 差引残高
4 12 302アオゾラ タロウ   5,000 5,000
4 20 304カワシタ フネオ   5,000 10,000
         

 

前頁の「入出金管理台帳」で、収入を「一般会計」と「特別会計」に分けていましたが、
それは、「一般会計勘定」に入っている「特別会計」の収入分を「特別会計勘定」に振替(帳簿間の移動)仕訳のためです。
この振替は、月ごとに集計して月次の締め(月次決算)で行います。

 

資 金 移 動 ( 一般会計⇒特別会計 )

月日 摘 要 借 方 貸 方 差引残高
4 30 4月分特別会計入金高   113,500 113,500
5 31 5月分特別会計入金高   113,500 227,000
         

 

支出勘定科目の集計と転記

     支払経費は、電気料を例として説明します。(出て行くお金は「借方」に記帳ですよ!)

水道光熱費 ( 電気料 )

月日 摘 要 借 方 貸 方 差引残高
4 5 共用電気料3月分(従量電灯) 15,121   15,121
4 5 共用電気料3月分(低圧動力) 23,400   38,521
5 5 共用電気料4月分(従量電灯) 13,200   51,721
5 5 共用電気料4月分(低圧動力) 18,250   69,971
         

 

(注)

(1) 電気料、水道代、通信費など、経費のいくつかは、前月分、若しくは前月2ケ月分が、翌月に引き落としになってきます。 ここでは、発生月基準ではなく、支払月基準の計上であることに注意してください。 本来、経費(債務)は発生した月で計上するのが発生主義の原則ですが、月遅れで発生(債務が確定)するこれらの経費を 毎年、同じ基準で計上する限りにおいては、支払時の計上であっても問題ないとされています。(発生主義をこれらにまで厳密に適用することは実務的ではない。もっと厳密に言えば、メータの検針時期も月にまたがるのが普通)

(2) 電気料には、照明などの100V電源、エレベーターや給水ポンプなどの200V動力電源などがあり、一方、水道代なども、共用散水栓、管理室などメータ番号ごとにそれぞれ請求書が届き、 引き落としされていますが、これらの請求書と引落し額を突合せ、それぞれの用途ごとに総勘定元帳に転記し、監査で帳簿の内訳と請求書を精査できるようにしておきます。
決算時に、それらの各月別の合計額を集計しますが、元帳の段階では、請求書1枚ごと(その用途ごと)に記帳していきます。

収支計算書への転記(決算処理)

     ここで集計した各勘定科目の年度末での収支残高を一覧表にしたのが収支計算書であり、
     現金預金残高と未収金などの資産合計、及び前受金、未払金などの負債合計を一覧表にしたのが貸借対照表です。

 6.1  財務諸表の体系

 

     このように、Excelで集計した各勘定科目を転記すると、下記のように財務諸表が作成できます。