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6.7 財産目録

財産目録は、勘定科目残の明細であり、具体的にその種類、区分、相手方等の詳細に亘る事柄を記載します。

財産目録の成り立ち

他の財務諸表(収支計算書、貸借対照表、正味財産増減計算書)が会計学を基礎とする「商法の規定」に準じているのに対し、 財産目録はそれらとは異なる民法の「組合等の非営利法人に関する規定」に属しています。(団体清算時の債務弁済可能性の観点から)

歴史的に見ると財産目録は1673年のルイ14世治世下フランスのサヴァリ(Savary)法典(商業帳簿および財産目録の作成規定)を起点とし、 日本ではドイツ商法を基に1890年、民法の特別法としての商法(明治23年法律32号)に組み込まれていきます。

当時は、財産目録で純資産を表示し、貸借対照表は財産目録を要約して債権者保護のために財政状態を表示するという考えに基いていました。 その後、企業経営能力を評価するための損益計算を重視する考え方が優勢となり、1974年の商法改正で財産目録は企業の決算報告書としては要求されなくなるのですが、 民法では2006年の法人整備法による改正まで残っていました。

旧民法第51条(財産目録及び社員名簿)
1 法人は、設立の時及び毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。 ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。

その後、平成18年[2006年] 6月2日公布の法律第50号「一般法人整備法」と同時にこの民法第51条は削除され、 この条文を適用していた商法の規定によらない非営利法人及び組合に関する関係法はすべて、それぞれの法律の中に同一条文が組み込まれていき、 「建物の区分所有等に関する法律」もこの流れを受けて、新たに第48条の2が追加されていきます。

財産目録の作成義務と罰則

建物の区分所有等に関する法律 (財産目録及び区分所有者名簿)
第48条の2 管理組合法人は、設立の時及び毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。 ただし、特に事業年度を設けるものは、設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。【追加】平成18年法50号

罰則 (過料)
第71条6 第48条の2第1項(第66条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、 財産目録を作成せず、又は財産目録に不正の記載若しくは記録をしたとき、 その行為をした管理者、理事、又は清算人は、20万円以下の過料に処する。【改正】平成23年法74号

(注) 旧民法第51条を準用していた昭和58年5月21日(改)法51号では70条で5万円以下の規定でしたが、平成14年12月11日(改)法140号でこれが72条に移って10万円以下となり、 平成23年6月24日(改)法74号で71条6に移って20万円以下となっています。

自治会に関する規定である地方自治法第260条の4にも、同様の規定があります。
   [参考] 自治会とは

 その後、平成20年度改正では、財務諸表に含まれていた財産目録は、認定法、法人法における会計に関する書類との整合性を考慮し、 一般社団・財団法人は財産目録に関しては範囲外となり作成義務はなくなりました。

但し、公益社団・財団法人においては新・新会計基準においても財産目録は公益目的保有財産の状況を開示する書類として 重要な役割を担うこととなり、運用指針における財産目録の様式は、 新会計基準における様式と比較して場所・物量・使用目的等を具体的に記載する詳細なものとなっています。

記載の要点

(1) タイトル「(一般・特別)会計財産目録」
(2) 決算日 平成○年○月○日
(3) 管理組合名称
(4) 単位:円

財産目録

平成25年3月31日現在

青空ハイツ管理組合 一般会計                                         (単位:円)
科  目 当年度前年度増減額摘 要
資産の部    
  普通預金 13,796,17413,281,702514,472 
  定期預金 13,796,17413,281,702514,472 
  未収入金 1,866,5001,481,500415,000 
  信用組合出資金 30,00030,0000 
            計 16,315,09915,383,687931,412 
       
       
       
負債の部    
  預り金 15,00010,8004,200 
  前受金 84,500144,000▲59,500 
  仮受金 363,200383,800▲20,600 
  未払金 60,400060,400 
            計 523,100538,600▲15,500 
       
       
       
正味財産の部     
  正味財産 15,791,99914,845,087946,912 
  (AーB)     

 

財産目録付属明細表

貸借対照表の各科目ごとについて、その詳細を説明する付属明細表を合わせて作成し、
特に、各金融機関別の預金高、各戸別の前受金、未収金の状況を説明するのに作成されます。

財産目録

平成25年3月31日現在

青空ハイツ管理組合 一般会計                                         (単位:円)
科  目   借方金額貸方金額
資産の部   
  普通預金○○信用組合 3,792,174
  普通預金○○銀行 10,004,000
  定期預金○○銀行 622,425
  未収入金  1,866,500
 ○号室(○〜○)22,500 
 ○号室(○〜○)24,000 
 ○号室(○〜○)85,00 
 ○号室(○〜○)136,000 
 ○号室(○〜○)7,500 
 ○号室(○〜○)72,000 
 ○号室(○〜○)19,500 
 ○号室(○〜○)96,000 
 ○号室(○〜○)202,500 
 ○号室(○〜○)22,500 
 ○号室(○〜○)34,000 
 ○号室(○〜○)533,000 
 ○号室(○〜○)102,000 
 ○号室(○〜○)510,000 
  出資金○○信用組合 30,000
       計  16,315,099
負債の部   
  預り金  15,000
  前受金  84,500
 ○号室(○〜○)7,500 
 ○号室(○〜○)7,500 
 ○号室(○〜○)8,000 
 ○号室(○〜○)45,500 
 ○号室(○〜○)7,500 
 ○号室(○〜○)8,500 
    
  未払金管理員業務費 60,400
  仮受金特別会計より 363,200
       計  523,100
正味財産の部   
  正味財産  15,791,999