7.2 [参考] 自治会とは
2.地方自治法260条2
町内会、自治会は任意団体であり、従来、不動産の所有について、団体名義では登記することができませんでしたが、 町内会、自治会などに法人格を付与する認可地縁団体制度(平成3年4月、地方自治法260条の2)が創設された結果、 市長村への申請によって法人格を取得し、不動産などを自己名義で登記し所有することができるようになりました。
自治会に関する法的な規定は地方自治法260条2にあります。同条は幾度か改訂されています。
本文に掲載しているのは、最終改正:平成25年12月13日法律第111号 時点のものです。
管理組合との類似点及び相違点を比べてみてください。
行政は自治会からの申し出は受け付けますが、管理組合単位での申し出は基本的に受け付けません。
地方自治法260条2を見るとその理由がわかります。
地方自治法第260条2
町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動のための不動産又は不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
○2 前項の認可は、地縁による団体のうち次に掲げる要件に該当するものについて、その団体の代表者が総務省令で定めるところにより行う申請に基づいて行う。
一 その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行つていると認められること。
二 その区域が、住民にとつて客観的に明らかなものとして定められていること。
三 その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となつていること。
四 規約を定めていること。
○3 規約には、次に掲げる事項が定められていなければならない。
一 目的
二 名称
三 区域
四 事務所の所在地
五 構成員の資格に関する事項
六 代表者に関する事項
七 会議に関する事項
八 資産に関する事項
○4 第二項第二号の区域は、当該地縁による団体が相当の期間にわたつて存続している区域の現況によらなければならない。
○5 市町村長は、地縁による団体が第二項各号に掲げる要件に該当していると認めるときは、第一項の認可をしなければならない。
○6 第一項の認可は、当該認可を受けた地縁による団体を、公共団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならない。
○7 第一項の認可を受けた地縁による団体(以下「認可地縁団体」という。)は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならない。
○8 認可地縁団体は、民主的な運営の下に、自主的に活動するものとし、構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。
○9 認可地縁団体は、特定の政党のために利用してはならない。
○10 市町村長は、第一項の認可をしたときは、総務省令で定めるところにより、これを告示しなければならない。告示した事項に変更があつたときも、また同様とする。
○11 認可地縁団体は、前項の規定に基づいて告示された事項に変更があつたときは、総務省令で定めるところにより、市町村長に届け出なければならない。
○12 なんびとも、市町村長に対し、総務省令で定めるところにより、第十項の規定により告示した事項に関する証明書の交付を請求することができる。この場合において、当該請求をしようとする者は、郵便又は信書便により、当該証明書の送付を求めることができる。
○13 認可地縁団体は、第十項の告示があるまでは、認可地縁団体となつたこと及び第十項の規定に基づいて告示された事項をもつて第三者に対抗することができない。
○14 市町村長は、認可地縁団体が第二項各号に掲げる要件のいずれかを欠くこととなつたとき、又は不正な手段により第一項の認可を受けたときは、その認可を取り消すことができる。
○15 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成18年法律第48号)第四条 及び第78条 の規定は、認可地縁団体に準用する。
○16 認可地縁団体は、法人税法 (昭和40年法律第34号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。 この場合において、同法第37条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第7項に規定する認可地縁団体(以下「認可地縁団体」という。)並びに」と、 同法第66条の規定を適用する場合には同条第一項及び第二項中「普通法人」とあるのは「普通法人(認可地縁団体を含む。)」と、同条第3項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(認可地縁団体及び」とする。
○17 認可地縁団体は、消費税法 (昭和63年法律第108号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。
第260条の3
認可地縁団体の規約は、総構成員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、当該規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
○2 前項の規定による規約の変更は、市町村長の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第260条の4
認可地縁団体は、認可を受ける時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、認可を受ける時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
○2 認可地縁団体は、構成員名簿を備え置き、構成員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。
第260条の5
認可地縁団体には、一人の代表者を置かなければならない。
第260条の6
認可地縁団体の代表者は、認可地縁団体のすべての事務について、認可地縁団体を代表する。ただし、規約の規定に反することはできず、また、総会の決議に従わなければならない。
第260条の7
認可地縁団体の代表者の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
第260条の8
認可地縁団体の代表者は、規約又は総会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
第260条の9
認可地縁団体の代表者が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮代表者を選任しなければならない。
第260条の10
認可地縁団体と代表者との利益が相反する事項については、代表者は、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。
第260条の11
認可地縁団体には、規約又は総会の決議で、一人又は数人の監事を置くことができる。
第260条の12
認可地縁団体の監事の職務は、次のとおりとする。
一 財産の状況を監査すること。
二 代表者の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
第260条の13
認可地縁団体の代表者は、少なくとも毎年一回、構成員の通常総会を開かなければならない。
第260条の14
認可地縁団体の代表者は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。
○2 総構成員の五分の一以上から会議の目的である事項を示して請求があつたときは、認可地縁団体の代表者は、臨時総会を招集しなければならない。 ただし、総構成員の五分の一の割合については、規約でこれと異なる割合を定めることができる。
第260条の15
認可地縁団体の総会の招集の通知は、総会の日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し、規約で定めた方法に従つてしなければならない。
認可地縁団体の事務は、規約で代表者その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によつて行う。
認可地縁団体の総会においては、第二百六十条の十五の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
第260条の18
認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
○2 認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
○3 前二項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない。
第260条の19
認可地縁団体と特定の構成員との関係について議決をする場合には、その構成員は、表決権を有しない。
第260条の20
認可地縁団体は、次に掲げる事由によつて解散する。
一 規約で定めた解散事由の発生
二 破産手続開始の決定
三 認可の取消し
四 総会の決議
五 構成員が欠けたこと。
第260条の21
認可地縁団体は、総構成員の四分の三以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。 ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
第260条の22
認可地縁団体がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、 裁判所は、代表者若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
○2 前項に規定する場合には、代表者は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
第260条の23
解散した認可地縁団体は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
第260条の24
認可地縁団体が解散したときは、破産手続開始の決定による解散の場合を除き、代表者がその清算人となる。 ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は総会において代表者以外の者を選任したときは、この限りでない。
第260条の25
前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、 裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
第260条の26
重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、 認可地縁団体の清算人を解任することができる。
第260条の27
認可地縁団体の清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
○2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
第260条の28
認可地縁団体の清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、 一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。 この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
○2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。 ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
○3 認可地縁団体の清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
○4 第一項の公告は、官報に掲載してする。
第260条の29
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、 認可地縁団体の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、 請求をすることができる。
第260条の30
清算中に認可地縁団体の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、 清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
○2 清算人は、清算中の認可地縁団体が破産手続開始の決定を受けた場合において、 破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
○3 前項に規定する場合において、清算中の認可地縁団体が既に債権者に支払い、 又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
○4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
第260条の31
解散した認可地縁団体の財産は、規約で指定した者に帰属する。
○2 規約で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかつたときは、 代表者は、市町村長の認可を得て、その認可地縁団体の目的に類似する目的のために、 その財産を処分することができる。 ただし、総会の決議を経なければならない。
○3 前二項の規定により処分されない財産は、市町村に帰属する。
第260条の32
認可地縁団体の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
○2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
第260条の33
認可地縁団体の清算が結了したときは、清算人は、その旨を市町村長に届け出なければならない。
第260条の34
認可地縁団体に係る次に掲げる事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 仮代表者又は特別代理人の選任に関する事件
二 解散及び清算の監督に関する事件
三 清算人に関する事件
第260条の35
認可地縁団体の清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第260条の36
裁判所は、第二百六十条の二十五の規定により清算人を選任した場合には、 認可地縁団体が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。 この場合においては、裁判所は、当該清算人(監事を置く認可地縁団体にあつては、 当該清算人及び監事)の陳述を聴かなければならない。
第260条の37
裁判所は、認可地縁団体の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、 検査役を選任することができる。
○2 前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。 この場合において、前条中「清算人(監事を置く認可地縁団体にあつては、当該清算人及び監事)」とあるのは、 「認可地縁団体及び検査役」と読み替えるものとする。
第260条の38
次の各号のいずれかに該当する場合においては、認可地縁団体の代表者又は清算人は、
非訟事件手続法 (平成23年法律第51号)により、五十万円以下の過料に処する。
一 第260条の22第二項又は第260条の30第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
二 第260条の28第一項又は第260条の30第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
管理組合と自治会
退会する旨申し入れた場合、自治会費の支払義務は負わない
<最高裁判例(平成17年4月26日(判時1897号10頁)>
「自治会は(略)権利能力のない社団であり、いわゆる強制加入団体でもなく、 その規約において会員の退会を制限する規定を設けていないのであるから、 被上告人の会員は、いつでも被上告人に対する一方的意思表示により被上告人を退会することができると解するのが相当であり、 本件退会の申入れは有効であるというべきである」とし、自治会を退会する旨申し入れた場合、 その後の自治会費の支払い義務は負わないとした最高裁判例。
町内会費の徴収は管理組合の目的外であり、管理規約で定めてもその拘束力はない
<東京簡易裁判決(平成19年8月7日(判例集未掲載)>
「マンション管理組合は、区分所有の対象となる建物並びにその敷地及び付属施設の管理を 行うために設置されるのであるから、同組合における多数決による決議は、 その目的内の事項に限って、その効力を認めることができるものと解すべきである。
しかし、町内会費の徴収は、共有財産の管理に関する事項ではなく、 区分所有法第3条の目的外の事項であるから、 マンション管理組合において多数決で決定したり、規約等で定めても、 その拘束力はないものと解すべきである。
本件では、原告の規約や議事録によると、管理組合費は月額500円とっており、 親和会当時からの経緯によると、 そのうちの100円は実質的に町内会費相当分としての徴収の趣旨であり、 この町内会費相当分の徴収をマンション管理組合の規約等で定めてもその拘束力はないものと解される」
※管理費等に自治会費を含めても、その分の支払義務はないとした裁判例もある(判例集未掲載)