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24. 中央管理室と防災センター

防災規定は建築基準法と消防法でそれぞれ規定されています。

中央管理室は建築基準法(建築基準法施行令第20条の2第2号)の規定です。
防災センターは消防法施行規則第12条8の規定です。

防災センターの要員講習はかって消防法施行規則第3条第10項に規定されていましたが、同項は平成20年9月24日改正で削除され、番号が繰り上がって現在は別の規定になっています。下段※参照
但し、この旧第3条第10項の防災センター要員に関する規定を基にした東京都火災予防条例第55条の2の2の規定は現在も生きています。

 防災センターの設置場所は、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る)のほか建築基準法で定められた中央管理室でも良いこととなっていますので、中央管理室(防災センター)のように重複して室名を表示しているところもあります。


(建築基準法上の施設)
 中央管理室

中央管理室とは、非常用エレベーター、排煙設備、空気調和設備の制御と監視を行う室のことです。

中央管理室は、建築基準法施行令第20条の2第2号にその定めがあります。

中央管理室を設置しなければならないのは
(1)非常用エレベーターを設置している建築物
(2)床面積1000m2を超える地下街

 高さ31メートルをこえる建築物には非常用エレベーターの設置義務があり、その非常用エレベーターは、 避難階又はその直上階若しくは直下階の乗降ロビー及び中央管理室で操作できなければなりません。

また、3階建て以上の建築物で非常用の進入口を設けることができない場合にも、代替え措置として非常用エレベーターを設ける場合があります。 従って中央管理室があるのは必ずしも高層又は大規模の建築物だけとは限りません。
また、床面積1000m2を超える地下街にも中央管理室の設置義務があります。

建築基準法施行令 非常用の昇降標の設置及び構造) 
第129条の13の3 
法第34条第2項の規定による非常用の昇降機は、エレベーターとし、その設置及び構造は、第129条の4から第129条の10までの規定によるほか、この条に定めるところによらなければならない。

2 前項の非常用の昇降機であるエレベーター(以下「非常用エレベーター」という。)の数は、高さ31メートルをこえる部分の床面積が最大の階における床面積に応じて、次の表に定める数以上とし、 2以上の非常用エレベーターを設置する場合には、避難上及び消火上有効な間隔を保つて配置しなければならない。

高さ31メートルをこえる部分の床面積が最大の階の床面積

非常用エレベーターの数

(1)

1500m2以下の場合

(2)

1500m2をこえる場合

3000m2以内を増すごとに(1)の数に1を加えた数


6.予備電源を有する照明役備を設けること。 
7.床面積は、非常用エレベーター1基について10m2以上とすること。 
8.屋内消火栓、連結送水管の放水口、非常コンセント設備等の消火設備を設置できるものとすること。
 9.乗降ロビーには、見やすい方法で、積載量及び最大定員のほか、非常用エレベーターである旨、避難階における避難経路その他避難上必要な事項を明示した標識を掲示し、かつ、非常の用に供している場合においてその旨を明示することができる表示灯その他これに類するものを設けること。

 非常用エレベーターの昇降路は、非常用エレベーター2基以内ごとに、乗降ロビーに通ずる出入口及び機械室に通ずる鋼索、電線その他のものの周囲を除き、耐火構造の床及び壁で囲まなければならない。

 避難階においては、非常用エレベーターの昇降路の出入口(第3項に規定する構造の乗降ロビーを設けた場合には、その出入口)から屋外への出口(道又は道に通ずる幅員4メートル以上の通路、空地その他これらに類するものに接している部分に限る。) の一に至る歩行距離は、30メートル以下としなければならない。

 非常用エレベーターのかご及びその出入口の寸法並びにかごの積載量は、国土交通大臣の指定する日本工業規格に定める数値以上としなければならない。

 非常用エレベーターには、かごを呼び戻す装置(各階の乗降ロビー及び非常用エレベーターのかご内に設けられた通常の制御装置の機能を停止させ、かごを避難階又はその直上階若しくは直下階に呼び戻す装置をいう。) を設け、かつ、当該装置の作動は、避難階又はその直上階若しくは直下階の乗降ロビー及び中央管理室において行なうことができるものとしなければならない。

非常用エレベーターには、かご内と中央管理室とを連絡する電話装置を設けなければならない。

(換気設備の技術的基準)
第20条の2
法第34条第2項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が1000m2を超える地下街に設ける機械換気設備(一の居室その他の建築物の部分のみに係るものを除く。)及び中央管理方式の空気調和設備の制御及び作動状態の監視は、 当該建築物、同一敷地内の他の建築物又は一団地内の他の建築物の内にある管理事務所、守衛所その他常時当該建築物を管理する者が勤務する場所で避難階又はその直上階若しくは直下階に設けたもの(以下「中央管理室」という。)において行うことができるものであること。

第126条の3(排煙設備の技術的基準)(構造)
11.法第34条第2項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が1000m2をこえる地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、 中央管理室において行なうことができるものとすること。

(消防法上の施設)
 防災センター

防災センターとは、消防設備等の監視と操作を行う室のことで、消防法施行規則第12条8に設置規定があります。
 「消防法施行規則第12条8」 

消防法施行規則第25条第3項第4号ただし書中の「防災センター」とは、総合操作盤その他これに類する設備により防火対象物の消防用設備等の監視、操作等を行う場所であって、 常時人による監視等が行われており、確実な通報体制が確保されているものをいうものであること。
なお、当該防災センターに類するもので、同等の通報体制が講じられていると認められるものにあっては、令第32条を適用し、「防災センター」と取り扱って差し支えない。(消防予第118号 平成26年3月28日消防庁予防課長通知)

消防法施行規則第3条第10項及び平成6年消防庁告示第9号(防火対象物の要件)・10号(防災センター要員)に規定があった「防災センター」は平成20年9月24日告示(施行日平成21年6月1日)の法改正により削除され、代わって自衛消防組織と防災管理者が新たに制度化されました。

 「1.2 法令上求められる義務」 

 

防災センター要員講習の廃止

上記の法改正に伴い、平成21年4月より既存の消防法上の「防災センター要員講習」は「自衛消防業務講習」に移行されました。

但し、東京都においては、東京都火災予防条例第55条の2の2の「防災センター」の規定は現在も残っており、火災予防条例第55条の2の3「防災センター要員講習」の規定もそのまま継続されるため、東京都では、条例上の防災センター要員講習と消防法上の自衛消防業務講習をまとめて実施し、講習を受講すると防災センター要員講習修了証と自衛消防業務講習修了証の二つの免状が付与されます。

東京都火災予防条例第55条の2の2

(消防用設備等又は特殊消防用設備等の管理)
第55条の2の2 次に掲げる防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等の総合操作盤及び制御装置等は、防災センターにおいて集中して管理しなければならない。

1 令別表第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ及び(16)項イに掲げる防火対象物のうち、地階を除く階数が11以上で延べ面積が10,000m2以上のもの又は地階を除く階数が5以上で延べ面積が20,000万m2以上のもの

2 令別表第1(16の2)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000m2以上のもの

3 令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで及び(16)項ロに掲げる防火対象物のうち、地階を除く階数が15以上で延べ面積が30,000m2以上のもの

4 前3号に掲げる防火対象物以外の令別表第1に掲げる防火対象物で、延べ面積が50,000m2以上のもの

2 前項に規定する防災センターにおいて消防用設備等又は特殊消防用設備等を集中して管理しようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、監視、操作等を行うための装置の機能、方法その他当該消防用設備等又は特殊消防用設備等の集中管理に関する計画を消防総監に届け出なければならない。(平18・一部改正)

(防災センター要員)

第55条の2の3 前条第1項各号に掲げる防火対象物の管理について権原を有する者は、消防総監が定める防災センター技術講習又は次項に規定する防災センター実務講習を修了し、消防総監が定める修了証(以下「防災センター要員講習修了証」という。)の交付を受け、かつ、第62条の4第1項に規定する自衛消防技術認定証を有している者のうちから、防災センターにおいて監視、操作等の業務に従事し、及び災害等が発生した場合に自衛消防の活動を行う者(以下「防災センター要員」という。)を規則で定めるところにより、前条第1項に規定する防災センターに置かなければならない。

2 防災センター要員講習修了証の交付を受けている者は、当該修了証の交付を受けた日から5年以内に消防総監が定める防災センター実務講習を受けなければならない。当該講習を受けた日以降においても、同様とする。(平18・追加)

 防災センターの設置場所は、守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る)のほか建築基準法で定められた中央管理室でも良いこととなっていますので、中央管理室(防災センター)のように重複して室名を表示しているところもあります。

(室内設備は左下写真参照)

 


※消防法施行規則から削除された(旧)第3条第10項の解説

消防法の一部を改正する法律(平成19年法律第93号・施行期日平成21年6月1日)の改正に伴い 平成20年9月24日公布で消防法施行規則が改正されたときに(旧)第3条第10項が削除されたものです。

(平成19年消防法改正の目的):東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震の切迫性にかんがみ、大 規模事業所における自衛消防組織の設置、防災管理者の選任等を内容とする消防法の一 部改正に伴い、自衛消防組織を設置する防火対象物の範囲を定めるほか、防災管理者の 資格の細目等所要の規定の整備を行った。

消防法施行規則等の一部を改正する省令(平成20年9月24日公布総務省令第105号)

・第3条第10項を削り、第11項を第10項とし、第12項を第11項とする。

削除された(旧)第3条第10項

消防庁長官が定める要件に該当する防火対象物で防災センター (総合操作盤(消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視、操作等を行うために必要な機能を有する設備をいう。) その他これに類する設備により、当該防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等その他これらに類する防災の ための設備を管理する場所をいう。)が設置されているものに係る防火管理者が第一項の消防計画に定める同項第一号ト に掲げる防火上必要な教育に関する事項のうち、当該防災センターにおいて当該防火対象物の消防用設備等又は 特殊消防用設備等その他これらに類する防災のための設備の監視、操作等に従事する者に対するものについては、 消防庁長官の定めるところによる。


消防法施行規則第十二条八(屋内消火栓設備に関する基準の細目)平成27年3月31日改正版
第十二条
八 高層の建築物、大規模な建築物その他の防火対象物のうち、 次のイからハまでに掲げるものに設置される屋内消火栓設備には、当該設備の監視、 操作等を行うことができ、かつ、消防庁長官が定める基準に適合する総合操作盤(消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視、 操作等を行うために必要な機能を有する設備をいう。以下同じ。)を、 消防庁長官が定めるところにより、当該設備を設置している防火対象物の防災センター(総合操作盤その他これに類する設備により、 防火対象物の消防用設備等又は特殊消防用設備等その他これらに類する防災のための設備を管理する場所をいう。以下同じ。)、 中央管理室(建築基準法施行令第二十条の二第二号 に規定する中央管理室をいう。)、 守衛室その他これらに類する場所(常時人がいる場所に限る。以下「防災センター等」という。)に設けること。

イ 令別表第一(一)項から(十六)項までに掲げる防火対象物で、次のいずれかに該当するもの
 (イ) 延べ面積が五万平方メートル以上の防火対象物
 (ロ) 地階を除く階数が十五以上で、かつ、延べ面積が三万平方メートル以上の防火対象物
ロ 延べ面積が千平方メートル以上の地下街
ハ 次に掲げる防火対象物(イ又はロに該当するものを除く。)のうち、 消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの
 (イ) 地階を除く階数が十一以上で、かつ、延べ面積が一万平方メートル以上の防火対象物
 (ロ) 地階を除く階数が五以上で、かつ、延べ面積が二万平方メートル以上の特定防火対象物
 (ハ) 地階の床面積の合計が五千平方メートル以上の防火対象物