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25. 非常用照明器具と誘導灯

防災規定は建築基準法と消防法でそれぞれ規定されています。

非常用照明器具は、建築基準法施行令第126条の5、
誘導灯は、消防法施行令第26条に規定があります。 どちらも初期避難を容易にするためのものです

非常用照明器具は、常時不点灯状態であり、火災時等で停電した場合、自動的に予備電源に切り替わり、居室や廊下、階段等の床面の水平面照度が1LX以上となるように設置します。

誘導灯は、常時点灯状態であり、消防法で避難口誘導灯(緑色=左の図)と通路・階段誘導灯(=下図に示した照明器具)の設置の規定があり、通路、階段等避難施設の踏面又は表面、 踊場の中心線の照度が1LX以上となるように設置します。

建築基準法に適合する非常用の照明装置で階段室に設けるものについては、 消防法令上の通路誘導灯にも適合する兼用型の「階段通路誘導灯兼用非常用照明器具」(左図)が設置されています。
電池内蔵型の非常用照明器具の蓄電池は、常時充電→自然放電→充電を繰り返しており、 性能が劣化して正規の予備電源能力が低下するため、およそ6年目安で交換をすることになります。

建築設備定期検査の結果表には、「4.電池内蔵型の蓄電池」の項目の中の「(2)配線及び充電ランプ 誘導等並びに非常用照明兼用器具の専用回路の確保の状況」の欄に点検結果が記載されます。 蓄電池交換等の「要是正」項目とならないよう、管理組合は蓄電池交換の時期と予算化についても検討しておく必要があります。


(建築基準法上の初期避難誘導灯)
 非常用照明器具

【関係法令】
・建築基準法施行令第126条の5
・昭和45年建設省告示第1830号
・「非常用の照明装置に関する指針」

【設置場所】
・居室及び廊下、階段室等の避難施設部分

【照明器具】
・白熱灯又は蛍光灯
・令第126条の5第2号の大臣認定を受けたもの(LEDで大臣認定を取得したものがある)。

【照度】
・常温下で床面の水平面照度が1LX以上確保すること(蛍光灯の場合は2LX以上)。

【予備電源・非常電源】
予備電源
・蓄電池設備
・蓄電池及び自家用発電装置の組み合わせたもの

【点灯保持時間】
・連続30分以上


【関係業界団体】
一般社団法人日本照明工業会(JLMA)
(注)一般社団法人日本電球工業会(JELMA)と、一般社団法人日本照明器具工業会(JLA)の両工業会は、平成25年4月1日付で新設合併し、新たに一般社団法人日本照明工業会(JLMA)としてスタートしています。
同工業会では非常用照明器具の評定業務の実施にあたり、非常用照明器具自主評定委員会(以下「自主評定委員会」という)を設け、建築基準法及び工業会規格JIL5501「非常用照明器具技術基準」に適合しているかどうかを自主評定する業務を2001年6月から実施しています。
登録製造事業者は型式評定を受けた製品にJIL適合マーク(下図)を貼付しています。

(消防法令上の初期避難誘導灯)
  誘導灯

【関係法令】
・消防法施行令第26条の5
・消防法施行規則第28条の3
・消防法予第245号

【設置場所】
・通路、階段等避難施設部分

【照明器具】
・白熱灯
・蛍光灯
・LED電球

【照度】
・階段又は傾斜路に設ける通路誘導等は、踏面又は表面及び踊場の中心線の照度が1LX以上となるように設けること。

【予備電源・非常電源】
非常電源
・蓄電池設備
・非常電源専用受電設備

【点灯保持時間】
・連続20分以上(大規模高層防火対象物に設置する誘導灯の非常電源の容量は60分間以上)

【関係業界団体】
一般社団法人日本電気協会
一般社団法人日本電気協会は、2004年12月から総務大臣登録認定機関として、消防法令に基づく誘導灯の認定業務を実施しています。

誘導灯認定業務は、誘導灯について消防法令に基づく技術基準に適合するものであることの認定を行う業務です。
認定を受けた誘導灯については、適合している旨の表示(下図)を付することができ、 この表示がある誘導灯については消防検査において技術基準に適合するものとみなされます。


建設省 告示第1830 号「非常用の照明装置の構造方法を定める件」

昭和45年12月28日建設省告示第1830号
改正 平成5年6月25日 建設省告示第1446号・平成12年5月30日 建設省告示第1405号

建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第126条の5第一号ロ及びニの規定に基づき、 非常用の照明器具及び非常用の照明装置の構造方法を次のように定める。

第一 照明器具
   (注:構造方法について定めたもので、適合器具を購入する使用者には余り重要ではないので、ここでは省略します)

第二 電気配線
   (注:設置と使用方法について定めたもので重要です。第二以下を下記に掲載しています)

一 電気配線は、他の電気回路(電源又は消防法施行令(昭和三十六年政令第三十 七号)第七条第四項第二号に規定する誘導灯に接続する部分を除く。)に接続しない ものとし、かつ、その途中に一般の者が、容易に電源を遮断することのできる開閉器 を設けてはならない。

二 照明器具の口出線と電気配線は、直接接続するものとし、その途中にコンセント、 スイツチその他これらに類するものを設けてはならない。

三 電気配線は、耐火構造の主要構造部に埋設した配線、次のイからニまでの一に 該当する配線又はこれらと同等以上の防火措置を講じたものとしなければならない。

イ 下地を不燃材料で造り、かつ、仕上げを不燃材料でした天井の裏面に鋼製電線 管を用いて行う配線

ロ 準耐火構造の床若しくは壁又は建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二 条第九号の二ロに規定する防火設備で区画されたダクトスペースその他これに類す る部分に行う配線

ハ 裸導体バスダクト又は耐火バスダクトを用いて行う配線

ニ MI ケーブルを用いて行う配線

四 電線は、六百ボルト二種ビニル絶縁電線その他これと同等以上の耐熱性を有す るものとしなければならない。

第三 電源

一 常用の電源は、蓄電池又は交流低圧屋内幹線によるものとし、その開閉器には 非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。

二 予備電源は、常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され、 かつ、常用の電源が復旧した場合に自動的に切り替えられて復帰するものとしなけ ればならない。

三 予備電源は、自動充電装置時限充電装置を有する蓄電池(開放型のものにあつ ては、予備電源室その他これに類する場所に定置されたもので、かつ、減液警報装 置を有するものに限る。以下この号において同じ。)又は蓄電池と自家用発電装置を 組み合わせたもの(常用の電源が断たれた場合に直ちに蓄電池により非常用 の照 明装置を点灯させるものに限る。)で充電を行うことなく三十分間継続して非常用の照 明装置を点灯させることができるものその他これに類するものによる ものとし、その 開閉器には非常用の照明装置用である旨を表示しなければならない。

第四 その他

一 非常用の照明装置は、常温下で床面において水平面照度で一ルクス(蛍光灯を 用いる場合にあつては、二ルクス)以上を確保することができるものとしなければなら ない。

二 前号の水平面照度は、十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測 定方法によつて測定されたものとする。

附 則
この告示は、昭和四十六年一月一日から施行する。
附 則
(平成五年六月二五日建設省告示第一四四六号) この告示は、公布の日から施行する。
附 則
(平成一二年五月三〇日建設省告示第一四〇五号) この告示は、平成十二年六月十二日から施行する。

【参考】 この昭和45年12月28日建設省告示第1830号は、
平成29年6月2日公布・施行の建基法改正により非常用照明の器具が拡大され、設置基準も緩和されています。  詳細は 「建設省告示第1830号の改正(平成29年6月2日公布・施行)」 参照


建設省告示第1830号の改正(平成29年6月2日公布・施行)

(1) 非常用照明器具としてJISの2種類のLEDの使用が認められた。

@直管型LEDランプ

JIS C 8159-1によるGX16t-5口金タイプのもの。ソケット部分に絶縁カバーがあり、 誤使用防止のため電源端子がL型のピンになっている。

接続端子部の材料を一定のものとすることにより、耐熱性が確保されているものに限る。 これ以外のLEDランプは従来どおり大臣認定が必要。下記Aも同様

ALEDモジュール保護器具

難燃材料で覆われた器具で電源制御装置とJIS C 8154によるLEDモジュール(口金の無いもの) が本体と一体になっているもの

Bコンセント型

差込みプラグの抜けを防止するため、延長コードは使用しない。 既存住宅を利用した民泊で共同住宅の場合は、 住戸の出口に通じる部分に非常用照明をつけなければならないが、 後付けしやすいコンセント型非常照明が利用可能になった。

 

(2) 設置基準の拡大(電気配線の途中にスイッチを設けても良い例)

@3線引き配線の場合

A4線引き配線の場合

常用電源と点滅スイッチが別の回路になっていれば、電気配線の途中にスイッチを設けても良い。 停電時には非常用照明が点灯する。

一般照明回路と別回路で非常用照明に電源を供給する方式。 一般照明のON/OFFに関係なく、一般照明回路側の電源の遮断を感知して非常用のランプが点灯する。