「管理組合の運営」 目次  > 国連の「共同住宅管理指針」概要と目次  > 【次頁】  指針「序文」

国連欧州経済委員会 「共同住宅の所有権と管理に関する指針」 概要と目次

2019年、国連・欧州経済委員会(UNECE)から、
        持続可能な社会の発展に向けた新しい都市政策としての住宅管理制度 への提言
                「共同住宅の所有権と管理に関する指針」
(原題:  Guidlines on the Management and Ownership of Condominium housing - geneva、2019 )
(全107頁)が発表され、Webで2020年2月10日公開されました。(英語版)

同指針は共同住宅に関する制度、具体的には民主主義に則った「都市政策としての共同住宅管理制度」の提言です。

【 訳注:Note by the translator 】
当ウエブサイトにおけるUNECEの本指針は、特定非営利活動法人マンション管理支援協議会で翻訳したものです。
正確な理解のために原本*を必要とされる方は下記を参照ください。(英語版 PDF :777KB A4版 : 107page))
This translation was tentatively performed by the NPO of Condominium Management Association Support,Japan.
Make reference to the original United Nations publication of this Guide in English *.
* https://unece.org/DAM/hlm/documents/Publications/Condo_Guidelines_ECE_HBP_198_en.pdf

1. 国連欧州経済委員会 「共同住宅の所有権と管理に関する指針」 目次

1.  国連の「共同住宅管理指針」の概要と目次 (本頁)
2.  序文
3.  用語集
4.  第1章 集合・共同住宅における私的所有権の背景
5.  第2章 共同住宅の法制
     2.1  国内法制 
     2.1.1 国の共同住宅支援制度の枠組

     2.1.2 共同住宅の所有権に関する国内法
      (1) 所有権の明確な定義
      (2) 所有権と管理に関する指針
      (3) 管理組合の管理運営と選挙
      (4) 区分所有者の義務


      (5) 管理業務の提供
      (6) 会計
      (7) 課税制度
      (8) 管理組合の創設と解散

     2.2  地方における共同住宅法制

     (参考)日本語版の用語について

6.  第3章 管理と運営・目次

    [第1部] 管 理
     3.1 管理規約
       (1) 目的
       (2) 要旨
     3.2 管理組合の組織構造と機能
       (1) 管理組合
        (a) 理事会
        (b) 委員会
        (c) 管理者
        (d) 委託契約
        (e) 設備業者
        (f) 直接雇用の従業員
     3.3 集会
       (1) 定期総会
        (a) 総会の招集
        (b) 総会議案書
        (c) 総会投票規定
        (d) 総会議事録
       (2) 区分所有者の要求による臨時総会
       (3) 理事会の会議
     3.4 区分所有者による共同管理
       (1) 管理者の責任
        (a) 管理業務
        (b) 財務管理業務
        (c) 資産の保全活動
       (2) 専門管理者の雇用
    [第2部] 財 務 管 理
     3.5 財務管理
       (1) 財政計画と予算の作成
        (a) 年間収入
        (b) 管理経費/財政経費
        (c) 運営経費
        (d) 保全経費
        (e) 改良工事と大規模修繕工事の経費
        (f) 戸別経費の徴収

    [第2部] 財 務 管 理(〜左からの続き〜)
       (2) 月次予算管理
       (3) 銀行口座の管理
       (4) 会計
        (a) 会計法令の必要性
        (b) 会計基準
        (c) 会計帳簿
       (5) 財務諸表
       (6) 監査
       (7) 請求書の支払
       (8) 納税
       (9) 保険
       (10) 年間事業計画書
        (a) 計画書作成の責任
        (b) 計画書の内容
    [第3部] 運 営
     3.6 運営・保全・修理
       (1) 点検・検査
        (a) 責任
        (b) 検査報告書
       (2) 運営
        (a) 運営活動
        (b) 運営経費の算定
        (c) 運営活動の決定的な優先権
           と評価尺度
        (d) 運営経費予算
        (e) 点検活動の指示書と報告書
        (f) 保全と修繕
        (g) 計画修繕活動
        (h) 修繕
        (j) 保全費と修繕費の算定
        (k) 保全と修繕の決定的な優先権
        (m) 保全と修繕の予算
        (n) 保全活動の指示書と報告書
       (3) 改良工事
       (4) 運用・保全・修繕の費用管理

  7.  第4章 区分所有の問題と解決法
       (1) 空き室と不在区分所有者 
       (2) 賃貸 
       (3) 放棄された住戸 
       (4) 不法占拠と社会的弱者

  8.  第5章 共同住宅の資金計画
       (1) 公的資金と合弁事業 
       (2) 従来の伝統的な資金調達方法 
       (3) 給水とエネルギーの効率化
          のための資金計画
       (4) エネルギー貧困

 

付録1  管理組合なき場合の法的規制
付録4  管理委託契約
付録6  定期総会開催案内
付録8  利害関係者の権利と義務
付録10 年間予算の収入と支出項目
付録12 点検カード(Activity cards)
付録14 修繕積立金予算書の定型様式
編集後記 Happy Earth Day!

付録2  管理規約      付録3 使用細則
付録5  定期総会議案の概要
付録7  定期総会議事録
付録9  管理組合年次予算
付録11 点検業務管理表
付録13 管理費予算書の定型様式
付録15 [日本語版特別付録]収支報告書

目次ダイジェスト版は 「4.指針目次」 を参照ください。

1. 持続可能な開発目標(SDGs)とは

 

2015年9月25日−27日、ニューヨーク国連本部において、 「国連持続可能な開発サミット」 が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、 その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」 (Transforming our world:the 2030 Agenda for Sustainable Development)が採択されました。


人間、地球及び繁栄のための行動計画として、2030年までに「達成されるべき協議事項」(Agenda)として
17の目標(下記)と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」を定めました。
特に目標11(Goal 11.)が持続可能な住宅と都市政策にかかわっています。

持続可能な開発目標
 目標1  あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
 目標2  飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、
      持続可能な農業を推進する
 目標3  あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
 目標4  すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を
      促進する
 目標5  ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
 目標6  すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
 目標7  すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへの
      アクセスを確保する
 目標8  すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な
      完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
 目標9  強靭(レジリエント)なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を
      推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
 目標10  国内および国家間の不平等を是正する
 目標11  都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭(レジリエント)かつ持続可能
       にする
  (Goal 11. Make cities and human settlements inclusive,safe,
         resilient and sustainable) 
 目標12  持続可能な消費と生産のパターンを確保する
 目標13  気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
 目標14  海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
 目標15  陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な
       管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性
       損失の阻止を図る
 目標16  持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法
       へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任
       ある包摂的な制度を構築する
 目標17  持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップ
       を活性化する

○ 2020年1月、SDGs達成のための「行動の10年(Decade of Action))がスタートしました。

日本におけるSDGsの取組

○ 2015年7月、「日本の約束草案」を地球温暖化対策推進本部において決定、
国連気候変動枠組条約事務局に提出。2030年度に2013年度比で温室効果ガスを26.0%減の水準
○ 2015年12月,COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)において、 すべての国が参加する2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組として、パリ協定を採択
○ パリ協定を踏まえ、「日本の約束草案」で示した中期目標(2030年度削減目標)の達成に向けて、 地球温暖化対策計画を策定(2016年5月13日閣議決定)。
○ 2021年温室効果ガス削減目標を大幅に変更

2. 持続可能な社会の発展に向けた新しい都市政策としての住宅管理制度

The SDGs of the 2030 Agenda for sustainable Development,
the Geneva on Sustainable Housing and the New Urban Agenda.

本指針の「序文」で、オルガ・アルゲィロワ(Ms. Olga Algayerova)国連欧州経済委員会行政長官が本指針の概要を伝えています。

効果的、効率的な共同住宅の管理は、2030年までに持続可能な開発を掲げた国連の2030宣言を実行していく上で重要な鍵となっています。 国連ジュネーブ協定では、持続可能な住宅制度と新しい都市政策を提言しています。

共同住宅の効率的な管理は、居住者に整然とした住環境と経済的な利益をもたらします。

共同住宅管理制度の見直し計画を通して、温室効果ガスの放出削減と環境を守るための政府や利害関係者の気候変動への取組みを支援しています。

本指針「共同住宅の所有権と管理に関する指針」は、国連欧州経済委員会(ECE)と不動産業界諮問団体(REM)によって取り纏められたもので、 現在の共同住宅をめぐる法的規制と市場への介入、建築物の規模・入居者数の制限、金融スキームの制度設計や最適な実例などに関する適切なガイダンスを提供することで、 国家と地方行政機関のみならず、共同住宅の住戸の新規所有者も含めて支援することを意図したものです。
※(ECE) United Nations Economic Commission for Europe / (REM) Real Estates Market Advisory Group

本指針(ECE/HBP/198)は、2003年に国連欧州経済委員会(ECE)から発行された 「過渡期にある国家のための共同住宅の所有権に関する指針(ECE/HBP/123)」を、 特定の国家群だけではなく2019年の時点でECEがカバーしている全地域の現代の問題点に対象を広げて検討したものです。
(訳注)国連報告書では「経済的に破綻」を「過渡期にある国家」という配慮表現にしています。

この指針は、Webで2020年2月10日に発表されました。(英語版) (viewed 10 Feb. 2020).

3. 国際連合欧州経済委員会とは

国際連合欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe)は、 国際連合の経済社会理事会の地域経済委員会の一つで、略称はUNECE、又は単にECEといいます。

1946年12月11日第55回国連総会で満場一致で設立され、活動を開始したのは1947年、本部は国際連合ジュネーブ事務局

ヨーロッパ(欧州)地域を中心とする加盟国の経済における関係強化 を目的とし、 情報の交換や相互協力方法の立案などを行います。

国際連合の地域経済委員会は他に、ECEと同日に設立されたECAFE(Economic Commission for Asia and the Far East )、 1948年5月設立のECALA(Economic Commission for Latin America )、1958年4月設立のECA(Economic Commission for Africa ) 1973年8月設立のECWA(Economic Commission for Western Asia)があります。

2017年4月13日、アントニオ・グテーレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、 スロバキアのオルガ・アルゲィロワ(Ms.Olga Algayerova)氏を欧州経済委員会の次期行政長官に指名し、 彼女は2017年6月1日に長官に就任しました。1959年生まれ、スロバキア外務大臣(2006-2010), the Slovak Millennium Development Goalsの委員長(2010-2012)などを歴任

彼女のもとで、持続可能な社会の発展に向けた新しい都市政策と共同住宅管理制度が検討され、 2019年「共同住宅の所有権と管理に関する指針」(Guidelines on the Management and Ownership of Condominium Housing)が発表されました。

See: https://unece.org/executive-secretary-1
   Executive Secretary's Blog (https://unece.org/blog-executive-secretary)

国際連合欧州経済委員会の加盟国は、2021年4月現在56ケ国で、 ヨーロッパ諸国だけでなく、ロシア、カナダ、アメリカ、西アジア、中央アジア諸国に及びます。

(Member States)
Albania/Andorra/Armenia/Austria/Azerbaijan/Belarus/Belgium/Bosnia and Herzegovina/
Bulgaria/Canada/Croatia/Cyprus/Czech Republic/Denmark/Estonia/Finland/France/Georgia/
Germany/Greece/Hungary/Iceland/Ireland/Israel/Italy/Kazakhstan/Kyrgyzstan/Latvia/
Liechtenstein/Lithuania/Luxembourg/Malta/Monaco/Montenegro/Netherlands/Norway/Poland/
Portugal/Republic of Moldova/North Macedonia/Romania/Russian Federation/San Marino/Serbia/
Slovakia/Slovenia/Spain/Sweden/Switzerland/Tajikistan/Turkey/Turkmenistan/Ukraine/
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland/United States of America /Uzbekistan

4. 「共同住宅の所有権と管理に関する指針」 全 体 目 次

 目次

       概要と目次
       序文
       用語集
第1章.   集合・共同住宅における私的所有権の背景
第2章.   共同住宅の法制
第3章.   管理と運営・目次
       第1部 管理
       第2部 財務管理
       第3部 運営
第4章.   区分所有の問題と解決法
第5章.   共同住宅の資金計画
付録 1  管理組合なき場合の法的規制
付録 2  管理規約
付録 3  使用細則
付録 4  管理委託契約
付録 5  定期総会議案の要領
付録 6  定期総会開催案内
付録 7  定期総会議事録
付録 8  利害関係者の権利と義務 - 紛争解決事例
付録 9  管理組合年次予算
付録 10  年間予算の収入と支出項目
付録 11  点検業務管理表
付録 12  点検カード(Activity cards)
付録 13  管理費予算書の定型様式
付録 14  修繕積立金予算書の定型様式
付録 15  [日本語版特別付録]収支報告書
編集後記 Happy Earth Day!

Index

     FOREWORD
     GROSSAEY
1.	  Background on private ownership in multi-unit condominiums 
2.	  Condominium legislation 
3. 	  Management and operations 
4.	  Alternative occupancy of condominium units
5.	  Financing for condominium projects 
Annex  1  Legal regulations for the administration of jointly owned property  
	  in condominiums without owners’associations 
Annex  2  Condominium agreement 
Annex  3  House rules 
Annex  4  Management contract 
Annex  5  Outline of the agenda for the annual general meeting of owners 
Annex  6  Announcement of the general meeting 
Annex  7  Minutes of the general meeting 
Annex  8  Rights and obligations of interested parties -some examples of 
	  possible disputes and solution 
Annex  9  Condominium annual periodic budget 
Annex 10  Income and expenditure of the annual budget 
Annex 11  Operations management operations and maintenance objects 
Annex 12  Operations management operational activities 
Annex 13  Operating budget presentation form
Annex 14  Maintenance and repair budget registration form.

(2021年5月12日初版掲載・随時更新)