廃墟マンションの行政代執行
分譲マンションに全国初の行政代執行適用
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空家等対策特別措置法・平成27年施行
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年11月27日法律第127号)」
法の措置には、助言・指導、勧告、命令、行政代執行、略式代執行の5段階があります。
法成立以前においては、代執行を行う場合、行政代執行法第2条における以下の3つの要件を充足する必要がありました。
「公益」とは、措置を行う目的によって決まり、その目的に対し、命令が履行されないことで不利益が生じるということが基本となります。 これまではBの公益判断が難しいところでしたが、 法第2条2項の「特定空家等」の定義より、特定空家等を放置することが著しく公益に反すると解され、 法第14条9項において、命令に従わない場合は、代執行を行うことが可能となりました。このことから、 代執行等を実施しなかった場合、
逆に、代執行等を実施した場合
以上から、近隣住民、地元自治会等が努力しても手に負えず、行政としても所有者等に対し指導等を行ってきたものの解決が図られず、 やむを得ない措置であることなどの理由を整理し、説明責任を果たしていく必要があります。 |
空家等対策特別措置法の全国措置実績件数と手順
事案の発生: 市民相談、実態調査等で危険な空家情報を把握 1 現地及び所有者等の調査【第9条〜第10条】
2 所有者等の調査・事情の把握: 所有者等の事情に応じた解決策の検討 特定空家等と判定された場合:
下図は特別措置法の措置の全国の措置実績件数の推移 3 助言又は指導【第14条第1項】
4 勧告【第14条第2項】
確知できた所有者等に措置を講ずる権原がない場合は勧告までは行うが、
従わなかった場合は、 5 意見書等の提出の機会【第14条第4項〜第8項】
6 命令【第14条第3項】
7 代執行【第14条第9項】
8 略式代執行【第14条第10項】
※(上のグラフについてのお断り)
代執行の実施における空き家担当部局の事務分担
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特定空家等に係る代執行(法第14条第9項)
(1)実体的要件の明確化法第14条第9項は、行政代執行の要件を定めた行政代執行法第2条の特則であり、 「第3項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、 履行しても十分でないとき又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないとき」は、 行政代執行法の定めるところに従い、代執行できることとしたものです。 代執行できる措置については、
(2)手続的要件(行政代執行法第3条〜第6条)イ 文書による戒告(行政代執行法第3条第1項) 代執行をなすには、下記の事項を予め文書で戒告しなければならない。
行政代執行法に基づく代執行の手続は戒告に始まるが、戒告は、義務を課す命令とは別の事務として、 代執行の戒告であることを明確にして行うべきであると解される。 なお、代執行の戒告であることを明確にして行うべきではあるものの、 戒告が命令と同時に行われることは必ずしも妨げられるものではないとされている。 「相当の履行期限」について定めはないが、戒告は、 その時点において命令に係る措置の履行がなされていないことを前提として、 義務者が自ら措置を行うように督促する意味をもつものであるから、 少なくとも戒告の時点から起算して当該措置を履行することが社会通念上可能な期限でなければならないと解される。 戒告においては、市町村長による命令措置が履行されないときに、 当該市町村長が当該特定空家等について具体的にどのような措置を代執行することとなるのかを相手方に通知する観点から、 義務の内容を明確に記載しなければならない。 なお、戒告の送達方法については、直接本人に交付、差置送達、配達証明付き内容証明郵便等がある。 ロ 再戒告
ハ 代執行令書(行政代執行法第3条第2項)
義務者が前述の戒告を受けて、指定の期限までにその義務を履行しないときは、市町村長は、代執行令書をもって、
下記の事項を義務者に通知する。
(イ)代執行をなすべき時期
(ロ)代執行のために派遣する執行責任者の氏名
(ハ)代執行に要する費用の概算による見積額
なお、代執行費用の概算による見積額については、設計変更等も想定した配慮も要する。 (3)非常の場合又は危険切迫の場合(行政代執行法第3条第3項)非常の場合又は危険切迫の場合において、命令の内容の実施について緊急の必要があり、 前述の戒告及び代執行令書による通知の手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる。 空家等対策特別措置法の解説 ー終ー |
老朽化だけではなく被災による再建困難ー廃墟化の増加
1. 世界の管理組合の解散規定近年、世界的に異常気象に伴った大規模自然災害が増え、 再建団体が組織できない事例が増加し、老朽化マンション問題よりも、大災害時の問題の解決へ向けた対策が求められています。 米国でも老朽化建替えを想定した規定を設けている州もありますが、多くは、 建替え事業を行わないか否かの判断は、被災の場合を想定して、保険金のみによる修復が困難な場合に求められる負担金負担についての合意形成を中心に規定されています。 したがって、災害とは無関係な老朽化判断基準については規定を持たない場合や老朽化に限定せず、合意のみによる解散規定の中で処理しようとするものや、老朽化とは規定せずに、 コンドミニアムの存続が経済的無駄(効用<費用)を生じさせている場合として組み込む場合もあります。 共同財産団体(common interest community)の解散規定は、公用収用(eminent domain)によるすべての専有部分(units)の収用、 宣言文書(declaration)に優先する担保権を有するcooperative全体に対する受戻権喪失手続(foreclosure)などがあります。 ひとつの具体例を下記に挙げておきます。 |
2. カナダ・コンドミニアム所有者保護法(Protecting Condominium Owners Act, 2015.) の解散規定
122. | 区分所有者の同意に基づく解散 (Termination with consent) |
123. | 重大な損傷による解散 (Termination upon substantial damage) |
124. | 不動産売却による解散 (Termination upon sale of property) |
125. | 反対者の権利 (Right of dissenters) |
126. | 収用 (Expropriation) |
127. | 登記の効力 (Effect of registration) |
128. | 裁判所命令による解散 (Termination by court) |
129. | 資産の配分 (Distribution of assets) |
3. 国内法
○ マンションの建替え等の円滑化に関する法律
○ 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法