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コンドミニアム法,1998  (コンドミニアム所有者保護法.2015)  【第T編/第2章】

Condominium Act, 1998 ( S.O. 1998, CHAPTER 19)
(Protecting Condominium Owners Act, 2015.)

目 次(CONTENTS)

第T編(PART T)
第2章 (PART T.2) コンドミニアム裁判所 (CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNAL)

第1節 用語の定義と執行 (DEFINITIONS AND ADMINISTRATION)

1.31用語の定義 (Definitions)
1.32設立 (Establishment)
1.33議長と副議長 (Chair, vice-chairs)
1.34任命の終了 (Termination of appointments)

第2節 裁判手続  (PROCEEDINGS)

1.35争点 (Conflict)
1.36訴えの提起 (Applications)
1.37共同訴訟 (Combined applications)
1.38訴訟の当事者 (Parties to a proceeding)
1.39当事者の参加権 (Right of affected persons)
1.40裁判外紛争解決手段 (Alternative dispute resolution)
1.41申請を却下する権限 (Power to dismiss applications)
1.42裁判権(裁判管轄) (Jurisdiction)
1.43審理中の命令・判決 (Order during proceeding)
1.44判決 (Orders at end of proceeding)
1.45賠償金、費用、叉は違約金の支払い命令
   (Payment under order for compensation, costs or a penalty)
1.46控訴 (Appeals)
1.47和解調書 (Settlement)
1.48判決の公開 (Publication of orders)

【訳注】

c1コンドミニアム裁判所の判決文

第 I.編 第2章(PART I.2)

コンドミニアム裁判所 (CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNAL)

第1節 用語の定義と執行 (DEFINITION AND ADMINISTRATION)

 (用語の定義 [Definitions)
1.31 本法において
 「申請(Application)」とは、第 1.36 条 (1)、(2)、叉は (3) に基づいて裁判所に対して行われた
  申請をいう。
 「裁判所(Tribunal)」とは、第 1.32 条 (1) に基づいて設立されたコンドミニアム裁判所をいう。

 (設立 [Establishment)
1.32(1) 議会の承認を得て国、公共団体の長がコンドミニアム庁を指定する規則を作成
    した場合、コンドミニアム裁判所が設立される。

 (メンバー [Members)
 (2) コンドミニアム庁は、最長 4 年の任期叉はその他の所定の期間、
    非常勤叉は常勤のメンバーを任命することができる。

 (任命資格 [Eligibility for appointment)
 (3) 所定の要件を満たさない限りコンドミニアム裁判所メンバーに任命される資格はない。
    コンドミニアム庁の理事会の理事である者はコンミニアム裁判所メンバーには任命されない。

 (再任 [Reappointment)
 (4) コンドミニアム裁判所メンバーとして任命された者は、第 (3) 項の資格要件を満たしている場合、
    再任される資格がある。

 (議長・副議長 [Chair, vice-chairs)
1.33(1) コンドミニアム庁は、コンドミニアム裁判所メンバーの中からコンドミニアム裁判所
    の議長および少なくとも 1 名の副議長を任命するものとする。

 (代理の議長 [Acting chair)
 (2) 議長が不在叉はその他の理由で職務を遂行できない場合、叉は役職が空席の場合は、
    副議長が全権限を有し、議長の職務を遂行する。

 (任命の終了 [Termination of appointments)
1.34 コンドミニアム庁は、正当な理由により、議長、副議長、叉はメンバーの任命を解除
    することができる。

第2節 裁判手続  (PROCEEDINGS)

 (矛盾 [Conflict)
1.35 法定権限手続法(Statutory Powers Procedure Act)の第 32 条にかかわらず 、
    本法および規則が法定権限手続法と矛盾する場合は、本法および規則の規定が優先する。

 (訴えの提起 [Applications)
1.36(1) 第 (4) 項に従い、管理組合は、1 名以上の所有者、叉は 1 名以上の住戸の
    占有者もしくは抵当権者との所定の紛争の解決を裁判所に申請することができる。

 (所有者叉は抵当権者による場合も同様 [Same, by owner or mortgagee)
 (2) 第 (4) 項に従い、住戸の所有者叉は抵当権者は、管理組合、住戸の別の所有者叉は
    占有者叉は抵当権者との所定の紛争の解決を裁判所に申請することができる。

 (消費者による場合も同様 [Same, by purchaser)
 (3) 規則にそのように定められている場合、購入者は、第 55 条 (3) の遵守に関する管理組合
    との紛争の解決を裁判所に申請することができるが、その他の紛争の解決を申請することは
    できない。

 (例外 [Exception]]
 (4) 以下に関して、本条に基づいて裁判所に申請を行うことはできない。
  (a) 第 III 編、20, 26, 82.1, 82.2, 85, 86, 117 (1)叉は第 VII 編叉は第 VIII 編に関する紛争。叉は
  (b) 不動産に対する所有権の決定に関わる紛争

 (申請形式 [Form of application])
 (5) 申請はコンドミニアム裁判所が承認した形式でなければならない。

 (申請時間 [Time for application])
 (6) 本法の他の規定に従うことを条件として、申請は、申請に関連する紛争が発生してから 2 年以内
    に行われなければならない。

 (時間の延長 [Extension of time])
 (7) 第 (6) 項に記載の期限内に申請を行わず、申請者が誠意を持って対応したことが遅延の原因
    であり、遅延によって影響を受ける人に重大な不利益が生じることがないと認めた場合、
    コンドミニアム裁判所は、さらに 1 年を超えない範囲で期限を延長することができる。

 (共同訴訟 [Combined applications])
1.37(1) それぞれ申請を行う権利を有する 2 人以上の者は、
    1 つ以上の申請を別個の申請として審理するようコンドミニアム裁判所に指示する権限を与える
    コンドミニアム裁判所の規則の規定に従うことを条件として、共同で申請を行うことができる。

 (併合審理 [Directed joinder])
 (2) 法定権限手続法(Statutory Powers Procedure Act)にかかわらず、コンドミニアム裁判所は、
    提起された問題を併合審理することが公平であると考える場合、2 つ以上の申請を併合審理
    するか、併合審理するよう指示することができる。

 (訴訟の当事者 [Parties to a proceeding])
1.38(1) 申請の対象となる訴訟手続きの当事者は、1.36 (1), (2) 叉は (3) に記載されている当事者
    とする。

 (管理組合の権利 [Rights of corporation])
 (2) 個人叉は団体が管理組合内の部門に関して 1.36 に基づいて申請を行い、 (1) 項に基づいて
    その管理組合が申請の対象となる手続きの当事者ではない場合、申請者は裁判所の規則に
    従って申請書の写しを管理組合に送達し、管理組合は訴訟手続きに介入する権利を有する。

 (当事者の追加叉は脱退 [Addition or removal of parties])
 (3) コンドミニアム裁判所は、適切と判断した場合には、当事者として人を追加叉はする脱退させる
    ことができる。

 (裁判に参加する権利 [Right of affected persons])
1.39(1) 1.41 に従うことを条件として、コンドミニアム裁判所は、裁判によって直接影響を受ける
    すべての人に、争点を知り、問題について聞く適切な機会を与え、審理で生じた疑問点を判断する
    最も迅速な方法を採用するものとする。

 (審理の方法 [Method of proceeding])
 (2) 法定権限手続法(Statutory Powers Procedure Act)にかかわらず、申請に関する手続きは、
    法律の規則に従って、口頭叉は書面、対面、電話、ビデオ会議もしくは電子メール、叉は
    その他の電子的手段の使用を通じて行うことができるものとする。

 (裁判外紛争解決手段 [Alternative dispute resolution])
1.40(1) 法定権限手続法(Statutory Powers Procedure Act)第 4.8 条にかかわらず、
    コンドミニアム裁判所は、手続叉は手続で生じる問題を解決する目的で、裁判の当事者に対し、
    裁判外紛争解決メカニズム(an alternative dispute resolution mechanism)に参加するよう指示
    することができる。

 (用語の定義 [Definition])
 (2) この章では、「裁判外紛争解決メカニズム」には、紛争問題の解決を促進する調停(mediation)、
    あっせん(conciliation)、和解(negotiation)、叉はその他の手段が含まれる。

 (申請を却下する権限 [Power to dismiss applications])
1.41(1) コンドミニアム裁判所は、申請の主題が軽薄もしくは厄介(frivolous or vexatious)
    である、あるいは合理的な訴訟原因を開示しないなど誠意を持って申請が開始されていないと
    判断した場合、申請の許可を拒否したり、審理を行わずに申請を却下することができる。

 (同 [Same])
 (2) 申請者が虚偽叉は誤解を招く情報を含んでいることを知っていた、叉は知っていたはず
    だった文書を申請者が裁判所に提出したと裁判所が認定した場合、裁判所は審理を行わずに
    申請を却下することができる。

 (裁判管轄 [Jurisdiction])
1.42(1)  (2) 項に従い、裁判所は、本法に基づいて与えられた権限を行使し、裁判所での手続き
    において生じる事実叉は法律に関するすべての問題を判断する専属管轄権を有する。

 (例外 [Exception])
 (2) 裁判所は、法律叉は規則の規定の憲法上の有効性について調査したり、決定を下したりしては
    ならない。

 (審理中の命令 [Order during proceeding])
1.43 裁判所での訴訟手続きの当事者の要請に応じて、裁判所は、訴訟手続きにおける申請の対象
    である、叉は訴訟で疑問が生じる可能性のある資産および文書の留置(detention)、保存(preservation)、
    叉は検査(inspection)の命令を下すことができる。また、当事者に対し、これに関連して
    安全保障(security)を提供するよう命令する場合がある。

 (判決 [Orders at end of proceeding])
1.44(1)  第 (4) 項に従い、裁判所での手続きにおいて、裁判所は以下のいずれかの命令を下すこと
  ができる。
 1  一人叉は複数の当事者に対し、裁判所で訴える権利を遵守するあらゆる事項に従うよう指示する命令。
 2 訴訟当事者が特定の行為を行うことを禁止し、叉は訴訟当事者に特定の行為を要求する命令。
 3 訴訟の当事者に対して、25,000 ドル叉は所定の金額(規定ある場合)のいずれか大きい方を上限
   として、訴訟の他の当事者が被った不遵守行為の結果としての損害の賠償を支払うよう指示する命令。
 4 訴訟の当事者に対し、訴訟の別の当事者の費用を支払うよう指示する命令。
 5 訴訟の当事者に対し、裁判所の費用を支払うよう指示する命令。
 6 第 55 条 (3) に基づく紛争(dispute)に関する手続きの当事者である管理組合に対し、
   管理組合が正当な理由なく、当該者が同項に基づいて閲覧叉は写しを取得することを許可すること
   を拒否したことを裁判所が認定した場合、同条に基づいて調査叉は写しを取得する権利のある者に
   適切と考える罰金(penalty)を支払うよう指示する命令。
 7 状況に応じて裁判所が公正(fair)とみなすその他の救済(relief)を指示する命令。

 (費用の命令 [Orders for costs])
 (2) 法定権限手続法(Statutory Powers Procedure Act)第 17.1 条にかかわらず、第 (1) 項 4 叉は
     5 に基づいて行われる費用の命令は、コンドミニアム裁判所の規則に従って決定されるものとする。

 (罰金命令 [Order for penalty])
 (3) 第 (1) 項の 6に基づいてなされる罰金命令は、5,000 ドルと所定の金額(ある場合)のいずれか低い額
   を超えないものとする。

 (人物の永久追放命令は出さない [No order for permanent removal of person])
 (4) 裁判所は、人に対し、不動産を永久に明け渡す(vacate a property permanently.)よう要求する命令を
   出してはならない。

 (賠償金、費用、叉は違約金の支払い命令 [Payment under order for compensation, costs or a penalty])
1.45(1)  補償、費用、叉は違約金の命令を受けた当事者は、命令で別の期限が指定されていない限り、
   30 日以内に命令の金額を支払うものとする。

 (共益費の追加 [Adding to common expenses])
 (2) 命令により、区分所有者が管理組合に補償金叉は経費を支払うことが求められる場合、管理組合は、
   命令の額を区分所有者に対して請求する共益費への拠出金(common expenses payable)に加算する
   ことができる。

 (共益費との相殺 [Set-off against common expenses])
 (3) 命令が管理組合に区分所有者への補償、費用、叉は違約金の支払いを要求し、管理組合が
   第 (1) 項に記載の期限内に命令の金額を支払わない場合、区分所有者はその金額を区分所有者が
   管理組合に納付すべき共益費への拠出金と相殺することができる。

 (控訴[Appeals])
1.46(1) 第 (2) 項に従い、訴訟手続きにおける裁判所の命令は最終的かつ拘束力を持つ。

 (控訴する権利 [Right to appeal])
 (2) コンドミニアム裁判所の命令に対して、裁判の当事者は裁判所の規則に従って、法律の問題に関して
   控訴裁判所(Divisional Court)に上訴することができる。

 (裁判所の権限 [Powers of court])
 (3) 控訴に対して、控訴裁判所(Divisional Court)はコンドミニアム裁判所の命令を肯定(affirm)、
   取り消し(reverse)、叉は変更(vary)することができる。

 (和解調書 [Settlement])
1.47(1) 訴訟の当事者が書面で和解に同意し、和解調書に署名した場合、和解(the settlement)
   は当事者を拘束するものとする。

 (同意命令 [Consent order])
 (2) コンドミニアム裁判所は、(1) 項に記載された和解の当事者の共同申し立てに基づいて、和解
    叉は和解の一部の遵守を要求する命令を下すことができる。 
   【訳注】和解調書は私法上の和解契約にすぎないとする説に対し和解調書に確定判決と同様の
   執行力・既判力を認める趣旨。

 (和解条項違反についての訴え [Application where contravention])
 (3) 他の当事者が和解に違反したと信じる第 (1) 項に記載の和解の当事者は、第 (6) 項に基づく
    命令を裁判所に申請することができる。
  (a) 申請に関連する違反後 6 か月以内。叉は
  (b) (a) 項に記載の期限の満了後、申請の遅延が誠実に生じたものであり、遅延によって影響を
    受ける者に実質的な不利益が生じないことをコンドミニアム裁判所が納得した場合。

 (訴状の形式 [Form of application])
 (4) 第 (3) 項に基づく申請は、コンドミニアム裁判所が承認する形式でなければならない。

 (当事者 [Parties])
 (5) コンドミニアム裁判所の規則に従い、申請の対象となる手続きの当事者は、和解の当事者及び
   コンドミニアム裁判所が当事者として追加するその他の人物となる。

 (判決 [Order])
 (6) 第 (3) 項に基づく申請において、コンドミニアム裁判所が当事者が和解に違反していると判断した
   場合、コンドミニアム裁判所は、違反を是正するために適切と考える命令を下すことができる。

 (判決の公表 [Publication of orders])
1.48 裁判所は、裁判所が行う命令の写しが所定の方法で公衆に公開されるようにするもの
   とする。

【訳注】

c1. (参考) コンドミニアム裁判所 判決文




【注】 本訳原典は、2024年5月1日現在のコンドミニアム法(電子公告版)です。