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開放型共同住宅

20.1 開放型特定共同住宅と構造類型告示

  開放型特定共同住宅等とは、対象とする特定共同住宅等のいずれかの住戸等(住戸、共用室及び管理人室に限る)で火災が発生した場合、出火階及び他階の廊下 、階段室等において、スプリンクラー設備が作動しなくても、出火住戸等の開口部から噴出した熱気流により避難行動や消火活動に支障を生じないように、熱気流を排出するための開放性を十分に有していると判断される特定共同住宅等を指す。この要件は防火対象物のすべての住戸、共用室及び管理人室での出火を対象としており、特定の階や部分のみが開放型廊下、開放型階段室等の条件を満足していても、開放型特定共同住宅等とは認められない。排煙設備や消防用設備が作動した場合の効果は考慮しない。したがって周囲の4面が直接外気に開放されていない廊下又は階段室等がある共同住宅等は、開放型の共同住宅には該当しない。

  共住省令において、開放型特定共同住宅等は、「すべての住戸、共用室及び管理人室について、その主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していることにより、 特定共同住宅等における火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして消防庁長官が定める構造を有するもの」と定義されており、構造類型告示で次のように明示されている。
(注)
(1) 開放型廊下 : 直接外気に開放され、かつ、特定共同住宅における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる廊下
(2) 開放型階段 : 直接外気に開放され、かつ、特定共同住宅における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる階段

構造類型告示

 開放型特定共同住宅等は、次に定めるところによる。
(1) すべての階の廊下及び階段室等が隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル以上離れていること。
(2) すべての階の廊下及び階段室等が特定光庭に面していないこと。(NPO注:特定光庭の条件は位置・構造告示の第4参照)
(3) 直接外気に開放されていないエントランスホール等(以下単に「エントランスホール等」という。)が避難階に存する場合にあっては、当該エントランスホール等が次に定める基準に適合すること。
イ 避難階以外の階及びエントランスホール等に面する住戸等から当該エントランスホール等を経由しないで避難することができる経路があること。
ロ エントランスホール等は、避難階以外の階にわたらないものとすること。ただし、当該エントランスホール等が耐火構造の床又は壁で当該避難階以外の階と区画されている場合 (当該エントランスホール等と特定共同住宅等の部分を区画する床又は壁に開口部を設ける場合にあっては、防火設備であるはめごろし戸が設けられているものに限る。)にあっては、この限りでない。
(4) 廊下は、次に定めるところによるものであること。
イ すべての階の廊下は、次の(イ)又は(ロ)に定めるところによること。
(イ) すべての階の廊下は、次のaからdまでに定めるところによること。
a 各階の外気に面する部分の面積(廊下の端部に接する垂直面の面積を除く。)は、当該階の見付面積の3分の一を超えていること。
b 外気に面する部分の上部に垂れ壁等を設ける場合は、当該垂れ壁等の下端から天井までの高さは、30センチメートル以下であること。
c 手すり等の上端から垂れ壁等の下端までの高さは、1メートル以上であること。
d 外気に面する部分に風雨等を遮るために壁等を設ける場合にあっては、当該壁等の幅を2メートル以下とし、かつ、当該壁等相互間の距離を1メートル以上とすること。
(ロ) 特定共同住宅等の住戸等で火災が発生した場合に、当該住戸等の開口部から噴出する煙により、すべての階の廊下において、消火、避難その他の消防の活動に支障になる高さ(床面からの高さ1.8メートルをいう。)まで煙が降下しないこと。
ロ 外気に面しない部分が存する場合にあっては、当該外気に面しない部分の長さは、6メートル以下であり、かつ、当該外気に面しない部分の幅員の4倍以下であること。
(5) 階段室等は、次のイ又はロに定めるところによるものであること。
イ 平成14年消防庁告示第7号に適合する開口部を有すること。
ロ 特定共同住宅等の住戸等で火災が発生した場合に、当該住戸等の開口部から噴出する煙により、階段室等において、消火、避難その他の消防の活動に支障になる高さ(床面からの高さ1.8メートルをいう。)まで煙が降下しないこと。

(1) 他の建築物等の外壁等について(188号通知 第3.2)
構造類型告示第4第2号(1)の規定により、すべての廊下及び階段室等は「他の建築物等の外壁」との中心線から1メートル以上離れていることが必要とされているが、 同一の特定共同住宅等であっても、廊下及び階段室等に面して当該特定共同住宅等の外壁、駐車場の外壁、擁壁等がある場合は、「他の建築物等の外壁」に準じて取り扱うものであること。適用例を下図に示す。


なお、特定共同住宅等の同一の階に存する廊下又は階段室等のうちの一部が、隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満であるときの取扱いは次のとおりとすること。適用例を下図に示す。


@ 隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満である部分が廊下端部を含む場合で、当該部分を構造類型告示第4第2号(4)ロの「外気に面しない部分」とみなしたとき、当該規定を満たせば当該部分は隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満の位置にないものとして取り扱って差し支えないものであること。
A 隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満である部分が廊下端部を含まない場合で当該部分を構造類型告示第4第2号
(4)イ(イ)dの「風雨等を遮るために設ける壁等」とみなすか、(5)に定める手順によって、非開放部分を含む廊下全体を同号(4)イ(ロ)の「消火、避難その他の消防の活動に支障になる高さ(床面からの高さ1.8メートルをいう。)まで煙が降下しないこと」を確認した場合は、当該部分は隣地境界線又は他の建築物等の外壁の中心線から1メートル未満の位置にないものとして取り扱って差し支えないものであること。

(2) 直接外気に開放されていない廊下又は階段室等の取扱いについて(188号通知 第3.3(2))

@ 廊下型特定共同住宅等
住戸又は共用室の主たる出入口が面する廊下の一部又は全部に周囲の4面が壁等により囲まれている部分が存する特定共同住宅等は、開放型特定共同住宅等には該当しないものであること。適用例を下図に示す。

A 階段室型特定共同住宅等
住戸又は共用室の主たる出入口が面する階段室の一部又は全部に周囲の4面が壁等により囲まれている部分が存する特定共同住宅等は、開放型特定共同住宅等には該当しないものであること。適用例を下図に示す。

 (3) 開放型廊下の判断基準について(188号通知 第3.2)
 構造類型告示第4第2号(4)イ(イ)の開放型廊下の判断基準の適用については、下図の例によること。 なお、同号(4)イ(イ)aの「廊下の端部に接する垂直面の面積」とは、廊下の両端部の外気に面する部分の面積をいうものであること。また、同号(4)イ(イ)cの「手すり等」には、さく、金網等の開放性のあるものは含まないものであること。

(4) 開放型特定共同住宅等の廊下における外気に面しない部分について
構造類型告示第4第2号(4)ロの「外気に面しない部分」とは、特定共同住宅等の同一の階に存する廊下又は階段室等の一部が、隣地境界線又は他の築物等の外壁との中心線から1メートル以下の位置にあるもののほか、下図によること。

a が閉鎖されている場合は網掛けの部分が外気に面しない部分に該当する。
ここで、
W は、外気に面しない部分の幅員(下図においても同じ。)
B は、外気に面しない部分の長さ(下図においても同じ。)
また、a に存する開口部が次の@からBに定める基準のいずれかに適合するときは、a が閉鎖されているものとする。
@ a に存する開口部の幅<W
A a に存する開口部の上端の高さ< L に存する有効開口部の上端の高さ
B a に存する開口部の下端の高さ> L に存する有効開口部の下端の高さ

二方向避難・開放型住宅

省令第2条第10号に規定する二方向避難・開放型特定共同住宅等は、特定共同住宅等における火災時に、すべての住戸、共用室及び管理人室から、 少なくとも1以上の避難経路を利用して安全に避難できるようにするため、避難階又は地上に通ずる2以上の異なった避難経路を確保し、かつ、 その主たる出入口が開放型廊下又は開放型階段に面していることにより、 特定共同住宅等における火災時に生ずる煙を有効に排出することができる特定共同住宅等であって、二方向避難型特定共同住宅等 及び 開放型特定共同住宅等に掲げる要件を満たすものとする。

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