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4. 防火管理業務の一部委託

4.1 防火管理業務の一部委託

 防火管理業務の一部委託とは、防火対象物の管理権原者が、防火管理業務の一部を警備会社やビルメンテナンス会社などに委託することです。 防火管理業務の一部委託は年々増加しています。

○委託する防火管理業務
  消防用設備・特殊消防用設備等の作動表示装置及び制御装置等の監視や操作
  防火避難施設の維持管理
  火災が発生した場合の初動対応などの防火管理業務の一部
○委託防火管理業務の方法
(常駐方式)警備会社やビルメンテナンス会社などに委託し、派遣された警備員等が常駐してこれらの業務に従事する方式 、 中央管理室や防災センターは常駐方式で運用されます。「中央管理室と防災センター」参照 
(巡回方式)夜間無人となる建物の巡回
(遠隔移報方式)機械監視

4.2 一部委託における防火管理責任

 防火管理業務は、消防法に基いて、管理権原者の責任において実施されるものです。

したがって、防火管理業務の一部が委託された場合においても、管理権原者が法令に基く責任を免れるものではありません。
このため、防火管理業務の一部が委託された場合、その委託された業務と他の防火管理業務とは、密接に関連して一体的な処理がなされなければなりません。
また、特に火災発生時の自衛消防活動は、指揮命令に基き、全ての居住者、勤務者が一体となって有機的に行われなければならず、そのためにはふだんから派遣された管理員・警備員等に対しても指揮命令系統を確立しておき、消防計画に基いて適正に業務が推進されてこそ、人命安全が確保されます。
このため、防火管理業務の一部を委託する場合には、消防計画に
○受託者の氏名及び住所
  (法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
○受託者の行う防火管理上必要な業務の範囲及び方法
を定め、委託によっても適正に業務が推進されるよう、その委託状況を明確にしておくこととされています。(消防法施行規則第3条第2項)

4.3 管理委託契約書(例)

○○マンション管理組合(以下「甲」という。)と○○マンション管理会社(以下「乙」という。)とは、 ○○マンション(以下「本マンション」という。)の管理に関し、次のとおり管理委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第三条 管理事務の内容は、次のとおりとし、別表第一から第四に定めるところにより実施する。

一 事務管理業務(別表第一に掲げる業務)
二 管理員業務(別表第二に掲げる業務)
三 清掃業務(別表第三に掲げる業務)
四 建物・設備管理業務(別表第四に掲げる業務)
その他
@ 各種点検、検査等に基づく助言等
A 甲の各種検査等の報告、届出
B 図書等の保管
管理対象部分に係る各種の点検、検査等の結果を甲に報告すると共に、改善等の必要がある事項については、文書をもって、具体的な方策を甲に助言する。
一 甲に代わって、消防計画の届出、消防用設備等点検報告、特殊建築物定期調査又は建築設備定期検査の報告等に係る補助 及び甲の指示に基づく甲の口座の変更に必要な事務を行う。

別表第二 管理員業務

業務区分 業務内容
1 受付等の業務

(1)外来者の応接、居住者との応対、電話の接受、不在者の郵便物、品物等の受渡し及び拾得物の取扱い
(2)共用部分に係る鍵の保管及び貸出並びに管理用備品の管理
(3)通知事項の掲示並びに入居者及び退去者の届出の受理
(4)官公庁との連絡及び粗大ゴミ収集の申込み

2 点検業務

(1)建物、諸設備及び諸施設の点検
(2)照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検
(3)諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
(4)各種警報装置の点検
(5)各種メーターの検針

3 立会業務

(1)諸設備の保守点検の際の立会い
(2)共用部分の営繕工事の際の立会い
(3)清掃業務の立会い
(4)ゴミ収集の際の立会い

4 報告連絡業務

(1)定時報告及び緊急時の連絡
(2)日誌の記録

5 管理補助業

(1)防火管理業務の補助
(2)未収納金督促業務の補助



別表第四 設備管理業務

業務対象箇所 業務内容
定期的外観点検等 整備・修理及び法定点検等

1 建物
  玄関廻り
  玄関ホール
  廊下、階段、屋外階段
  屋上
  エレベーターホール
  共用トイレ
  湯沸室
  内外壁
  管理員室
  管理用倉庫
  清掃員控室
  集会室
  建築物の法定点検箇所

表層部外観点検 1回/年
表層部外観点検 1回/年
表層部外観点検 1回/年
表層部外観点検 1回/年
表層部外観点検 1回/年
外観点検    1回/年
外観点検    1回/年
表層部外観点検 1回/年
外観点検    1回/年
外観点検    1回/年
外観点検    1回/年
外観点検    1回/年














法定点検     1回/年

2 屋外施設
  塀・フェンス
  掲示板
  駐車場
  自転車置場
  花壇・庭木
  塵芥集積所


外観点検   1回/年
外観点検   1回/年
外観点検   1回/年
外観点検   1回/年
外観点検   4回/年
外観点検   1回/年






植込等植栽手入れ
 

3 エレベーター設備
 


 

保守点検     1回/月
法定点検     1回/年

4 電気設備
(1)自家用受変電設備
   受電盤・配電盤
   変圧器類
   継電器類
   各開閉器類
   その他付属設備
(2)自家用受変電設備以外の電気設備
   動力制御盤
   電灯分電盤
   動力電灯の配線
   照明・コンセント器具
   自動点滅器
   (タイマー機器)
   避雷針









外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月         外観作動点検 1回1回/月
(時間調整)
外観点検


定期検査     1回/年
保守点検     1回/月
保守点検     1回/月
保守点検     1回/月
保守点検     1回/月
保守点検     1回/月




管球取替


 

5 給排水衛生設備
(1)給水設備
   受水槽
   高置水槽
   水質検査
   給水管
   FM弁
   減圧弁
   揚水ポンプ
   圧力ポンプ
   満減水警報装置
   自動発停止装置
   散水栓・止水栓
(2)排水衛生設備
   汚(排)水ポンプ
   満減水警報装置
   自動発停止装置
   屋上排水口
   排水管
   雨水・排水桝
   雨水樋
   通気管
   水洗便器
   ロータンク
   ボールタップ
(3)浄化槽設備
   曝気槽
   沈澱槽
   消毒槽(滅菌槽)
   各ポンプ
   電気制御盤



外観内部点検 1回/月
外観内部点検 1回/月

外観点検   1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月

外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観作動点検 1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観作動点検 1回/月





 



内清掃・整備   1回/年
内清掃・整備   1回/年
           1回/年

整備
整備
整備
整備
整備
整備


整備
整備
整備
清掃
都度清掃
都度清掃






保守点検 1回/月 都度清掃
保守点検 1回/月 都度清掃
保守点検 1回/月 都度清掃
保守点検 1回/月 都度清掃
保守点検 1回/月

6 テレビ共聴設備
  アンテナ
  増幅器・分岐器


外観点検   1回/年
外観点検   1回/年


調整
調整

7 消防・防災設備
(1)自動火災報知器
   受信機
   感知器類
   表示灯
   電鈴
   その他付属設備
(2)非常警報装置
   発信機
   受信機
   表示灯
   電鈴
   放送設備
   操作盤
   スピーカー
(3)防火設備
   防火扉
       感知器連動
   防火扉
       ヒューズ
   防火ダンパー
(4)消火設備
   消火器
   加圧送水装置
   屋内消火栓
   連結送水管
   その他付属設備
(5)誘導灯・誘導標識
   避難口誘導灯
   通路誘導灯
   誘導標識
(6)非常コンセント設備
   さし込み接続器
   保護箱
   表示灯
(7)避難設備
   避難器具
(8)防犯設備
   受信盤
   表示灯
   電鈴
 

















外観作動点検 1回/月

外観作動点検 1回/月

外観作動点検 1回/月

















外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
外観点検   1回/月
 



法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年

法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年

整備

整備

整備

法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年

法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年

法定点検   2回/年
法定点検   2回/年
法定点検   2回/年

法定点検   2回/年






4.4 防火管理者の業務の外部委託等
   に係る運用について(消防安第43号)

新築の工事中の建築物等に係る防火管理及び
防火管理者の業務の外部委託等に係る運用について
          (消防安第43号平成16年3月26日公布より一部抜粋)

第一   新築の工事中の建築物等に係る防火管理に関する事項
      〜 (第一項については省略しています。) 〜

第二   防火管理者の業務の外部委託等に関する事項

 防火管理者は、防火対象物は自らが守るという防火管理の本旨に基づき、当該防火対象物において防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にある者であることが必要であること。 しかし、共同住宅等管理的又は監督的な地位にあるいずれの者も防火管理上必要な業務を適切に遂行することが困難な防火対象物については、 防火管理者の業務の外部委託等をすることができることとしたこと。

1. 共同住宅その他総務省令で定める防火対象物について

 共同住宅及び規則第2条の2第1項各号に規定する防火対象物のうち、管理的又は監督的な地位にあるいずれの者も防火管理上必要な業務を適切に遂行することが困難な防火対象物として、 消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。以下同じ。)又は消防署長として認めたものについて、防火管理者の業務の外部委託等が認められたこと。

 消防長又は消防署長として認める際には、当該防火対象物の状況(規模、用途、収容人員等)、当該防火対象物の管理の状況(防火管理上必要な業務を遂行するための組織、人員とその勤務状況等)、 管理権原者の勤務状況等を確認した上で判断すること。

(1)共同住宅関係

 「分譲マンションにおける防火管理者の選任について」(昭和45年5月14日付消防予第96号)において防火管理者の共同選任を行うことが適当とされ、また、 「共同住宅における防火管理に関する運用について」(平成4年9月11日付消防予第187号)及び「共同住宅における防火管理に関する運用について」(平成6年10月19日付消防予第271号)において防火管理者を管理会社の従業員の中から選任すべきことについて示しているが、 平成16年6月1日以降は、共同選任等を行っている防火対象物のうち、防火管理上必要な業務が適切に遂行されていない防火対象物については、令第3条第2項の規定を適用するよう指導すること(令第3条第2項関係)。

(*)マンションNPO注記: 詳細は [187号通知と271号通知]  を参照してください。
 (現在では、この後に公布された43号通知(消防安第43号 H16.3.26)によることの説明があります。)

(2)規則第2条の2第1項第2号関係

 「消防法の一部を改正する法律等の施行について」(昭和36年5月10日自消甲予発第28号)において、複合用途防火対象物について、防火管理者の共同選任を行うことについて示しているが、 平成16年6月1日以降は、共同選任を行っている防火対象物のうち、特に防火管理上必要な業務を適切に遂行されていない防火対象物については、令第3条第2項の規定を適用するよう指導すること (規則第2条の2第1項第2号関係)。

2. 防火管理者の業務の外部委託等を行う際の要件について

(1)防火管理者の責務を遂行するために必要な権限の付与
 「防火管理者の責務を遂行するために必要な権限」とは、次に掲げる権限であること(令第3条第2項関係)。

 消防計画の作成、見直し及び変更に関する権限
 避難施設等に置かれた物を除去する権限
 消火、通報及び避難訓練の実施に関する権限
 消防用設備等の点検・整備の実施に関する権限
 不適切な工事に対する中断、器具の使用停止、危険物の持ち込みの制限に関する権限
 収容人員の適正な管理に関する権限
 防火管理業務従事者に対する指示、監督に関する権限
 その他、防火管理者の責務を遂行するために必要な権限

(2)管理権原者からの文書の交付
   管理権原者が交付する文書の「防火管理上必要な業務の内容」は、次に掲げる内容であること。
      (規則第2条の2第2項第1号関係)

 消防計画の作成、見直し及び変更に関すること
 避難施設等の管理に関すること
 消火、通報及び避難訓練の実施に関すること
 消防用設備等の点検・整備の監督に関すること
 火気の使用等危険な行為の監督に関すること
 収容人員の適正な管理に関すること
 防火管理業務従事者に対する指示、監督に関すること
 その他、防火管理者として行うべき業務に関すること

(3)防火対象物の防火管理上必要な事項に関する十分な知識を有していること
 防火対象物の位置、構造及び設備の状況その他防火管理上必要な事項に関する十分な知識を有するため、防火管理者に選任される者は、 当該防火対象物の管理権原者等から説明を受ける必要があること。なお、防火管理上必要な事項は、次に掲げる事項であること(規則第2条の2第2項第2号関係)。

 防火管理体制及び自衛消防組織の編成等従業者の配置等に関すること
 従業員等に対する防火上必要な教育の状況に関すること
 消火、通報及び避難訓練の実施状況に関すること
 その他防火管理上必要な事項

3. 防火管理業務を委託された防火管理者の選任届出について

 防火管理者の選任の届出については、規則第4条第1項により行うこととされているが、委託された防火管理者の選任の届出が提出された際には、特に次の事項に留意すること(規則第4条関係)。


(1)

 規則別記様式第1号の2の2の「その他必要な事項」の欄に、「管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが防火管理上必要な業務を適切に遂行することができない理由」が記載されているかどうかを確認するとともに、当該内容について妥当かどうかを判断すること。なお、管理的又は監督的な地位にある者のいずれもが防火管理上必要な業務を適切に遂行することができないと管轄の消防長又は消防署長が認めたものしか防火管理者の業務の外部委託等は行えないことから、防火管理者の業務の外部委託等を行う者は、防火管理者の選任の届出の前に認められるかどうかを管轄消防本部に確認するよう指導すること。


(2)

 令第3条第2項の「防火管理者の責務を遂行するために必要な権限が付与されていること」については、契約等で行われることが想定されるが、防火管理者の選任の届出の際にその写しを添付するよう指導すること。また、契約等は、防火管理者に必要な権限が付与されていることを明確にすることが必要であり、法人間の契約の場合も当該事項を明確にする必要があること。


(3)

 規則第2条の2第2項第1号の「防火管理上必要な業務の内容を明らかにした文書」の写しは、規則第4条第2項の防火管理者の資格を証する書面であること。したがって、防火管理者の業務を外部委託等された防火管理者の選任の届出の際に添えなければならない「資格を有する書面」は、「防火管理講習の修了証」及び「防火管理上必要な業務の内容を明らかにした文書」等であること。


(4)

 規則第2条の2第2項第2号の要件は、防火管理者の選任の届出の際に口頭で確認することが望ましいこと。

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