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3. 防火管理者の業務

3.1 防火管理者の選任が必要な防火対象物

防火管理者が必要な防火対象物は、令第1条の2及び令第3条の1(甲種)及び2(乙種)並びに火災予防条例(東京都の場合は第4条2)に規定されています。
収容人員は当該防火対象物に出入し、勤務し、又は居住する者の数(建物全体の人数)です。(令第1条の2の3)

甲種防火管理者の選任が必要な
防火対象物の用途
収容
人員
乙種防火管理者が選任できる条件

特定防火対象物
救護施設、乳児院、認知症グループホームなどの自力避難困難者が入所する社会福祉施設等


(令第1条の2の3のイ)(条例第4条2の1)別表第一(6)項ロ、及び(6)項ロが存する(16)項イ・(16の2)項に掲げる防火対象物
10人以上

 (※1)
平成19年改正施行令

乙種は選任できない。
甲種防火管理者の選任が要

特定防火対象物
劇場、飲食店、物品販売店、旅館、病院などの不特定の人が出入りする建物等


(令第1条の2の3のロ)(条例第4条2の2)別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項イ、ハ及びニ、(9)項イ、(16)項イ並びに(16の2)項に掲げる防火対象物(同表(16)項イ及び(16の2)項に掲げる防火対象物にあつては、同表(6)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものを除く。)
30人以上

この用途の建物全体の収容人員が30人以上で延べ面積が300u未満のものは乙種防火管理者が選任できる。(令第3条の2)

非特定防火対象物
共同住宅、学校、工場、事務所などの特定の人が出入りする建物等


(令第1条の2の3のハ)(条例第4条2の3)別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ及び(17)項に掲げる防火対象物
50人以上

この用途の建物全体の収容人員が50人以上でも、延べ面積が500u未満のものは乙種防火管理者が選任できる。(令第3条の2)

一定規模以上の新築工事中(電気工事中等)の建築物又は建造中(進水後で艤装中)の旅客船(令第1条の2の3のニ) 50人以上 乙種は選任できない。甲種防火管理者の選任が要

※1 消防法施行令改正(平成19年政令第179号平成19年6月13日公布)
防火管理者を選任して防火管理業務を行わせなければならない防火対象物に、 消防法施行令別表第1(6)項ロ、(16)項イ及び(16の2)項に掲げる防火対象物((16)項イ及び(16の2)項に掲げる防火 対象物にあっては、(6)項ロに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)で、収容人員が10人以上のもの が追加された。(令第1条の2第3号イ関係)

3.2 防火管理者区分フローチャート

3.3 防火管理者再講習

収容人員300人以上の特定防火対象物の防火管理者は5年ごとに再講習

 近年における防火対象物の使用形態の複雑化、高度化への順応や頻繁な消防法令の改正の把握など、 防火管理者には、防火管理業務を適切に行っていただくうえでの知識、技能の更新が常に要求されています。
そこで、高度な防火管理を必要とする比較的大規模な防火対象物の防火管理者に対しては、 一定期間ごとに再講習を義務付けることが定められ、甲種防火管理者講習は、当該講習を始めて受けるものに対して行う 「甲種防火管理新規講習」と新規講習後に行う「甲種防火管理再講習」とになりました。

 上で述べたように、消防法の改正により、平成18年4月1日から消防施行令第3条第1項第1号イの規定に基づき、 甲種防火管理者講習を修了した者で収容人員300人以上の特定防火対象物(百貨店、旅館、病院、その他不特定多数の者が出入りする所) の防火管理者は、5年に1度の防火管理者再講習の受講が義務付けられました。(全国どこで受講しても構いません)

※「甲種防火管理再講習」は、過去に甲種防火管理者資格取得講習会を修了した方が対象です。

 なお、統括防火管理者については、従前より甲種防火管理講習の再講習義務は課されていません。 統括防火管理者は常に消防機関と連携して日常の防火管理業務を行うこととなり、甲種防火管理再講習において習得することとされてい る最新の消防法令及び最近の火災事例等の必要な情報を日常的に消防機関から提供される立場となるなどの理由によるものです。
平成24年法律第38号による改正消防法においても、この考えは踏襲されています。

3.4 防火管理業務

1. 防火管理者の責務を遂行するために必要な権限

令第3条第1項にある「防火管理上必要な業務を適切に遂行することができる管理的又は監督的な地位にあるもの」とは、次に掲げる権限を有する者を意味します。(出典)(消防安第43号平成16年3月26日公布)

「防火管理者の責務を遂行するために必要な権限」とは、次に掲げる権限であること。

 消防計画の作成、見直し及び変更に関する権限
 避難施設等に置かれた物を除去する権限
 消火、通報及び避難訓練の実施に関する権限
 消防用設備等の点検・整備の実施に関する権限
 不適切な工事に対する中断、器具の使用停止、危険物の持ち込みの制限に関する権限
 収容人員の適正な管理に関する権限
 防火管理業務従事者に対する指示、監督に関する権限
 その他、防火管理者の責務を遂行するために必要な権限

 

2. 防火管理者の責務

(消防法施行令 第4条)
第四条  防火管理者は、防火管理上必要な業務を行うときは、必要に応じて当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を求め、誠実にその職務を遂行しなければならない。

2  防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。

3  防火管理者は、総務省令で定めるところにより、防火管理に係る消防計画を作成し、これに基づいて消火、通報及び避難の訓練を定期的に実施しなければならない。

3. 防火管理上必要な業務とは

 消防法第8条では、管理権原者が防火管理者に消防計画を作成させ、これに基いて行わせなければならない防火管理上必要な業務を、次のように具体的に示しています。

@ 消火訓練、通報訓練及び避難訓練の実施 ( この3つの訓練を併せたものを総合訓練といいます。)

A 消防用設備等の点検及び整備 ( を消防設備士・点検資格者などの専門資格者に行わせること )

B 火気の使用又は取扱いに関する監督

C 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理

D 収容人員の管理

E その他防火管理上必要な業務

(注) Cの「避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理」に関しては、消防法で定める定期点検報告制度のほかに、建築基準法第12条第1項及び第3項にて、下宿、共同住宅又は寄宿舎で3階以上、かつ床面積の合計が1000u以上の建物は3年毎の報告及び建築設備(換気・排煙・非常用照明・給排水)及び昇降機等は毎年報告する規定があります。(特殊建物定期点検報告制度)

 これらの防火管理業務を分類すると災害予防管理災害活動管理に分けられます。

3.5 災害予防管理

 災害予防管理は、火災を予防する立場から任務分担を求め、予防管理体制の確立を図り、 出火防止のための火気管理、建築物、設備の点検や検査などの維持管理、収容人員の管理、居住者に対する教育等のほか、 防火管理上必要な業務を行うものです。

3.6 災害活動管理

 災害活動管理とは、万一火災や災害が発生した場合の備えとして、自衛消防組織を編成し、平常時の訓練を行うほか、自衛消防活動を行うものです。

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