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3.「改正」か、「運用解釈」か 〜議決権行使の代理人の資格を巡って〜

 「改正」か、「運用解釈」か 〜 リーガルマインドが要求される時代! 〜

集団的自衛権をめぐる憲法の話ではありません。議決権行使の代理人の資格を定めた規約の話です。

代理人は委任によって成立しますが、株式会社、生協や信用組合などの協同組合、管理組合など、どんな事業組織であっても、 その代理人たる資格に仲間内かどうかの制約が当然に規定されています。

リーガルマインド (legal mind)とは、法律の実際の適用に必要とされる、柔軟、的確な判断のことで、 その「柔軟、的確な」判断が実際にはどのような場で要求されるのか、その例をご紹介しましょう。

 商法・会社法における株主総会の判例をもとにご紹介しています。

 株式会社の株主と管理組合の構成員ではその権利と義務には大きな違いがあり、 参画型ガバナンスのレベルでは管理組合のほうが企業よりも圧倒的に高いレベルにあります。
     (詳細は 注1:「経営参加型ガバナンスのレベル」を参照)

 代理人の資格における制限をどう捉えるかという観点では、株主総会の判例が定款規定を厳格に運用する実務が定着している中で、 条件付きながら制限緩和を認めている判例があるということは、 管理組合にとっては逆に規約規定を硬直的に杓子定規に捉えることも危険だという見方も一方では存在します。

個別の実務では難しい判断となりますので、弁護士などの法律の専門家に相談されることをお勧めします。

1. 規約規定の代理人範囲にない者が総会出席できるか?

(議決権行使の代理人の資格を定めた規約の有効性は? そして 実際の運用は?)

(前提となる条文と規約)
区分所有法第39条第2項(議事)
   議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。

(参考)標準管理規約(単棟型)第46条第5項(議決権)
   組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、 その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者、 又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない。

(※ 標準管理規約は規範でもなく、法的拘束力もない。 実際には皆さんの組合で定めた管理規約が自治規範としての法的拘束力をもちます。)


【Q】: 当マンションの規約(注:上記の標準管理規約と同一)によると、非居住区分所有者は、自分の子供や弁護士、知人などには依頼できない。 このような代理人に加える制限は果たして有効なのか?


【A】: 株主総会における判例では一貫してその規定には合理的な理由があり有効とする立場を採ってきました。
(法務省の見解も同様です。昭和44年3月6日付民事甲第381号民事局長回答「議決権行使の代理資格について」)

その上で、一切の例外を認めないとすると、総会運営に重大な支障をきたす場合があるため、判例では一定の例外を認め、 「定款(管理組合では規約)の範囲に含まれていない法人の従業員や弁護士、及び家族関係にある者については、 運用解釈(定款規定の趣旨を逸脱しない規定解釈)で代理人として認めて入場させなさい」との判例が出ています。 (本文下記の判例2、判例3に示したほか、 家族関係にある者について代理人資格を認めた判決は、大阪高判昭和41年8月8日判タ196号126頁)

代理人の資格を定めるその規約の趣旨は、区分所有者以外の第三者によって管理組合総会が攪乱され、 組合の利益が害されることを保護するものであるが、 そのおそれはない自分の子供や弁護士についてまで拒絶する理由は認められないから、 形式的に規約規定以外の代理人を一切認めずに拒絶した場合は規約規定の運用解釈を誤ったものとして、 (商法・会社法における株主総会の)決議取消訴訟では、個別の要件を判断して請求通り決議取消を認容してきました。

具体的には、そのような代理人申請については、親子兄弟等の代理人自身の身分、弁護士等の職務を証明する書類の提示を求めて、 右代理権の有無、代理人の同一性を確認し、その上で会場への入場を認めるという取り扱いをすれば足りるのであって、 形式的に定款規定以外の代理人を一切認めないという取り扱いは定款規定の運用解釈を誤ったものとされています。

尚、質問では代理人の範囲に「知人」を含めていますが、 ここまで範囲を拡げると代理人が規約規定の趣旨に違反していないかの明確で具体的な基準は実際には困難であるがゆえに、 実質的な判断を迫られ、受付事務を混乱させ、円滑な総会の運営を阻害する恐れがあること、或いは恣意的運用の余地を与え、 それゆえに総会の混乱を増幅する可能性もあることから、 代理人の範囲については一定の限度があり、無制限に拡大解釈することには問題があります。

経験則として言えることですが、自己の利益のみを執拗に主張して全体の意見に従わない者は、 「類は類を呼ぶ」の例え通り、同じような代理人を指定してきます。 だからといってそれらの者をどういう根拠で否定できるのか、 そうでない者をどうやって是として認めるのかという問題が生じてきます。 「実質的な判断」というのは、そういうことです。 良識のある人だけの良好なコミュニティでは、 知人を代理人として認めても何も問題は生じないでしょうが、 「他者と適切なコミュニケーションがとれない一部のおかしな人」がいるコミュニティでは必ず問題になります。 良くも悪くも「実質的な判断」は「前例と慣習」を生み出していきます。

2. 【根拠】

株主総会における「議決権行使の代理人の資格を株主に制限する旨の定款の規定の有効性」を争った裁判では、 そのような制限をつけた定款は有効と解した上で、定款規定の運用における例外を認めています。

株式会社の第一目的は、「効率よく利益を挙げること」であり、管理組合のそれは、 「建物の適正な維持保全(建築基準法第8条)を行うこと(区分所有法第3条)」であり、それぞれの目的は異なるものの、 総会の代理人の範囲に関しては株式会社の定款と管理組合規約の制定趣旨に特段の相違は認められないから、 (注2 参照)  判決の「株式会社」を「管理組合」に、「定款」を「規約」に、 「商法239条2項」及び商法改正後の「会社法310条1項」を「区分所有法39条第2項」に読み替えれば判決の趣旨はそのまま生きてきます。

(参考)
商法239条2項 「株主ハ代理人ヲ以テ其ノ議決権ヲ行使スルコトヲ得但シ代理人ハ代理権ヲ証スル書面ヲ会社ニ差出ダスコトヲ要ス」
商法239条3項 「前項ノ代理権ノ授与ハ総会毎ニ之ヲ為スコトヲ要ス」

※ 商法239条は現在は会社法に移行
(商法改正、会社法創設:平成17年(2005)7月26日法律第86号平成18年5月1日施行)

会社法310条1項第1文 「株主は、代理人によってその議決権を行使することが出来る。」

区分所有法第39条第2項 「議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。」

3.判例1 代理人を制限する規定は有効

「株主総会決議無効確認請求事件」控訴審(大阪高判昭和40年6月29日(オ)第1206号) 最高裁昭和43年11月1日判決

 定款上「株主は、代理人をもって決議権を行使することを得。ただし代理人は、当会社の株主に限るものとす」 との規定があった会社の株主総会で、 株主名簿に記載がない者を代理人として行われた総会の決議の取り消しを求めた裁判で第1審 大阪地判昭和33年3月14日では、 請求を認容し総会の決議の取り消しを認めた。

控訴審(大阪高判昭和40年6月29日(オ)第1206号)でも同様の認容となり、 上告審では原審を認容、上告棄却した。

 最二小判昭和43年11月1日{判旨}
「所論は、議決権行使の代理人を株主に限る旨の定款の規定は、商法239条3項に違反して無効である旨主張する。

 しかし、同条項は、議決権を行使する代理人の資格を制限すべき合理的な理由がある場合に、 定款の規定により、相当と認められる程度の制限を加えることまでも禁止したものとは解されず、 右代理人は株主に限る旨の所論Y株式会社の定款の規定は、株主総会が、株主以外の第三者によって攪乱されることを防止し、 会社の利益を保護する趣旨にでたものと認められ、合理的な理由による相当程度の制限ということができるから、 右商法239条3項に反することなく、有効であると解するのが相当である。」

 判例2 従業員による議決権の代理行使を認容

「株式会社総会決議取消請求事件」控訴審 東京高判昭和48年4月25日(昭和48年(オ)第794号) 最高裁昭和51年12月24日判決

 「株主又はその法定代理人は他の出席株主を代理人としてその議決権を行使することができる」との規定があった会社の株主総会で、 株主である新潟県及び直江津市はそれぞれの自治体の吏員、及び株主の日本通運株式会社は同社従業員に委任状を交付し、非株主である吏員、 従業員に議決権を行使させたことが定款に違反するとした原告の訴えに対し、
第1審 新潟地高田支判昭和46年9月23日および、控訴審 東京高判昭和48年4月25日(昭和48年(オ)第794号)ともにその請求を棄却。上告審でも原審を認容、上告棄却した。

 最二小判昭和51年12月24日{判旨}
 「これらの使用人は、地方公共団体又は会社という組織の中の一員として上司の命令に服する義務を負い、 議決権の代理行使にあたって法人である右株主の代表者の意図に反するような行動はできないようになっている事実関係の下においては右定款の規定に反しないと解するのが相当である。

 けだし、右のような定款の規定は、株主総会が株主以外の第三者によって攪乱されるのを防止し、会社の利益を保護する趣旨に出たものであり、 株主である県、市、株式会社がその職員又は従業員を代理人として株主総会に出席させた上、 議決権を行使しても、特段の事情のない限り、株主総会が攪乱され、会社の利益が害されるおそれはなく、かえって、 右のような職員又は従業員による議決権の代理行使を認めないとすれば、 株主としての意見を株主総会の決議の上に十分に反映することが出来ず、事実上議決権行使の機会を奪うに等しく、不当な結果をもたらすからである。」

 判例3 弁護士による議決権の代理行使を認容

「野村證券株主総会出席権侵害慰謝料請求事件」神戸地裁尼崎支部平成12年3月28日判決(平成11年(ワ)第579号)(確定)

 株主総会に弁護士を代理人として出席しようとした原告Xに対しY株式会社は同社の定款上、株主以外の者の株主総会への代理出席を認めない旨が定められていることを理由に当該代理出席を拒絶した。 原告は株主権行使の機会を奪われたことに対する精神的損害の賠償を請求した。 裁判では定款の規定は有効としながら、但し定款規定の趣旨を逸脱しない規定解釈もありうるのであり、 非株主である弁護士の代理出席を拒絶した会社はその規定解釈の運用を誤ったものであり、 商法239条2項に違反するとした上で、株主の権利(自益権)の行使拒絶によって財産的損害を蒙ったとはいえても精神的損害を蒙ったとはいえないとして慰謝料の請求については棄却した。

  {判旨}

 1. 「商法239条2項は、株主が代理人によって議決権を行使することが出来る旨規定しているところ、株主総会が株主以外の第三者によって個人的利益追求の道具に利用されることやあるいは攪乱されることを防止し、 会社の利益を保護する必要があるような場合には、合理的な理由による相当程度の制限として、定款により右代理人資格を株主に限定することも許されると解するのが相当である」

 2. 「定款で代理人資格を株主に限定しているからといって、株主以外の代理人であればすべて議決権の代理行使が認められないと解すべき必然性はなく、代理人として選任された者が株主総会に出席し、 議決権を行使しても株主総会が攪乱されるなど、会社の利益が害されるおそれがないと認められる場合には、商法239条の2項の本則に立ち戻り、その者による議決権の代理行使が認められることになる。 右定款の解釈によれば、議決権行使の代理人資格を株主に限定しているY株式会社の定款の規定は、無限定にこれを制限しているものではないから、定款で右代理人資格を原告Xが主張する弁護士等の専門家や株主の6親等内の親族等に認めなくとも、 これらの者が議決権を代理行使する旨のY株式会社定款の規定は商法に違反するものではないから、無効であるとはいえない。」

 3. 「本件総会へ出席を委任された者が弁護士であることからすれば、受任者である弁護士が本人たる株主の意図に反する行動をとることは通常考えられないから、株主総会を混乱させるおそれがあるとは一般的には認めがたいといえる。 したがって、右申出を拒絶することは、本件総会がこの者の出席によって攪乱されるおそれがあるなどの特段の事由のない限り、合理的な理由による相当程度の制限ということはできず、Y株式会社定款の規定の解釈運用を誤ったものというべきである。」

 4. 「Xは、Y株式会社に対し、本件総会に先立ち、自己の選任した代理人の氏名及び職業を委任状と共にY株式会社に告知していたのであるから、Y株式会社としては、本件総会当日に、代理人たる弁護士に対して、代理人自身の身分、職務を証明する書類の提示を求めて、 右代理権の有無、代理人の同一性を確認し、その上で会場への入場を認めるという取り扱いをすれば足りたのであって、右手続の履践が本件総会を開催するに際しての事務処理を著しく煩雑にし、総会の開催を混乱させることになったと認めるに足りる証拠はない。 そうすれば、Y株式会社には、本件総会の開催にあたり、Xの代理人による議決権の行使を拒絶するに足りる特段の事由があったとはいえない。」

 5. 「以上によれば、Y株式会社が、Xによる弁護士を代理人とする議決権の代理行使の申出を拒絶したことは、Y株式会社定款の規定の解釈運用を誤ったものであるから、商法259条2項に違反するものというべきである。」

 判例4  弁護士による議決権の代理行使を否認

「大盛工業株主総会決議取消請求事件」控訴審 東京高裁平成22年11月24日判決(平成22年(ネ)第5350号)

 Y会社総会ではYの株主である原告Xと共にXが依頼した弁護士が株主総会の会場を訪れ、この弁護士自らがXの代理人として出席することを求めた。 Y会社ではY会社の定款「株主は、Y株式会社の議決権を有する他の株主1名を代理人として、その議決権を行使することができる。」を根拠に、 Yの株主である原告Xの出席は認め、代理人弁護士の総会への出席を拒否したことから、Xは株主総会の決議取消しを求めて提訴し、東京地裁判決平成22年7月29日判決では、 Y会社総会の会場ではYの株主である原告Xの総会出席を認めて現にXは出席して議決権を行使しているとして、Y株式会社の行為を是認し、Xの請求は棄却した。

 控訴審 東京高裁平成22年11月24日判決(平成22年(ネ)第5350号)では、たとえ株主総会を攪乱するおそれのない職種の者を代理人とする場合であっても、 当該者を代理人とする議決権行使を認めない旨の適用は違法でないと判断し、控訴を棄却した。

 {判旨}

 1. 「会社法310条1項は、株主に対して代理人を通じて株主総会に参加する途を保障することによって、その議決権行使を容易にする趣旨に出た規定であると解すべきところ Y株式会社は、株主でないA弁護士らの出席を拒否する旨回答する一方、株主Xについては出席を認め、現にX自身が本件株主総会に出席して議決権を行使したのであるから、 A弁護士が本件株主総会に出席することが出来なかったからといって、Xの議決権行使が妨げられたわけではないことは明らかであり、 このことをもって会社法310条1項に違反する取り扱いであるということはできない。」

 2. 「一般に弁護士は、社会的に信用が高く、法律的知識が豊富であるから違法、 不当な行為をしない蓋然性が高いものであると信じられているところではある。 しかし、Xがいうところの弁護士等のように、そのような高い信頼の下にある職種の者であって、 具体的に株主総会を攪乱するおそれのない者については、株主でない者であっても代理人となることを許されなければならないとすれば、 株式会社は、株主総会に株主でない代理人が来場した際には、その都度その者の職種を確認し、 株主総会を攪乱するおそれの有無について個別具体的に検討しなければならないことになるが、 どのような職種の者であれば株主総会を攪乱するおそれがないと信頼することが出来るのか、 また、そのような信頼すべきと考えられる職種に属していながらも、当該来場者に株主総会を攪乱するおそれがあると思料される場合に、 どのような要件の下に出席を拒むことができるのかなど、明確な基準がないままに実質的な判断を迫られ、その結果、受付事務を混乱させ、円滑な株主総会の運営を阻害する恐れがある。」

 3. 「しかも、正当な権利行使と攪乱の行為とが具体的事案において毅然と区別することが難しいこともあるところ、実質的な判断基準を持ち込むことにより、経営陣に与(くみ)する者の出席を許し、 与しない者の出席を許さないなど恣意的運用の余地を与え、株主総会の混乱を増幅する可能性もある。 そうすると、議決権行使の代理人資格を形式的に限定する本件定款の定めは、一定の合理性を有するものであり、株主による議決権行使の態様を何ら不当ないし不公正に制限するものではない。

 そして、このような考慮は、Xが主張するように、あらかじめ会社にとって身元の明らかな弁護士が、議事を攪乱しない旨の誓約書を提出している場合であっても、なお当てはまるといえるから、 Xが主張するような事情があっても、議決権行使の代理人資格を株主に限定することは許されるのであり、本件定款規定を濫用するものとはいえない。」


(注1) 経営参加型ガバナンスのレベル

議決権行使の代理人の資格に関しては、総会を通じて経営に参画する権利(共益権)をどう扱うかがポイントです。

 事業組織を経営参加ガバナンスで比べてみると、参画権のレベルが最も低いのが株式会社で、最も高いのが協同組合です。その最も低い株式会社の株主総会でさえ、 代理人の資格要件を緩和して条件付きながら認める判例が出ているということは注目に値します。

 協同組合とは、人々の自治的な協同組織であり、人々が共通の経済的、社会的、文化的なニーズと願いを実現するために自主的に手をつなぎ、 事業体を共同で所有し、民主的な管理運営を行うもので、出資、利用、運営(経営)の三位一体原則を基礎として参加型ガバナンスのレベルが事業組織の中では最も高く、 自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯という倫理的基準のもとに生協法、農協法、水協法、森組法、中小企業法、労金法、信金法における組合員総会及び総代会の規定があり、農林中金法、商工中金法の総代会では産業組合法第38条の2の規定を準用するなど、 総代会に関して明示的な規定があります。

管理組合のガバナンスも協同組合と同じく参加型ですが、協同組合における「事業の利用」が管理組合では「住環境の維持保全事業」であり、協同組合員の積極的、活動的(アクティブ)な参加権と比べて、管理組合の組合員の参加意識は受身であり、非自発的、受動的、消極的な面は否定できません。

管理組合の権利と義務の行使に関しては、(1)保存行為(共有部分の保存行為など)(2)管理行為(管理費・修繕積立金の出資、損害賠償請求行為など)(3)規約関連(駐車場の専用使用権など) のいずれにおいても構成組合員共同の責任と義務に基づいており、組合員の権利と義務は株主の場合と異なり、密接に結びついています。(三位一体の原則)

 総会運営の方法については株主総会も組合総会も特段の差異はなく、総会参加の方法も書面または電磁的方法による議決権行使が認められているほか、 総会に出席しなければ議題・議案に関する説明請求権や意見陳述権などの総会参与権は行使できないという不利益があるのも同一です。

(注2) 規模で異なる規約の運用解釈


 上場企業の株主総会の場合は、不特定多数の株主が来場し、円滑に受付事務を行う要請が高いだけでなく、個別の一般株主やその代理人の属性・事情について株式会社(発行会社)が知っている場合は稀であることを考慮すると、 近年の判例法理は株主の代理人資格を制限する定款規定がある場合は、 その規定を厳格に運用する実務が定着しているとの報告があります。(商事法務研究会編「株主総会白書2012年版」商事法務1983号)

 総戸数が50戸以下の管理組合の場合は、集会参加者はお互いに顔見知りであることが多く、不特定多数とはいえないこと、 参加者の確認をする事務手続が著しく煩雑であるともいえないから、運用解釈で例外を認める合理性は高くなります。

【参考文献】:
ジュリスト増刊 「実務に効くコーポレート・ガバナンス判例精選」 有斐閣2013年12月発行(ISBN 978-4-641-21502-3)