第5章 共同住宅の資金計画(FINANCING FOR CONDOMINIUM PROJECTS)
はじめに
※免責事項
このマンションNPOのHpでは国連発行文書(UNITED NATION PUBLICATION-ECE/HBP/198)の
内容をご紹介しています。同文書の日本における公式の文書ではありません。
また文中の翻訳表現は権威ある公式の翻訳ではない事をお断りしておきます。(マンションNPO)
※ 本文の章・項・号番号は便宜的に当Hp日本語訳でつけたもので、報告書原文には付いていません。
第5章 共同住宅の資金計画・目次
(1) 公的資金と合弁事業 (PUBLIC AND DONOR FUNDING)
(2) 従来の伝統的な資金調達方法 (TRADITIONAL PROJECT FINANCING)
(3) 給水とエネルギーの効率化のための資金計画 (FINANCING FOR WATER AND ENERGY EFFICIENCY)
(4) エネルギー貧困 (ENERGY POVERTY)
第5章 共同住宅の資金計画 (FINANCING FOR CONDOMINIUM PROJECTS)
共同住宅は、 財政の再建と改善(financing renovations and improvements)という深刻な問題の局面を迎えています。 管理組合が理事会と管理者の活動を通して、劣化した建物の修繕(repair)と修復(renovate)、 改良(improve)することを、組織としての業務として、殆どの法が明確に規定しています。 しかしながら、共同住宅の管理費から得られる資金では、 大規模な工事をするには不十分です。 もしも、共同住宅の建物が最初から手抜き工事で出来が悪かったり、或いは、 永年にわたって建物の細かい点まで行き届いた保全と修繕をしてこなかった場合は、 工事費用の増大により資金不足をはるかに激化させることになります。 区分所有者と社会的弱者間の、 或いは年金生活者世帯と子供のいない共働き世帯間に不平等な収入格差が存在する限り、 理事会が管理費収入を増やそうとして特別徴収の提案をしても、 その提案を受け入れてもらうことは常に不可能になっています。 それゆえに、共同住宅の資金計画は、たびたび管理組合が挑戦すべき課題となってきました。 (1) 公的資金と合弁事業(PUBLIC AND DONOR FUNDING)公的資金の仕組み(schemes)による融資は額は少なく、十分ではないにしても、 銀行のような伝統的金融機関からの借入れが拒否されるような管理組合にとっては、 財政の助けになります。 さらに進んで、共用部の修繕工事における公的な助言は
区分所有者間の収入格差を埋め合わせる努力と挑戦に対する公的支援となります。
管理組合が資金の分配で主導権と承諾権を有する共同事業者(partners)になるという点において、 特に、その制度の枠組みを保証する法律が存在する場合は、 事業者が資金を支援することが可能になります。 この場合、管理組合はある困難な問題に直面します。 それは例えば、合弁する事業者(管理組合)は、EUの制度下では、 合弁事業者の一方の当事者にはなれるが、区分所有者は当事者にはなれないという、 合弁事業の仕組みにあります。 管理組合が、エネルギー効率化優遇制度の受益者の場合、 事業者からの資金提供は、特に有利になります。 一般に、公的資金と合弁事業は、 資金提供の相手が信頼できる確実な団体(certain groups) か、若しくは、 回収資金で利益を稼ぐ従来からある伝統的なローン制度のように、 制度の重大な欠陥に対する救済措置(to cure severe systemic defects) がある場合に限り適用されるべきです。 (2) 従来の伝統的な資金調達方法(TRADITIONAL PROJECT FINANCING)修繕と改良の工事に要する資金の調達は、 従来の伝統的な資金調達方法か、若しくは、銀行ローンを通じての資金調達としなければなりません。 銀行ローンは、管理組合がその銀行の口座を持っていて、 管理組合が銀行から借入れを起こす場合の確かな状態の裏付けがあることが前提となります。 先に、(3) 銀行口座の管理で示したように、 管理組合は管理者と理事会が管理する銀行口座を開設しなければなりません。 その銀行口座における入出金の履歴はローンに対する信用の裏づけの一部となります。 管理組合は、同時に、ローンを実際に決定する際には、 ローンの見返り担保としての共用部を含む共同住宅建物の資産価値を維持向上させるための、 必要な法的手続きを踏まなければなりません。 銀行がローンを承認するために十分な見返り担保、或いは、
保証を求めることについて、
管理組合には、選択権の自由に関して制限が課せられます。
幾つかのローン契約条件を審議する前に、 管理者と理事会は、 工事その他の関連費用について、工事の実施方法や区分所有者の権利として発生している部分を見直し、 費用を切り詰めるなどローン支払に関していろいろな論点から検討し、 ローンの返済が持続できる確かな手段を明らかにしなくてはなりません。 しかしながら、費用の節約が、共同住宅における顕著な欠陥の是正や、
新規の改善には役立たない例が多く見受けられます。
この場合、区分所有者は、
ローンの支払が可能なだけの特別負担を受け入れて、工事費用を増額するか、
或いは、改善工事を見合わせてローンの支払額を抑制するかを、
投票で決定するための集会の召集を請求することができます。
(3) 給水とエネルギーの効率化のための資金計画
|