付録1 管理組合なき場合の法的規制
(ANNEX I Legal regulations for the administration of jointly owned property in condominiums without owners’associations)
はじめに
※免責事項
このマンションNPOのHpでは国連発行文書(UNITED NATION PUBLICATION-ECE/HBP/198)の
内容をご紹介しています。同文書の日本における公式の文書ではありません。
また文中の翻訳表現は権威ある公式の翻訳ではない事をお断りしておきます。(マンションNPO)
※ 本文の章・項・号番号は便宜的に当Hp日本語訳でつけたもので、報告書原文には付いていません。
付録1 管理組合なき場合の法的規制・目次
(1) はじめに (Introduction)
(2) 規 則 (Regulations)
見 本 (Specimen)
はじめに(Introduction)集合住宅(multi-flat buildings)のすべての個人所有者に対し、 義務として強制的(compulsory)に管理組合を結成することを法律上は規定していない国にあっても、 管理者の機能として事実上存在している管理組合を法令に明記するべきです。 集合住宅の区分所有者から指名されて、その組織が存在している建物の管理を委託された管理者は、 管理組合から雇用された管理者と同等の権利と義務を有しています。 この原則から免除される場合の規定もこれらの法に含むべきです。 国内法はその条項の中に、 共同住宅を登記して3ケ月以内に、 全区分所有者による管理組合の設立登記がないときは、 下記に示す法の規定に従って、地方自治体又は、市長から権限を付与された代理人は、 管理者を指名する排他的権利を与えられることを明確に規定することを推奨します。 規 則 (Regulations)1. 地方自治体(The municipality)は、下記の義務を負うものとする。 (a) 管理者資格の認証と定期的な登録更新 (b) 区分所有者に代わって連帯的所有部分(the jointly owned parts :以下共有部と略)
(c) 裁判所が前管理者を罷免したときは、区分所有者に代わって共有部を引き続いて管理する
(d) 毎年作成すべき文書と刊行物
2. 公共事業機関(The local authority)にあっては、法律上の、若しくは第1条で規定された義務以外
3. 地方自治体は管理者との契約を次のいずれかの理由でのみ終結させることができる。
4. 裁判所は管理者が管理に関する契約義務に反した場合にのみ、管理者の罷免を決定することができる。 5. 所有者からの申し出と管理組合の登記による管理委託契約の終了は、 通知後3ケ月以内の規定期日をもって正式に管理者との契約が終了したものとみなす。 管理組合は、同一人との契約を維持するか、又は、 再び交渉して変更した管理者と新しく契約を結ぶかは、 契約自由とする。 6. すべての区分所有者は管理者の業務に対して報酬を支払う法的義務を有する。 この報酬額は地方自治体が年度ごとに発行している管理業務料金表の額を超えることはできない。 7. すべての区分所有者は各住戸への供給サービスに対して戸別に契約する法的義務を有する。
この契約は次の二つの部分からなる。
8. 区分所有者と電気ガス等のユーティリティ供給者の間における契約上のさまざまな問題に関しては、 管理者は法的かどうかに関わらず、一切の責任を有しない。(前条第(a)項参照) 但し、管理者はそのような契約上の関係について、区分所有者を補助し助言を与えることができる。 9. 管理者は、ユーティリティ供給者の要請に基づいて契約上の様式と内容について、 区分所有者に助言を与える義務を負う。 10. 管理者は、区分所有者と管理組合間におけるすべての法的・実務的な問題について、 区分所有者に助言を与える義務を負う。 (訳注) このような国内法の法令を必要とする背景は、
公団賃貸住宅を払い下げて分譲共同住宅としたとき、 変換登記して3ケ月以内に管理組合の登記がない場合、実質的に管理組合が機能するまでは、 強制的に資格をもった管理者を雇用させて管理させなさい、という趣旨ですが、 公団住宅に限らず、民間の賃貸住宅を分譲共同住宅に変換する例は、わが国にもあります。 しかし、わが国には、法人組合として自発的に登記する以外は、管理組合を登記する強制的義務はない。 日本では、登記していない管理組合は「人格なき社団」或いは「権利能力なき社団」と云われています。
日本の区分所有法第3条の規定は「組合があるものとみなす」というあいまいな確認的宣言規定であって、 義務規定ではないから、裁判では「権利能力なき社団」の権利が常に問題になります。 (参考): 平成11年8月31日東京高裁判決「マンション管理費等積立金事件」 「4.5 分別管理していても」 を参照 国の制度として、不動産登記情報ー不動産管理情報ー不動産課税情報 の真ん中が抜けています。 国交省は、不動産登記情報と不動産課税情報から不動産所有者情報を入手できる制度を作りました。
平成27年2月26日国土交通省住宅局住宅総合整備課長と総務省自治行政局地域振興室長の連名による通達
「国住備第943号・総行地第25号」
[固定資産税の課税のために利用する目的で保有する空家等の所有者に関する情報の内部利用等について]
国連・欧州経済委員会がこの指針で貫いている精神は、管理組合の「権利と義務」を明確に規定した上で、 その権利を守り、義務を果たすよう国家が支援しなさいということです。 |