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(1)販売会社に責任はない > (2)販売会社に賠償命令 > (3)住民に飼育禁止と賠償命令

ペット訴訟(3):飼育規則に違反した住民に飼育禁止と賠償命令

カナダ・オンタリオ州コンドミニアム裁判所(Condominium Authority Tribunal (CAT) )の判例をご紹介しています。

(1)裁判の概要
    本事件は犬を飼育する住民の迷惑行為を理由として、管理組合が飼い主の住民に犬の永久飼育禁止と
    損害賠償を求めた裁判です。裁判所は、管理組合の主張を認め、飼い主の住民に対して犬の飼育禁止と
    8,273,56ドル(70万3,253円)の損害賠償を命じました。

(2)裁判権
    2015年12月3日「修正共同住宅法1998」が施行され、法の規定により、 2017年11月1日,コンド紛争
    専門のコンドミニアム裁判所(the Condominium Authority Tribunal 略称CAT)が発足しました。
    CATは、最終的にはすべてのコンド紛争を扱うことを目的としながらも、発足時の最初の活動目的を
    「管理組合の情報開示に関する紛争解決」に限定していましたが、2020年10月1日に改正施行
    された共同住宅法施行規則(法令番号179/17)により、裁判権(事物管轄)を権利義務の存否
    と損害賠償請求事案まで拡大しました。
    2020年10月13日に提訴された本裁判はその損害賠償請求の最初の適用事例です。

(3)オンライン紛争解決システム(CAT-ODR)(CAT’s online dispute resolution system) 
    CATはすべてオンラインで陳述を行い、和解協議ー調停ー判決の3段階を経て、訴訟提起から最後の
    判決まで3ケ月で結審することを目標とし、裁判官が関与するのは最終段階の判決の1ヶ月だけです。
    しかし、本事件は2020年10月13日に提訴され,和解協議ー調停に被告が参加せずに2ケ月後、最終
    段階の聴聞開始が12月24日、判決結審が2021年10月1日と、最終段階でも10ケ月かかっています。

    これは被告がアジア系住民でかつ英語が不得意で、本件訴訟が民族差別(アジアンヘイト)であると
    訴えた事情を裁判所が特別に考慮し、例外的に期間延長して被告の抗弁権を保障しようとした結果
    でしたが、それは被告が慣れない裁判に苦しんでいた個人的な事情があるにせよ、犬の管理に関し
    管理組合代理人弁護士からの度重なる警告文書を無視して、責任ある対応をしてこなかった事に
    対し、結果的にニューサンス(生活妨害)が認定されて、被告に厳しい判決が言い渡されました。

    (※) 上記で説明したように通常は当事者の都合による延期申請は認められません。
        しかし、2020年は新型コロナウイルス(COVID-19 pandemic)の社会的事情により、
        裁判所が審理延期を認めた事例が2020年4月から10月にかけて4件ありました。
      ONCAT 11(2020.04.29),ONCAT 22(2020.06.24),ONCAT 25(2020.07.15),ONCAT 40(2020.10.20)

(4)宣言書(declaration)と統治文書 (governing documents)
    判決に出てくる管理組合の宣言書(declaration)とは、分譲時にデベロッパーが管理組合の設立登記を
    することが法制化されており、そこに住むにはどのような義務と制限があるかを販売前に予め明らかに
    した登記添付文書で、いわば「登記事項証明書」のようなものです。後から住民自治で作る管理規約
    と細則は当然ながら宣言書の内容に拘束され、統一整序された体系になっています。
    その宣言書(declaration)と管理規約(by-laws)、使用細則(rules)を合わせて、管理組合の統治文書
    (governing documents)と呼んでいます。

    共同住宅法(Condominium Act, 1998)第79条[Duty to register declaration and description] で、
    デベロッパーが各住戸(ユニット)を販売する前に登記する宣言書の記載内容と手続きが規定され、
    第107条[Amendments with owners’ consent] に全区分所有者の90%以上の同意を得て
    宣言書を修正ー改定ー再登記する手続き規定があります。(対して管理規約変更は3分の2以上)
     「1.共同住宅法制改革の公共政策概論」 ー  「2. 世界の共同住宅法制」

(5)宣言書(declaration)は消費者保護が目的
    分譲前に宣言書を登記するのは米国も同じで、宣言書の附随資料として図面や、開発計画書等
    が含まれており、法的な権利義務を開示し、コンドミニアム分譲時の消費者保護として機能します。
    日本の区分所有法は民法の特別法として実体法的な権利義務の帰属・効果を規律するものですが、
    分譲契約等に生じる消費者保護の法律問題はその対象外です。
     「ニューサンス概論とペット訴訟」 ー  「(注1). 原始規約の問題 」
    その後に出来た「マンション管理適性化法」も消費者保護どころか業界保護と管理組合隷属化が
    実態で、日本の共同住宅法制には分譲時もその後の維持管理においても、消費者保護という
    概念はまったく存在していません。

○1. 目次
 事件概要
 判決理由 : A. 事案の概要 ・ B. 事案の概要       
 C:争点と分析
 争点1:被告の行為は原告管理組合の統治文書に違反しているか?
 争点2:裁判所は共同住宅法1.44と統治文書に従って犬の飼育禁止を命じるべきか
 争点3:管理組合は被告に統治文書で定める法令遵守の費用を課す事ができるか?
 判決

 

コンドミニアム裁判所 判決 No. 2021 ONCAT 91

CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNAL

DATE: October 1, 2021
CASE: 2020-00355N
Citation: Middlesex Vacant Land Condominium Corporation No. 605 v. Cui, 2021 ONCAT 91
Order under section 1.44 of the Condominium Act, 1998.
Member: Maureen Carter-Whitney, Member
The Applicant,
Middlesex Vacant Land Condominium Corporation No. 605
Represented by Kristi M. Sargeant-Kerr, Counsel
The Respondent, 
Weixiu Cui
Represented by Barrington Lue Sang, Paralegal / Self-Represented
Hearing: Written Online Hearing - December 24, 2020 to September 10, 2021

コンドミニアム裁判所 判決

判決日: 2021年10月1日
事件番号: 2020-00355N
事件名: Middlesex Vacant Land Condominium Corporation No. 605 v. Cui, 2021 ONCAT 91
準拠法令: 共同住宅法1998 第1章44項
裁判官  モウリーン・カーターホイットニー(コンドミニアム裁判所判事)
原 告: ミドルセックス・ヴェイカント・ランド・コンドミニアム管理組合(組合登記番号605);(MVLCC605管理組合)
代理人  クリスティ・M、サージャント・ケル(弁護士)
被 告: ウィシュ・クイ
代理人  バーリントン・ルゥ・サン(事務弁護士) /並びに被告ウィシュ・クイによる本人弁護 
聴聞:   文書並びにオンラインにて実施ー2020年12月24日 ー 2121年9月10日

判決理由 (REASONS FOR DECISION)

 A. 事案の概要(INTRODUCTION)

[1]  本事件は管理組合の宣言書(登記事項証明書)、管理規約、細則に規定されている強制執行条項
   に関し、住民が室内で飼育するペット、その他の動物の、建物共用部、その他の組合が管理する区域
   における迷惑行為の禁止及び制限事項の規定に違反したので、罰則規定の執行を求めるものである。

[2]  原告・MVLCC605管理組合は、原告の管理するコンドミニアムの区分所有者である被告ウィシュ・クイ
   (別名ミシェル・クイの名でも知られている)が同管理組合の規約等に違反していると主張する。

   被告・ウィシュ・クイは2019年8月に同コンドミニアムの一室を購入し、2匹の大型犬と共に住むように
   なったが、2019年10月頃から管理組合に対し、それらの犬の迷惑行為についての苦情や抗議が同
   共同住宅の他の住民から寄せられるようになった。

   管理組合の申立てによれば、それらの犬は、被告室内でもひどく吠え立てており、共用部においても
   犬の糞尿を放置して清掃しないなど適切に処理しておらず、被告はそれらの犬をまったく管理できて
   いない。

[3]  管理組合の請求事項は、被告の犬による住民に対する生活妨害行為(nuisance:ニューサンス)は、
   同管理組合の管理規約その他の規定に違反しているので、被告室内での犬の飼育を禁止し、犬を
   永久に手放すことの判決を求めることと、規約違反と迷惑行為に対して罰金制裁を課すことである。

   それに対して、被告は規約違反を犯してはいないと反論した。

[4]  当裁判所は、被告は、管理組合の管理規約4.10項及び細則E(1)とE(2)に違反していることを認定した。
   よって被告に対し、本判決日から30日以内に犬を手放す事、及びMVLCC605管理組合に対し、
   8,273,56ドル(70万3,253円)を支払うことを命じる。

 

 B. 事案の概要(INTRODUCTION)

[5]  2021年1月8日、被告は、本事件の審理に関して2週間の延期を求めて当裁判所の職員に連絡してきた。
   本コンドミニアム裁判所はオンラインで審理を進めることになっているが、彼女は弁護士を選任する準備を
   進めており、今までの審理記録を必要としていること、彼女自身は、今までの審理が全く理解できていない
   ことの個人的な理由を述べた。

    2021年1月11日、被告が今までの審理記録を入手した後で、裁判所は被告の要求に応じて聴聞を
    1月25日まで休止することを決定した。

    その後、聴聞を開始したが、被告は証拠を提出せず聴聞期間中その聴聞に参加することはなかった。

[6]  被告は個人的事情を理由として2021年3月17日まで裁判所のオンライン聴聞システム(CAT−ODR)
    に参加してこなかったが、2021年3月18日、裁判所に次のことを申し出た。
    被告はそこで聴聞で証拠を提出する旨の陳述を行った。被告は、彼女の陳述を証拠立てる理由
    としての個人情報を提出した。裁判官は、裁判所実務規則19条4項に従ってこの個人情報を非公開
    の秘密文書として保護命令を発した。

[7]  2021年4月19日、被告提出文書の調査後、原告弁護団の同意を得て裁判所は被告に対し、聴聞に
    参加するための追加の機会を許可した。
    この決定に至ったのは、裁判所実務規則44条を考慮したためである。この規定は関係者間での
    参加や意見の主張が整わずに終結した場合の協議再開規定であるが、本裁判は終結していない
    ので、この実務規則44条は適用できない。しかしながら、実務規則44条の立法趣旨を熟慮した上で、
    裁判官は、被告の事情により裁判への参加を認めないのは不公平であると判断した。

[8]  2021年4月20日、被告は代理人として事務弁護士バーリントン・ルー・サンを選任した旨、裁判所に
    届け出た。裁判官は、2021年4月22日木曜日、CATオンラインシステムに個別にアクセスするよう、
    かつ、遅れる事のないように被告に指示をした。
    2021年4月30日、裁判官は、CATオンラインシステムを通じて、事務弁護士バーリントン・ルー・サン
    から、被告弁護士となった旨の通知を受け取った。しかしながら、その後2021年5月13日まで連絡は
    何もなかったが、同日バーリントン・ルー・サン氏は、これまでの被告の弁明について修正を要求した。
    この申請を受けて、原告団の同意を得た上で、裁判官は2021年5月18日、修正申請を許可した。
    しかしながら、被告はいままで期限を守らず、かつ不誠実な説明をしてきたこと、被告の個人的事情
    を考慮しても、これ以上の遅滞は受け入れられないとの注意を与えた。

[9]  被告は原告からの反対尋問にも応じることなく、期限を守らず、審理の引き伸ばしを繰り返してきた。
    被告は期限終了後に裁判所の特別の許可を得てオンラインシステムを用いて主張を述べたが、
    それらの主張は根拠となる証拠を示すものではなかった。

[10]  最終弁論期日を過ぎた後も、被告の法定代理人は被告が長い間審理に応じようとしなかった理由
     を提出しなかった。被告の特別の事情を考慮して、裁判官は再度、被告の抗弁権を行使する機会
     を許可した。しかし、被告の最終陳述は不誠実なもので証拠として認められるものではなかった。

C:争点と分析 (ISSUES & ANALYSIS)

 争点1:被告の行為は原告管理組合の統治文書に違反しているか?

[11]  被告が飼育する犬を原因とする被告の行為は原告管理組合の宣言書(登記事項証明書)と
     ペット飼育細則に違反していると原告は主張する。

[12]  被告は、彼女の犬の行動は他の住民が飼育する犬に比べて特に吠えるわけでもなく、なんら
     管理組合の規則に違反していない。被告は犬の行動以外の他の理由で攻撃対象とされている
     と述べ、彼女が攻撃目標となったのは、自分がアジア人であり彼女の話す英語が完璧ではない
     からだと主張した。

[13]  原告は原告MVLCC605管理組合内の多様な居住者の証言を証拠として提出した。
     ・ 被告は彼女のシェパード犬がリードを付けずにコンドミニアムの共用部を走るのを放任していた。
     ・ 被告は彼女の犬達が彼女から離れて勝手に追いかけっこして走り回ることを制御できずに放
       任していた。
     ・ 彼女の犬達が他の住民が飼育する犬に突進して襲いかかるのは一度や2度ではなかった。
     ・ 彼女の犬達は彼女の室内で飼われているが、大きな声で吠えたて、数時間、時には12時間
       以上も遠吠えしていた。
     ・ 彼女の隣人達にとっては犬の吠える声は生活妨害であり、中には睡眠や仕事の平穏な環境
       の妨害、一人でいるとき、及び友人達と平穏な時間を過ごすことを妨害される被害を訴える者
       の証言があった。
     ・ 共用部で犬が糞をしても、被告はその後始末をせず、清掃もしなかったとの証言があった。

[14]  被告は原告の証言に異議を申し立てた。
     彼女の犬は特に吠えてもいないし、犬を走らせるときは犬のリードをはずすこともあるが、それでも
     犬のコントロールを失ってはいない。そして常にキャリーバッグを携行し、犬達が糞をしたときは清掃
     している。被告が弁論において特に強調したのは、犬の体重はそれぞれ170ポンド(77.2kg)と100
     ポンド(45.4kg)あるが、静かで、優しい性格であり、小さな犬達と遊ぶのが大好きだということで
     あった。彼女は原告の主張する生活妨害は根拠がないものであり、同意できないと反論した。

     コンドミニアム内では他の犬の吠える声が聞こえることもある。犬にとって吠えるのは自然なことだと
     主張する。被告はまた、何人かの居住者が、犬の吠える声は聞いた事もないし、彼らにとって何か
     の迷惑を蒙ったこともないとの証言を提出した。彼らは彼女が犬にリードをつけて共用部を歩いてい
     たこと、キャリーバッグを持参して犬が共用部で糞をしたときは、彼女が後始末をしていたところを目
     撃したと述べている。被告は、犬が屋外で主人を待つている間、決して吠えなかったとの証言を、
     彼女の清掃人の証言として提出した。彼女はまた、彼女の友人が一度彼女の部屋を訪問した時、
     彼女を待つまでの間も犬達の吠える声を聞いたことがなかった。そして犬達は大型犬に似合わず、
     とても繊細でひとなつっこかったとの証言を提出した。

[15]  すべての証言を照査した結果に基づき、裁判官は原告の証言を重く受け止めた。その証言は被告の
     証言よりも詳細で被告の犬が引き起こした事件の日時が克明に記録されていた。例えば、証人の
     一人は、犬が吠えて静穏な生活が妨害を受けたときの日時を2ヶ月間にわたって記録していた。
     対照的に、被告のほとんどの証人の証言は短く、犬についての一般的な印象を述べたもので、
     具体性に欠け、犬については問題ないと述べるにとどまるものであった。

[16]  証言の重要性を考えたとき、裁判官は原告の証言は確実で矛盾がなく信頼できるものであること、
     そして、被告証人のあいまいな証言よりも説得力があると認める。
     被告証人の何人かの隣人達は彼女の犬に悩まされたことがないのかも知れない。
     原告の証人達は、被告が共用部をリードを付けずに犬を連れて歩いているとき犬をコントロール
     できていないこと、また、犬が糞をしても被告はその後の清掃もしなかったこと、犬の吠える声が
     生活妨害行為であることの証言は真実に足るものであると認める。
     裁判官は被告のいう「彼女が特定民族に属し英語の技量が劣ることをもって攻撃対象となった」
     との主張は根拠がないものとして採用することができない。

[17]  ここで被告が原告管理組合の統治文書に違反しているかという点について振り返って見ると、
     オンタリオ共同住宅法1998並びに共同住宅法施行規則(法令番号179/17)の条文1(1)(d)(i)項
     では共同住宅の宣言書(登記事項証明書)、管理規約、細則に規定されているペットまたは
     他の動物の共同住宅内の共用部や資産における違反及び制限事項にかかわるコンドミニアム
     紛争をコンドミニアム裁判所に委ねることを規定している。

[18]  原告は、宣言書(登記事項証明書)及び細則を引用し、被告はそれらの各規定に違反している
     と主張する。これらの幾つかの条項はコンドミニアムにおける共用部における迷惑行為や傷害
     行為または不合理な妨害・干渉行為を禁止する一般的なもので特にペット飼育に関するもの
     ではない。
     裁判官は本事件の適用規定は統治文書中の宣言書(登記事項証明書)4章10項の規定
     及びペット飼育細則E(1)及びE(2)にあることを見出した。

[19]  前項の各規定は次の通りとなっている。

    ○ 宣言書(Declaration:登記事項証明書)4章10項 「動物」

    動物、家畜類、鶏、爬虫類、国内または外国産のペットは居室内または共有部の許可された場所
    で規則で禁止されたもの以外は理事会の文書による承認を得て飼育することができる。

    但し、室内で飼育する2匹以下の猫は理事会の承認なしで飼育することができる。
     ピットブルテリア(訳注:小型の闘犬の1種)やその他特に規定された大型犬、その他凶暴な、或い
     は静穏な生活を妨害する動物であると理事会が認定したものは飼育できない。

     飼育が認められた犬は飼い主と共に共用部に入ることができる。但し、区分所有者が排他的に
     使用することができるエリアを除き、共用部に入るときは常にリードをつけなければならない。
     犬の糞便は直ちに取り除かなければならない。犬は、共用部、室内に拘わらず走らせてはならない。

   ○ 細則E: ペット/動物 飼育細則

   E(1); 室内外、共用部のいずれにおいても、区分所有者、占有者は動物、ペットの行動を抑制
     し、或いはリードをつけて世話をしなければならない。共有部または屋外エリアでの動物の排泄物
     は、その動物をコントロールしている人間の手によって直ちに取り除き処分しなければならない。

   E(2); 飼育可能な動物の指定、及び、生活妨害(nuisance:ニューサンス)の判定は、
     理事会または管理者の絶対的な自由裁量に委ねられている。
     理事会がペットの所有者に対し文書でそのような動物の永久撤去を求めた場合、その通知文書
     受取後2週間以内にその動物を室内から永久に撤去しなければならない。

   E(5);  他の区分所有者の安全と願い及び他のペットに対して脅威を抱かせ、または、困惑させ
     或いは不当な生活妨害につながる可能性のあるいかなる行為をも禁止する。
     そのような生活妨害行為と認定された動物を飼育する者に対し、管理組合は理事会の絶対的
     自由裁量の判断のもとで、その者のペットの飼育許可を取り消すことができる。

     もしもペットが理由なく騒音を出して騒いだり、他の住民や彼らが飼育するペットに脅威を与えたり、
     彼らの静穏な生活を妨害するなどの問題が発生して、管理組合からの文書による警告を受けた
     場合は、ペットの飼い主は直ちに是正の措置を取らなければならない。

     更に理事会がペットの永久追放の処分を決定した場合は、その通知を受け取った日から2週間
     以内に、所有者はそのペットを手放さなければならない。

     本細則に基づいて管理組合がこれらの手続きに要した費用は裁判費用も含めてすべて、
    当該ペット の所有者たる区分所有者が負担するものとし、管理組合は当該区分所有者の
    月額共益費(管理費・修繕積立金)の請求に含めて請求するものとする。

[20]  裁判官は、被告はこの関連する規則に対する対応について、合理的な釈明をしていないことに
     ついて触れておく。

[21]  被告と被告の犬の行為について裁判官は管理組合の統治文書のペット飼育に関する各条項に
     違反していることを認める。特に下記の条項について違反しているのは明らかである。

     ・ 宣言書(登記事項証明書)4章10項の規定中、彼女は彼女の犬が共用部、室内を問わず、
      大きな声で吠え立て、他の住民の生活を妨害し、リードを付けずに共用部に入り、糞の始末を
      していないこと。
     ・ ペット飼育細則E(1)の規定中、リードを付けずに共用部に入り、糞の始末をしていないこと。
     ・ ペット飼育細則E(5)の規定中、犬を長時間吠えるのを放置し、他の区分所有者とペットに
      脅威を抱かせ、彼女の犬が理由もなく騒ぎ立てるのを許していること。

争点2:裁判所は共同住宅法1.44と統治文書に従って犬の飼育禁止を命じるべきか

[22]  原告は、統治文書の罰則を厳正に適用し、被告の犬は彼女の室内から永久に追放されるべきと
     主張する。

[23]  被告は、彼女に犬を手放せという要求は不公平で法外なものと主張する。彼女は更に、最終弁論日
    の7日前に、管理組合の前管理者(ミセス)ビクトリア・フイリップス氏が彼女に犬の飼育をやめるように
    アドバイスしたとの証言を提出した。裁判官は、原告がそのような情報は聞いていないし、そのような 
    証拠もないと証言したことに注目する。被告は既に犬を手放して彼女の室内には置いていないと証
    言したが、それが事実であると信ずるに足る証拠はない。

[24]  細則E(2)は理事会または管理者は文書で飼い主に対して生活妨害行為であると認定した場合、
    2週間以内に動物を手放すことを規定している。
    細則E(5)はまた、動物による生活妨害行為に対して直ちに是正措置をとるよう要求し、飼い主が
    それに従わなかった場合、通告してから14日以内に動物を永久追放するよう命じることができる
    規定である。

[25]  (ミセス)フイリップス氏は原告管理組合が統治文書のペット関連の強制的条項を適用するに至った
    経緯を証言した。彼女は被告の犬の行為と、それが規約や他の法令に違反しているとの警告文を 
    2019年10月31日と020年1月16日の2回送付した。原告は、この期間も被告がそれに応答するよう
    説得を続けていた。管理組合の理事会は、法的文書を送付することを決定した。この法的文書は
    原告弁護士名で2020年3月3日に送付された。この文書の内容は、彼女の犬が吠えるのを抑止させ
    ること、それが不可能なら、2020年3月17日までに犬を手放して室内から撤去すること、更に共用部
    での犬の排泄物は直ちに除去すること、これは理事会の指示決定事項であることを伝えている。

    (ミセス)フイリップス氏は更に次のように証言する。   
    被告の犬による統治文書規則違反の迷惑な生活妨害行為は2020年3月以降も続いた。
    被告の規則違反のパターンはその後も続けられた。2020年8月21日、原告弁護士は更に被告に対
    して2020年9月4日までに犬を撤去するよう警告文書を送付した。

    この文書には、この事件に関して管理組合は2020年3月から8月まで解決を目指して交渉を続けて
    きたが、被告はそれに応じなかったとの内容が記載されている。
    それに対して、2020年8月に受け取った被告からの回答文書では、被告は規則違反などしていない
    として、原告文書の警告内容を拒絶するものであった。
    よって、原告は本事件を裁判所に提訴することを決定した。

[26]  原告管理組合の宣言書7(3)項は、区分所有者と占有者に対して、共同住宅法及び宣言書、
    管理規約そして細則を守ることを求め、違反した対象者には管理組合として合理的な手段
    を取る義務があることを規定している。

    マスコッカ管理組合(管理組合登記No39)対 クルツワイザー事件(Muskoka Condominium
     Corporation No.39 v. Kreutzweiser,) の判決 ( 原注:2010 ONSC 2463,(Ont.S.S.C,J,) para,9.)
    でウッド(Wood)判事は次のように述べている。

    「管理組合が統治文書に基づいて強制力の行使を法廷に求めるとき、その根拠となる理事会
    にとっての合理性とは何か、という見方は、法廷が代わりに判断する合理性の基準ではない。
    そこには大きな違いがあることを裁判所は示さなければならない。
    その判断に恣意的な要素がない限り、理事会が合理的と判断してとった行動は、裁判所として
    支持することが重要である。」

[27]  ヨーク管理組合(管理組合登記No26)対 ラマダーニ事件 (York Condominium Corporation No.26
     v. Ramadani,) の判決 ( 原注:2011 ONSC 6726 para,42.) で、ストラーシ(Strathi)判事は
    次のように述べている。

    「少なくとも細則に基づいて管理組合がとった強制力の行使に関しては、合理的な手順による
     ことが求められており、それに反する無秩序は混乱を生むであろう。
     区分所有者と占有者には、他人が法を遵守していることを期待する権利があり、もしもそのような
     事が期待できないとしたら、管理組合は強制力を行使せざるを得ないが、強制力の行使にあた
     っては、合理的な判断基準が必要になる。ある所有者の犬の行為が共同住宅の規則を破った
     ことを理由として、彼の居室から犬を永久に手放すことを求めることは合理的なことであったが、
     ラマダーニ氏は、そのような行動はとらなかった。」
     ストラーシ判事は判決文のパラグラフ65で次のように述べる。

    「犬を家族から引き離すことは深刻な事態であった。人は彼らのペットと相互に理解し合っている。
     しかしながら、共同住宅に住むということは、各人がマナーを守り、隣人同士お互いの利益を守る
     事で成り立っている。各人はこれらの契約条項を遵守する事で区分所有者の権利を得ている。
     被告は、世間から信用され敬意を表されるための心構えを準備していなかったことがこの裁判で
     示された。その結果、不幸なことだが、この共同住宅から離れて別の家に犬を移す事になるで
     あろう。」

[28]  本コンドミニアム裁判所における最近の事件で、本事件に関連するペット裁判で、統治文書における
    条項に関連する判例としてピール管理組合(管理組合登記No96)対 ソファミス事件
    (Peel Condominium Corporation No.96 v. Psofirmis,) の判決 ( 原注:2021 ONCAT 48 para,22.)
    では下記のように述べている。

    「法の遵守と罰則は共同住宅のコミュニティの規律の厳格な施行のためには双方等しく重要である。
    共同住宅に住むことの本質は、共同住宅の共通の所有者としての確かな要素であることの利益の
    見返りに、規則で出来ること、できないこと、放棄せざるを得ない事が決められている。」

[29]  細則では、被告の犬を永久に手放すことを命じる措置を取ることを許可している。そして原告は
    そのための手続きの過程を取ってきた。本法廷では被告からの証拠の提示もなく、また、原告の
    統治文書のペット条項には理由がないとの主張が提出されてきた。しかし、これらの条項を精査
    した結果、裁判官は原告の主張は合理的であり、敬意を払うべきであると認める。

[30]  ラマダーニ判決が認めたように、被告が犬を手放すという事は深刻でつらい事態である。しかし、
    ある意味では、被告の犬による被害を受けている同じ共同住宅に住む彼らの隣人への思いやり
    でもある。他の区分所有者や居住者の利益を守るために、管理組合は統治文書に従い、強制的
    手段を取らなければならない。

[31]  共同住宅法1.44(1)2項で本コンドミニアム裁判所が特別な行動に対する禁止命令を出すことが
    できると定めている。本条項の規定により、被告に対し、30日以内に本共同住宅MVLCC605
    より犬を追放する事を命じる。

争点3:MVLCC605管理組合は被告に統治文書で定める法令遵守の費用を
     課す事ができるか?

[32]  原告の要求はMVLCC605管理組合がこれまでに被告に法令遵守をさせるために要した費用の
    総額21,762.62ドル(1,849,822円)を被告に支払わせることである。
    原告の主張によれば、共同住宅法1.44(1)4項に規定されている賠償金条項を基礎として、
    統治文書の規定に従い、被告の責任に係る費用の賠償を求めるものである。

    被告は、統治文書規定に従う事を拒絶し、調停にも加わろうとはしなかった。本事件をエスカレート
    させて裁判を長期化させてきた原因はすべて被告にあり、賠償請求額21,762.62ドルは合理的な
    額である。

[33]  原告の主張によれば、総額21,762.62ドルのうち、3,776.21ドルは、2020年2月10日から2020年10月
    12日までのCATに提訴する前の費用で,被告に法令遵守を求めてきた措置にかかわる費用である。
    残りの17.989.41ドルは、CATに提訴するために要した費用である。
    原告はこれらの費用の内訳を明らかにしなかった。裁判費用以外の費用や消費税(訳注:HST)
    が含まれているか否かについても示さなかった。

[34]  被告は、彼女に対する原告の法的な行動は不必要なものであり、管理組合の費用は組合自身
    で出費すべきものであると主張した。

[35]  原告の訴えは、法的費用は統治文書の賠償金条項にしたがって算出されるべきであり、
    賠償金は共同住宅法施行規則(法令番号179/17)の1(1)(d)()項に規定されている。
    管理組合、区分所有者、抵当権者間の紛争はこの条項に記載がある。

[36]  加えて、細則(E5)については、下記の管理規約の第5章に記載がある。
    管理規約第5章、12.2(b)項
       法及び宣言書、管理規約、細則、または理事会の指示に違反した場合の措置は理事会
       決議によるものとする。加えて理事会に与えられる権限及び強制力の執行はこの規則による。

      (b) 法遵守の強制、不法妨害の排除、改善処置を執行する為の法的な手続きに要した費用は、
        違反が継続していた期間について、一般的には差し控えるものであっても制限なく、共同
        住宅法第W章の規定により、義務を履行する責任のある違反者が負担するものとする。
        管理組合がこのために要したすべての費用と経費は、直接経費、間接経費に係らず、
        その原因を招いた違反者が負担するものとし、共益費と同等の方法で課すものとする。

[37]  MVLCC605管理組合の統治文書の賠償金条項を精査してみると、管理規約第5章12.2(b)
    では下記のように規定している。

    統治文書に違反した場合、理事会はその是正を図るための適切な法的処置をとる権利を
    有している。その処置には共同住宅法第第W章に定める法の遵守の規定に則って行う措置命令
    が含まれている。更に付言すると、違反を完全に是正して原状回復するための費用は違反をした
    所有者の負担で損害の回復を図らねばならない。違反に係る同様の費用は管理組合から支出
    してはならないと規定している。

    更にまた、細則E(5)では、特にペット飼育に関する違反について裁判に要する法的費用を含めて
    違反者の負担とし、他の共益費(管理費・修繕積立金)の請求と同様の方法で支払わせなけ
    ればならないと規定している。

    これらの規定条項に基づき、裁判官は被告のペット飼育規則違反は原告規則の賠償金条項
    に該当する事を認める。

[38]  2020年8月21日、告代理人弁護士は被告に対し、下記の通知を送付した。
    「2020年9月4日までに被告が犬を手放さなかった場合、管理組合は共同住宅法132条及び134
    条の規定に従い、法の遵守の強制執行を求めてオンタリオ州高等裁判所に提訴することとする。
    これらのすべての費用は、被告の責任に基づくものとして被告の共益費に加算して請求するつも
    りである。」 

    「貴殿が上記の法的な対応に同意せず、2020年9月4日までに犬を手放すことを拒絶する
    場合は、当管理組合は、共同住宅法132条及び134条の規定に従い、問題の解決を求めて
    裁判所に提訴し、調停申請を行うことを準備しています。  
    裁判費用と貴重な時間の浪費が発生する前に、この深刻な事件の責任をお考えください。  
    どうか、速やかにご回答いただきますよう、お願い申し上げます。」

[39]  共同住宅法134'(1)項は、数ある団体の中でもとりわけ管理組合に対して、共同住宅法、宣言書、
    管理規約、細則に規定された規則の遵守の強制的執行を求めて高等裁判所に提訴すること
    ができる規定である。

    アムラーニ対ヨーク管理組合(組合登記番号473)(Amlani v. York Condominium Corporation No.473)
    の判決(原注:2020 ONSC 194)では、管理組合は法令遵守要請または強制的執行に要した
    費用は、いかなる紛争であっても共同住宅法134(5)項に規定のある裁判所の命令なしには、
    区分所有者に請求することができないとした。

    しかしながら、同法134(2.4)項で、この(5)項は、コンドミニアム裁判所の紛争処理には適用
    しないと規定している。 
    2020年10月1日に改正施行された共同住宅法施行規則(法令番号179/17)1(1)(d)項では、
    コンドミニアム裁判所の裁判権(事物管轄)がペット及び損害賠償請求訴訟まで拡大された。
    本事件のコンドミニアム裁判所への提訴は2020年10月13日である。

[40]  CAT裁判前の費用について述べる。被告はMVLCC605管理組合統治文書の違反を続けてきた。
    原告の共同住宅コミュニティから度重なる警告を受けていたにも拘らず、原告が提訴したCATの
    裁判前の事前調停も拒否して参加しなかった。裁判で訴えられた被告には裁判前に幾つかの
    救済パターンがCATによって準備されている。この裁判前の費用の請求権を原告に与えること
    は公平性の観点から妥当であると裁判官は認める。この費用は原告の主張では3,336.21ドル
    である。更に、裁判官は原告の損害賠償額を法令の基準に従って被告に支払わせることは
    合理的であると認める。この結論に至ったのは、原告が被告に対し規則を守るよう数ヶ月に
    わたって度々、被告に警告し、そして丁重に意見を求めてきたことを考慮したからである。
    CATの判決プロセスに先立って事前調停を行うのは、もしも、調停が整えば裁判費用が安く
    済むからである。

[41]  ここで、裁判官は問題を変える。原告のCAT提訴に関する法的費用の請求が認められるか
    否かという点である。事件の裁定はコンドミニアム裁判所の管轄に入った。アムラーニ裁判の
    損害賠償規則で述べたように管理組合は損害賠償請求を当裁判所で首尾一貫して
    遂行できることになった。しかしながら、コンドミニアム裁判所の費用の裁定権限は共同
    住宅法及びコンドミニアム裁判所実務規則によって与えられている。

    共同住宅法1.44(1)4によれば、コンドミニアム裁判所は審理を通して当事者の一方に
    費用を課すことができる権限を有している。コンドミニアム裁判所実務規則46項によれば、
    すくなくとも、特別の理由がない限り、当事者の一方に他方の弁護士または事務弁護士
    費用を含めて課す命令を下すことはすべきではないと規定している。原告の訴えの法的
    費用とは、CATの費用である。
    従って、原告の損害賠償請求事項は、CATの費用算定規則に従うこととなる。

[42]  原告は最近の判例、ソファミス事件を引用した。この判決において、コンドミニアム裁判所は
    管理組合に対し、法的費用の請求を認めた。この決定を下すにあたってコンドミニアム裁判
    所は、被告が法令違反を繰返し、その行為は故意で行ったもので挑戦的なものであったこと
    に注目した。管理組合は全区分所有者から規則により法定の委任を受けている。そして、
    もしもこれらの費用の回収ができないとすれば、その費用は全区分所有者の責任と負担として
    残る事になる。ソファミス事件で裁判所は、チャン対トロント・スタンダード管理組合事件
    (Chan v. Tronto Standard Condominium Coporation No1834)(原注:2011 ONSC 108)
    に注目した。この裁判では、当事者の一方に相手方の法的費用を負担させるのは公平では
    ないとして請求は認容されなかった。このことは原告の費用請求を考える上で重要なひとつの
    原則である。

[43]  被告はCATの聴聞に最初から参加しなかった。にもかかわらず、審理の初期段階から延期の
    許可申請を行ってきた。しかしながら、議論は今まで述べてきたとおりである。
    裁判官は聴聞に参加しなかったのは個人的事情によるものであるとの被告の説明を受け入
    れてきた。そして他に参加できる機会を許可してきた。ここで被告から提出された追加の証言
    と最終弁論期日に遅れて証言が提出された。
    被告は代理人弁護士を任命した後も、期限を守らなかったことの弁明をしなかったが、
    それでも、裁判官は特別に審理を続行することを指示した。

[44]  原告はCATの費用を請求する権利を与えられるかという点については、裁判官は、被告が
    聴聞の際に延期を申請してきた時に理由として挙げた個人的事情とのバランスを考慮する。
    審理の遅れは対応する原告の法的費用の増大の原因ともなっている。
    裁判官は、原告の法的費用の請求額は正当なものであると認める。審理の遅延により発生
    した費用は、その原因たる被告の、もしくは時には、代理人弁護士の責任に帰する。彼らは
    裁判官の指示に従わなかった。しかしながら、正真正銘の個人的事情により聴聞に参加しな
    かったのは事実であるが、彼女はCATの審理プロセスとの戦いに苦しんでいたのであり、
    それが彼女と彼女の代理人の問題でもあった。

[45]  バランスを考慮し、裁判所実務規則46条に基づき、特別の理由により、本事件は、原告の
    裁判に要した費用17.989.41ドル(1,529,100円)の4分の1を被告に課すものとする。
    他の区分所有者にとっては、重荷を背負って生まれる(burden borne)ようなものであるが、
    それをすこしでも少なくするために考慮したものである。

[46]  それゆえに、原告の被告に対する賠償請求額のうち、裁判前費用3,776,21ドル(320,978円)及び
    裁判所実務規則46条に基づき、CAT訴訟費用4,497.35ドル(382,275円)、合計8,273.56ドル
    (703.253円)とする。

判決 (ORDER) 

[47]  当裁判所は下記を命じる。
 1.  被告は、本判決日より30日以内に彼女の犬をMVLCC605共同住宅の自室から撤去すること。 
 2.  被告は、本判決日より30日以内に原告に$8,273.56 を支払うこと。
裁判官 モウリーン・カーターウィットニー(Moureen Carter-Whitney)
コンドミニアム裁判所判事(Member,Condominium Authority Tribunal)
Released on : October 1.2021

以上

(注:)本頁で示したカナダドルの円換算表示は、判決日時点のものです。1CAD(Canadian dollar) ≒ 85円
   (本頁掲載日 2022年3月10日時点=81.43円 但し市中の CURRENCY EXCHANGE です。)

(2022年3月10日初版掲載・随時更新)
(Initial Publication - 10 March 2022/ Revised Publication -time to time)