(6) 【判決】訴えを却下 (DISMISSAL ORDER)(2022 ONCAT 107)
【年度別目次】 (2021) (2022) (2023) (2024)
No. | 事件番号 | 内容 | 判決日 |
---|---|---|---|
(5) | 2022 ONCAT 5 | (5)【判決】訴えを却下(名誉役員の選任) | 2022年1月14日 |
(6) | 2022 ONCAT 107 | (6)【判決】訴えを却下(エアコンの排水ドレン) | 2022年10月11日 |
事件の概要
(5) 理事会の名誉役員の選任はニューサンスを構成しない。訴えを却下
(6) エアコンの排水ドレンはニューサンスを構成しない。訴えを却下
(6) 【判決】訴えを却下 (DISMISSAL ORDER)(2022 ONCAT 107)
CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNALDATE: October 11, 2022
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コンドミニアム裁判所(CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNAL)
判決日: 2022年10月11日
事件番号: 2022-00559N
事件名: ラーマン対 ピール スタンダード コンドミニアム管理組合(登記番号779), 2022 ONCAT 107
準拠法令: 共同住宅法1998 1.41
裁判官 イアン・ダーリング(コンドミニアム裁判所議長判事)
原 告: アキブ・ラーマン/本人弁護
被 告: ピール スタンダード コンドミニアム管理組合(登記番号779)(”PSCC779”と略)
【判決】訴えを却下 (DISMISSAL ORDER)
[1] アキブ・ラーマン氏は、2022年 8月22日にコンドミニアム裁判所 (CAT) に訴状を提出した。
原告は、建物の上部ユニットから滴る窓の基礎のエアコンからの結露水が迷惑を引き起
こしていると主張している。
CAT は訴状を審査したが、係争事件として審理することを承認しなかった。
[2] CAT は、2022年9月6日に裁判申請を却下する予告通知 (NOID:Notice of Intent to Dismiss)
を発行した。
2022年9月12日に、原告は申請を修正する機会を要求した。CAT は要求を承認し、原告は
2022年9月17日に申請書を更新した。申請書の改訂後、CAT は NOID を再発行した。
[3] 原告は裁判所に数通の電子メールを送信したが、NOIDに関する直接の回答はしなかった。
被告管理組合は NOID に対して意見を提出する機会(抗弁権)を与えられたが、提出しない
ことを選択した。
[4] CAT の実務規則 19.1 に基づき、CAT は、紛争を審理または決定する法的権限がないと判断
した場合、事件を終結させることができる。
[5] CAT は 2017 年に設立された。1998 年のコンドミニアム法 (「本法」) に基づいて作成され、
裁判管轄権は政府によって決定される。オンタリオ規則 179/17 は、 CAT が審理できる具体的
な論争を規定している。2022年1月1日に、裁判所の管轄権が拡大され、特定の「迷惑な紛争」が
含まれるようになった。迷惑行為は、法第 117 条 (2) (b) および オンタリオ規則 48/01の26で
規定され、これらには騒音、臭い; 煙; 蒸気; 照明; 振動が含まれる。
[6] この裁判の申請書は、裁判所の管轄下で提出され、管理組合の宣言書、管理規約、または
使用細則に関する紛争を解決するために提出された。
...(iii.2)...住戸内の個人、管理組合の共用部または資産 (存在する場合) に対する
その他の嫌がらせ、迷惑、または混乱を禁止、制限、または管理する。
[7] 裁判官は、当法廷として迷惑行為を構成するものを決定していないが、問題が審査された最近
の法廷の決定に注目する。法廷は、カナダ法における迷惑行為の定義に関する主要な権威
である、Antrim Truck Center Ltd. V. Ontario (Transportation) 2013 SCC 13 (CanLII)における
カナダ最高裁判所の判決に言及した。この判決では、[*1] 被告の行為を次の通り認定した。
[20] …コンドミニアム法(1998)117 (2)(以下「本法」) およびコンドミニアム法施行規則(48/01)に
定められた迷惑行為の所定のカテゴリーに明確に該当しない。
その宣言書と管理規約、細則には迷惑行為の定義がない。迷惑行為の主張を裏付けるには、
干渉が実質的かつ不合理でなければならない。実質的な干渉の要件には、干渉の頻度と
持続時間の要素が含まれる場合がある。「些細な」干渉は、迷惑行為の主張を裏付けるのに
十分ではない。
(原注:[*1] Carleton Condominium Corporation No.132 v. Evans 2022 ONCAT 97)
[8] ここで、原告は管理組合がエアコンの結露が滴る問題に対処していないため、管理組合の統治文書の
規定を施行できていない主張する。
(訳注:宣言書、管理規約、使用細則をまとめて統治文書(governing documents)という。)
[9] 宣言書、管理規約、および使用細則は、コンドミニアムの統治文書と総称される。コンドミニアム法は、
これらの各文書の目的を定めている。それらは各コンドミニアムコミュニティに固有のものである。
「その他の」迷惑行為を検討する場合、CAT は、当該規定が申し立てられた迷惑行為を「禁止、制限、
またはその他の方法で管理する」かどうか、およびその方法を検討する必要がある。
[10] 原告は、被告が準拠文書のいくつかの規定を執行できなかったと主張している。具体的には:
1. 配管器具がバルコニーの側面から突き出ることを禁止する規則
2. バルコニーには屋外用家具のみを許可するという規則
3. 所有者が共用部を妨害することを禁止する規則
4. バルコニーから何も投げ出さないことを要求する宣言の条項
5. 理事会が統治文書の遵守を強制することを要求する付則
[11] 原告は、これらの規定を実施しないことにより、コンドミニアムが迷惑行為の発生を許していると
主張する。
[12] CAT が訴状を審査した後、原告は、原告が特定した規定が、申し立てられた迷惑行為 (結露の
落下および滴り) に明確に関連または定義していないことを CAT から通知された。したがって、
規定は、原告が[苦情を申し立てる状況を禁止、制限、または管理」するものではない。さらに、
これらの状況は迷惑行為とは見なされず、コンドミニアムの文書には迷惑行為とは定義されていない。
特定された条項が迷惑行為にどのように関連しているかを明確にするように求められたとき、原告は
問題の説明に変更を加えたが、これらの変更は、紛争が CAT の管轄外であるという基本的な懸念
に対処していない。
[13] CAT がこの種の訴えを受理するためには、係争中の問題は、コンドミニアムの管理文書で禁止、
制限、または管理されているタイプの迷惑行為、煩わしさ、混乱に関連している必要がある。
この係争事件で特定された規定は、申し立てられた迷惑行為には適用されない。関連する
統治文書を確認したが、以下の理由により適用されないことが判明した。
1. 配管設備規則では、配管設備は意図された目的にのみ使用する必要があると規定している。、
原告はエアコンの凝縮水ドレンに取り付けられているガーデン ホースは配管器具であると
主張する。エアコンとホースは配管器具ではないので、これは当てはまらない。
2. バルコニーでは屋外用家具のみを許可するという規則は適用されない。規則の意図は、
エアコンの使用を制限したり、そこから発生する結露に対処したりするのではなく、
バルコニーでの物品の保管を制限することにあるためである。
3. 原告は明らかに、エアコンドレン排水の滴りが共用部の使用または楽しみを妨げていると、
感じているが原告はエアコンの凝縮水と共用部の障害物との間の関係を確立していない。
4. 原告は、水滴がバルコニーから投げ出されたものとみなされることを立証していない。
したがって、バルコニーから何も投げ出さないことを要求する宣言の規定は適用されない。
5. 管理規約が理事会に統治文書の順守を強制することを要求しているのは事実ですが、
原告は問題の状況を禁止または制限する規定を特定していないため、この一般規定は
適用されない。理事会が執行に失敗したと言える規定の条項は存在しない。
[14] 裁判所とのオンラインシステムによる通信で、原告は以前の CAT の事例を引用した。
裁判所がバルコニーに保管された運動器具が統治文書に違反していると判断したもの [*2] 、
および水と土がバルコニーに落ちていることを発見した別の事件で上の住戸からの迷惑行為
を認定した。
(原注:[*2] Carleton Condominium Corporation No.132 v. Evans 2022 ONCAT 97)
(訳注:当Hpにも掲載されている。CAT判例、ニューサンス・除雪妨害(2022 ONCAT 97 )
これらの事件は各事件の特定の事実と関連するコンドミニアムの統治文書に基づいて決定された。
ピール スタンダード コンドミニアム管理組合 No. 779 の統治文書は、本訴に記載されている特定の
状況を制限、禁止、または管理していない。
[15] この紛争を構成する争点は CAT の管轄外であることが判明した。したがって、本件の却下を命じる。