ホーム > 大規模修繕目次 【前頁】 > 3. 大規模改修工事開始までの流れ >4.修繕委員会を立ち上げよう >【次頁】 5. 専門家の選定と委託業務内容

1. 修繕委員会を立ち上げよう(検討体制の確立)

大規模修繕を実施するためには、必要とされる改修工事の内容、実施上の問題点、その解決方策等を調査検討し、その結果を 区分所有者と居住者にフイードバックして意見を聞き、更に次の調査検討に進むという継続的な計画立案作業が続きます。

調査検討する項目は居住性能・機能から見た建物、設備の現況や増設・改造・改良すべき点、所有者の意見など多岐にわたります。
そのため、大規模修繕は、通常どこのマンションでも計画から工事開始まで3〜5年程度を要するのが一般的です。
理事会の理事の任期は通常1〜2年で交代しますから、大規模修繕の立案作業を理事会のみで行うことは、技術的・時間的 に限界があります。

そこで、歴代の理事経験者や区分所有者の中で建築や設備等に関係する専門家などからなる修繕委員会あるいは専門委員会など の特別チームを作るのが一般的になってきました。

目的は、
@一定期間、委員を固定化し継続性をもたせる、
A調査検討する諮問機関(委員会)と議決機関(理事会)の機能を分離させて、理事会の負担を減らす、
B区分所有者の中の建築や設備の専門家に参加してもらい、技術的な判断をしてもらう、など

専門委員会は理事会の諮問機関として設置されることが多く、必要とされる改修工事の内容、実施上の問題点、その解決方策等を 調査検討します。専門委員会の役割は、専門的見地からの調査検討結果に基づく提案を行うところまでであり、最終的な方向付けは理事会 による決定になりますので、専門委員会は理事会と良好な関係を維持しながら協力して検討を行って行くことが重要になります。

 第2回目の大規模修繕を築12年目に行うとすれば、9年目の理事会で修繕委員会を設置すること、 及びその位置づけを総会に提案し、承認(普通決議)を得ておき、10年目から具体的に委員会活動を行うようにします。

一般的な長期修繕計画の作成・見直しの手順を示しました。
理事会の発意から長期修繕計画の作成まで、継続して数年の期間を要します。
専門的な知識も必要です。

そのため、理事会の諮問機関として維持管理に関する検討や修繕工事実施のための継続性のある専門委員会を設けて、 経験や知識のある区分所有者の参加を求めることが必要です。

標準管理規約 第55条(専門委員会の設置)

第55条 理事会は、その責任と権限において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。

(コメント)

@ 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を超える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が 専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等には、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。

A 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する 者(組合員以外も含む)の参加を求めることができる。

専門委員会の運営には、必要に応じて、適切なアドバイスをしてくれるような専門家を選ぶことも必要です。

2. 相互の役割分担を明確に

 修繕委員会は理事会の諮問機関であるという位置づけを明確にしておき、理事長が委員会に参加するなど、理事会との密接な連携をはかり、理事会、委員会が相互に役割を認識し、良好な関係を維持しながら協力して検討を行っていくことが重要です。

修繕委員はバランス感覚のある公正に判断できる人が望ましく、専門知識は必ずしも必要ではありません。むしろ生半可な知識は障害となることもあります。

3. 修繕委員会の業務

  • 長期修繕計画の作成・見直し
  • 大規模修繕工事計画の立案
  • 建物設備の診断調査の企画
  • 工事費用の概算予測
  • 施工業者及び監理者の選定に関する助言
  • 住民アンケートの作成と回収後の分析及び報告書の作成

4. 理事会が陥り易い3つのお任せに注意

@ 大規模修繕を管理会社に任せない。自分達が主体となること。

A 理事長や修繕委員長など一部の人に任せてしまうと、失敗をします。
 大きなお金が動く大規模修繕では透明性が信頼の基本であり、大勢の意見を結集してまとめる過程が大切です。
 「大きな仕事には大きなコミュニケーションが必要」 (Major Projects Need Major Communication)

B 大規模修繕工事を行う予定の3年前、つまり9年目の理事会の役割は重要です。ここで総会提案をし、大規模修繕への道筋を作ります。次の理事会へのお任せはしないでください。

高経年マンションの問題点 

住戸の居住性能 住戸面積の狭隘化 住戸面積が狭い、住戸面積が画一的で多様な規模の住戸がない、住戸内に洗濯機置場がない 
断熱性能の低下結露がよく発生する、省エネ仕様になっていない
設備の旧式化・陳腐化材料・機器の性能が老朽化・旧式化している、給排水システムが旧式化している、電気容量が不足している
建物共用部分の性能バリアフリーでない段差がある、手すりがない、エレベーターがない
防犯性能が低いオートロックでない、見通しが確保されていない、照明が薄暗い、又は不足している、防犯カメラが設置されていない、防犯に対する配慮がなされていない
エントランスの陳腐化内装仕上げ材、照明器具、集合郵便受け、掲示板当の金物類の性能、デザイン等のエントランスの雰囲気が陳腐化している
共用スペースの陳腐化管理事務所、宅配ロッカー・トランクルーム、共用倉庫、ラウンジ、プレイルーム、宿泊室等の機能がない
外観イメージの陳腐化仕上げ材、デザイン等の外観の雰囲気が陳腐化している
敷地内の性能バリアフリーでない段差がある、手すりがない
敷地内のイメージの陳腐化車道・歩道・広場等の舗装材料のデザイン・性能、屋外灯や外構工作物等のデザインが陳腐化している、緑化環境が整備されていない
付属・共用施設等が整備されていない集会所の機能が十分でない、駐車場・駐輪場・バイク置場等が不足している