ハラスメント(11) 【判決】事件記録提出請求棄却 (2023 ONCAT 46)
【年度別目次】 (2021) (2022) (2023) (2024)
No. | 事件番号 | 件名 | 判決日 |
---|---|---|---|
(7) | 2023 ONCAT 9 | (7) 【抗告】弁護士資格剥奪の申立て・却下 | 2023年1月25日 |
(8) | 2023 ONCAT 10 | (8) 【抗告】弁護士資格剥奪の申立て・却下 | 2023年1月26日 |
(9) | 2023 ONCAT 36 | (9) 【抗告】訴えを却下(裁判管轄) | 2023年3月7日 |
(10) | 2023 ONCAT 37 | (10) 【判決】訴えを却下(通気口ベントダンパー) | 2023年3月10日 |
(11) | 2023 ONCAT 46 | (11) 【判決】事件記録提出請求棄却 | 2023年3月21日 |
(12) | 2023 ONCAT 48 | (12) 【抗告】双方の申立てを却下(裁判管轄) | 2023年3月22日 |
(13) | 2023 ONSC 3758 | (13) 【控訴審判決】控訴棄却 | 2023年6月26日 |
(14) | 2023 ONSC 3834 | (14) 【控訴審判決】言い渡しを延期 | 2023年6月27日 |
(15) | 2024 ONSC 4415 | (15) 【控訴審判決】控訴棄却 | 2024年8月8日 |
解説:(2023.04,20) | 【ハラスメント概論と判例 目次】 |
コンドミニアム裁判所 判決 (REASONS FOR DECISION) No. 2023 ONCAT 46
CONDOMINIUM AUTHORITY TRIBUNALDATE: March 21, 2023
|
コンドミニアム裁判所 判決 (REASONS FOR DECISION)
判決日: 2023年3月21日
事件番号: 2022-00704R
事件名: ラーマン 対 ピール スタンダード コンドミニアム管理組合(登記番号779), 2023 ONCAT 46
準拠法令: 共同住宅法1998 1.44
裁判官: イアン・ダーリング(コンドミニアム裁判所議長判事)
原 告: アキブ・ラーマン/本人弁護
被 告: ピール スタンダード コンドミニアム管理組合(登記番号779)("PSCC779"と略)
代理人 アントニー・キャサリヌオーボ(弁護士)
聴聞: 文書並びにオンラインにて実施ー2023年1月18日 ー 2023年3月8日
判決理由 (REASONS FOR DECISION)
A. 事案の概要 (INTRODUCTION)
[1] アキブ・ラーマン氏(Aqib Rahman 「原告」) は、2020年4月にコンドミニアム管理組合("PSCC779"「被告」)
の区分所有者となった。
2022年10月、原告は記録の開示を要求した。その要求とは、管理組合が保有する2020 年4月から
2022年10月の間のアキブ・ラーマン氏に関するすべての事件記録(all incident reports)の提出である。
被告は、検討中の訴訟(contemplated litigation)に関連する記録の開示は免除されることを理由として、
記録の提供を拒否した。
本件の判決で求められている核となる争点は、被告の本件拒否は正当であったかどうかである。
[2] 単に実際に係争中であるか、または検討中の訴訟が存在するだけでは、区分所有者本人の
すべての記録の開示を自動的に拒否する理由としては不十分である。
本人による開示請求を拒否する場合は、要求された記録が訴訟の争点の範囲内
(within the scope of the issues in the litigation)にある場合にのみ正当化される。
裁判官は、当事者間の複数の法律紛争で提起された争点を検討し、要求された記録が
実際の訴訟または検討中の訴訟に関連して提出拒否に該当する記録であると判断した。.
[3] 原告は、PSCC779管理組合の構成員になって、ちょうど3年弱になる。
両者の関係は非常に対立的(highly conflictual).であると特徴付けることができる。
比較的小さな問題として始まったものが、相互に関連して複数の裁判所への申請や裁判へと
発展し、原告と被告の管理組合の間の紛争から、被告の弁護士を含むものにまで拡大した。
この対立は、すべての関係者にとって個人的にも金銭的にも著しいストレスとなっている。
この判決を書くにあたり、裁判官は、この判決は本件事件を裁定するものではあるが、
根底にある問題を解決するものではないことを心に留めている。
裁判官は、当事者と弁護士に対し、怒りと非難の応酬のサイクルから離れ、対立を緩和する
さまざまな方法を模索し、協力が共同生活の成功の鍵であることを認識していただくよう勧告する。
B. 予備審の争点 (PRELIMINARY ISSUES)
[4] 本事件は、いくつかの予備的な申立て(preliminary motions)から始まった。
まず、原告は訴訟の延期を申立てた。
裁判官はこの問題についての弁明の機会を与えた上で、最終的に要求された延期を拒否した。.
[5] 原告はまた、弁護士を解任する要求を開始する意思があったが、その申立ては撤回した。
[6] 原告の申立てが終結すると、被告は、訴訟を却下する申立てを提出した。証人がいなかったこと、
争点が単純明快であること、申請を却下する申立てが決定される問題と重複する可能性が
あったことから、裁判官は両当事者に予備審の争点についての実質的な説明を文書で提出
するよう指示した。
[7] 最終的に、裁判官はどちらの当事者の申立ても支持する理由を見つけることができなかった。
これらの要求のそれぞれについて、以下の順序で扱うこととする。
裁判の延期申立て (Request to Adjourn)
[8] 2023年1月31日、原告は、原告がオンタリオ州裁判所およびコンドミニアム庁に提出した民事の
係争事件に関して文書で申立ての草案を提出して延期を申請した。このとき裁判所は、延期を
認める決定は自動的に行われるわけではなく、次のようなさまざまな要因に依存することを伝えた。
1. 延期の理由と当事者の立場
2. 事件の争点
3. 要求を許可または拒否することによって生じる可能性のある先入観
4. 他の延期または再スケジュールを含む手続きの履歴
5. 手続きによって直接影響を受けるすべての当事者に、問題を知り、当事者の行為について
意見を聞く適切な機会を与える手続きで生じる問題を決定する最も迅速な方法を採用する
裁判所としての義務
[9] 裁判官は原告に申立てを裏付ける理由を提供するよう求めたが、原告は追加情報を提供しな
かった。裁判官は申立ての草案を見直し、また、決定すべき争点を特定するステージ2(調停)
の概要と順序も確認した。
[10] 裁判官は、申立書で説明されている問題は、1998年コンドミニアム法 (以下「本法」) に規定され
ているコンドミニアム裁判所(CAT)およびコンドミニアム庁の役割に関連し、本件の問題の範囲に
関連していると判断する。この場合の問題は、申立書の問題とは独立して決定することができる。
裁判官が延期申立てを認めるとしたら、コンドミニアム裁判所が問題を決定するための最も迅速な
方法を採用するという義務に反することになる。当裁判所はこの申立てを却下した。
弁護士の解任申立て (Request to remove legal counsel)
[11] 原告は、被告の弁護士を事件から解任する申立てを提出したいと述べた。申立てが提出されたとき、
当裁判所は、同時に発生した他の2つの事件で同じ申立てが検討されていた。裁判官は、最も効率的
なプロセスは、他の事件で解決されるまで申立ての聴取を遅らせることであると判断し、その後、裁判
所は、申立てを却下する 2 つの命令を出した[*1]。
申立て却下の決定を受け取った後、原告は申立てを取り下げた。
[*1] Rahman v. Peel Standard Condominium Corporation No. 779 - 2023 ONCAT 9 &
Rahman v. Peel Condominium Corporation No. 779 - 2023 ONCAT 10
裁判の棄却申立て(Request to Adjourn)
[12] 被告は、当裁廷の実務規則の規則19.1 に基づいて CAT が訴訟を却下するよう申立てした。
この規則に基づき、裁判所は、以下を含む特定の状況においていつでも申立てまたは事件を却下
することができる。
(a) 事件が、原告の懸念に対応するために被告にCATプロセスを通過させることが不公平なほど
小さな問題に関するものである場合。
(b) 事件が成功する合理的な見込みがない場合。
(c) 事件が、CATが審理または決定する法的権限を持たない問題に関するものである場合。
(d) 原告が不適切な目的でCATを使用している場合 (例: 煩わしい申立て書の提出)。
[13] PSCC779管理組合は、CAT には問題を決定する法的権限がなく、原告が不適切な目的で
CATを利用しているため、裁判所に訴訟を却下するよう求めた。
それぞれの根拠を順番に説明する。
規則 19.1 (c);裁判所は、この事件を審理または決定する法的権限を有しているか?
(Rule 19.1 (c): does the Tribunal have the legal power to hear or decide this case?)
[14] 被告は、法廷実務規則の規則 19.1 (c) に基づいて CAT に訴訟を却下するよう申立てした。
この規則は、CAT が審理または決定する法的権限を持たない問題に関する場合、裁判所に
訴訟を却下する権限を与える。
被告は次のように提出した。ただし、本件では、要求された記録は、(係争中の訴訟に加えて)
実際の訴訟の争点に関連している。
[15] 被告は、法第 55 条 (4) (b) に基づいて記録が拒否されたため、訴訟は却下されるべきであると
主張した。これは、記録を提供しないという決定の根拠であったが、CAT には事件を決定する法的
権限がないという被告の主張を支持するものではない。それどころか、これは紛争が裁判所の
管轄内にあることを明確にしている。被告は第 55 条の例外に依拠して、記録の提供を拒否した。
CAT は、法第 55 条に関連する紛争を管轄している [*2]。
被告は、法第 55条 (4) の免除を適用した後、実際の訴訟または検討中の訴訟に関連していたため、
記録の提供を拒否した。
[*2] Ontario Regulation 179/17. 1.(オンタリオ州法179/17)
(1) The prescribed disputes … are, (a) a dispute with respect to subsection 55 (1), (2), (2.1),
(3), (4), (5), (6) or (8) of the Act;
[訳注] O.Reg. 179/17は Condominium Authority Tribunal コンドミニアム裁判所規則で、
コンドミニアム裁判所(CAT) の権限と運営管理規定です。
[16] 被告はさらに、要求が所有者としての原告の利益に関連していないため、原告の記録に対する
権利は禁止されていると主張した。被告は、原告が、法の目的を考慮した所有者としてではなく、
訴訟当事者としての役割に関連して記録を要求していると主張した。
被告は、オンタリオ規則 48/01のセクション 13.3 (1)に依存していた。
(1) 法第 55 条 (3) に基づく記録の調査または写しの取得の権利は、次の場合を除き適用されない。
(a) 法律の目的を考慮して、区分所有者、購入者、または抵当権者が写しの調査または取得を
要求し、その要求が住戸の所有者、購入者、または抵当権者としてのその者の利益にのみ関連
している場合。
[17] 被告は再度、裁判所管轄の根拠について、CATには事件を決定する法的権限がないと主張した。
[18] 被告の申立ては、CAT には訴訟を決定する法的権限がないとして、訴訟を却下する要求であった。
被告は、原告には記録に対する法的権利がないという彼らの主張と、争点を決定する法的権限を
CATが持っていないという主張とを混同しているように見える。しかし、簡単に言えば、本件の却下
に対する被告の主張は、本件が明らかに法廷の管轄内にあることを実際に補強するものである。
CAT は問題を決定する管轄権を持っているため、被告の申し出は却下される。
CATは法4.2, 4.6 及び CAT実務規則19.1に従い、本件を棄却すべきか?
[19] CAT の実務規則は、原告が不適切な目的でCAT を利用している場合、事件を終結する権限を
与えている。これには、正当な権利の主張以外の目的で提起された手続きによる他の当事者へ
の嫌がらせや、抑圧を含む不適切な目的で提起された請求や、法的根拠やメリットがない請求が
含まれる場合がある。
[20] 被告は、CATはその規則に基づいてその権限を行使し、プロセスの乱用として手続きを却下
すべきであると主張した。この申立ての具体的な根拠を検討したところ、この事件(この強調は
裁判官自身による)が原告によって不適切な意図で提出されたと判断するのに十分な根拠が
ないことを認める。
この事件は、有効な記録要求から出されたものであり、決定すべき実際の問題が存在する。
したがって、裁判官は、本裁判棄却の申立てを却下する。
[21] 被告はさらに、CAT は原告に対し、今後訴訟を提起するか、進行中の訴訟に引き続き参加する
許可を得る必要があると述べた。将来のある時点で、CAT が複数のケースにわたる原告の行動、
および原告が厄介な訴訟案件を持っているか、または CATの事件に厄介な方法で参加したかを
考慮することが適切であるかもしれないが、その調査は、以下の文脈では必要ない。
被告の延期要請(Respondent’s request to adjourn.)
[22] 被告はまた、別の方法として、訴訟の棄却に失敗した場合、上級裁判所の訴訟の解決まで訴訟を
延期することを要求した[*3]。 [*3] (事件番号)File No. CV-20-0003993
裁判官は、原告に提供したのと同じ理由で、この訴訟の延期の要求を拒否した。
さらに、要求された記録はその事件に関連していないと認める。その為、事件を遅らせる必要はない。
受託者責任と意図的に仕組まれた詐欺(Fiduciary duty and constructive fraud)
[23] 原告の提出物のかなりの部分は、所有者としての彼の利益を保護するためのコンドミニアム管理
組合の理事会の受託者責任として彼が特徴付けたものに関係している。彼はさらに、被告の弁護士
について懸念を表明し、被告の法的費用を共益費からの費用として指定するために、被告が統治
文書の補償規定をどのように適用したかに関連する意図的な詐欺の申し立てを表明した。
これらの懸念は、原告にとって重要な問題であり、紛争を根本的に悪化させる要因である。
しかし、これらの問題は本事件の審尋の範囲を超えており当法廷の裁判管轄内にはない。
C:争点と分析 (ISSUES & ANALYSIS)
実際のまたは企図された訴訟に基づいて原告が記録を取得する権利を持たないというPSCC
779管理組合の法55(4)(b) の解釈は正しいか?
[24] 両当事者の提出物では、例外が存在しない限り、事件報告は所有者が権利を有する管理組合の
記録であることを両当事者が認めたことは明らかである。彼らはさらに、原告が記録要求プロセス
に従ったことに同意した。
[25] 被告は、記録の写しを調査または取得する権利は、実際のまたは企図されている訴訟に
関連する記録には適用されないと述べている法第 55 条 (4) (b) を引用して、記録の提供を
拒否した。
被告は、現行の 2 件の CAT事件に加え、CAT の決定に対する控訴と、要求された記録が
実際の訴訟または検討中の訴訟に関連しているという立場を支持する裁判所の決定を指摘した。
[26] 2 件の CAT訴訟は、それぞれ蒸気と駐車標識に関連する迷惑行為と統治文書で規定する
裁判管轄の問題で提起された。しかし、被告は、求められた記録と、それらの場合に法廷で争
われている問題との間の関連性を証明することができなかった。 CATの訴訟事件が 2 件存在
するだけでは、法第 55 条 (4) (b) に基づく記録の拒否の理由にはならない。問題の記録が問
題の実際のまたは企図された訴訟に関連しない場合、第55 条 (4) (b) は適用されない。
[27] 被告は、Rahman v. Peel Standard Condominium Corporation No. 779 , 2021 ONCAT 13 [*4]
の進行中の上訴も引用した。ここでも、これが適切な拒絶理由を提供しているとは思えない。
被告は、上訴の問題と要求された記録との間の関係を確立していない。
[*4] Peel Standard Condominium Corporation No. 779 v. Rahman, 2021 ONSC 7113 (CanLII)
{28] 被告はまた、仲裁も実際の、または予定されている訴訟免除に該当することを提出した.
彼らは、1991年仲裁法、SO 1991、c.17、および同法に従って発行された仲裁通知に言及
した。
[29] 当法廷は、仲裁が実際のまたは企図された訴訟免除の範囲内に収まるかどうかの問題を
検討するにあたって、ボッシオ対メトロポリタン管理組合965の判例 2018 ONCAT 6を参考
とした。(Bossio v. Metro Toronto Condominium Corporation 965, 2018 ONCAT 6)
「実際のまたは企図された訴訟」の範囲(the scope of "actual or contemplated litigation")は何か?
オンタリオ州法48/01(訳注:コンドミニアム法(Condominium Act, 1998)の実施のために
必要な細則又は手続きを定めたコンドミニアム法施行規則 ) のセクション13.1(1) 5 は
管理組合が「実際のまたは検討中の訴訟に関連し、管理組合が作成または受領した記録」を
保持することを規定している。 「実際のまたは企図された訴訟」は、同施行規則のs.1 .(2)で
次のように定義されている。
「実際の訴訟」とは、裁判所が関与する訴訟を意味する。("instance en cours")
(訳注:引用されている法48/01には項目末尾にこのように仏語の訳が付いている。)
「実際のまたは企図された訴訟」とは、実際の訴訟または企図された訴訟を意味
する。("instance en cours ou envisagee")
「企図された訴訟」("contemplated litigation")とは、管理組合の知見または管理下
にある情報に基づいて、実際の訴訟になると合理的に予想されるあらゆる事項を
意味する。("instance envisagee")
すべての訴訟やすべての法的手続きが法廷に持ち込まれるわけではない。
救済は、行政裁判所の前に、または特定の法律によって義務付けられた仲裁または
調停を通じて取得することもできる。これらはすべて法的手続きである。
裁判官は、ボッシオ裁判で概説されている理由に従う。仲裁は、実際の訴訟または
検討中の訴訟の傘下にある可能性がある。考慮すべき次の質問は、仲裁される
問題が要求された記録に関連しているかどうかである。
[30] 仲裁の通知では、PSCC 779 は被告としてのラーマン氏に次のことを要求していた。
(a) 被告は直ちに、及び永久的に、次のことを断念し、やめることの命令、
PSCC 779 の居住者、所有者、訪問者、管理組合理事、管理会社の資産管理者、
管理者、および/またはまたは PSCC 779の管理区域内のその他の従業員/スタッフ
(共用部および/または任意の住戸内を含む)に対する脅迫(threatening)、嫌がらせ(harassing)、
暴力的な脅しで人を)怖がらせること(intimidating)、不適当な(inappropriate),不穏な(disturbing),
不法な行為(illegal conduct)
(b) 被告が PSCC 779管理組合の理事会、管理会社の資産管理者(プロパティマネージャー)
および弁護士の名誉を毀損することを直ちに停止し、中止する命令。
(c) 被告が、PSCC 779 の理事会メンバー、プロパティマネージャー、従業員、請負業者、
およびその他の代理人と口頭または書類で、直接的または間接的に連絡または通信する
ことを禁止する命令。そのような禁止事項の唯一の例外は、被告の本来業務を遂行する上
で以下のように明らかに必要な場合である。
()PSCC 779 のプロパティマネージャーと、PSCC 779 の一般的な業務でEメールを使用
して連絡する場合、() 緊急の場合は、PSCC 779 の緊急電話番号に電話すること。
[31] これは、管理組合が求める救済の完全なリストではない。ただし、仲裁される問題は、
要求された記録に直接関係している。原告は、セキュリティおよびインシデント レポートに
関連する記録を要求した。仲裁通知で問題となっている行動の報告と証拠は、原告が要求
した記録に含まれる場合がある。要求された記録と仲裁の問題との間には直接的な関係
がある。私は、記録は実際の訴訟に関連していると結論付ける。
[32] 記録要求と回答が 2022 年 10 月に完了したことに注意してください。
仲裁通知の日付は2023 年 2 月 8 日です。現在、記録は「実際の」訴訟の免除に該当するが、
要求は仲裁通知よりも前のものである。私はまた、企図されている訴訟の免除が要求時に適用
されるかどうかを検討する必要がある。
[33] 被告は、2022 年 10 月に、現在の仲裁手続きにつながる訴訟を検討していると述べた。
被告はさらに、2020 年に要求されたインシデント レポートを含む記録の編集を開始したと述べた。
彼らは、この作業は、原告がコンドミニアムに引っ越してからわずか数か月後に開始したと述べて
いる。
[34] 原告は、企図されている訴訟免除の妥当性に疑問を呈した。彼は、コンドミニアム管理組合には
所有者としての彼に対する注意義務があると述べた。彼は、所有者に対する訴訟を検討する行
為は管理組合の理事会が所有者として彼に負っている受託者責任に違反していると主張した。
原告はまた、コンドミニアム管理組合の弁護士が、コンドミニアム管理組合と所有者としての自分
との関係に介入したことを提出した。原告は、コンドミニアムの弁護士が関係に悪影響を及ぼした
と主張した。原告は、同法は、コンドミニアム管理組合が計画中の訴訟を所有者に開示しなければ
ならないと要求していると主張した。
[35] 管理組合の注意義務に関する原告の理解は、法律と矛盾していると裁判官は判断する。
第17 条 (1) は、「管理組合の目的は、所有者に代わって財産および資産 (存在する場合) を管理
することである」と定めている。第 17 条 (3) はさらに次のように規定している。
宣言書、付則、および管理規約のこれらの条項規定は明確である。管理組合の義務は、個々の
所有者に対してではなく、すべての所有者に代わって財産と資産を管理することである。
この義務には、所有者に関連して執行措置を講じること、および管理組合に対して取られた訴訟
において管理組合を弁護することが含まれる。管理組合は、特定の事実状況についての合理的
な分析の後、管理組合によってまたは管理組合に対して開始される可能性のある訴訟を考慮
しても、その義務に違反したとは云えない。また、管理組合は、訴訟が検討されている可能性の
ある住戸所有者に対して通知する法定の義務を負っていない。
[36] さらに、管理組合と所有者との間の関係に関する原告の理解は、弁護士と依頼者の特権および
検討中の訴訟を扱う CAT の決定と一致していないことがわかる。 [*5]。
[37] 裁判官は、2022 年 10 月には、当事者間の関係の歴史に基づいて、セキュリティとインシデントの
レポートが訴訟の根拠を形成すると合理的に予想される可能性があるという被告の主張を受け入れる。
さらに、要求された記録 (事件報告) と仲裁の主題 (事件報告に含まれる原告が申し立てた行動)
との間に直接的な関係があることも判明した。したがって、被告が免除を適用し、要求された記録の
提供を拒否することは合理的である。
[38] 原告はまた、被告が第 55 条 (4) (b) に依拠しているにもかかわらず、彼が求めた記録を受け取る
権利があると申出した。これが真実である場合、公開の救済は当法廷の権限の範囲内ではなく、
関連する裁判所または仲裁の管轄内の問題である。
原告が記録を受け取る資格があると裁判所が判断した場合、裁判所命令 PSCC 779 は、
法律のセクション 1.44 (1) (6) に従って違約金を支払うべきか?<.p>
[39] 裁判官は、被告が記録の提供を拒否したことは正当であると判断した。罰則の根拠は、被告が合理的
な理由なしに記録の提供を拒否したことが判明した場合にのみ適用される。したがって、ペナルティを
与える根拠はない。
裁判所は費用を裁定する必要があるか?
[40] 被告は、10,136.10 ドルの訴訟費用の完全な補償ベースでの払い戻しを要求した。彼らはまた、手続き
に応じるための費用は、共益費を通じて訴訟費用を支払っている無実の区分所有者が負担すべき
ではないという原則を引用した。
[41] CAT 規則の規則 48.2 は、次のように規定している。
CAT は通常、一方の当事者に対し、手続きの過程で発生した弁護士費用または支払 (「費用」) を
他の当事者に払い戻すよう命令することはない。ただし、必要に応じて、CATは、当事者の費用の
全部または一部を別の当事者に支払うよう命令することができる。これには、不当な、不適切な
目的で行われたた、または遅延または追加の遅延を引き起こした当事者の行動に直接関連した
費用が含まれる。
[42] 費用の裁定が適切かどうかを決定する際に、裁判官は、法律の消費者保護の意図と、コンドミニアム
コミュニティ内の他の所有者の集合的利益に対して個々の所有者の権利をバランスさせる必要性を
考慮した。また、費用の評価に関するCAT の実務指針(Practice Direction)の基準も適用した。
[43] これらの手続きの間、原告は、裁判所の指示に従わず、不適切な言葉を使うことで、法廷に対して
無礼な行いを行った。彼は、CAT-ODR システムの[Request]タブから複数の申立てを提出したが、
これらは本物の要求ではなかった。原告は、不適切な時期に提出を試みた。オンライン書類審尋で
メッセージを投稿する許可を取り消す必要があった。これらの行動は苛立たしいものであったが、
法廷全体に混乱をもたらし、公聴会の全体的なスケジュールを遅らせることはなかった。.
[44] さらに、公聴会の冒頭で、裁判官は被告に、メッセージに応答するように指示した場合にのみ応答
するように指示した。この指示は、聴聞会が迅速に進行し、私が決定する問題に関係のない原告
からのメッセージに被告が不必要な費用を負担しないようにするためのものであった。
[45] 費用を裁定すべきかどうかを評価する際に、被告がどのように事件に参加したかについても考慮した。
裁判官の当事者への指示では、書類による提出物に最大20 ページの制限を割り当てた。
被告は、決定すべき問題に関する 20 ページの書類提出物と 150 ページの補足資料を提供した。
この作業は、決定する必要のある問題に対し不釣り合いである。
[46] 裁判官はまた、規則 19 に基づいて訴訟を棄却するという被告の申し立てを検討した。訴訟を却下
する被告の理由は、正当な管轄権の問題を提起するものではなく、最終的に、訴訟が裁判所の管
轄内にあることを確認した。被告の訴訟却下の申立てに対処したことで、公聴会は遅れた。この文脈
では、この申立てに関連する活動に対して被告に費用を与えることを検討することは適切ではない。
[47] さらに、この公聴会の開始時の紹介メッセージで、裁判官は、両当事者が他に 2 つの進行中のCAT
事件に関与していることを認めた。書面による審尋プロセスに関する当事者への指示の中で、
裁判官は当事者に決定すべき問題の文脈でのみ言及するように指示した(記録が事件の問題に
関連している場合). 両当事者は、本件の文脈において、これらの事件の主張および提出物に言及
することはできなかった。どちらの当事者もこの指示に従わなかった。原告は、特に 裁判所が
手続き上の命令を下した際に、時折他の事例に言及した。
被告は、第 2 段階の要約と命令書によるメッセージ、および 2 回の公聴会からの原告の提出物を含む
この公聴会の提出物に事件の詳細を含めた。被告は、これらのメッセージを使用して、原告の厄介
な意図を証明しようとした。原告が他のケースで不適切な行動をとっていた場合、このケースの正当性
に対する巻き添え攻撃としてではなく、それらのケースで裁判所に懸念を提起することが適切である。
直接命令に反していると考えている。
[48] 裁判所は、訴訟代表当事者が公正な手続きを確保するために追加の指示を必要とする場合があり、
時にはそれらの指示に従わない場合があることを理解している。原告はこの裁判所に数回出頭して
おり、自分がどのように振る舞うべきかを知っているので、それは言い訳にはならない。
ただし、弁護士が代理を務める当事者が法廷の明示的な指示に従わなかった場合は特に注意に
値する。これは、その当事者が、その弁護士を通じて、相手当事者の不適切な行為を理由に、
相手当事者に対して完全な補償ベースで訴訟費用を請求する場合には尚更である。
裁判官は、被告への費用の裁定は適切ではないと結論付けた。
[49] 各当事者がそれぞれの費用を負担するものとする。
命令 (ORDER)
[50] 本件を棄却する。
裁判官 イアン・ダーリング ( Ian Darling )
コンドミニアム裁判所 議長判事(Chair,,Condominium Authority Tribunal)
公開日:2023 年 3 月 21 日(Released on : March 21, 2023)
Note: Para[36]: [*5]
Anderson v. Niagara South Condominium Corporation No. 12 - 2022 ONCAT 28
Reva Landau v Metropolitan Condominium Corporation No. 757 - 2020 ONCAT 19
Kore v. Niagara South Condominium Corporation No. 12 - 2022 ONCAT 19
Jack Gale v Halton Condominium Corporation No. 61 - 2019 ONCAT 46
Zamfir v. York Condominium Corporation No. 238 - 2021 ONCAT 118
Wei v. Toronto Standard Condominium Corporation No. 2297 - 2021 ONCAT 8
(以上 マンションNPO 訳) (2023年4月28日初版掲載・随時更新)
(Initial Publication - 28 April 2023/ Revised Publication -time to time)
訳注(参考): 「管理組合に対する組合員からの個人情報の開示要求」
このHpの 「個人情報保護法と管理組合」
ー 「管理組合のための個人情報保護ガイドライン (Privacy Guidelines for Strata)」
ー 「 第4章 個人情報の開示要求」
を参照ください。
(但し、本訴事件とは直接的には無関係の一般的概念です。)