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2.3 法人制度はどう変わったのか ( 管理組合の位置付け )

 ここ10年くらいの間に、会社や、公益法人のあり方は会計ビッグバンの影響を受けて大きく変わりました。 その中で、管理組合がおかれている位置はどのように変化したのでしょうか。

2.3.1 変化を続けた法人制度

法人区分

法人種類

設立の根拠法

法人

 

 
営利法人 株式会社、合同会社(LLC) 商法改正⇒「会社法」創設
有限責任事業組合(LLP) 有限責任事業組合契約法
有限会社(特例) 有限会社法(廃止)
公益法人(注*1) 公益社団・財団法人 民法34条 ⇒
公益法人制度改革三法(2008.12.1施行)
移行法人・(特例民法法人)申請法人・一般社団・財団法人
社会福祉法人 社会福祉事業法 ⇒
「社会福祉法」に改題
宗教法人 宗教法人法
私立学校法人 私立学校法人法

非営利法人
(広義の中間法人)(注*2)

(公益法人制度改革三法による)一般社団・財団法人は、これまでの主務官庁による指導監督から、法人法に従い、自ら作成した定款による自治に切り替わる。

労働組合 労働組合法
商工組合・商工会 「商工法」・「小規模事業者支援促進法」
信用金庫 信用金庫法
無限中間法人
有限中間法人
中間法人法 (注*2)(2008.12.1廃止)
医療法人 医療法、(税法上は営利法人)
特定非営利活動法人
(NPO法人)
特定非営利活動促進法
地縁による団体  (注*3) 地方自治法260条の2
管理組合法人 管理組合 区分所有法
税法上は民法667条(組合)
権利能力なき社団    (注4)
民法組合 (注5) 民法667条(組合)

2.3.2 公益法人制度改革三法

 平成20年(2008年)12月1日 公益法人制度改革三法が施行されました。

1. 公益法人制度改革の背景

民法の規定に基く公益法人は法人の機関(理事会など)に関する規定がなく,法人の統治・監督などのガバナンスのあり方が不透明であり、 また,法人の設立手続及び公益性の判断は民法34条に、「技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、 営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる」と述べられているに過ぎません。

そのため、主務官庁が公益法人の設立許可権限に関して大きな裁量権を有し、主務官庁ごとに、或は申請時期ごとに恣意的な判断で 設立されてきた事への社会的な批判が高まり、民間による公益を推進する目的で120年ぶりの大改革が行われました

2.改革の狙い

新制度のもとでは、社団法人及び財団法人の設立は準則主義により、株式会社と同様に簡単に行えることになります。 この制度で設立される法人を一般社団(財団)といい、その設立や運営方法は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (法人法)」に規定されています。
一般社団(財団)法人のうち、公益性を認められた法人は公益社団(財団)法人を名乗ることが出来ますが、その公益性の規定に関する法律が、 「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(認定法)」です。

 公益性の認定は、民間有識者からなる国の公益認定委員会又は都道府県に設置された合議制の機関(都道府県により名称が異なりますが、 「公益認定委員会」または類似した名称を用いています)が行うことになります。

 従って、新制度のもとでは、旧来の「主務官庁」の概念は存在しません。但し、公益社団(財団)法人に関しては、行政庁(内閣府又は都道府県) の監督を受けることになります

 既存の公益法人に対する経過措置として、5年以内に一般社団(財団)法人に移行するか、公益認定を取得して公益社団(財団)法人に移行するかを 選択します。5年以内に移行しなければ解散となります。
移行するまでの間は旧来の制度がそのまま適用されます。この移行措置に関する法律が「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)」です。

特例民法法人:移行期間中であって、公益認定または一般法人への認可を申請していない既存の公益法人の総称です。 認定・認可をしないまま移行期間を経過すれば特例民法法人は解散されたとみなされます。移行期間は平成20年12月1日から5年間です。

移行法人 :特例民法法人から一般法人に移行した法人。移行法人は自ら策定した「公益目的支出計画」に従い、 公益目的で保有していた財産がゼロになるまで、これを実施していかなければなりません。これは、公益目的で取得した財産は、 最後まで公益目的に使い切るべきとの考え方によるものです。

「法人法」、「認定法」、「整備法」をあわせて「公益法人制度改革三法」と呼びます。

公益法人会計基準(昭和52年3月4日制定)は、下記のように改正されています。
(公益法人会計基準の改正の経緯)
(1)・昭和60年9月17日改正基準(以下「旧会計基準」という)
(2)・平成16年(2004年)10月14日改正(以下「新会計基準」という)
(3)・平成20年(2008年)4月11日改正(以下「新・新会計基準」という)

新・新公益法人会計基準
 (平成20年4月11日改正・平成20年12月1日以後開始する事業年度から適用)
 「新・新会計基準」の内容については、2.6 公益法人会計基準」を参照下さい。

2.3.3 中間法人

 公益も営利も目的としない中間的な団体は、上記のように特別法の規定がある場合に限り 法人格を取得することができます。 
公益法人以外の特別法による法人としては、労働組合法による労働組合や商工会議所法による 商工会議所、商工法の商工会、商工組合等があります。法人化した管理組合も含め、 これらは非公益かつ非営利の性格から公益法人と営利法人の中間に位置づけられるという意味で、 営利事業を行わず、かといって公益法人でもない事業法人の「形態」を、従来まとめて中間法人といってきました。

 これに対し、同窓会、親睦団体、業界団体、互助会等の非営利、非公益目的の社団については、 個別の特別法がなく、その目的や組織に適した形の法人となることができない状況にあったために、 「中間法人法」(平成14年4月1日施行)ができ、あらたに「制度」としての「中間法人」が誕生しました。

 この法律による中間法人とは「社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配 することを目的としない社団であって、この法律により設立されたものをいう」と定義(同法第2条1)され、 「中間法人でない者は、その名称中に、中間法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。」 (同法第8条2)と規定されていました。

これによって管理組合、同窓会,サークルなどの非公益かつ非営利目的の団体も法人格を取得できる ことになりましたが、実際には事業会社の登記がほとんどを占め、平成20年(2008年)12月1日に中間法人法は廃止となり、 それまでに設立された中間法人は一般社団法人に移行することとなりました。

(注3) 地縁による団体

  町内会、自治会は任意団体であり、従来、不動産の所有について、団体名義では登記することができませんでしたが、 町内会、自治会などに法人格を付与する認可地縁団体制度(平成3年4月、地方自治法260条の2)が創設された結果、 市長村への申請によって法人格を取得し、不動産などを自己名義で登記し所有する団体が増加してきました。

  (自治会を理解するために) 自治会とは

2.3.4 「権利能力なき社団」

 法人化していない管理組合が「権利能力なき社団」の性格をもつための要件

@ 団体としての組織を備え、(管理組合があること=区分所有法3条)
A 多数決による団体法理の原則が適用され、(団体のルールとしての管理規約があること)
B 構成員の変更にかかわらず団体が存続し、
C その組織において、代表の選出、総会の運営、財産の管理等の団体としての主要な事項が確定していること

 マンション管理組合は、通常は規約によって代表者又は管理者の定めをしており、その他上記が満たされているのが普通で、 これによって人格のない社団としての要件を満たすことになります。

この「権利能力なき社団」はまた、法人税法により内国法人である「人格のない社団」として扱われます。

2.3.5 「民法組合」

  ひとつの建物を数人が区分所有し、共益費を全員が持分に応じて出資しあい、一人が便宜上の代表者となって 共益費の事務を執行するけれども、それは事務の執行役員というだけで、全員の意思を代位するわけではなく、 したがって法律上の管理者ではない。財産の処分に関しては全員の合意が必要であり、多数決では決められない(民法251条)。

管理組合の団体としての意思はなく、個々の構成員の意思で決定される。(注:多数決で決めるのは人格なき社団となる)
 したがって任意組合は、構成員(組合員)の個性が強く表れ、任意組合の団体性は緩いものになる。

任意組合には、人格なき社団における代表者のような代表機関はない

したがって、一般的に代表者とされる業務執行組合員が締結する契約は、各組合員全員の名前で締結した契約ということになる。

任意組合の権利は、各組合員が共有する。

全体の利益は個人の利益よりも優先するという「団体法理」を適用するには4つの要件を満たさなければならないが、 この4つの要件を満たしていないのが民法上の任意組合です。(民法第667条)

 規約の定めがなく、全員の意思を代位する権能を有する代表者又は管理者の定めのないマンション管理組合の場合は、 民法組合として、多数決の団体法理が適用されず、全員合意が必要です。