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マンションの建替えの円滑化等に関する法律 (H23旧版)

(平成14年6月19日法律第78号)

平成23年改正:平成23年12月14日法律第122号

目次

 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 施行者
  第一節 マンション建替事業の施行(第五条)
  第二節 マンション建替組合
   第一款 通則(第六条―第八条)
   第二款 設立等(第九条―第十五条)
   第三款 管理(第十六条―第三十七条)
   第四款 解散(第三十八条―第四十三条)
   第五款 税法上の特例(第四十四条)
  第三節 個人施行者(第四十五条―第五十四条)
 第三章 マンション建替事業
  第一節 権利変換手続
   第一款 手続の開始(第五十五条・第五十六条)
   第二款 権利変換計画(第五十七条―第六十七条)
   第三款 権利の変換(第六十八条―第七十八条)
   第四款 施行マンション等の明渡し(第七十九条・第八十条)
   第五款 工事完了等に伴う措置(第八十一条―第八十九条)
  第二節 賃借人等の居住の安定の確保に関する施行者等の責務(第九十条)
  第三節 雑則(第九十一条―第九十六条)
 第四章 マンション建替事業の監督等(第九十七条―第百一条)
 第五章 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置
  第一節 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの勧告等(第百二条・第百三条)
  第二節 賃借人居住安定計画の認定等(第百四条―第百十一条)
  第三節 転出区分所有者居住安定計画の認定等(第百十二条―第百十六条)
  第四節 賃借人等の居住の安定の確保等に関する措置(第百十七条―第百二十四条)
 第六章 雑則(第百二十五条―第百三十一条)
 第七章 罰則(第百三十二条―第百四十一条)
 附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、マンション建替組合の設立、権利変換手続による関係権利の変換、危険又は 有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置等マンションの建替えの 円滑化等に関する措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を 図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義等)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
二 マンションの建替え 現に存する一又は二以上のマンションを除却するとともに、 当該マンションの敷地(これに隣接する土地を含む。)にマンションを新たに建築することをいう。
三 再建マンション マンションの建替えにより新たに建築されたマンションをいう。
四 マンション建替事業 この法律(第五章を除く。)で定めるところに従って行われる マンションの建替えに関する事業及びこれに附帯する事業をいう。
五 施行者 マンション建替事業を施行する者をいう。
六 施行マンション マンション建替事業を施行する現に存するマンションをいう。
七 施行再建マンション マンション建替事業の施行により建築された再建マンションをいう。
八 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下 「区分所有法」という。)第二条第一項 に規定する区分所有権をいう。
九 区分所有者 区分所有法第二条第二項 に規定する区分所有者をいう。
十 専有部分 区分所有法第二条第三項 に規定する専有部分をいう。
十一 共用部分 区分所有法第二条第四項 に規定する共用部分をいう。
十二 マンションの敷地 マンションが所在する土地及び区分所有法第五条第一項の規定により マンションの敷地とされた土地をいう。
十三 敷地利用権 区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権をいう。
十四 借地権 建物の所有を目的とする地上権及び賃借権をいう。ただし、臨時設備その他一時 使用のため設定されたことが明らかなものを除く。
十五 借家権 建物の賃借権をいう。ただし、一時使用のため設定されたことが明らかなものを 除く。

2 区分所有法第七十条第一項 に規定する一括建替え決議(以下単に「一括建替え決議」という。) の内容により、区分所有法第六十九条第一項 に規定する団地内建物(その全部又は一部が マンションであるものに限る。以下「団地内建物」という。)の全部を除却するとともに、 区分所有法第七十条第一項 に規定する再建団地内敷地に同条第三項第二号に規定する再建 団地内建物(その全部又は一部がマンションであるものに限る。以下この項において「再建 団地内建物」という。)を新たに建築する場合には、現に存する団地内建物(マンションを除く。) 及び新たに建築された再建団地内建物(マンションを除く。)については、マンションとみなして、 この法律を適用する。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、マンションの建替えの円滑化等を図るため、必要な施策を講ずる   よう努めなければならない。

(基本方針)
第四条 国土交通大臣は、マンションの建替えの円滑化等に関する基本的な方針(以下「基本方針」 という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 マンションの建替えの円滑化等を図るため講ずべき施策の基本的な方向
二 マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項
三 マンション建替事業その他のマンションの建替えに関する事業の円滑な実施に関する事項
四 再建マンションにおける良好な居住環境の確保に関する事項
五 マンションの建替えが行われる場合における従前のマンションに居住していた賃借人 (一時使用のための賃借をする者を除く。以下同じ。)及び転出区分所有者(従前のマンションの 区分所有者で再建マンションの区分所有者とならないものをいう。以下同じ。)の居住の安定の確保に関する事項
六 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進に関する事項
七 その他マンションの建替えの円滑化等に関する重要事項

3 基本方針は、住生活基本法 (平成十八年法律第六十一号)第十五条第一項に規定する 全国計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第二章 施行者

第一節 マンション建替事業の施行

第五条 マンション建替組合(以下「組合」という。)は、マンション建替事業を施行することが できる。

2 マンションの区分所有者又はその同意を得た者は、一人で、又は数人共同して、当該マンション についてマンション建替事業を施行することができる。

第二節 マンション建替組合

第一款 通則

(法人格)
第六条 組合は、法人とする。

2 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (平成十八年法律第四十八号)第四条 及び 第七十八条 の規定は、組合について準用する。

(定款)
第七条 組合の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 組合の名称
二 施行マンションの名称及びその所在地
三 マンション建替事業の範囲
四 事務所の所在地
五 参加組合員に関する事項
六 事業に要する経費の分担に関する事項
七 役員の定数、任期、職務の分担並びに選挙及び選任の方法に関する事項
八 総会に関する事項
九 総代会を設けるときは、総代及び総代会に関する事項
十 事業年度
十一 公告の方法
十二 その他国土交通省令で定める事項

(名称の使用制限)
第八条 組合は、その名称中にマンション建替組合という文字を用いなければならない。

2 組合でない者は、その名称中にマンション建替組合という文字を用いてはならない。

 

第二款 設立等

(設立の認可)
第九条 区分所有法第六十四条の規定により区分所有法第六十二条第一項 に規定する建替え 決議(以下単に「建替え決議」という。)の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意を したものとみなされた者(マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその 後に当該建替え決議の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。 以下「建替え合意者」という。)は、五人以上共同して、定款及び事業計画を定め、国土交通 省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長。以下「都道 府県知事等」という。)の認可を受けて組合を設立することができる。

2 前項の規定による認可を申請しようとする建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意 者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第三十八条の議決権の合計が、建替え 合意者の同条 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)を得なければならない。

3 区分所有法第七十条第四項 において準用する区分所有法第六十四条 の規定により一括建 替え決議の内容によりマンションの建替えを行う旨の合意をしたものとみなされた者  (マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者であってその後に当該一括建替え決議 の内容により当該マンションの建替えを行う旨の同意をしたものを含む。以下「一括建替え合 意者」という。)は、五人以上共同して、第一項の規定による認可を受けて組合を設立するこ とができる。

4 第一項の規定による認可を申請しようとする一括建替え合意者は、組合の設立に ついて、一括建替え合意者の四分の三以上の同意(同意した者の区分所有法第七十条第二 項 において準用する区分所有法第六十九条第二項 の議決権の合計が、一括建替え合意者 の同項 の議決権の合計の四分の三以上となる場合に限る。)及び一括建替え決議マンション 群(一括建替え決議に係る団地内の二以上のマンションをいう。以下同じ。)を構成する各 マンションごとのその区分所有権を有する一括建替え合意者の三分の二以上の同意 (各マンションごとに、同意した者の区分所有法第三十八条 の議決権の合計が、それぞれ その区分所有権を有する一括建替え合意者の同条の議決権の合計の三分の二以上となる 場合に限る。)を得なければならない。

5 前各項の場合において、マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人 を一人の建替え合意者又は一括建替え合意者(以下「建替え合意者等」という。)とみなす。

6 二以上の建替え決議マンション(建替え決議に係るマンションであって一括建替え決議マン ション群に属さないものをいう。以下同じ。)若しくは一括建替え決議マンション群又は一 以上の建替え決議マンション及び一括建替え決議マンション群に係る建替え合意者等は、 五人以上共同して、第一項の規定による認可を申請することができる。この場合において、 第二項の規定は建替え決議マンションごとに、第四項の規定は一括建替え決議マンション 群ごとに、適用する。

7 第一項の規定による認可の申請は、施行マンションとなるべきマンションの所在地が町村の 区域内にあるときは、当該町村の長を経由して行わなければならない。

(事業計画)
第十条 事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、施行マンションの状況、その 敷地の区域及びその住戸(人の居住の用に供するマンションの部分をいう。以下同じ。)の状 況、施行再建マンションの設計の概要及びその敷地の区域、事業施行期間、資金計画その他 国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。

2 事業計画は、建替え決議又は一括建替え決議(以下「建替え決議等」という。)の内容に適合 したものでなければならない。

(事業計画の縦覧及び意見書の処理)
第十一条 第九条第一項の規定による認可の申請があった場合において、施行マンションとなる べきマンションの敷地(これに隣接する土地を合わせて施行再建マンションの敷地と する場合における当該土地(以下「隣接施行敷地」という。)を含む。)の所在地が市の区域 内にあるときは、当該市の長は当該事業計画を二週間公衆の縦覧に供し、当該マンションの敷 地の所在地が町村の区域内にあるときは、都道府県知事は当該町村の長に当該事業計画を 二週間公衆の縦覧に供させなければならない。ただし、当該申請に関し明らかに次条各号の いずれかに該当しない事実があり、認可すべきでないと認めるときは、この限りでない。

2 施行マンションとなるべきマンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利 を有する者は、前項の規定により縦覧に供された事業計画について意見があるときは、縦覧 期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までに、都道府県知事等に意見書 を提出することができる。

3 都道府県知事等は、前項の規定により意見書の提出があったときは、その内容を審査し、その 意見書に係る意見を採択すべきであると認めるときは事業計画に必要な修正を加えるべきこと を命じ、その意見書に係る意見を採択すべきでないと認めるときはその旨を意見書を提出した 者に通知しなければならない。

4 前項の規定による意見書の内容の審査については、行政不服審査法 (昭和三十七年法律 第百六十号)中処分についての異議申立ての審理に関する規定を準用する。

5 第九条第一項の規定による認可を申請した者が、第三項の規定により事業計画に修正を加え、 その旨を都道府県知事等に申告したときは、その修正に係る部分について、更にこの条に 規定する手続を行うべきものとする。

(認可の基準)
第十二条 都道府県知事等は、第九条第一項の規定による認可の申請があった場合において、 次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
一 申請手続が法令に違反するものでないこと。
二 定款又は事業計画の決定手続又は内容が法令(事業計画の内容にあっては、前条第三項に 規定する都道府県知事等の命令を含む。)に違反するものでないこと。
三 施行再建マンションの敷地とする隣接施行敷地に建築物その他の工作物が存しないこと又は これに存する建築物その他の工作物を除却し、若しくは移転することができることが確実で あること。
四 施行マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
五 施行マンションの住戸の規模、構造及び設備の状況にかんがみ、その建替えを行うことが、 マンションにおける良好な居住環境の確保のために必要であること。
六 施行再建マンションの住戸の数が、国土交通省令で定める数以上であること。
七 施行再建マンションの住戸の規模、構造及び設備が、当該住戸に居住すべき者の世帯構成 等を勘案して国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
八 事業施行期間が適切なものであること。
九 当該マンション建替事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するため に必要なその他の能力が十分であること。
十 その他基本方針に照らして適切なものであること。

(組合の成立)
第十三条 組合は、第九条第一項の規定による認可により成立する。

(認可の公告等)
第十四条 都道府県知事等は、第九条第一項の規定による認可をしたときは、遅滞なく、国土交通 省令で定めるところにより、組合の名称、施行マンションの名称及びその敷地の区域、施行再 建マンションの敷地の区域、事業施行期間その他国土交通省令で定める事項を公告し、かつ、 関係市町村長に施行マンションの名称及びその敷地の区域、施行再建マンションの設計の概要 及びその敷地の区域その他国土交通省令で定める事項を表示する図書を送付しなければならな い。

2 組合は、前項の公告があるまでは、組合の成立又は定款若しくは事業計画をもって、組合員そ の他の第三者に対抗することができない。

3 市町村長は、第三十八条第六項又は第八十一条の公告の日まで、政令で定めるところにより、 第一項の図書を当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。

(区分所有権及び敷地利用権の売渡し請求)
第十五条 組合は、前条第一項の公告の日(その日が区分所有法第六十三条第二項 (区分所有法 第七十条第四項 において準用する場合を含む。)の期間の満了の日前であるときは、当該期 間の満了の日)から二月以内に、区分所有法第六十三条第四項 (区分所有法第七十条第四項 において準用する場合を含む。)に規定する建替えに参加しない旨を回答した区分所有者 (その承継人を含み、その後に建替え合意者等となったものを除く。)に対し、区分所有権 及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議等があった 後に当該区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含み、その後に建替え 合意者等となったものを除く。)の敷地利用権についても、同様とする。

2 前項の規定による請求は、建替え決議等の日から一年以内にしなければならない。ただし、 この期間内に請求することができなかったことに正当な理由があるときは、この限りでない。

3 区分所有法第六十三条第五項から第七項まで(区分所有法第七十条第四項において準用する 場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、第一項の規定による請求があった場合 について準用する。この場合において、区分所有法第六十三条第六項 中「第四項 」とある のは、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律第十五条第一項」と読み替えるものと する。

第三款 管理

(組合員)
第十六条 施行マンションの建替え合意者等(その承継人(組合を除く。)を含む。)は、すべ て組合の組合員とする。

2 マンションの一の専有部分が数人の共有に属するときは、その数人を一人の組合員とみなす。

(参加組合員)
第十七条 前条に規定する者のほか、組合が施行するマンション建替事業に参加することを希望 し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加 組合員として、組合の組合員となる。

(組合員名簿の作成等)
第十八条 第九条第一項の認可を受けた者は、第十四条第一項の公告後、遅滞なく、組合員の氏名 及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)並びに建替え合意者等で ある組合員又は参加組合員の別その他国土交通省令で定める事項を記載した組合員名簿を作成 しなければならない。

2 第九条第一項の認可を受けた者又は理事長は、次項の規定による通知を受けたとき、又は組合 員名簿の記載事項の変更を知ったときは、遅滞なく、組合員名簿に必要な変更を加えなければ ならない。

3 組合員は、組合員名簿の記載事項に変更を生じたときは、その旨を組合に通知しなければなら ない。

(組合員の権利義務の移転) br/>第十九条 施行マンションについて組合員の有する区分所有権又は敷地利用権の全部又は一部を 承継した組合員があるときは、従前の組合員がその区分所有権又は 敷地利用権の全部又は 一部について組合に対して有していた権利義務は、その承継した組合員に移転する。

(役員)
第二十条 組合に、役員として、理事三人以上及び監事二人以上を置く。

2 組合に、役員として、理事長一人を置き、理事の互選によりこれを定める。

(役員の資格、選挙及び選任)
第二十一条 理事及び監事は、組合員(法人にあっては、その役員)のうちから総会で選挙する。 ただし、特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる。

2 前項本文の規定により選挙された理事若しくは監事が組合員でなくなったとき、又はその理  事若しくは監事が組合員である法人の役員である場合において、その法人が組合員でなくな ったとき、若しくはその理事若しくは監事がその法人の役員でなくなったときは、その理事 又は監事は、その地位を失う。

(役員の任期)
第二十二条 理事及び監事の任期は、三年以内とし、補欠の理事及び監事の任期は、前任者の 残任期間とする。

2 理事又は監事は、その任期が満了しても、後任の理事又は監事が就任するまでの間は、なお その職務を行う。

(役員の解任請求)
第二十三条 組合員は、総組合員の三分の一以上の連署をもって、その代表者から、組合に対し、 理事又は監事の解任の請求をすることができる。

2 前項の規定による請求があったときは、組合は、直ちに、その請求の要旨を公表し、これを 組合員の投票に付さなければならない。

3 理事又は監事は、前項の規定による投票において過半数の同意があったときは、その地位を 失う。

4 前三項に定めるもののほか、理事及び監事の解任の請求及び第二項の規定による投票に関し 必要な事項は、政令で定める。

(役員の職務)
第二十四条 理事長は、組合を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、定款の定めるところにより、理事長を補佐して組合の業務を掌理し、理事長に事故 があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行う。

3 監事の職務は、次のとおりとする。

一 組合の財産の状況を監査すること。
二 理事長及び理事の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項が あると認めるときは、総会又は都道府県知事等に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。

4 定款に特別の定めがある場合を除くほか、組合の業務は、理事の過半数で決する。

5 組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合 においては、監事が組合を代表する。

6 理事長は、事業年度ごとに事業報告書、収支決算書及び財産目録を作成し、監事の意見書を 添えて、これを通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。

7 前項の監事の意見書については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、 磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、 電子計算機による情報処理の用に供されるものとして国土交通省令で定めるものをいう。) の添付をもって、当該監事の意見書の添付に代えることができる。 この場合において、理事長は、当該監事の意見書を添付したものとみなす。

8 監事は、理事又は組合の職員と兼ねてはならない。

(理事長の代表権の制限)
第二十四条の二 理事長の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(理事長の代理行為の委任)
第二十四条の三 理事長は、定款又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の 行為の代理を他人に委任することができる。

(理事長の氏名等の届出及び公告)
第二十五条 組合は、理事長の氏名及び住所を、都道府県知事等に届け出なければならない。 この場合において、施行マンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当該町村の長を 経由して行わなければならない。

2 都道府県知事等は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、理事長の氏名及び住 所を公告しなければならない。

3 組合は、前項の公告があるまでは、理事長の代表権をもって組合員以外の第三者に対抗する ことができない。

(総会の組織)
第二十六条 組合の総会は、総組合員で組織する。

(総会の決議事項)
第二十七条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 事業計画の変更
三 借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
四 経費の収支予算
五 予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
六 賦課金の額及び賦課徴収の方法
七 権利変換計画及びその変更
八 第九十四条第一項又は第三項の管理規約
九 組合の解散
十 その他定款で定める事項

(総会の招集)
第二十八条 理事長は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。

2 理事長は、必要があると認めるときは、いつでも、臨時総会を招集することができる。

3 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的である事項及び招集の理由を記 載した書面を組合に提出して総会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日 から起算して二十日以内に臨時総会を招集しなければならない。

4 前項の規定による請求があった場合において、理事長が正当な理由がないのに総会を招集し ないときは、監事は、同項の期間経過後十日以内に臨時総会を招集しなければならない。

5 第九条第一項の規定による認可を受けた者は、その認可の公告があった日から起算して三十 日以内に、最初の理事及び監事を選挙し、又は選任するための総会を招集しなければならな い。

6 総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の五日前までに、会議の日時、場所及び目的 である事項を組合員に通知しなければならない。ただし、緊急を要するときは、二日前まで にこれらの事項を組合員に通知して、総会を招集することができる。

(総会の議事等)
第二十九条 総会は、総組合員の半数以上の出席がなければ議事を開くことができず、その議事 は、この法律に特別の定めがある場合を除くほか、出席者の議決権の過半数で決し、可否同 数のときは、議長の決するところによる。

2 議長は、総会において選任する。

3 議長は、組合員として総会の議決に加わることができない。ただし、次条の規定による議決 については、この限りでない。

4 総会においては、前条第六項の規定によりあらかじめ通知した会議の目的である事項につい てのみ議決することができる。

(特別の議決)
第三十条 第二十七条第一号及び第二号に掲げる事項のうち政令で定める重要な事項並びに同条 第八号及び第九号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合(組合の専有部分が存しな いものとして算定した施行マンションについての区分所有法第十四条 に定める割合(一括 建替え合意者のみにより設立された組合にあっては、組合の持分が存しないものとして算定 した施行マンションの敷地(これに関する権利を含む。)の持分の割合)をいう。第三項に おいて同じ。)の各四分の三以上で決する。

2 権利変換期日以後における前項の規定の適用については、同項中「組合の」とあるのは 「組合及び参加組合員の」と、「施行マンション」とあるのは「施行再建マンション」と する。

3 第二十七条第七号に掲げる事項は、組合員の議決権及び持分割合の各五分の四以上で決する。

(総代会)
第三十一条 組合員の数が五十人を超える組合は、総会に代わってその権限を行わせるために総 代会を設けることができる。

2 総代会は、総代をもって組織するものとし、総代の定数は、組合員の総数の十分の一を下ら ない範囲内において定款で定める。ただし、組合員の総数が二百人を超える組合にあっては、 二十人以上であることをもって足りる。

3 総代会が総会に代わって行う権限は、次の各号のいずれかに該当する事項以外の事項に関す る総会の権限とする。
一 理事及び監事の選挙又は選任
二 前条の規定に従って議決しなければならない事項

4 第二十八条第一項から第四項まで及び第六項並びに第二十九条(第三項ただし書を除く。) の規定は、総代会について準用する。

5 総代会が設けられた組合においては、理事長は、第二十八条第一項の規定にかかわらず、 通常総会を招集することを要しない。

(総代)
第三十二条 総代は、定款で定めるところにより、組合員が組合員(法人にあっては、その役員) のうちから選挙する。

2 総代の任期は、三年を超えない範囲内において定款で定める。補欠の総代の任期は、前任者 の残任期間とする。

3 第二十一条第二項及び第二十三条の規定は、総代について準用する。

(議決権及び選挙権)
第三十三条 組合員及び総代は、定款に特別の定めがある場合を除き、各一個の議決権及び選挙権 を有する。

2 組合員は書面又は代理人をもって、総代は書面をもって、議決権及び選挙権を行使することが できる。

3 組合と特定の組合員との関係について議決をする場合には、その組合員は、議決権を有しない。

4 第二項の規定により議決権及び選挙権を行使する者は、第二十九条第一項(第三十一条第四項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、出席者とみなす。

5 代理人は、同時に五人以上の組合員を代理することができない。

6 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。

(定款又は事業計画の変更)
第三十四条 組合は、定款又は事業計画を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところ により、都道府県知事等の認可を受けなければならない。

2 第九条第二項の規定は組合が定款及び事業計画を変更して新たに施行マンションに追加しよう とする建替え決議マンションがある場合に、同条第四項の規定は組合が定款及び事業計画を変 更して新たに施行マンションに追加しようとする一括建替え決議マンション群がある場合に、 同条第五項の規定は組合が定款及び事業計画を変更して新たに施行マンションに追加しようと するマンションがある場合に、第十一条の規定は事業計画の変更(国土交通省令で定める軽微 な変更を除く。)の認可の申請があった場合に、第九条第七項、第十二条及び第十四条の規定 は前項の規定による認可について準用する。 この場合において、第九条第二項中「建替え合意者の」とあるのは「新たに施行マンション となるべき建替え決議マンションの建替え合意者(新たに施行マンションとなるべき建替え 決議マンションが二以上ある場合にあっては、当該二以上の建替え決議マンションごとの建替 え合意者)の」と、同条第四項中「、一括建替え合意者」とあるのは「、新たに施行マンショ ンとなるべき一括建替え決議マンション群の一括建替え合意者(新たに施行マンションとなる べき一括建替え決議マンション群が二以上ある場合にあっては、当該二以上の一括建替え決議 マンション群ごとの一括建替え合意者)」と、「一括建替え決議マンション群」とあるのは 「新たに施行マンションとなるべき一括建替え決議マンション群」と、同条第七項中「施行 マンションとなるべきマンション」とあるのは「施行マンション又は新たに施行マンションと なるべきマンション」と、第十一条第一項中「施行マンションとなるべきマンション」とあり 、及び「当該マンション」とあるのは「施行マンション又は新たに施行マンションとなるべき マンション」と、同条第二項中「施行マンションとなるべきマンション又はその敷地」とある のは「施行マンション若しくは新たに施行マンションとなるべきマンション又はそれらの敷地 」と、第十四条第二項中「組合の成立又は定款若しくは事業計画」とあるのは「定款又は事業 計画の変更」と、「組合員その他の」とあるのは「その変更について第三十四条第一項の規定 による認可があった際に従前から組合員であった者以外の」と読み替えるものとする。

3 組合は、事業に要する経費の分担に関し定款若しくは事業計画を変更しようとする場合又は 定款及び事業計画の対象とされた二以上の施行マンションの数を縮減しようとする場合に おいて、マンション建替事業の施行のための借入金があるときは、その変更又は縮減につい てその債権者の同意を得なければならない。

4 第十五条の規定は、組合が定款及び事業計画を変更して新たに施行マンションを追加した場合 について準用する。この場合において、同条第一項中「前条第一項」とあるのは「第三十四条 第二項において準用する前条第一項」と、「区分所有者」とあるのは「新たに追加された施行 マンションの区分所有者」と、同条第三項中「第十五条第一項」とあるのは「第三十四条第四 項において準用する同法第十五条第一項」と読み替えるものとする。

(経費の賦課徴収)
第三十五条 組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員 に対して金銭を賦課徴収することができる。

2 賦課金の額は、組合員の有する施行マンション(権利変換期日以後においては、施行再建マン ション)の専有部分の位置、床面積等を考慮して公平に定めなければならない。

3 組合員は、賦課金の納付について、相殺をもって組合に対抗することができない。

4 組合は、組合員が賦課金の納付を怠ったときは、定款で定めるところにより、その組合員に対 して過怠金を課することができる。

(参加組合員の負担金及び分担金)
第三十六条 参加組合員は、国土交通省令で定めるところにより、権利変換計画の定めるところに 従い取得することとなる施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権の価額に相当する額 の負担金並びに組合のマンション建替事業に要する経費に充てるための分担金を組合に納付し なければならない。

2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の負担金及び分担金について準用する。

(審査委員)

第三十七条 組合に、この法律及び定款で定める権限を行わせるため、審査委員三人以上を置く。

2 審査委員は、土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な 判断をすることができる者のうちから総会で選任する。

3 前二項に規定するもののほか、審査委員に関し必要な事項は、政令で定める。

第四款 解散

(解散)
第三十八条 組合は、次に掲げる理由により解散する。
一 設立についての認可の取消し
二 総会の議決
三 事業の完成又はその完成の不能

2 前項第二号の議決は、権利変換期日前に限り行うことができるものとする。

3 組合は、第一項第二号又は第三号に掲げる理由により解散しようとする場合において、借入金 があるときは、解散について債権者の同意を得なければならない。

4 組合は、第一項第二号又は第三号に掲げる理由により解散しようとするときは、国土交通省令 で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。

5 前項の規定による認可の申請は、施行マンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当該 町村の長を経由して行わなければならない。

6 都道府県知事等は、組合の設立についての認可を取り消したとき、又は第四項の規定による認 可をしたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。

7 組合は、前項の公告があるまでは、解散をもって組合員以外の第三者に対抗することができない。

(清算中の組合の能力)
第三十八条の二 解散した組合は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではな お存続するものとみなす。

(清算人)
第三十九条 組合が解散したときは、理事がその清算人となる。ただし、総会で他の者を選任した ときは、この限りでない。

(裁判所による清算人の選任)
第三十九条の二 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生 ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、 清算人を選任することができる。

(清算人の解任)
第三十九条の三 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又 は職権で、清算人を解任することができる。

(清算人の職務及び権限)
第三十九条の四 清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し

2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

(清算事務)
第四十条 清算人は、就職の後遅滞なく、組合の財産の現況を調査し、財産目録を作成し、及び財産 処分の方法を定め、財産目録及び財産処分の方法について総会の承認を求めなければならない。

(債権の申出の催告等)
第四十条の二 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者 に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。 この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記 しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。

3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第一項の公告は、官報に掲載してする。

(期間経過後の債権の申出)
第四十条の三 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、組合の債務が完済された後まだ 権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

(残余財産の処分制限)
第四十一条 清算人は、組合の債務を弁済した後でなければ、その残余財産を処分することができ ない。

(裁判所による監督)
第四十一条の二 組合の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3 組合の解散及び清算を監督する裁判所は、都道府県知事等に対し、意見を求め、又は調査を 嘱託することができる。

4 都道府県知事等は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

(決算報告)
第四十二条 清算人は、清算事務が終わったときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところに より、決算報告書を作成し、これについて都道府県知事等の承認を得た後、これを組合員に 報告しなければならない。

(解散及び清算の監督等に関する事件の管轄)
第四十二条の二 組合の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、組合の主たる事務所の 所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

(不服申立ての制限)
第四十二条の三 清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(裁判所の選任する清算人の報酬)
第四十二条の四 裁判所は、第三十九条の二の規定により清算人を選任した場合には、組合が当該 清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。  この場合においては、裁判所は、当該清算人及び監事の陳述を聴かなければならない。

(検査役の選任)
第四十三条 裁判所は、組合の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任する ことができる。

2 前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。 この場合において、前条中「清算人及び監事」とあるのは、「組合及び検査役」と読み替える ものとする。

第五款 税法上の特例

第四十四条 組合は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定 の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。この場合において、 同法第三十七条 の規定を適用する場合には同条第四項 中「公益法人等(」とあるのは「公益 法人等(マンション建替組合並びに」と、同法第六十六条 の規定を適用する場合には同条第 一項及び第二項 中「普通法人」とあるのは「普通法人(マンション建替組合を含む。)」と、 同条第三項 中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(マンション建替組合及び」とする。

2 組合は、消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用に ついては、同法 別表第三に掲げる法人とみなす。

第三節 個人施行者

(施行の認可)
第四十五条 第五条第二項の規定によりマンション建替事業を施行しようとする者は、一人で施行 しようとする者にあっては規準及び事業計画を定め、数人共同して施行しようとする者にあっ ては規約及び事業計画を定め、国土交通省令で定めるところにより、そのマンション建替事業 について都道府県知事等の認可を受けなければならない。

2 前項の規定による認可を申請しようとする者は、その者以外に施行マンションとなるべきマン ション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)について権利を有する者があるときは、事業計 画についてこれらの者の同意を得なければならない。 ただし、その権利をもって認可を申請しようとする者に対抗することができない者について は、この限りでない。

3 前項の場合において、施行マンションとなるべきマンション又はその敷地(隣接施行敷地を含 む。以下この項において同じ。)について権利を有する者のうち、区分所有権、敷地利用権、 敷地の所有権及び借地権並びに借家権以外の権利(以下「区分所有権等以外の権利」という。) を有する者から同意を得られないとき、又はその者を確知することができないときは、その同 意を得られない理由又は確知することができない理由を記載した書面を添えて、第一項の規定 による認可を申請することができる。

4 第九条第七項の規定は、第一項の規定による認可について準用する。

(規準又は規約)
第四十六条 前条第一項の規準又は規約には、次の各号(規準にあっては、第四号から第六号まで を除く。)に掲げる事項を記載しなければならない。
一 施行マンションの名称及びその所在地
二 マンション建替事業の範囲
三 事務所の所在地
四 事業に要する経費の分担に関する事項
五 業務を代表して行う者を定めるときは、その職名、定数、任期、職務の分担及び選任の方法に 関する事項
六 会議に関する事項
七 事業年度
八 公告の方法
九 その他国土交通省令で定める事項

(事業計画)
第四十七条 事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、施行マンションの状況、 その敷地の区域及びその住戸の状況、施行再建マンションの設計の概要及びその敷地の区域、 事業施行期間、資金計画その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならない。

2 施行マンションとなるべきマンションに建替え決議等があるときは、事業計画は、当該建替え 決議等の内容に適合したものでなければならない。

(認可の基準)
第四十八条 都道府県知事等は、第四十五条第一項の規定による認可の申請があった場合において、 次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
一 申請手続が法令に違反するものでないこと。
二 規準若しくは規約又は事業計画の決定手続又は内容が法令に違反するのでないこと。
三 事業計画について区分所有権等以外の権利を有する者の同意を得られないことについて正当な 理由があること。
四 区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができないことについて過失がないこと。
五 第十二条第三号から第十号までに掲げる基準に適合すること。

(施行の認可の公告等)
第四十九条 都道府県知事等は、第四十五条第一項の規定による認可をした ときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の氏名又は名称、施行マン ションの名称及びその敷地の区域、施行再建マンションの敷地の区域、事業施行期間その他 国土交通省令で定める事項を公告し、かつ、関係市町村長に施行マンションの名称及びその 敷地の区域、施行再建マンションの設計の概要及びその敷地の区域その他国土交通省令で定 める事項を表示する図書を送付しなければならない。

2 第五条第二項の規定による施行者(以下「個人施行者」という。)は、前項の公告があるま では、施行者として、又は規準若しくは規約若しくは事業計画をもって第三者に対抗するこ とができない。

3 市町村長は、第五十四条第三項において準用する第一項、第八十一条又は第九十九条第三項 の公告の日まで、政令で定めるところにより、第一項の図書を当該市町村の事務所において 公衆の縦覧に供しなければならない。

(規準又は規約及び事業計画の変更)
第五十条 個人施行者は、規準若しくは規約又は事業計画を変更しようとするときは、国土交通 省令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受けなければならない。

2 第九条第七項、第四十五条第二項及び第三項並びに前二条の規定前項の規定による認可につ いて準用する。この場合において、第九条第七項中「施行マンションとなるべきマンション」 とあるのは「施行マンション又は新たに施行マンションとなるべきマンション」と、第四十 五条第二項及び第三項中「施行マンションとなるべきマンション又はその敷地」とあるのは 「施行マンション若しくは新たに施行マンションとなるべきマンション又はそれらの敷地」 と、前条第二項中「施行者として、又は規準若しくは規約若しくは事業計画をもって」とあ るのは「規準若しくは規約又は事業計画の変更をもって」と読み替えるものとする。

3 第三十四条第三項の規定は、事業に要する経費の分担に関し規準若しくは規約若しくは事業 計画を変更しようとする場合又は規準若しくは規約及び事業計画の対象とされた二以上の施 行マンションの数を縮減しようとする場合について準用する。

(施行者の変動)
第五十一条 個人施行者について相続、合併その他の一般承継があった場合において、その一般 承継人が施行者以外の者であるときは、その一般承継人は、施行者となる。

2 施行マンションについて、個人施行者の有する区分所有権又は敷地利用権の全部又は一部を 施行者以外の者(前項に規定する一般承継人を除く。)が承継したときは、その者は、施行 者となる。

3 一人で施行するマンション建替事業において、前二項の規定により施行者が数人となったと きは、そのマンション建替事業は、第五条第二項の規定により数人共同して施行するマンシ ョン建替事業となるものとする。この場合において、施行者は、遅滞なく、第四十五条第一 項の規約を定め、その規約について都道府県知事等の認可を受けなければならない。

4 前項の規定による認可の申請は、施行マンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当 該町村の長を経由して行わなければならない。

5 数人共同して施行するマンション建替事業において、当該施行者について一般承継があり、 又は当該施行者の有する区分所有権又は敷地利用権の一般承継以外の事由による承継があっ たことにより施行者が一人となったときは、そのマンション建替事業は、第五条第二項の規 定により一人で施行するマンション建替事業となるものとする。 この場合において、当該マンション建替事業について定められていた規約のうち、規準に記 載すべき事項に相当する事項は、当該マンション建替事業に係る規準としての効力を有する ものとし、その他の事項はその効力を失うものとする。

6 個人施行者について一般承継があり、又は個人施行者の有する区分所有権若しくは敷地利用 権の一般承継以外の事由による承継があったことにより施行者に変動を生じたとき(第三項 前段に規定する場合を除く。)は、施行者は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところによ り、新たに施行者となった者の氏名又は名称及び住所並びに施行者でなくなった者の氏名又 は名称を都道府県知事等に届け出なければならない。 この場合において、施行マンションの所在地が町村の区域内にあるときは、当該町村の長を 経由して行わなければならない。

7 都道府県知事等は、第三項後段の規定により定められた規約について認可したときは新たに 施行者となった者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項を、前項の規定による届 出を受理したときは新たに施行者となった者及び施行者でなくなった者の氏名又は名称その 他国土交通省令で定める事項を、遅滞なく、公告しなければならない。

8 個人施行者は、前項の公告があるまでは、施行者の変動、第三項後段の規定により定めた規 約又は第五項後段の規定による規約の一部の失効をもって第三者に対抗することができない。

(施行者の権利義務の移転)
第五十二条 個人施行者について一般承継があったときは、その施行者がマンション建替事業に 関して有する権利義務(その施行者が当該マンション建替事業に関し、行政庁の認可、許可 その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。以下この条において同じ。)は、その一般 承継人に移転する。

2 前項に規定する場合を除き、個人施行者の有する区分所有権又は敷地利用権の全部又は一部 を承継した者があるときは、その施行者がその区分所有権又は敷地利用権の全部又は一部に ついてマンション建替事業に関して有する権利義務は、その承継した者に移転する。

(審査委員)
第五十三条 個人施行者は、都道府県知事等の承認を受けて、土地及び建物の権利関係又は評価 について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者のうちから、この 法律及び規準又は規約で定める権限を行う審査委員三人以上を選任しなければならない。

2 前項に規定するもののほか、審査委員に関し必要な事項は、政令で定める。

(マンション建替事業の廃止及び終了)
第五十四条 個人施行者は、マンション建替事業を、事業の完成の不能により廃止し、又は終了 しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、その廃止又は終了について都道 府県知事等の認可を受けなければならない。

2 個人施行者は、事業の完成の不能によりマンション建替事業を廃止しようとする場合において、 その者にマンション建替事業の施行のための借入金があるときは、その廃止についてその債権 者の同意を得なければならない。

3 第九条第七項並びに第四十九条第一項(図書の送付に係る部分を除く。)及び第二項の規定は、 第一項の規定による認可について準用する。  この場合において、第九条第七項中「施行マンションとなるべきマンション」とあるのは 「施行マンション」と、第四十九条第二項中「施行者として、又は規準若しくは規約若しくは 事業計画をもって」とあるのは「マンション建替事業の廃止又は終了をもって」と読み替える ものとする。

 

第三章 マンション建替事業

第一節 権利変換手続

第一款 手続の開始

(権利変換手続開始の登記)
第五十五条 施行者は、次に掲げる公告があったときは、遅滞なく、登記所に、施行マンション の区分所有権及び敷地利用権(既登記のものに限る。)並びに隣接施行敷地の所有権及び借地 権(既登記のものに限る。)について、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない。
一 組合が施行するマンション建替事業にあっては、第十四条第一項の公告又は新たな施行マンシ ョンの追加に係る事業計画の変更の認可の公告
二 個人施行者が施行するマンション建替事業にあっては、その施行についての認可の公告又は新 たな施行マンションの追加に係る事業計画の変更の認可の公告

2 前項の登記があった後においては、当該登記に係る施行マンションの区分所有権若しくは敷地 利用権を有する者(組合が施行するマンション建替事業にあっては、組合員に限る。)又は当 該登記に係る隣接施行敷地の所有権若しくは借地権を有する者は、これらの権利を処分すると きは、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない。

3 施行者は、事業の遂行に重大な支障が生ずることその他正当な理由がなければ、前項の承認を 拒むことができない。

4 第二項の承認を得ないでした処分は、施行者に対抗することができない。

5 権利変換期日前において第三十八条第六項、前条第三項において準用する第四十九条第一項又 は第九十九条第三項の公告があったときは、施行者(組合にあっては、その清算人)は、遅滞 なく、登記所に、権利変換手続開始の登記の抹消を申請しなければならない  。

(権利変換を希望しない旨の申出等)
第五十六条 第十四条第一項の公告又は個人施行者の施行の認可の公告があったときは、施行マン ションの区分所有権又は敷地利用権を有する者は、その公告があった日から起算して三十日以 内に、施行者に対し、第七十条第一項及び第七十一条第二項の規定による権利の変換を希望せ ず、自己の有する区分所有権又は敷地利用権に代えて金銭の給付を希望する旨を申し出ること ができる。

2 前項の区分所有権又は敷地利用権について仮登記上の権利、買戻しの特約その他権利の消滅に 関する事項の定めの登記若しくは処分の制限の登記があるとき、又は同項の未登記の借地権の 存否若しくは帰属について争いがあるときは、それらの権利者又は争いの相手方の同意を得な ければ、同項の規定による金銭の給付の希望を申し出ることができない。

3 施行マンションについて借家権を有する者(その者が更に借家権を設定しているときは、その 借家権の設定を受けた者)は、第一項の期間内に施行者に対し、第七十一条第三項の規定によ る借家権の取得を希望しない旨を申し出ることができる。

4 施行者が組合である場合においては、最初の役員が選挙され、又は選任されるまでの間は、第 一項又は前項の規定による申出は、第九条第一項の規定による認可を受けた者が受理するもの とする。

5 第一項の期間経過後六月以内に権利変換計画について次条第一項後段の規定による認可が行わ れないときは、当該六月の期間経過後三十日以内に、第一項若しくは第三項の規定による申出 を撤回し、又は新たに第一項若しくは第三項の規定による申出をすることができる。 その三十日の期間経過後更に六月を経過しても同条第一項後段の規定による認可が行われない ときも、同様とする。

6 定款又は規準若しくは規約及び事業計画を変更して新たに施行マンションを追加した場合にお いては、前項前段中「第一項の期間経過後六月以内に権利変換計画について次条第一項後段の 規定による認可が行われないときは、当該六月の期間経過後」とあるのは、「新たな施行マン ションの追加に係る定款又は規準若しくは規約及び事業計画の変更の認可の公告があったとき は、その公告があった日から起算して」とする。

7 第一項、第三項又は前二項の申出又は申出の撤回は、国土交通省令で定めるところにより、書 面でしなければならない。

第二款 権利変換計画

(権利変換計画の決定及び認可)
第五十七条 施行者は、前条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、権利変換計画を 定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県 知事等の認可を受けなければならない。

2 施行者は、前項後段の規定による認可を申請しようとするときは、権利変換計画について、あ らかじめ、組合にあっては総会の議決を経るとともに施行マンション又はその敷地について権 利を有する者(組合員を除く。)及び隣接施行敷地がある場合における当該隣接施行敷地につ いて権利を有する者の同意を得、個人施行者にあっては施行マンション又はその敷地(隣接施 行敷地を含む。)について権利を有する者の同意を得なければならない。 ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
一 区分所有法第六十九条 の規定により同条第一項 に規定する特定建物である施行マンションの 建替えを行うことができるときは、当該施行マンションの所在する土地(これに関する権利を 含む。)の共有者である団地内建物の区分所有法第六十五条に規定する団地建物所有者(以下 単に「団地建物所有者」という。)
二 その権利をもって施行者に対抗することができない者

3 前項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないときは、その 同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための 措置を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申請することができる。

4 第二項の場合において、区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができいときは、 その確知することができない理由を記載した書面を添えて、第一項後段の規定による認可を申 請することができる。

(権利変換計画の内容)
第五十八条 権利変換計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定 めなければならない。
一 施行再建マンションの配置設計
二 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権を有する者で、当該権利に対応して、施行再建マ ンションの区分所有権又は敷地利用権を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
三 前号に掲げる者が施行マンションについて有する区分所有権又は敷地利用権及びその価額
四 第二号に掲げる者に前号に掲げる区分所有権又は敷地利用権に対応して与えられることとなる 施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の明細及びその価額の概算額
五 第三号に掲げる区分所有権又は敷地利用権について先取特権、質権若しくは抵当権の登記、仮 登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記(以下 「担保権等の登記」と総称する。)に係る権利を有する者の氏名又は名称及び住所並びにその 権利
六 前号に掲げる者が施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の上に有することとなる権 利
七 施行マンションについて借家権を有する者(その者が更に借家権を設定しているときは、その 借家権の設定を受けた者)で、当該権利に対応して、施行再建マンションについて借家権を与 えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
八 前号に掲げる者に借家権が与えられることとなる施行再建マンションの部分
九 施行者が施行再建マンションの部分を賃貸する場合における標準家賃の概算額及び家賃以外の 借家条件の概要
十 施行マンションに関する権利又はその敷地利用権を有する者で、この法律の規定により、権利 変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施行再建マンションに関する 権利又はその敷地利用権を与えられないものの氏名又は名称及び住所、失われる施行マンショ ンに関する権利又はその敷地利用権並びにその価額
十一 隣接施行敷地の所有権又は借地権を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日にお いて当該権利を失い、又は当該権利の上に敷地利用権が設定されることとなるものの氏名又は 名称及び住所、その権利並びにその価額又は減価額
十二 組合の参加組合員に与えられることとなる施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権 の明細並びにその参加組合員の氏名又は名称及び住所
十三 第四号及び前号に掲げるもののほか、施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の明 細、その帰属及びその処分の方法
十四 施行マンションの敷地であった土地で施行再建マンションの敷地とならない土地(以下「保 留敷地」という。)の所有権又は借地権の明細、その帰属及びその処分の方法
十五 補償金の支払又は清算金の徴収に係る利子又はその決定方法
十六 権利変換期日、施行マンションの明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期
十七 その他国土交通省令で定める事項

2 施行マンションに関する権利若しくはその敷地利用権又は隣接施行敷地の所有権若しくは借地 権に関して争いがある場合において、その権利の存否又は帰属が確定しないときは、当該権利 が存するものとして、又は当該権利が現在の名義人(当該名義人に対して第十五条第一項(第 三十四条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第六十四条第一項(第六十六条にお いて準用する場合を含む。)又は区分所有法第六十三条第四項 (区分所有法第七十条第四項 において準用する場合を含む。)の規定による請求があった場合においては、当該請求をした 者)に属するものとして権利変換計画を定めなければならない。

3 区分所有法第六十三条第五項 (第十五条第三項(第三十四条第四項において準用する場合を 含む。)において準用する場合を含む。)又は区分所有法第七十条第四項 において準用する 区分所有法第六十三条第五項 (第十五条第三項(第三十四条第四項において準用する場合を 含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、裁判所から建物の明渡しにつき相当 の期限を許与された区分所有者がいるときは、第一項第十六号の施行マンションの明渡しの予 定時期は、当該期限の日以降となるように定めなければならない。

(権利変換計画の決定基準)
第五十九条 権利変換計画は、関係権利者間の利害の衡平に十分の考慮を払って定めなければなら ない。

(区分所有権及び敷地利用権等)
第六十条 権利変換計画においては、第五十六条第一項の申出をした者を除き、施行マンションの 区分所有権又は敷地利用権を有する者に対しては、施行再建マンションの区分所有権又は敷地 利用権が与えられるように定めなければならない。  組合の定款により施行再建マンションの区分所有権及び敷地利用権が与えられるように定め られた参加組合員に対しても、同様とする。

2 前項前段に規定する者に対して与えられる施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権は、 それらの者が有する施行マンションの専有部分の位置、床面積、環境、利用状況等又はその敷 地利用権の地積若しくはその割合等とそれらの者に与えられる施行再建マンションの専有部分 の位置、床面積、環境等又はその敷地利用権の地積若しくはその割合等を総合的に勘案して、 それらの者の相互間の衡平を害しないように定めなければならない。

3 権利変換計画においては、第一項の規定により与えられるように定められるもの以外の施行再 建マンションの区分所有権及び敷地利用権並びに保留敷地の所有権又は借地権は、施行者に帰 属するように定めなければならない。

4 権利変換計画においては、第五十六条第三項の申出をした者を除き、施行マンションの区分所 有者から施行マンションについて借家権の設定を受けている者(その者が更に借家権を設定し ているときは、その借家権の設定を受けている者)に対しては、第一項の規定により当該施行 マンションの区分所有者に与えられることとなる施行再建マンションの部分について、借家権 が与えられるように定めなければならない。ただし、施行マンションの区分所有者が第五十六 条第一項の申出をしたときは、前項の規定により施行者に帰属することとなる施行再建マンシ ョンの部分について、借家権が与えられるように定めなければならない。

(担保権等の登記に係る権利)
第六十一条 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権について担保権等の登記に係る権利が存 するときは、権利変換計画においては、当該担保権等の登記に係る権利は、その権利の目的た る施行マンションの区分所有権又は敷地利用権に対応して与えられるものとして定められた施 行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の上に存するものとして定めなければならない。

2 前項の場合において、関係権利者間の利害の衡平を図るため必要があるときは、施行者は、当 該存するものとして定められる権利につき、これらの者の意見を聴いて、必要な定めをするこ とができる。

(施行マンションの区分所有権等の価額の算定基準)
第六十二条 第五十八条第一項第三号、第十号又は第十一号の価額又は減価額は、第五十六条第一 項又は第五項(同条第六項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による三十 日の期間を経過した日における近傍類似の土地又は近傍同種の建築物に関する同種の権利の取 引価格等を考慮して定める相当の価額とする。

(施行再建マンションの区分所有権の価額等の概算額の算定基準)
第六十三条 権利変換計画においては、第五十八条第一項第四号又は第九号の概算額は、国土交通 省令で定めるところにより、マンション建替事業に要する費用及び前条に規定する三十日の期 間を経過した日における近傍類似の土地又は近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格 等を考慮して定める相当の価額を基準として定めなければならない。

(権利変換計画に関する総会の議決に賛成しなかった組合員に対する売渡し請求等)
第六十四条 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、組合は、当該議決 があった日から二月以内に、当該議決に賛成しなかった組合員に対し、区分所有権及び敷地利 用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

2 区分所有法第六十三条第六項及び第七項(区分所有法第七十条第四項においてこれらの規定を 準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、前項の規定による請求について 準用する。この場合において、区分所有法第六十三条第六項 中「第四項 」とあるのは、「マ ンションの建替えの円滑化等に関する法律第六十四条第一項」と読み替えるものとする。

3 組合において、権利変換計画について総会の議決があったときは、当該議決に賛成しなかった 組合員は、当該議決があった日から二月以内に、組合に対し、区分所有権及び敷地利用権を時 価で買い取るべきことを請求することができる。

(認可の基準)
第六十五条 都道府県知事等は、第五十七条第一項後段の規定による認可の申請があった場合にお いて、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認可をしなければならない。
一 申請手続又は権利変換計画の決定手続若しくは内容が法令に違反するものでないこと。
二 施行マンションに建替え決議等があるときは、当該建替え決議等の内容に適合していること。
三 権利変換計画について区分所有権等以外の権利を有する者の同意を得られないことについて正 当な理由があり、かつ、同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措 置が適切なものであること。
四 区分所有権等以外の権利を有する者を確知することができないことについて過失がないこと。
五 その他基本方針に照らして適切なものであること。

(権利変換計画の変更)
第六十六条 第五十七条第一項後段及び第二項から第四項まで並びに前二条の規定は、権利変換計 画を変更する場合(国土交通省令で定める軽微な変更をする場合を除く。)に準用する。この 場合において、第六十四条第一項及び第三項中「権利変換計画」とあるのは「権利変換計画の 変更」と、同条第二項中「第六十四条第一項」とあるのは「第六十六条において準用する同法 第六十四条第一項」と読み替えるものとする。

(審査委員の関与)
第六十七条 施行者は、権利変換計画を定め、又は変更しようとするとき(国土交通省令で定める 軽微な変更をしようとする場合を除く。)は、審査委員の過半数の同意を得なければならない。

第三款 権利の変換

(権利変換の処分)
第六十八条 施行者は、権利変換計画若しくはその変更の認可を受けたとき、又は権利変換計画に ついて第六十六条の国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、国土交通省令 で定めるところにより、その旨を公告し、及び関係権利者に関係事項を書面で通知しなければ ならない。

2 権利変換に関する処分は、前項の通知をすることによって行う。 3 権利変換に関する処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 の規定は、 適用しない。

(権利変換期日等の通知)
第六十九条 施行者は、権利変換計画若しくはその変更(権利変換期日に係るものに限る。以下こ の条において同じ。)の認可を受けたとき、又は第六十六条の国土交通省令で定める軽微な変 更をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行マンションの所在地の 登記所に、権利変換期日その他国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。

(敷地に関する権利の変換等)
第七十条 権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、施行マンションの敷地利 用権は失われ、施行再建マンションの敷地利用権は新たに当該敷地利用権を与えられるべき者 が取得する。

2 権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、隣接施行敷地の所有権又は借地 権は、失われ、又はその上に施行再建マンションの敷地利用権が設定される。

3 権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、保留敷地に関しては、当該保留 敷地についての従前の施行マンションの敷地利用権が所有権であるときはその所有権を、借地 権であるときはその借地権を、施行者が取得する。

4 施行マンションの敷地及び隣接施行敷地に関する権利で前三項及び第七十三条の規定により権 利が変換されることのないものは、権利変換期日以後においても、なお従前の土地に存する。 この場合において、権利変換期日前において、これらの権利のうち地役権又は地上権の登記に 係る権利が存していた敷地利用権が担保権等の登記に係る権利の目的となっていたときは、権 利変換期日以後においても、当該地役権又は地上権の登記に係る権利と当該担保権等の登記に 係る権利との順位は、変わらないものとする。

(施行マンションに関する権利の変換)
第七十一条 権利変換期日において、施行マンションは、施行者に帰属し、施行マンションを目的 とする区分所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。

2 施行再建マンションの区分所有権は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計 画の定めるところに従い、新たに施行再建マンションの区分所有権を与えられるべき者が取得 する。

3 施行マンションについて借家権を有していた者(その者が更に借家権を設定していたときは、 その借家権の設定を受けた者)は、第八十一条の建築工事の完了の公告の日に、権利変換計画 の定めるところに従い、施行再建マンションの部分について借家権を取得する。

(区分所有法 の規約とみなす部分)
第七十二条 区分所有法第一条 に規定する建物の部分若しくは附属の建物で権利変換計画におい て施行再建マンションの共用部分若しくは区分所有法第六十七条第一項 の団地共用部分(以 下この項において単に「団地共用部分」という。)と定められたものがあるとき、権利変換計 画において定められた施行再建マンションの共用部分若しくは団地共用部分の共有持分が区分 所有法第十一条第一項 若しくは第十四条第一項 から第三項 まで(区分所有法第六十七条第 三項 においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定に適合しないとき、又は権利変 換計画において定められた施行再建マンションの敷地利用権の割合が区分所有法第二十二条 第二項本文の規定に適合しないときは、権利変換計画中その定めをした部分は、それぞれ区 分所有法第四条第二項 若しくは第六十七条第一項 の規定による規約、区分所有法第十一条 第二項 若しくは第十四条第四項 (区分所有法第六十七条第三項において準用する場合を含 む。)の規定による規約又は区分所有法第二十二条第二項 ただし書の規定による規約とみな す。

(担保権等の移行)
第七十三条 施行マンションの区分所有権又は敷地利用権について存する担保権等の登記に係る 権利は、権利変換期日以後は、権利変換計画の定めるところに従い、施行再建マンションの 区分所有権又は敷地利用権の上に存するものとする。

(権利変換の登記)
第七十四条 施行者は、権利変換期日後遅滞なく、施行再建マンションの敷地(保留敷地を含む 。)につき、権利変換後の土地に関する権利について必要な登記を申請しなければならない。

2 権利変換期日以後においては、施行再建マンションの敷地(保留敷地を含む。)に関しては、 前項の登記がされるまでの間は、他の登記をすることができない。

(補償金)
第七十五条 施行者は、次に掲げる者に対し、その補償として、権利変換期日までに、第六十二 条の規定により算定した相当の価額に同条に規定する三十日の期間を経過した日から第六十 八条第一項の規定による権利変換計画又はその変更に係る公告(以下「権利変換計画公告」 という。)の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該権利変換計画公告 の日から補償金を支払う日までの期間につき権利変換計画で定めるところによる利息を付し たものを支払わなければならない。この場合において、その修正率は、国土交通省令で定め る方法によって算定するものとする。
一 施行マンションに関する権利又はその敷地利用権を有する者で、この法律の規定により、権 利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施行再建マンションに関 する権利又はその敷地利用権を与えられないもの
二 隣接施行敷地の所有権又は借地権を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日にお いて当該権利を失い、又は当該権利の上に敷地利用権が設定されることとなるもの

(補償金の供託)
第七十六条 施行者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、前条に規定する補償金 (利息を含む。以下同じ。)の支払に代えてこれを供託することができる。
一 補償金を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又は補償金を受領することができないとき。
二 施行者が過失がなくて補償金を受けるべき者を確知することができないとき。
三 施行者が差押え又は仮差押えにより補償金の払渡しを禁じられたとき。

2 施行者は、第五十八条第二項の場合においては、権利変換計画において存するものとされた 権利に係る補償金(併存し得ない二以上の権利が存するものとされた場合においては、それ らの権利に対する補償金のうち最高額のもの)の支払に代えてこれを供託しなければならない。

3 施行者は、先取特権、質権若しくは抵当権又は仮登記若しくは買戻しの特約の登記に係る権利 の目的物について補償金を支払うときは、これらの権利者のすべてから供託しなくてもよい旨 の申出があったときを除き、その補償金を供託しなければならない。

4 前三項の規定による供託は、施行マンションの所在地の供託所にしなければならない。

5 施行者は、第一項から第三項までの規定による供託をしたときは、遅滞なく、その旨を補償金 を取得すべき者(その供託が第二項の規定によるものであるときは、争いの当事者)に通知し なければならない。

(物上代位)
第七十七条 前条第三項の先取特権、質権又は抵当権を有する者は、同項の規定により供託された 補償金に対してその権利を行うことができる。

(差押え又は仮差押えがある場合の措置)
第七十八条 差押えに係る権利については、第七十五条の規定にかかわらず、施行者は、権利変換 期日までに、同条の規定により支払うべき金額を当該差押えによる配当手続を実施すべき機関 に払い渡さなければならない。ただし、強制執行若しくは担保権の実行としての競売(その例 による競売を含む。以下単に「競売」という。)による代金の納付又は滞納処分による売却代 金の支払があった後においては、この限りでない。

2 前項の規定により配当手続を実施すべき機関が払渡しを受けた金銭は、配当に関しては、強制 執行若しくは競売による代金又は滞納処分による売却代金とみなし、その払渡しを受けた時が 強制競売又は競売に係る配当要求の終期の到来前であるときは、その時に配当要求の終期が到 来したものとみなす。

3 強制競売若しくは競売に係る売却許可決定後代金の納付前又は滞納処分による売却決定後売却 代金の支払前に第一項本文の規定による払渡しがあったときは、売却許可決定又は売却決定は、 その効力を失う。

4 第一項の規定は、仮差押えの執行に係る権利に対する補償金の払渡しに準用する。

5 施行者に補償金の支払を命ずる判決が確定したときは、その補償金の支払に関しては、第一項 の規定による補償金の例による。この場合において、施行者が補償金を配当手続を実施すべき 機関に払い渡したときは、補償金の支払を命ずる判決に基づく給付をしたものとみなす。

6 第一項又は前二項の規定による補償金の裁判所への払渡し及びその払渡しがあった場合におけ る強制執行、仮差押えの執行又は競売に関しては、最高裁判所規則で民事執行法 (昭和五十 四年法律第四号)又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の特例その他必要な事項を、 その補償金の裁判所以外の配当手続を実施すべき機関への払渡し及びその払渡しがあった場合 における滞納処分に関しては、政令で国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)の特例 その他必要な事項を定めることができる。

第四款 施行マンション等の明渡し

(占有の継続)
第七十九条 権利変換期日において、第七十一条第一項の規定により失った権利に基づき施行マン ションを占有していた者及びその承継人は、次条第一項の規定により施行者が通知した明渡し の期限までは、従前の用法に従い、その占有を継続することができる。第七十条第二項の規定 により、権利を失い、又は敷地利用権を設定された者及びその承継人についても、同様とする。

(施行マンション等の明渡し)
第八十条 施行者は、権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施 行マンション又はその敷地(隣接施行敷地を含む。)を占有している者に対し、期限を定めて、 その明渡しを求めることができる。

2 前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した 後の日でなければならない。

3 第五十八条第三項の規定は、同項の相当の期限を許与された区分所有者に対する第一項の規定 による明渡しの期限について準用する。

4 第一項の規定による明渡しの請求があった者は、明渡しの期限までに、施行者に明け渡さなけ ればならない。ただし、第七十五条の補償金の支払を受けるべき者について同条の規定による支 払若しくは第七十六条の規定による供託がないとき、第十五条第一項(第三十四条第四項におい て準用する場合を含む。)若しくは第六十四条第一項(第六十六条において準用する場合を含む 。)若しくは区分所有法第六十三条第四項 (区分所有法第七十条第四項 において準用する場合 を含む。)の規定による請求を受けた者について当該請求を行った者による代金の支払若しくは 提供がないとき、又は第六十四条第三項(第六十六条において準用する場合を含む。)の規定に よる請求を行った者について当該請求を受けた者による代金の支払若しくは提供がないときは、 この限りでない。

第五款 工事完了等に伴う措置

(建築工事の完了の公告等)
第八十一条 施行者は、施行再建マンションの建築工事が完了したときは、速やかに、その旨を、 公告するとともに、第七十一条第二項又は第三項の規定により施行再建マンションに関し権利を 取得する者に通知しなければならない。

(施行再建マンションに関する登記)
第八十二条 施行者は、施行再建マンションの建築工事が完了したときは、遅滞なく、施行再建マン ション及び施行再建マンションに関する権利について必要な登記を申請しなければならない。

2 施行再建マンションに関する権利に関しては、前項の登記がされるまでの間は、他の登記をする ことができない。

(借家条件の協議及び裁定)
第八十三条 権利変換計画において施行再建マンションの区分所有権が与えられるように定められた 者と当該施行再建マンションについて第六十条第四項本文の規定により借家権が与えられるよう に定められた者は、家賃その他の借家条件について協議しなければならない。

2 第八十一条の公告の日までに前項の規定による協議が成立しないときは、施行者は、当事者の一 方又は双方の申立てにより、審査委員の過半数の同意を得て、次に掲げる事項について裁定する ことができる。
一 賃借の目的
二 家賃の額、支払期日及び支払方法
三 敷金又は借家権の設定の対価を支払うべきときは、その額

3 施行者は、前項の規定による裁定をするときは、賃借の目的については賃借部分の構造及び賃借 人の職業を、家賃の額については賃貸人の受けるべき適正な利潤を、その他の事項についてはそ の地方における一般の慣行を考慮して定めなければならない

4 第二項の規定による裁定があったときは、裁定の定めるところにより、当事者間に協議が成立し たものとみなす。

5 第二項の裁定に関し必要な手続に関する事項は、国土交通省令で定める。

6 第二項の裁定に不服がある者は、その裁定があった日から六十日以内に、訴えをもってその変更 を請求することができる。

7 前項の訴えにおいては、当事者の他の一方を被告としなければならない。

(施行再建マンションの区分所有権等の価額等の確定)
第八十四条 施行者は、マンション建替事業の工事が完了したときは、速やかに、当該事業に要した 費用の額を確定するとともに、政令で定めるところにより、その確定した額及び第六十二条に規 定する三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地又は近傍同種の建築物に関する同種の 権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額を基準として、施行再建マンションの区分所有権 若しくは敷地利用権を取得した者又はその借家権を取得した者(施行者の所有する施行再建マン ションの部分について第六十条第四項ただし書の規定により借家権が与えられるように定められ たものに限る。)ごとに、施行再建マンションの区分所有権若しくは敷地利用権の価額又は施行 者が賃貸する施行再建マンションの部分の家賃の額を確定し、これらの者にその確定した額を通 知しなければならない。

(清算)
第八十五条 前条の規定により確定した施行再建マンションの区分所有権又は敷地利用権の価額とこ れを与えられた者がこれに対応する権利として有していた施行マンションの区分所有権又は敷地 利用権の価額とに差額があるときは、施行者は、その差額に相当する金額を徴収し、又は交付し なければならない。

(清算金の供託及び物上代位)
第八十六条 前条に規定する施行マンションの区分所有権又は敷地利用権が先取特権、質権若しくは 抵当権又は仮登記若しくは買戻しの特約の登記に係る権利の目的となっていたときは、これらの 権利者のすべてから供託しなくてもよい旨の申出があったときを除き、施行者は、同条の規定に より交付すべき清算金の交付に代えてこれを供託しなければならない。第七十六条第四項及び第 五項の規定は、この場合について準用する。

2 前項の先取特権、質権又は抵当権を有していた者は、同項の規定により供託された清算金に対し てその権利を行うことができる。

(清算金の徴収)
第八十七条 第八十五条の規定により徴収すべき清算金は、権利変換計画で定めるところにより、 利子を付して分割して徴収することができる。

2 施行者は、第八十五条の規定により徴収すべき清算金(前項の規定により利子を付したときは、 その利子を含む。)を滞納する者があるときは、権利変換計画で定めるところにより、利子を 付して徴収することができる。

(先取特権)

第八十八条 第八十五条の清算金を徴収する権利を有する施行者は、その納付義務者に与えられる 施行再建マンションの区分所有権の上に先取特権を有する。

2 前項の先取特権は、第八十二条第一項の規定による登記の際に清算金の予算額を登記すること によってその効力を保存する。ただし、清算金の額がその予算額を超過するときは、その超過 額については存在しない。

3 第一項の先取特権は、不動産工事の先取特権とみなし、前項本文の規定に従ってした登記は、 民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三百三十八条第一項 前段の規定に従ってした登記と みなす。

(施行者が取得した権利の処分)
第八十九条 マンション建替事業により施行者が取得した施行再建マンションの区分所有権及び敷地 利用権又は保留敷地に関する権利は、施行マンションの区分所有権若しくは敷地利用権を有して いた者又は施行マンションについて借家権を有していた者の居住又は業務の用に供するため特に 必要がある場合を除き、原則として、公募により譲渡しなければならない。

第二節 賃借人等の居住の安定の確保に関する施行者等の責務

第九十条 施行者は、基本方針に従って、施行マンションに居住していた賃借人及び転出区分所有者 の居住の安定の確保に努めなければならない。

2 国及び地方公共団体は、基本方針に従って、施行マンションに居住していた賃借人及び転出区分 所有者の居住の安定の確保を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第三節 雑則

(処分、手続等の効力)
第九十一条 施行マンション若しくはその敷地(隣接施行敷地を含む。)又は施行再建マンション若 しくはその敷地について権利を有する者の変更があったときは、この法律又はこの法律に基づく 定款、規準若しくは規約の規定により従前のこれらの者がした手続その他の行為は、新たにこれ らの者となった者がしたものとみなし、従前のこれらの者に対してした処分、手続その他の行為 は、新たにこれらの者となった者に対してしたものとみなす。

(土地の分割及び合併)
第九十二条 施行者は、マンション建替事業の施行のために必要があるときは、所有者に代わって土 地の分割又は合併の手続をすることができる。

(不動産登記法 の特例)
第九十三条 施行マンション及び施行再建マンション並びにこれらの敷地の登記については、政令で、 不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)の特例を定めることができる。

(施行者による管理規約の設定)
第九十四条 施行者は、政令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受け、施行再建マンシ ョン、その敷地及びその附属の建物(マンション建替事業の施行により建築されるものに限る。) の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項につき、管理規約を定めることができる。

2 前項の管理規約は、区分所有法第三十条第一項 の規約とみなす。

3 施行者は、政令で定めるところにより、都道府県知事等の認可を受け、施行再建マンションに係 る区分所有法第六十六条に規定する土地等又は区分所有法第六十八条第一項 各号に掲げる物 (附属施設にあっては、マンション建替事業の施行により建設されたものに限る。)の管理又は 使用に関する団地建物所有者相互間の事項につき、管理規約を定めることができる。

4 前項の管理規約は、区分所有法第六十六条において準用する区分所有法第三十条第一項の規約と みなす。

(関係簿書の備付け)
第九十五条 施行者は、国土交通省令で定めるところにより、マンション建替事業に関する簿書 (組合にあっては、組合員名簿を含む。以下同じ。)をその事務所に備え付けておかなければな らない。

2 利害関係者から前項の簿書の閲覧の請求があったときは、施行者は、正当な理由がない限り、 これを拒んではならない。

(書類の送付に代わる公告)
第九十六条 施行者は、マンション建替事業の施行に関し書類を送付する場合において、送付を受け るべき者がその書類の受領を拒んだとき、又は過失がなくて、その者の住所、居所その他書類を 送付すべき場所を確知することができないときは、政令で定めるところにより、その書類の内容 を公告することをもって書類の送付に代えることができる。

2 前項の公告があったときは、その公告の日の翌日から起算して十日を経過した日に当該書類が送 付を受けるべき者に到達したものとみなす。

 

第四章 マンション建替事業の監督等

(報告、勧告等)
第九十七条 都道府県知事又は市町村長は、組合又は個人施行者に対し、その施行するマンション建 替事業に関し、この法律(第五章を除く。以下この章において同じ。)の施行のため必要な限度 において、報告若しくは資料の提出を求め、又はその施行するマンション建替事業の円滑な施行 を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。

2 都道府県知事等は、組合又は個人施行者に対し、マンション建替事業の施行の促進を図るため必 要な措置を命ずることができる。

(組合に対する監督)
第九十八条 都道府県知事等は、組合の施行するマンション建替事業につき、その事業又は会計がこ の法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画若しくは権利変換計画に違反する と認めるときその他監督上必要があるときは、その組合の事業又は会計の状況を検査することが できる。

2 都道府県知事等は、組合の組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、その組合の事業又は 会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画若しくは権利変換計画に 違反する疑いがあることを理由として組合の事業又は会計の状況の検査を請求したときは、その 組合の事業又は会計の状況を検査しなければならない。

3 都道府県知事等は、前二項の規定により検査を行った場合において、組合の事業又は会計がこの 法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画若しくは権利変換計画に違反してい ると認めるときは、組合に対し、その違反を是正するため必要な限度において、組合のした処分 の取消し、変更若しくは停止又は組合のした工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずる ことができる。

4 都道府県知事等は、組合が前項の規定による命令に従わないとき、又は組合の設立についての認 可を受けた者がその認可の公告があった日から起算して三十日を経過してもなお総会を招集しな いときは、権利変換期日前に限り、その組合についての設立の認可を取り消すことができる。

5 都道府県知事等は、第二十八条第三項の規定により組合員から総会の招集の請求があった場合に おいて、理事長及び監事が総会を招集しないときは、これらの組合員の申出に基づき、総会を招 集しなければならない。第三十一条第四項において準用する第二十八条第三項の規定により総代 から総代会の招集の請求があった場合において、理事長及び監事が総代会を招集しないときも、 同様とする。

6 都道府県知事等は、第二十三条第一項の規定により組合員から理事又は監事の解任の請求があった 場合において、組合がこれを組合員の投票に付さないときは、これらの組合員の申出に基づき、 これを組合員の投票に付さなければならない。第三十二条第三項において準用する第二十三条第一 項の規定により、組合員から総代の解任の請求があった場合において、組合がこれを組合員の投票 に付さないときも、同様とする。

7 都道府県知事等は、組合の組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、総会若しくは総代会の 招集手続若しくは議決の方法又は役員若しくは総代の選挙若しくは解任の投票の方法が、この法律 又は定款に違反することを理由として、その議決、選挙、当選又は解任の投票の取消しを請求した 場合において、その違反の事実があると認めるときは、その議決、選挙、当選又は解任の投票を取 り消すことができる。

(個人施行者に対する監督)
第九十九条 都道府県知事等は、個人施行者の施行するマンション建替事業につき、その事業又は会計 がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は規準、規約、事業計画若しくは権利変換計画に 違反すると認めるときその他監督上必要があるときは、その事業又は会計の状況を検査し、その結 果、違反の事実があると認めるときは、その施行者に対し、その違反を是正するため必要な限度に おいて、その施行者のした処分の取消し、変更若しくは停止又はその施行者のした工事の中止若し くは変更その他必要な措置を命ずることができる。

2 都道府県知事等は、個人施行者が前項の規定による命令に従わないときは、権利変換期日前に限り 、その施行者に対するマンション建替事業の施行についての認可を取り消すことができる。

3 都道府県知事等は、前項の規定により認可を取り消したときは、遅滞なく、その旨を公告しなけれ ばならない。

4 個人施行者は、前項の公告があるまでは、認可の取消しによるマンション建替事業の廃止をもって 第三者に対抗することができない。

(資金の融通等)
第百条 国及び地方公共団体は、施行者に対し、マンション建替事業に必要な資金の融通又はあっせん その他の援助に努めるものとする。

(技術的援助の請求)
第百一条 組合、組合を設立しようとする者、個人施行者又は個人施行者となろうとする者は、国土交 通大臣、都道府県知事及び市町村長に対し、マンション建替事業の施行の準備又は施行のために、 それぞれマンション建替事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。

 

第五章 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの促進のための特別の措置

(※注) H26改正において、第五章(102条〜124条まで)を削除し、削除された102条〜124条は、 「第三章 除却する必要のあるマンションに係る特別の措置」の条文として102条〜163条を新たに規定。 旧法第六章雑則の125条〜141条は新法第五章雑則164条〜179条の条文に書き換えられた。

第一節 危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの勧告等

(危険又は有害な状況にあるマンションの建替えの勧告)
第百二条 市町村長は、構造又は設備が著しく不良であるため居住の用に供することが著しく不適当な ものとして国土交通省令で定める基準に該当する住戸が相当数あり、保安上危険又は衛生上有害な 状況にあるマンションで国土交通省令で定める基準に該当するものの区分所有者に対し、当該マン ションの建替えを行うべきことを勧告することができる。

2 前項に規定するマンションの一部の区分所有者は、市町村長に対し、当該マンションの他の区分所有 者に対し、同項の規定による勧告をするよう要請することができる。

3 第一項の規定による勧告をした市町村長は、速やかに、都道府県知事にその旨を通知しなければなら ない。

4 第一項の規定による勧告をした市町村長は、当該勧告に係るマンション(以下「勧告マンション」と いう。)又はその敷地について質権、借家権、使用貸借による権利若しくはその他の使用及び収益を 目的とする権利又は担保権等の登記に係る権利を有する者があるときは、速やかに、これらの者にそ の旨を通知しなければならない。ただし、過失がなくてこれらの者を確知することができないときは、 この限りでない。

5 市町村長は、第一項の規定の施行に必要な限度において、マンションの区分所有者に対し、当該マン ションの保安上の危険性又は衛生上の有害性に係る事項に関する報告を求め、又はその職員に、マン ション若しくはその敷地に立ち入り、当該マンション、その敷地、建築設備、建築材料、書類その他 の物件を検査させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住 者の承諾を得なければならない。

6 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければ ならない。

7 第五項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(代替建築物の提供又はあっせん)
第百三条 勧告マンションの賃借人は、市町村長に対し、当該勧告マンションに代わるべき建築物又はそ の部分(以下この条において「代替建築物」という。)の提供又はあっせんを要請することができる。

2 勧告マンションの賃貸人は、当該勧告マンションに係るマンションの建替え(以下「勧告マンション の建替え」という。)が行われる場合において、当該勧告マンションの賃借人の利用に供すべき代替 建築物を提供し、又はあっせんすることが困難であるときは、市町村長に対し、当該代替建築物の提 供又はあっせんを要請することができる。

3 勧告マンションの建替えが行われる場合において、当該勧告マンションの転出区分所有者は、市町村 長に対し、代替建築物の提供又はあっせんを要請することができる。

4 施行者その他の勧告マンションの建替えを行う者(以下「勧告マンション建替実施者」という。)は、 当該勧告マンションの転出区分所有者の利用に供すべき代替建築物を提供し、又はあっせんすること が困難であるときは、市町村長に対し、当該代替建築物の提供又はあっせんを要請することができる。

5 前各項の規定による要請を受けた市町村長は、当該勧告マンションの賃借人又は転出区分所有者の利 用に供すべき代替建築物を提供し、又はあっせんするよう努めなければならない。

第二節 賃借人居住安定計画の認定等

(賃借人居住安定計画の認定)

第百四条 勧告マンションの住戸の賃貸人(以下この章において「住戸賃貸人」という。)の一人又は数 人は、勧告マンション建替実施者と共同して、当該住戸に居住している賃借人(以下この章において 「住戸賃借人」という。)の意見を求めて、国土交通省令で定めるところにより、当該勧告マンショ ンについて、当該住戸賃借人の居住の安定の確保及び当該勧告マンションの建替えに関する計画(以 下「賃借人居住安定計画」という。)を作成し、市町村長の認定を申請することができる。

2 勧告マンション建替実施者が施行者以外の者である場合にあっては、前項の認定の申請は、当該勧告 マンションの区分所有者(当該勧告マンションが建替え決議マンションである場合にあっては建替え 合意者、当該勧告マンションが一括建替え決議マンション群に属するマンションである場合にあって は一括建替え合意者又は当該勧告マンションの区分所有者)の全員が共同してしなければならない。

3 第一項の認定を申請しようとする者は、その者及び賃借人居住安定計画に係る住戸賃借人(以下「計 画賃借人」という。)以外に当該勧告マンション又はその敷地(これに隣接する土地を合わせて再建 マンションの敷地とする場合における当該土地(以下「隣接再建敷地」という。)を含む。)につい て権利を有する者があるときは、賃借人居住安定計画についてその同意を得なければならない。 ただし、次に掲げる者については、この限りでない。
一 第一項の認定を申請しようとする勧告マンション建替実施者が組合であるときその他勧告マンション が建替え決議マンション又は一括建替え決議マンション群に属するマンションであるときは、当該建 替え決議マンションである勧告マンション又は当該一括建替え決議マンション群に属するすべてのマ ンションの区分所有者
二 区分所有法第六十九条 の規定により同条第一項 に規定する特定建物である勧告マンションの建替え を行うことができるときは、当該勧告マンションの所在する土地(これに関する権利を含む。)の共 有者である団地内建物の団地建物所有者
三 第一項の認定を申請しようとする勧告マンション建替実施者が個人施行者であるときは、第四十五条 第二項(第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により同意を得た者
四 その権利をもって第一項の認定を申請しようとする者に対抗することができない者

4 前項の場合において、同項の規定により同意を得なければならないこととされている者のうち、区分 所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないとき、又はその者を確知することができないと きは、その同意を得られない理由又は確知することができない理由を記載した書面を添えて、第一項 の認定を申請することができる。

5 賃借人居住安定計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 勧告マンションの位置
二 計画賃借人に賃貸している住戸(以下「計画賃貸住戸」という。)の数
三 計画賃貸住戸の規模、構造及び設備並びに家賃
四 計画賃借人の氏名、住所及び世帯構成
五 計画賃貸住戸の従前の管理の状況
六 計画賃借人に提供する計画賃貸住戸に代わるべき住宅(再建マンションの部分を当該計画賃貸住戸に 代わるべき住宅として提供する場合にあっては、当該計画賃貸住戸が明け渡された日から再建マンシ ョンの部分を提供する日までの間に必要となる仮住居を含む。以下この章において「賃借人代替住宅」 という。)の規模、構造及び設備、家賃並びに所在及び地番
七 計画賃借人により計画賃貸住戸が明け渡された日から勧告マンションを除却する日までの間における 当該計画賃貸住戸の管理に関する事項
八 勧告マンションを除却する予定時期
九 勧告マンションの建替えに関する事業の概要及び資金計画
十 第一項の認定を申請した日から当該勧告マンションを除却する日までの間における勧告  マンションの計画賃貸住戸以外のそれぞれの部分の管理に関する事項
十一 その他国土交通省令で定める事項

6 第一項の認定の申請をしようとする勧告マンション建替実施者が施行者である場合においては、当該 申請は、第九条第一項又は第四十五条第一項の事業計画を添えてしなければならない。この場合にお いては、賃借人居住安定計画には、前項第九号に掲げる事項を記載することを要しない。

7 第一項の認定の申請をしようとする勧告マンション建替実施者が施行者である場合において、当該申 請が権利変換計画公告の日以後であるときは、当該申請は、権利変換計画(権利変換計画の変更が あったときは、その変更後のもの。次項、次条第一項第五号及び第百七条第二項において同じ。)を 添えてしなければならない。

8 第一項の認定の申請をした勧告マンション建替実施者が施行者である場合において、当該申請の日か ら当該申請に対する処分の日までの間に権利変換計画公告があったときは、当該申請者は、速やかに、 権利変換計画を市町村長に通知しなければならない。

(賃借人居住安定計画の認定基準)
第百五条 市町村長は、前条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る賃借人居住安定 計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときでなければ、賃借人居住安定計画の認定をしてはなら ない。
一 賃借人居住安定計画に係る住戸賃貸人(以下「計画賃貸人」という。)が、計画賃貸住戸の修繕その 他賃貸人としてなすべき義務を履行してきていること。
二 計画賃借人ごとに、前条第五項第三号及び第四号に掲げる事項その他計画賃借人に関する状況を勘案 して、その規模、構造及び設備並びに家賃が妥当な水準の賃借人代替住宅が、計画賃借人の生活環境 に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されることが確実であること。
三 前条第一項の認定の申請を受けた日から勧告マンションが除却される日までの間に、当該勧告マンシ ョンについて新たな権利が設定されないことが確実であること。
四 勧告マンション建替実施者が施行者以外の者である場合にあっては、勧告マンションの建替えに関す る事業の資金計画が当該事業を遂行するため適切なものであり、当該勧告マンションの建替えが行わ れることが確実であること。
五 前条第一項の認定の申請をする勧告マンション建替実施者が施行者である場合において、賃借人居住 安定計画の認定の日前に権利変換計画公告があったときは、賃借人居住安定計画の内容が権利変換計 画の内容に適合するものであること。

2 市町村長は、前条第一項の認定をしようとする場合において、当該賃借人居住安定計画に公営住宅法 (昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号 に規定する公営住宅(以下「公営住宅」という。) 、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律 (平成五年法律第五十二号。以下「特定優良賃貸住 宅法」という。)第十八条第二項 に規定する賃貸住宅(以下「特定公共賃貸住宅」という。)又は 高齢者の居住の安定確保に関する法律 (平成十三年法律第二十六号。以下「高齢者居住安定確保法」 という。)第四十五条第一項 に規定する賃貸住宅(以下「高齢者向け公共賃貸住宅」という。)で あって都道府県が管理するものが賃借人代替住宅として定められているときは、あらかじめ、当該賃 借人代替住宅を示して当該都道府県の同意を得なければならない。

3 市町村長は、前条第一項の認定をしようとするときは、あらかじめ、当該賃借人居住安定計画に定め られた賃借人代替住宅を示して計画賃借人の意見を聴かなければならない。

(賃借人居住安定計画の認定の通知)
第百六条 市町村長は、第百四条第一項の認定をしたときは、速やかに、当該認定に係る賃借人居住安定 計画(以下「認定賃借人居住安定計画」という。)に定められた賃借人代替住宅を示して、当該認定 をした旨を計画賃借人に通知しなければならない。 この場合において、認定賃借人居住安定計画において賃借人代替住宅が再建マンション以外に定めら れている計画賃借人に対しては、賃借人代替住宅への入居を希望する旨を申し出ることができる期間 (以下この章において「賃借人入居申出期間」という。)を併せて示さなければならない。

2 前項の場合において、認定賃借人居住安定計画に都道府県が管理する公営住宅、特定公共賃貸住宅又 は高齢者向け公共賃貸住宅が賃借人代替住宅として定められているときは、市町村長は、速やかに、 当該認定賃借人居住安定計画に定められた賃借人代替住宅及び賃借人入居申出期間を示して、当該賃 借人居住安定計画の認定をした旨を当該都道府県に通知しなければならない。

(賃借人居住安定計画の変更等)
第百七条 第百四条第一項の認定を受けた者(以下「認定賃貸人等」という。)は、認定賃借人居住安定 計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、関係する住戸賃借 人の意見を求めて、国土交通省令で定めるところにより、市町村長の認定を受けなければならない。

2 認定賃貸人等である勧告マンション建替実施者が施行者である場合において、第百四条第一項の認定 を受けた日以後に権利変換計画公告があり、かつ、権利変換計画の内容が認定賃借人居住安定計画の 内容に適合していないときは、認定賃貸人等は、前項の認定を申請しなければならない。

3 第百四条第二項から第八項まで及び前二条の規定は、第一項の場合について準用する。

(報告の徴収)
第百八条 市町村長は、認定賃貸人等に対し、認定賃借人居住安定計画に係る計画賃借人(以下「認定賃 借人」という。)の居住の安定の確保及び勧告マンションの建替えの状況について報告を求めること ができる。

(地位の承継)
第百九条 認定賃貸人等の一般承継人又は認定賃貸人等から勧告マンションの区分所有権その他当該認定 賃借人居住安定計画の実施に必要な権原を取得した者は、市町村長の承認を受けて、当該認定賃貸人 等が有していた認定賃借人居住安定計画の認定に基づく地位を承継することができる。

(改善命令)
第百十条 市町村長は、認定賃貸人等が認定賃借人居住安定計画に従って認定賃借人の居住の安定を確保 していないと認めるとき又は勧告マンションの建替えを行っていないと認めるときは、当該認定賃貸 人等に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。 ただし、勧告マンションの建替えを行うべき旨の命令は、当該勧告マンションから認定賃借人がすべ て移転した場合に限り、することができる。

(賃借人居住安定計画の認定の取消し)
第百十一条 市町村長は、前条ただし書に規定する場合以外の場合において、認定賃貸人等が同条本文の 規定による命令に違反したときは、賃借人居住安定計画の認定を取り消すことができる。

2 第百六条第一項前段及び第二項の規定は、市町村長が前項の規定による取消しをした場合について準 用する。

第三節 転出区分所有者居住安定計画の認定等

(転出区分所有者居住安定計画の認定)
第百十二条 勧告マンション建替実施者は、勧告マンションに居住している区分所有者のうちに当該勧告 マンションの建替えに伴い転出区分所有者となる者がいるときは、国土交通省令で定めるところによ り、当該勧告マンションについて、当該転出区分所有者の居住の安定の確保及び当該勧告マンション の建替えに関する計画(以下「転出区分所有者居住安定計画」という。)を作成し、市町村長の認定 を申請することができる。

2 第百四条第二項の規定は、前項の認定の申請について準用する。

3 第一項の認定を申請しようとする者(認定賃貸人等である者を除く。)は、その者以外に当該勧告 マンション又はその敷地(隣接再建敷地を含む。)について権利を有する者があるときは、転出区分 所有者居住安定計画についてその同意を得なければならない。

4 第百四条第三項ただし書及び第四項の規定は、前項の規定により同意を得る場合について準用する。 この場合において、同条第三項ただし書第一号、第三号及び第四号並びに第四項中「第一項」とある のは、「第百十二条第一項」と読み替えるものとする。

5 第一項の認定を申請しようとする者は、あらかじめ、その者以外の転出区分所有者居住安定計画に係 る転出区分所有者であって第三項及び前項において準用する第百四条第三項ただし書の規定により第 三項の同意を得る必要のないもの(以下「同意を得ない計画転出区分所有者」という。)の意見を求 めなければならない。

6 転出区分所有者居住安定計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 勧告マンションの位置
二 転出区分所有者居住安定計画に係る転出区分所有者(以下「計画転出区分所有者」という。)が居住 している住戸(以下「計画転出区分所有者住戸」という。)の数
三 計画転出区分所有者住戸の規模、構造及び設備
四 計画転出区分所有者の氏名、住所及び世帯構成
五 計画転出区分所有者に提供する計画転出区分所有者住戸に代わるべき住宅(以下この章において「転 出区分所有者代替住宅」という。)の規模、構造及び設備、家賃並びに所在及び地番
六 勧告マンションを除却する予定時期
七 勧告マンションの建替えに関する事業の概要及び資金計画
八 第一項の認定を申請した日から当該勧告マンションを除却する日までの間における勧告マンションの 部分のそれぞれの管理に関する事項
九 その他国土交通省令で定める事項

7 第百四条第六項の規定は、第一項の認定の申請について準用する。この場合において、同条第六項中 「前項第九号」とあるのは、「第百十二条第六項第七号」と読み替えるものとする。

(転出区分所有者居住安定計画の認定基準)
第百十三条 市町村長は、前条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る転出区分所有 者居住安定計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときでなければ、転出区分所有者居住安定計画 の認定をしてはならない。
一 計画転出区分所有者ごとに、前条第六項第三号及び第四号に掲げる事項その他計画転出区分所有者に 関する状況を勘案して、その規模、構造及び設備並びに家賃が妥当な水準の転出区分所有者代替住宅 が、計画転出区分所有者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されることが確実 であること。
二 前条第一項の認定の申請を受けた日から勧告マンションが除却される日までの間に、当該勧告マンシ ョンについて新たな権利が設定されないことが確実であること。
三 勧告マンション建替実施者が施行者以外の者である場合にあっては、勧告マンションの建替えに関す る事業の資金計画が当該事業を遂行するため適切なものであり、当該勧告マンションの建替えが行わ れることが確実であること。

2 第百五条第二項及び第三項の規定は、市町村長が前条第一項の認定をしようとする場合について準用 する。この場合において、第百五条第二項及び第三項中「賃借人居住安定計画」とあるのは「転出区 分所有者居住安定計画」と、「賃借人代替住宅」とあるのは「転出区分所有者代替住宅」と、同項中 「計画賃借人」とあるのは「同意を得ない計画転出区分所有者」と読み替えるものとする。

(転出区分所有者居住安定計画の認定の通知)
第百十四条 市町村長は、第百十二条第一項の認定をしたときは、速やかに、当該認定に係る転出区分所 有者居住安定計画(以下「認定転出区分所有者居住安定計画」という。)に定められた転出区分所有 者代替住宅及び当該転出区分所有者代替住宅への入居を希望する旨を申し出ることができる期間(以 下この章において「転出区分所有者入居申出期間」という。)を示して、当該認定をした旨を計画転 出区分所有者に通知しなければならない。

2 前項の場合において、認定転出区分所有者居住安定計画に都道府県が管理する公営住宅、特定公共賃 貸住宅又は高齢者向け公共賃貸住宅が転出区分所有者代替住宅として定められているときは、市町村 長は、速やかに、当該認定転出区分所有者居住安定計画に定められた転出区分所有者代替住宅及び転 出区分所有者入居申出期間を示して、当該転出区分所有者居住安定計画の認定をした旨を当該都道府 県に通知しなければならない。

(転出区分所有者居住安定計画の変更等)
第百十五条 第百十二条第一項の認定を受けた者(以下「認定建替実施者」という。)は、認定転出区分 所有者居住安定計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、国 土交通省令で定めるところにより、市町村長の認定を受けなければならない。

2 第百十二条第二項から第七項まで及び前二条の規定は、前項の場合について準用する。

(報告の徴収等)
第百十六条 第百八条から第百十一条までの規定は、認定転出区分所有者居住安定計画について準用する。 この場合において、第百八条から第百十一条までの規定中「認定賃貸人等」とあるのは「認定建替実 施者」と、第百八条中「認定賃借人居住安定計画に係る計画賃借人(以下「認定賃借人」という。)」 とあるのは「認定転出区分所有者居住安定計画に係る計画転出区分所有者(以下「認定転出区分所有 者」という。)」と、第百十条中「認定賃借人の」とあるのは「認定転出区分所有者の」と、「認定 賃借人が」とあるのは「認定転出区分所有者が」と、第百十一条第二項中「第百六条第一項前段及び 第二項」とあるのは「第百十四条」と読み替えるものとする。

 

第四節 賃借人等の居住の安定の確保等に関する措置

(公営住宅等への入居の申出)
第百十七条 第百六条第一項(第百七条第三項において準用する場合を含む。以下この節において同じ。) 又は第百十四条第一項(第百十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受け た認定賃借人又は認定転出区分所有者は、それぞれ当該通知により示された賃借人代替住宅又は転出 区分所有者代替住宅が公営住宅、特定公共賃貸住宅、高齢者向け公共賃貸住宅又は市町村が認定賃借 人若しくは認定転出区分所有者に転貸するために借り上げた住宅(公営住宅を除く。以下「市町村借 上住宅」という。)である場合においては、それぞれ、賃借人入居申出期間内又は転出区分所有者入 居申出期間内に、当該賃借人代替住宅又は転出区分所有者代替住宅への入居を希望する旨を当該住宅 を管理する地方公共団体に申し出ることができる。

(公営住宅への入居)
第百十八条 前条の規定による申出に係る賃借人代替住宅又は転出区分所有者代替住宅が公営住宅である 場合において、当該申出をした者が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、当該公営住宅を 管理する地方公共団体は、公営住宅法第二十二条第一項及び第二十五条第一項 の規定にかかわらず、 その者を当該公営住宅に入居させるものとする。
一 公営住宅法第二十三条 各号に掲げる条件に該当する者
二 次に掲げる条件に該当する者
 イ 当該申出をした者の収入が公営住宅法第二十三条第一号 イの政令で定める金額以下で当該公営住宅 を管理する地方公共団体が条例で定める金額を超えないこと。
 ロ その他当該地方公共団体が条例で定める条件に該当すること。

2 前項に規定する公営住宅を管理する地方公共団体は、同項に規定する者(認定賃借人に限る。)を公 営住宅に入居させる場合において、その者が従前賃借していた認定賃借人居住安定計画(第百七条第 一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下この節において同じ。)に定められた計 画賃貸住戸(以下「認定賃貸住戸」という。)の家賃を当該公営住宅の家賃が超えることとなり、そ の者の家賃負担の軽減を図るため必要があると認めるときは、公営住宅法第十六条第一項、第二十八 条第二項又は第二十九条第五項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該公営住宅の家 賃を減額することができる。

3 公営住宅法第十六条第五項 の規定は、前項の規定により家賃を減額する場合について準用する。

(特定公共賃貸住宅への入居)
第百十九条 第百十七条の規定による申出に係る賃借人代替住宅又は転出区分所有者代替住宅が特定公共 賃貸住宅である場合において、当該申出をした者が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、 当該特定公共賃貸住宅を管理する地方公共団体は、その者を当該特定公共賃貸住宅に入居させるもの とする。
一 特定優良賃貸住宅法第十八条第二項 に規定する国土交通省令で定める基準のうち入居者の資格に係 るものに該当する者
二 次に掲げる条件に該当する者
 イ 当該申出をした者の収入が国土交通省令で定める金額以下で当該特定公共賃貸住宅を管理する地方公 共団体が条例で定める金額を超えないこと。
 ロ その他当該地方公共団体が条例で定める条件に該当すること。

2 地方公共団体は、前項に規定する者を入居させた特定公共賃貸住宅の家賃については、公営住宅法第 十六条第二項 の規定の例により算定した近傍同種の住宅の家賃以下で条例で定める額とするものとす る。

3 第一項に規定する地方公共団体は、同項に規定する者(認定賃借人に限る。)を特定公共賃貸住宅に 入居させる場合において、その者が従前賃借していた認定賃貸住戸の家賃を当該特定公共賃貸住宅の 家賃が超えることとなり、その者の家賃負担の軽減を図るため必要があると認めるときは、条例で定 めるところにより、当該特定公共賃貸住宅の家賃を減額することができる。

(高齢者向け公共賃貸住宅への入居)
第百二十条 第百十七条の規定による申出に係る賃借人代替住宅又は転出区分所有者代替住宅が高齢者向 け公共賃貸住宅である場合において、当該申出をした者が次の各号のいずれかに該当する者であると きは、当該高齢者向け公共賃貸住宅を管理する地方公共団体は、その者を当該高齢者向け公共賃貸住 宅に入居させるものとする。
一 高齢者居住安定確保法第四十五条第一項第三号 に規定する入居者の資格に該当する者
二 次に掲げる条件に該当する者
 イ 賃貸住宅の入居者又は国土交通省令で定める同居者が国土交通省令で定める年齢以上で当該高齢者向 け公共賃貸住宅を管理する地方公共団体が条例で定める年齢以上であること。
 ロ その他当該地方公共団体が条例で定める条件に該当すること。

2 前条第三項の規定は、前項に規定する者(認定賃借人に限る。)を高齢者向け公共賃貸住宅に入居さ せる場合について準用する。

(市町村借上住宅への入居)
第百二十一条 第百十七条の規定による申出に係る賃借人代替住宅又は転出区分所有者代替住宅が市町村 借上住宅である場合においては、当該市町村借上住宅を管理する市町村は、当該申出をした者を当該 市町村借上住宅に入居させるものとする。

2 第百十九条第二項の規定は前項に規定する者を、同条第三項の規定は前項に規定する者(認定賃借人 に限る。)を市町村借上住宅に入居させる場合について準用する。

3 国は、市町村が前項において準用する第百十九条第三項の規定により市町村借上住宅の家賃を減額す る場合には、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その減額に要する費用の一部を補 助することができる。

(移転料の支払)
第百二十二条 賃借人居住安定計画の認定を受けた住戸賃貸人(以下「認定賃貸人」という。)は、認定 賃借人が認定賃貸住戸から認定賃借人居住安定計画に定められた賃借人代替住宅へその住居の移転 (当該認定賃借人居住安定計画において再建マンションの部分が賃借人代替住宅として定められてい る場合にあっては、当該認定賃借人居住安定計画に定められた仮住居から当該賃借人代替住宅への移 転を含む。)をする場合においては、当該認定賃借人に対して、国土交通省令で定めるところにより、 あらかじめ、通常必要な移転料を支払わなければならない。

(費用の補助)
第百二十三条 市町村は、認定賃貸人(国土交通省令で定める認定賃貸人を除く。)に対して、前条の規 定による移転料の支払に要する費用の全部又は一部を補助することができる。

2 国は、市町村が前項の規定により補助金を交付する場合には、予算の範囲内において、政令で定める ところにより、その費用の一部を補助することができる。

(賃貸借契約の更新拒絶等)
第百二十四条 認定賃貸人が認定賃借人に対し認定賃貸住戸について賃貸借の更新の拒絶の通知(条件を 変更しなければ更新をしない旨の通知を除く。)をする場合においては、借地借家法 (平成三年法律 第九十号)第二十六条第二項 及び第二十八条 の規定は、適用しない。

2 認定賃貸人が認定賃借人に対し認定賃貸住戸について賃貸借の解約の申入れをする場合においては、 借地借家法第二十七条第二項 及び第二十八条 の規定は、適用しない。

 

第六章 雑則

(意見書等の提出の期間の計算等)
第百二十五条 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により一定期間内に差し出すべき意見書その他 の文書が郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条 第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二 項に規定する信書便で差し出されたときは、送付に要した日数は、期間に算入しない。 2 前項の文書は、その提出期間が経過した後においても、容認すべき理由があるときは、受理すること ができる。

(不服申立て)
第百二十六条 次に掲げる処分については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。
一 第九条第一項又は第三十四条第一項の規定による認可
二 第十一条第三項(第三十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知

2 組合又は個人施行者がこの法律に基づいてした処分その他公権力の行使に当たる行為に不服のある者 は、都道府県知事等に対して審査請求をすることができる。

3 第百四条第一項、第百七条第一項、第百十一条第一項(第百十六条において準用する場合を含む。)、 第百十二条第一項及び第百十五条第一項の規定による処分に不服がある者は、都道府県知事に対して 審査請求をすることができる。

(権限の委任)
第百二十七条 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その 一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

第百二十八条 削除

(政令への委任)
第百二十九条 この法律に特に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

(経過措置)
第百三十条 この法律の規定に基づき政令又は国土交通省令を制定し、又は改廃する場合においては、 それぞれ、政令又は国土交通省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内に おいて、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(事務の区分)
第百三十一条 第九条第七項(第三十四条第二項、第四十五条第四項、第五十条第二項及び第五十四条 第三項において準用する場合を含む。)、第十一条第一項(第三十四条第二項において準用する場 合を含む。)、第十四条第三項(第三十四条第二項において準用する場合を含む。)、第二十五条 第一項、第三十八条第五項、第四十九条第三項(第五十条第二項において準用する場合を含む。)、 第五十一条第四項及び第六項並びに第九十七条第一項の規定により町村が処理することとされてい る事務は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第二号 に規定する第二号 法定受託事務とする。

 

第七章 罰則

第百三十二条 組合の役員、総代若しくは職員、個人施行者(法人である個人施行者にあっては、その 役員又は職員)又は審査委員(以下「組合の役員等」と総称する。)が職務に関して賄賂を収受し、 又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。 よって不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。

2 組合の役員等であった者がその在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をし なかったことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処す る。

3 組合の役員等がその職務に関し請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したと きは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

4 犯人又は情を知った第三者の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができ ないときは、その価額を追徴する。

第百三十三条 前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をし た者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第百三十四条 組合が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その行為をした役員又は職員を 二十万円以下の罰金に処する。
一 第九十七条第一項の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料の提出をせず、 又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
二 第九十七条第二項又は第九十八条第三項の規定による都道府県知事等の命令に違反したとき。
三 第九十八条第一項又は第二項の規定による都道府県知事等の検査を拒み、又は妨げたとき。

第百三十五条 個人施行者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その行為をした個人施行 者(法人である個人施行者を除く。)又は法人である個人施行者の役員若しくは職員を二十万円以 下の罰金に処する。
一 第九十七条第一項の規定による報告又は資料の提出を求められて、報告若しくは資料の提出をせず、 又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
二 第九十七条第二項又は第九十九条第一項の規定による都道府県知事等の命令に違反したとき。
三 第九十九条第一項の規定による都道府県知事等の検査を拒み、又は妨げたとき。

第百三十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第百八条(第百十六条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告 をした者
二 第百十条(第百十六条において準用する場合を含む。)の規定による市町村長の命令(勧告マンシ ョンの建替えを行うべき旨の命令に限る。)に違反した者

第百三十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人 の業務又は財産に関して前三条に規定する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第百三十八条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、その行為をした組合の理事、監事又は 清算人を、二十万円以下の過料に処する。
一 組合がマンション建替事業以外の事業を営んだとき。
二 第二十四条第八項の規定に違反して監事が理事又は組合の職員と兼ねたとき。
三 第二十八条第一項、第三項又は第四項(第三十一条第四項において準用する場合を含む。)の規定 に違反して総会又は総代会を招集しなかったとき。
四 第三十四条第三項又は第三十八条第三項の規定に違反したとき。
五 第四十条又は第四十二条に規定する書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
六 第四十一条の規定に違反して組合の残余財産を処分したとき。
七 第九十五条第一項の規定に違反して簿書を備えず、又はその簿書に記載すべき事項を記載せず、 若しくは不実の記載をしたとき。
八 第九十五条第二項の規定に違反して簿書の閲覧を拒んだとき。
九 都道府県知事等又は総会若しくは総代会に対し、不実の申立てをし、又は事実を隠したとき。
十 この法律の規定による公告をせず、又は不実の公告をしたとき。

第百三十九条 第二十八条第五項の規定に違反して最初の理事又は監事を選挙し、又は選任するための 総会を招集しなかった者は、二十万円以下の過料に処する。

第百四十条 個人施行者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その行為をした個人施行者 (法人である個人施行者を除く。)又は法人である個人施行者の役員若しくは清算人を二十万円以 下の過料に処する。
一 第五十条第三項において準用する第三十四条第三項の規定に違反したとき。
二 第五十四条第二項の規定に違反したとき。
三 第九十五条第一項の規定に違反して簿書を備えず、又はその簿書に記載すべき事項を記載せず、 若しくは不実の記載をしたとき。
四 第九十五条第二項の規定に違反して簿書の閲覧を拒んだとき。
五 この法律の規定による公告をせず、又は不実の公告をしたとき。

第百四十一条 第八条第二項の規定に違反してその名称中にマンション建替組合という文字を用いた者 は、十万円以下の過料に処する。

 

附 則 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行す る。

(名称の使用制限に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際、現にその名称中にマンション建替組合という文字を用いている者につい ては、この法律の施行の日から起算して六月間は、第八条第二項の規定を適用しない。
 附 則 (平成一四年一二月一一日法律第一四〇号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行す る。

(マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第三条 第二条の規定による改正後のマンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「新マンショ ン建替え円滑化法」という。)第十条第一項及び第十四条第一項の規定は、この法律の施行後に新 マンション建替え円滑化法第九条第一項又は第三十四条第一項の規定によりされた認可の申請に係 る事業計画、認可の公告及び図書の送付について適用し、この法律の施行前に第二条の規定による 改正前のマンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下「旧マンション建替え円滑化法」とい う。)第九条第一項又は第三十四条第一項の規定によりされた認可の申請に係る事業計画、認可の 公告及び図書の送付については、なお従前の例による。

2 この法律の施行前に旧マンション建替え円滑化法第九条第一項又は第三十四条第一項の規定により された認可は、それぞれ新マンション建替え円滑化法第九条第一項又は第三十四条第一項の規定に よりされた認可とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした旧区分所有法又は附則第七条の規定による改正前の被災区分所有建物 の再建等に関する特別措置法の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例 による。
 附 則 (平成一五年三月三一日法律第八号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。
 附 則 (平成一六年六月九日法律第八四号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から  施行する。

(検討)
第五十条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況について  検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
 附 則 (平成一六年六月一八日法律第一二四号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の日が行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の施行の日後である場 合には、第五十二条のうち商業登記法第百十四条の三及び第百十七条から第百十九条までの改正規 定中「第百十四条の三」とあるのは、「第百十四条の四」とする。
 附 則 (平成一六年一二月一日法律第一四七号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行す る。
 附 則 (平成一六年一二月一日法律第一五〇号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
 附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄
 この法律は、会社法の施行の日から施行する。
 附 則 (平成一八年六月二日法律第五〇号)
 この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
 附 則 (平成一八年六月八日法律第六一号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。

(マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十四条 前条の規定による改正後のマンションの建替えの円滑化等に関する法律第四条  第三項の規定は、この法律の施行の日以後第十五条第一項の規定により全国計画が定めら  れるまでの間は、適用しない。

(政令への委任)
第十七条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、  政令で定める。
 附 則 (平成二〇年四月三〇日法律第二三号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、  当該各号に定める日から施行する。

五 次に掲げる規定 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第  四十八号)の施行の日(平成二十年十二月一日)

ロ 第二条中法人税法第二条第九号の次に一号を加える改正規定、同法第四条の改正規定、 同法第九条に一項を加える改正規定、同法第十条の改正規定、同法第十条の二の改正規定、 同法第十三条第二項第一号の改正規定(「内国法人である」を削る部分に限る。)、 同項第二号の改正規定、同法第三十七条第三項第二号の改正規定、同条第四項の改正規 定(同項中「、公益法人等」の下に「(別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人を 除く。以下この項及び次項において同じ。)」を加える部分及び同項ただし書中「内国法人で ある」を削る部分に限る。)、同条第五項の改正規定、同法第三十八条第二項第一号の改正 規定、同法第六十六条の改正規定、同法第百四十三条の改正規定、同法第百五十条第二 項の改正規定(「である公益法人等又は人格のない社団等」を「(人格のない社団等に限る。)」 に改める部分に限る。)、同法別表第一の改正規定(同表第一号の表日本中央競馬会の項の 次に次のように加える部分を除く。)、同法別表第二の改正規定(同表第一号の表貸金業協会 の項の前に次のように加える部分(医療法人(医療法(昭和二十三年法律第二百五号) 第四十二条の二第一項(社会医療法人)に規定する社会医療法人に限る。)の項に係る部分 に限る。)及び同表農業協同組合連合会(医療法(昭和二十三年法律第二百五号) 第三十一条(公的医療機関の定義)に規定する公的医療機関に該当する病院又は診療所 を設置するもので政令で定める要件を満たすものとして財務大臣が指定をしたものに限る。) の項中「(昭和二十三年法律第二百五号)」を削る部分を除く。)及び法人税法別表第三の 改正規定並びに附則第十条、第十一条、第十五条及び第二十一条の規定、附則第九十三 条中租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律第四 条第二項、第四項及び第六項の改正規定並びに附則第九十七条、第百四条、第百五条、 第百七条、第百八条及び第百十一条の規定

(罰則に関する経過措置)
第百十九条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条に おいて同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることと される場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、 なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百二十条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、  政令で定める。
 附 則 (平成二三年四月二八日法律第三二号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める  日から施行する。
 附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号)
 この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。
 附 則 (平成二三年六月二二日法律第七〇号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。ただし、次条の規定は公布の日 から、附則第十七条の規定は地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図る ための関係法律の整備に関する法律(平成二十三年法律第百五号)の公布の日又はこの 法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する。
 附 則 (平成二三年六月二四日法律第七四号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
 附 則 (平成二三年八月三〇日法律第一〇五号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に  定める日から施行する。
一 〜二 (略)

(マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部改正に伴う調整規定)
第九条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日が高齢者の居住の安定確保に関する法律 等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第三十二号)の施行の日前である場合には、 第百五十六条のうちマンションの建替えの円滑化等に関する法律第百二十条第一項の改正 規定中「第四十五条第一項第三号」とあるのは、「第四十九条第一項第三号」とする。

2 前項の場合において、高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律附則 第十三条のうちマンションの建替えの円滑化等に関する法律第百二十条第一項の改正規定 中「第百二十条第一項」とあるのは、「第百二十条第一項第一号」とする。

(マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第六十八条 第百五十六条の規定(マンションの建替えの円滑化等に関する法律第百二条の 改正規定を除く。以下この条において同じ。)の施行の際現に効力を有する第百五十六条の 規定による改正前のマンションの建替えの円滑化等に関する法律(以下この条において 「旧マンション建替え円滑化法」という。)〜(略)〜までの規定により 市長が行うこととなる事務に係るものは、それぞれこれらの規定により当該市長 が行った認可その他の行為又は当該市長に対して行った認可の申請その他の行為とみなす。

2 第百五十六条の規定の施行前に旧マンション建替え円滑化法第二十五条第一項若しくは 〜(略)〜これらの手続がされていないものについては、第百五十六条の規定の施行後は、 これをこれらの規定により市長に対して届出をし、又は市長の承認を得なければならないとされた 事項についてその手続がされていないものとみなして、これらの規定を適用する。

(罰則に関する経過措置)
第八十一条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条に おいて同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることと される場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、 なお従前の例による。

(政令への委任)
第八十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置  (罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
 附 則 (平成二三年一二月一四日法律第一二二号) 抄

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から 施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第六条、第八条、第九条及び第十三条の規定 公布の日