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東京都マンション管理適正化条例 (解説)

「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」
        (平成31年3月29日東京都条例第30号)

概 要
昭和58年12月31日以前に新築されたマンションのうち、
居住の用に供する独立部分が戸数が6戸以上のものに
届出と管理状況の報告義務を課しました。5年ごとに届出が必要です。

届出しなくても罰則はありません。
都が、管理不全の兆候があると判断した場合には、 届出義務のないマンションに対しても登録と報告を求めることができます。 また、義務化に該当しなくても希望する管理組合は登録できます。

施行は公布日からですが、届出受付は令和2年(2020年)4月1日から
届出の期限:要届出マンションは、令和2年(2020年)9月30日まで

届出の方法:
  @インターネットから登録サイトにログインし、届出事項を入力
  A届出書に届出事項を入力し、マンション所在地の区市町村の担当へ、郵送又は直接持参
届出書の様式;
  東京都マンションポータルサイト 「管理状況届出制度」 からダウンロードできます。

 日本の「マンション管理適正化法」は、第4条で「適正化指針に従い、管理組合を適正に管理するよう努めなければならない」旨の義務規定を置いていますが、 本来の立法趣旨は、第44条〜第90条の管理業者の監督にあったはずです。が、いつのまにか、第4条の管理組合の努力義務だけが拡大し、 都条例では、「管理不全の兆候がある管理組合を適正化」する意味に変わってしまいました。

東京都マンション管理適正化条例 第1条(目的)を要約すると、
   行政がマンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者と組んで、
   管理不全の兆候があると行政が認めた管理組合を適正化する。

江戸の代官が三河屋らと組んで「長屋改め令」で町民を取り締まるだと? てやんでぃ!

The tradition of political corruption in Japan is alive and well. - BBC NEWS(29 November 2005) -
「日本の汚職の伝統は生きていて、元気である」
 ⇒  「8.1 管理業者の違反行為と行政処分」

都内で届出義務が生じるマンションは1万4千棟

 昭和58年(1983年)は区分所有法と耐震基準が改正され、以後、管理組合が法的に整備され、建築物の新耐震基準の適用が始まった年です。 届出開始の令和2年(2020年)時点で築37年超の建物になります。

 平成30年3月時点における都内の全分譲マンションは5万4千270棟、 そのうち58年以前のマンションは1万5千棟、その中で、6戸以上の登録対象マンションは1万4千棟、5戸以下の1千棟は対象外、 他に賃貸マンションは分譲を上回る8万3千229棟ありますが、賃貸はすべて対象外。

届出期限(令和2年9月30日)後の状況

出典:令和2年10月28日開催「令和2年度東京都住宅政策審議会 第3回企画部会」資料より
届出のあった総件数:6、301棟、全体の45%(6,301/14,000)
その内訳:
@管理組合なし:139棟(2.2%)、A管理者なし:202棟(3,2%)、 B管理規約なし:145棟(2.3%)、C総会開催なし:214棟(3.4%)、D管理費なし:44棟(0.7%)、E修繕積立金なし:195棟(3.1%) F修繕の計画的な実施なし:491棟(7.8%)
「東京マンション管理・再生促進計画」 : 令和7年(2025年)年度末における届出目標 80%

いつのまにか届出件数が最終目標になったが、例え届出100%になったとしても何も解決しない。
真の解決すべき問題はその後にある。

条例制定の背景

先行して実施していた他の自治体
地域のマンションが廃墟マンションになる前に打つ手はないかと豊島区が、 平成24年(2012年)12月「豊島区マンション管理推進条例」を制定し、 全国で初めて管理状況などの届出を義務化しました。

京都府も平成23年(2011年)12月1日)から平成24年(2012年)3月15日にかけて、 平成2年以前に建築された京都市内の分譲・高経年マンションの実態調査を行い、 管理状況によりグループ分けし、行政が関与して支援する政策を打ち出しました。

その後、東京都内の区・市や各地の地方自治体が同様の条例制定に動き出しました。 地域特性に応じて内容は異なりますが、 まずは現状把握するために建物と管理の情報を登録させようというのは共通です。

7年遅れて今回、東京都も管理状況などの届出を義務化した条例を制定しました。

都条例の狙いを阻む三つの要因

1.行政の古い体質・コンピテンシー基準の欠如

法令によって国民に義務を課す場合、公権力の関与の度合いから(1)啓発・指導 (2)協力要請 (3)強制の3段階に分れます。

国民への義務の履行を確保する手段としては謙抑的(※1)なレベルの法令であっても、 その法令が、その法令で規定された分野において、行政が管理組合に立入り、 管理状況について必要な助言、指導、又は勧告をする、或いはアドバイザーの派遣費用などへの公的資金の支出などについて、 公権力の執行が認められる法律上の効果があります。 そして実際の具体的な施策は、条例に基づいて役所が作る「条例施行規則」で規定されます。

条例で組合に管理情報の届出を義務化し、施行規則で細かな届出項目を規定しておきながら、 行政におけるその情報の扱いについての規定は一切ない。 情報の扱いは行政の裁量に任される。不都合が起きたら権力で押さえつければ良い。一党独裁国家の論理

組合に管理情報の届出を義務化したカナダでは、 提出された管理情報を登記簿の建物情報と突き合わせてDB(データベース)に登録する審査官と、 登録されたDBの管理・公開を行う登記官の職務権限と責任がそれぞれ条例で規定されているから、担当官は法のもとで透明かつ合理的に動く。

日本では階層構造組織の中でのみ通用する内輪の論理で動くから、責任逃れのための他部署との根回しや忖度、 不都合の隠蔽が行政の主な仕事。職務責任よりも組織防衛が彼らの任務

情報公開と説明責任と合理性を柱とする近代行政の基本がこのコンピテンシー基準です。
  ⇒  登録に関するコンピテンシー基準   都条例にコンピテンシー基準がない理由

(※1) 謙抑的とは「問題を明らかにせず控えめに」という意味です。
     都条例は真の問題を明らかにせず本当に必要な対策には踏み込んでいない。(次段後述)

2.対策が必要なマンションを登録対象から外した適正化指針

役所が国民に訓示をする形式的権威付けの適正化指針は本来の目的からは必要ではない。

東京都条例の特徴は、形式的外形基準(書類があればOK、内容や実効性は問わない)で、 微に入り細にわたって「計画書や書類の有無」を登録させます。
ウンザリするくらい登録項目は多いが実効性は問わない。形だけ整っていれば良い。
5年間は再登録なし。従ってデータの実用的信頼性は低い。こんなデータは使えない。

管理不全の原因となる、「管理組合が設立されてない、或いは機能していないマンション」を見つけて早期に手当てする目的で、 登録制度を作ったはずが、評価基準自体を自己目的化した結果、「適正化指針」で国民に訓示することが条例の目的となり、 結果的に管理不全マンションを落ちこぼれとしてDBから外すという矛盾を犯している。 もともと管理組合が存在してない、又は機能していない落ちこぼれのマンションは、登録もしない。 相手が特定できないから義務も罰則も課せられない。

※ 適正化指針については後述の、「 意味不明の法令題名 」で取り上げます。

3.空家等対策特別措置法による助言・指導、勧告、命令手続きとの関係

同一対象物に国の機関がそれぞれ異なる権原に基づく複数の義務を課す場合があります。

空家等対策特別措置法は最初から行政代執行ありきで進めるわけではありません。 解体撤去に税金を投入しなくて済むように、所有者が地域の公共安全に向けて自主的な解決策をとれるように、 助言・指導します。自主的な解決ができないときは、勧告、命令の2段階の強制手段をとります。 それらの手段を尽しても尚、解決できないときの最後の手段が行政代執行、略式代執行です。

廃屋マンションの撤去で、空家等対策の推進に関する特別措置法第14条第9項(代執行) 及び同条第10項(略式代執行)による措置の前段階として、 特別措置法に基づく助言・指導、勧告、命令の3つの段階ごとに、 空き家所有者への対応だけでなく、近隣住民への対応、庁内の調整、弁護士等の専門家への相談等についても記録・整理し、 行政としてできる限りの対応を適宜行っていることを明確に示せるようエビデンスを残すことが必要になります。

問題のあるマンションの所有者関係の調査等において、特措法の助言・指導、勧告等の措置を阻害する要因となることや、 余計な紛争を招かないよう抵当権者への適切な対応を事前に整理・確認するなど、慎重な対応が必要になります。

措置執行権原を持たない一般人や営利事業を行っている管理業者、分譲業者に調査、助言・指導をさせることは絶対にあり得ません。


公儀の本分たる公益をたばかり、お上の威光をかさにきて民を欺く業者と結託する悪代官
都の条例は公権力を背景にした日本的産官協調の伝統的手法である「行政指導」に、 第15条の届出義務を継ぎ足した官僚制の権威的行動様式の典型です。

  (1) 行政指導に使われる用語群
     「提案」、「勧告」、「指導」、「指示」、「要望」、「助言」、「訓示」、「警告」
  (2) 組み合わされる用語
     「○○改善勧告」「○○是正指示」「○○防止(又は抑制)指導」「○○適正化促進指導」

都条例第7条
 「マンション管理業者は、(略) 当該管理組合に対し、 専門的見地から提案又は助言を行うよう努めなければならない。」 ・・この条文の真の狙いは・・
「管理業者は、自社の利益になるように改修工事等を提案、又はすべて管理会社に任せるような管理規約とするよう 助言を行うよう努めなければならない。」 営利企業として当然の企業活動。

「越後屋よ、そちもワルよのう ウッフッフ」  「いえいえ、お代官さまにはかないませぬ」


凸凹管理会社よりのお知らせ
 このたび、当社は法令の定めにより、皆様の管理組合に対し、専門的見地から提案又は助言を行うとともに、 都の行うマンションの適正な管理を促進する施策に対応するための必要な支援を行うこととなりました。 つきましては、法令に基づき下記の提案をさせていただくこととなりました。
当社は今後とも管理社会の発展に向けて行政とも協力して参ります。よろしくお願い致します。


適正な管理って何?

日本の「マンション管理適正化法」は、管理業者を適正化する意味だったはずが、いつのまにか、 管理組合を「適正化」する意味に変わってしまいました。

この条例が、「マンションの適正な管理の促進に関する条例」という大げさな題名の割りに中身がないのは、 政策目的を管理データの登録・更新に絞り、7年前に先行して実施している豊島区や京都市と同様の行政施策上の啓発・指導・支援の仕組みを作ることを狙いとしたからです。

東京都条例の基となった他自治体の条例は、「各自治体のマンション登録制度」  参照

本当に必要な対策には踏み込んでいない
この条例の第1条(目的)に「市街地環境の向上に寄与することを目的とする。」とありますが、 廃墟マンションの撤去に係る行政代執行は本条例では執行できません。

罰則がない、行政庁の具体的処分もないということは、行政処分の実施を求めることにより権利救済の目的を達する事後処理主義による途も残されていないということです。

管理組合の運営に関する手続の進行は原則として当事者に任されています。(当事者主義)
規約による自治は、市民法秩序と直接関係を有しない問題に限り、 組合内部の自立的判断及び規範(管理規約)に任せられ、司法審査の対象とならず、法律上の争訴性は否定されます。

つまり、理性ある個々の区分所有者が幾ら頑張っても、武器(法的根拠)なき戦いを強いられることになります。 相続放棄住戸、所有者不明住戸などの「法律が相手の戦い」もある。 法定相続人がネズミ算式に増える現行の相続制度に加え、 相続登記のみならず不動産登記自体が日本では任意制度だから、所有者不明住戸は今後も爆発的に増えていく。

所有者不明住戸の増加

国交省の「平成30年度マンション総合調査」で、管理組合が不安に思っている所有者不明住戸の増加は、 この都条例が対象としている昭和58年以前のマンションに限らず、 調査した平成30年時点でわずか築10年前後の新築マンションでさえ危機感をもっている事を示しています。

管理費や修繕積立金を支払わない店舗所有者、多重債務者、法人所有物件で所有者が倒産して抵当がついたまま売れない空き物件、 投機目的で購入した連絡のつかない不在外国人が購入した物件などを前にして、 きれいごとの訓示を並べた適正化指針や外部のアドバイザーなど何の役にも立たない。

コンドミニアムを投機目的で所有する外国人の比率が高い米国やカナダでは、所有者が誰であろうと、 共益費を3ケ月滞納すると管理組合はその住戸についた抵当権を抹消して競売にかけ、滞納金を回収する法律になっている。 抵当権者は所有者に代わって滞納金と管理組合が滞納督促処理にかかった全費用を一括で払うか、または、抵当権を放棄するかの選択を迫られる。

このような劣後債を大量に抱え込んだリーマンブラザーズが経営破綻したが、 日本では、所有者がローンを完済しない限り抵当権は抹消されない。競売は成立せず、金融機関もつぶれない。

必要なのは適正化手段を適正たらしめる法的根拠です。

相続法(民法)や不動産登記法の見直し、区分所有法第3条のあいまいな確認的宣言規定を明確な義務規定に変え、 昭和39年10月15日最高裁判例で示された団体法理適用条件を条文に明記、 民法667条第1項の組合契約をとる任意組合の区分所有法第3条組合への強制転換、 抵当権やいかなる先取り特権も共益費・修繕積立金債権には劣後する規定を置いた上で、 修繕積立金の負担に応じない者に対する区分所有法59条の無条件の強制適用、 所有者不明若しくは連絡のつかない所有者の空き住戸の法的受け皿を整えるなど、 さまざまな対策を積み重ねていくしかない。

老朽化だけではなく被災による再建困難ー廃墟化の増加

近年、世界的に異常気象に伴った大規模自然災害が増え、 再建団体が組織できずに廃墟化していく事例が増加し、 老朽化マンション問題よりも、大災害時の問題の解決へ向けた対策が求められています。
       老朽化だけではなく被災による再建困難ー廃墟化の増加

意味不明の法令題名

法令題名は、その内容を簡潔に表わすものとする法制執務規則に従えば、この条例の題名は
正しくは「特定マンション登録条例」です。

この「適正な管理の促進に関する条例」には「適正な管理」の訓示規定はあっても法的拘束力・強制力を有する具体的規定は一切ない。 適正な管理の具体的評価基準(=管理不全の兆候判断基準)は、条例第四条で規定された「管理の適正化に関する指針」に示されています。

東京都「マンションの管理の適正化に関する指針」について
管理組合に適正化を指導する指針が国に続いて東京都からも出ました。

この条例は高経年マンションに対する「廃屋マンションになる前の予防保全対策(※2)」を直接の立法目的としつつ、 条例第四条に基づいて公布された「マンションの管理の適正化に関する指針」では、現在における総合的かつ最新の「適正化」項目 (例えば「環境への取組(LED化、外断熱、EV充電設備など)の実施」など)を網羅した壮大な啓発・指導教典になっています。

〜は必要である、 〜は重要である、 〜は望ましい ・・・一方的独断的基準の羅列・毛沢東語録
「適正化」がついた法律は支配する側の傲慢と偏見と狂気が現れる。Nationalism by ideologue
         毛沢東語録を掲げた紅衛兵が思想改造にやってくる!
  この指針については、本頁では触れません。

(※2)条例では廃屋マンションという言い方はせず、 マンションの管理不全(マンションの維持・管理や修繕が適切に行われず、外壁が落下するなど周辺にも悪影響を与えている状態) という表現を使っています。

「適正化」とは、(下記はブラックジョークです)
「適正化」とは、利害を共有する者が共謀してゴリ押しするときの詭弁のひとつ・・

私達は、さまざまな環境の中で、経済合理性とのバランスを取りながら生きています。 それを自己決定権といいます。 それらを無視して一方的に特定の価値観を「これが適正だ」と上から目線で押し付けられても、従う義務はない。    「価値観をめぐる法哲学の変遷」

行政が国民から報告を徴収する場合は、 報告徴収の範囲はその法令の目的としている事項に限定し、 その法令の目的を達成するための必要最小限のものにしなければならない。
都作成の「東京都規則で定める管理状況に関する事項」は 具体的状況のもとで相当と認められる必要最小限度を越えており、社会通念上著しく妥当性を欠いています。

今 あなたがいちばん、適正化して欲しい事って何ですか?

これまでの東京都のマンション管理適正化に向けた取組
「東京都優良マンション登録表示制度」平成15年(2003年)創設
「マンション再生まちづくり制度」(旧耐震マンションへの支援)平成29年(2017年)創設

行政が信頼されていない中で
管理組合に情報の登録・更新をさせるのは難しい

平成15年4月に東京都は「優良マンション登録表示制度」を創設・開始したが、 平成30年度末までの登録実績は216件(19,475戸)にすぎなかった。

平成23年度に東京都が実施したマンション実態調査の回収率は約17%

平成26年7月に東京都住宅政策審議会にマンション部会を設置し、平成27年9月に受けた答申報告の中で、 行政が関与する具体的な施策として、(1)マンションの必要最小限の基本情報をデータベースとして登録する制度、 (2)管理不全に陥っているマンションを把握するために、管理状況を定期的に報告する制度の2つを創設することが提案されていました。

登録1回目の試行 95%が回答せず
この提案を受けて都は平成29年度に文京区、板橋区、調布市の3区市の全分譲マンション3,552棟を対象に調査票を配布、 その結果、督促を行っても回収できたのは182棟分、回収率5。1%、つまり95%が回答なしでした。

調査項目(36項目)
○マンション概要:マンション名、所在地、住宅戸数、建築年月等
○管理情報 :管理者名、管理人の勤務形態等
○付加価値情報 :長期優良住宅認定、優良マンション登録等

登録2回目の優待特典付き試行でも 80%が回答せず
更に、中央区、新宿区、品川区の3区内の5,616棟のマンションに、回答するともらえる特典をつけて調査票を配布し、 繰返し督促を続けたにも拘らず、回収数1,209棟、回収率21。5%で8割近くが回答なしでした。

調査項目(83項目)
○基本情報:マンション名、所在地、住宅戸数、建築年月等
○管理情報:管理組合の運営状況、規約の改正状況、防災対策等
○会計情報:管理費、修繕積立金の状況等
○その他 :長期修繕計画、大規模修繕工事、修繕履歴、書類(総会議事録、設計図書等)の保管状況、 耐震化、建替えの検討状況等

報告するともらえる特典(インセンティブ)
○ マンションみらいネットBコース初年度登録料(21,000円)無料
○ マンション管理アドバイザーBコース派遣料1回分(21,600円)無料

それでも回答を提出しなかった理由(ヒアリングによる)

(1)登録の意図・目的が不明(登録の必要性がわからない) (2)管理組合にとってのメリットがない (3)第三者等への情報の流出が心配(区分所有者間のトラブルの原因になる等) (4)登記簿情報等を行政が把握していれば登録は不要 (5)情報の登録は義務付けるべきではなく任意とすべき(義務でなければ協力しない) (6)適正に管理されているマンションへの行政の介入は不要 (7)管理組合にとって回答の負担が大きい (8)管理会社担当者は複数のマンションを担当しており、回答は負担

京都市が平成23年12月 〜平成24年3月に市内663件のマンションをアンケート調査した時も50%の337件は回答なし。 それでも、同年に実施した東京都の回収率17%よりは、はるかに高い。

豊島区が平成25年7月に登録条例を施行して6年後の令和1年6月末時点の達成率(登録率)は、68.3%、 平成29年4月に条例を施行した墨田区でも、2年3ケ月後の令和1年7月10日時点の達成率(登録率)は、51.2%です。

既にあるデータベース(DB)との整合性の問題点

都では、既にマンションデータや登記簿謄本、現地確認等により得られた情報をDB化しており、 平成30年3月末現在、分譲54,270棟 賃貸83,229棟掲載し、都と利用協定を締結した区市(平成29年度末現在32区市)が閲覧可能になっています。 建物情報はあるが管理情報はない。管理情報は継続して更新し続けなければ意味がない。

公益財団法人 マンション管理センターが国の資金で運用している「マンションみらいネット」(平成18年(2006年)開設:マンションの管理情報・修繕履歴データベース)は、 開設以来13年を経た2019年7月現在の登録数は、わずか全国379件(東京都94件) 詳細は 「マンションみらいネット」とは 参照
不人気の理由は利用者(管理組合)にとってメリットがないから。

今回の都条例は、すでに先行して実施している各区市のDB項目との整合性がとれていないと、 すでに区市で先行取得しているDB項目が不要になるか、或いは追加となる項目は、 再度、新様式で報告を求めることになり、現場の区役所と管理組合に負担と混乱をもたらす。(二重行政の弊害)

対象マンションの範囲や管理情報項目が都・各区市・各自治体バラバラで、 統一性のない管理データベースが地域ごとに作られているというのが実情です。

登記簿や課税台帳と「マンション管理組合台帳」の違いは何か
法務局管轄の土地・建物の不動産や法人などの登記簿、及び、税務署管轄の固定資産税・都市計画税・ 市民税などの課税台帳は、いずれも管理すべき基本項目、様式と取扱い規則は全国で統一されていて、 そのことによって市民も地方自治体も情報の利用と効率化の恩恵を受けています。

管理組合にマンション(の管理状況)の登録を義務付けて「マンション管理組合台帳」を作成するということは、 法務局に法人登記をすることと同じ権利に係る行政手続で、 単に、「アンケート調査票を配って記入してもらう」レベルの話ではないのですが、肝心の行政当局にその重要性の認識はない。

具体的に言えば、土地・建物の不動産登記情報のいわば「地籍」に対応する「戸籍」を管理組合単位で与えて管理していくというのが登録の目的であり、 管理と利用の効率化のための法人番号が付与され、当該管理組合にも通知されて再申請やDB利用に使用するのが普通です。
       カナダの登録法令との比較

この都条例の分析と傾向

わずか21条しかないこの条例には、「努めなければならない。」という罰則なしの義務規定(単なる訓示規定)が8箇所、 「するものとする。」という一般的な原則あるいは方針を示す規定が4箇所、 他に事務を委任する規定「・・は・・を定めるものとする。」が4箇所あります。罰則規定はありません。

「・・するものとする。」は「・・しなければならない」がある一定の義務付けを意味するものに対して、 通常はそれより弱いニュアンスを表わし、一般的な原則あるいは方針を示す規定の述語として用いられます。 主語が行政機関等の場合の「・・するものとする。」は、行政機関等に一定の拘束を与える場合の規定として用いられます。

(ア)東京都は事務の違法を理由として賠償責任を負う
 この都条例第6条(マンション管理士)、第7条(管理業者)、第8条(分譲事業者)における義務規定は、 法的拘束力を持たない単なる訓示規定であって明確な委任事務の規定もなく、 この訓示規定をもってその者達の本条例に定める登録に係る業務が地方公共団体の公権力の行使に係る実質的責任を負うものとはいえず、 当該管理組合の確認登録処分及び同条例第18条第3項の指導、勧告処分更に同第4項の知事が適当と認める区分所有者個人を指定して行う指導、勧告をする処分等の規定は、 いずれも公共団体の公権力の行使であるといえるから、それらに係る事務の違法それ自体を理由として、 東京都は国家賠償法1条1項の「公共団体」として賠償責任を負うと解するのが相当である。

(イ)行政の独断的な基準で登録を強制させることは違法な手段
 この都条例は平成26年9月に東京都住宅政策審議会報告で管理組合の登録制度創設の必要性の答申を受けで制定されたもので、 従来の手法では登録率が達成できないと考え、登録率のかさ上げを狙って、 マンション購入者及び区分所有者の団体である管理組合から報酬を得て事業として行っているマンション管理士、管理業者、分譲事業者に対し、 業務上知りえた顧客情報をデータベース項目として登録させることを目的としたものであるが、 これらの情報は当該管理組合が保有と利用の権原を有する情報であり、上記各事業者はそれらの情報については守秘義務を有することから、 本来、行政が登録に際して確認をすべき最も重要な当該管理組合の登録に関する適正な合意手続きの証明を要するところ、 同条例にはそれらに関する規定も審査基準もなく、住民の意思を確認することなく、行政の偏頗的、一方的、恣意的、独断的な基準で登録を強制させることは、 地方公共団体の公権力の行使に係る違法な手段と解するのが相当である。

行政による偏頗的(へんぱてき:片寄って不公平な)、一方的(支配する側にとって都合の良い)、恣意的(しいてき:その場の雰囲気やきまぐれで)、 独断的(支配する側の独りよがり、自己満足)基準で作られた「思想と情報の国家統制制度」と、 「住民のコンセンサスによる社会合意結果の行政機能への委任」との違いは、その決定プロセスにあります。

「組合情報に直接かかわる情報は公表できない」
ある大手管理会社で3人のフロントがそれぞれ複数の担当物件で、 管理組合の資金を横領着服し、決算報告書を偽造していたのが発覚した。被害13組合、合計額は360万円
管理会社では「事件の詳細については、組合情報に直接かかわる情報であり、公表はできない」と説明した。 不祥事を起こした管理会社の決まり文句。だったら都にも同じ事言えば?


この都条例は目的として掲げた「適性化すべき課題」の原因群の認識の客観性が立証されていない単なるプロパガンダ (Propaganda 特定利益集団を利するための政治的宣伝活動)にすぎない。

価値観をめぐる法哲学の変遷
〜 一方的に特定の価値観を「これが適正だ」と上から目線で押し付けられても、従う義務はない。〜

20世紀前半の欧州で興った「価値相対主義」では、「正義・自由・平等などの価値は、 それを奉じる個人にとってだけ妥当する」という立場をとっていた。その頃、英米で中心だった「情緒説」では、 「〜は正しい、〜は良い」などの規範言明は、話者の情緒的態度の表明にすぎないという見解を示した。
都条例はこの頃の昔に戻ったような錯覚をさせる。都条例はこれらの批判にすら耐えられない。

価値相対主義はその後、論理実証主義(Rudolf Carnap,Hans Kelsen)、経験的相対主義や規範的相対主義(John Stuart Mill)を経て、 メタ価値論的相対主義、批判的多元主義(Karl Popper)へと発展した。

この都条例は後世の行政学の教科書に、やってはいけない見本として幾つもの事例が載ることになる。

<以下は「東京都マンション適正管理条例」全文です>


東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例

平成三一年三月二九日 条例第三〇号

お断り:
 本文の第一章(法の目的と定義)は、読みやすさを意図して、要約して記載しています。
 第二章以下では権利と義務に関する重要な条文ですので編集なしで原文のまま掲載しています。

 条例を正確にご覧になりたい方は、都のホームページで参照されますよう、お願いいたします。

目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項(第九条―第十四条)
第三章 マンションの適正な管理を促進するための施策(第十五条―第十九条)
第四章 雑則(第二十条・第二十一条)
附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この条例は、
 マンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者その他の協力の下、
 マンションの管理の主体である管理組合に対し、行政が積極的に関わり、
 マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進し、マンションの社会的機能の向上
 (良質なマンションストック及び良好な居住環境の形成 及びマンションの周辺における
  防災・防犯の確保及び衛生・環境への悪影響の防止・環境性能の向上) を図り、
  もって都民生活の安定向上及び市街地環境の向上に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は下記
一 マンション マンション管理適正化法に規定するマンションであって東京都に所在するもの。
二 区分所有者等 マンション管理適正化法に規定するマンションの区分所有者等をいう。
三 管理組合 マンション管理適正化法に規定する管理組合をいう。
四 管理者等 マンション管理適正化法に規定する管理者等をいう。
五 マンション管理士 マンション管理適正化法第に規定するマンション管理士をいう。
六 マンション管理業者 マンション管理適正化法に規定するマンション管理業者をいう。
七 マンション分譲事業者 宅地建物取引業法に規定するマンションを分譲する者をいう。

(都の責務及び区市町村との連携等)
第三条 都は、管理組合、マンション管理士、マンション管理業者、マンション分譲事業者その他によるこの条例の規定に基づく支援 その他のマンションの適正な管理に必要な措置を講ずる。

2 都は、この条例の施行及び施策の実施に当たって、特別区及び市町村と緊密に連携し、情報の共有を図るとともに、 区市町村が行う施策に対し必要な支援を行う。

3 都は、第十五条第一項及び第三項から第五項まで並びに第十六条第一項及び第二項の規定による届出の内容 その他のマンションに関する情報を記録するためのデータベースの整備その他必要な措置を講ずる。

4 知事は、第一項の措置又は第二項の支援の実施に必要があると認めるときは、 前項のデータベースに記録したマンションの管理状況その他のマンションに関する情報を区市町村に提供するとともに、 マンションの存する場所の属する区市町村に対し、当該マンションの管理状況その他の情報の提供について協力を求めることができる。

(マンションの総合的な計画及び管理の適正化に関する指針の作成)
第四条 知事は、第一条に規定する目的の実現に向けた基本的施策を具体化し、推進するための総合的な計画を定める。

2 知事は、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「指針」という。)を定める。

3 知事は、指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公示する。

(管理組合及び区分所有者等の責務)
第五条 管理組合は、マンションの管理の主体として、法令及びこの条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより、 マンションを適正に管理するとともに、マンションの社会的機能の向上に向けて取り組むよう努めなければならない。

2 区分所有者等は、法令等の定めるところにより、区分所有者等としての権限及び責任に基づき、 管理組合の運営に参加するよう努めなければならない。

(マンション管理士の責務)
第六条 マンション管理士は、法令等の定めるところにより、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、 専門的知識をもって、管理組合、管理者等、区分所有者等その他マンションの管理に係る者の相談に応じ、助言その他の援助を適切に行うよう努めなければならない。

2 マンション管理士は、都又は区市町村が行うマンションの適正な管理を促進する施策の実施において、都又は当該区市町村と連携するよう努めなければならない。

(マンション管理業者の責務)
第七条 マンション管理業者は、法令等の定めるところにより、管理組合の運営その他マンションの管理について管理組合から委託を受けた業務(以下「受託業務」という。)を適切に行うとともに、 受託業務を行うに際して、当該管理組合に対し、専門的見地から提案又は助言を行うよう努めなければならない。

2 受託業務を行うマンション管理業者は、管理組合が都又は区市町村の行うマンションの適正な管理を促進する施策に対応し、又は協力する必要があるときは、 当該管理組合に対し、必要な支援を行うよう努めなければならない。

(マンション分譲事業者の責務)
第八条 マンション分譲事業者は、法令等の定めるところにより、 管理組合の設立及び円滑な運営に配慮したマンションの供給に努めなければならない。

第二章 適正な管理を推進するために管理組合が留意する事項

※この第二章以下は権利と義務に関する重要規定なので、原文のまま掲載しています。

(管理組合の運営体制の整備)
第九条 管理組合は、マンションの管理の主体として、その団体又は法人の運営体制を整備するものとする。

2 管理組合(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第四十七条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する法人を除く。)は、 その運営のために、管理者(区分所有法第二十五条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者をいう。)を置くものとする。

(管理規約の設定)
第十条 管理組合は、マンションの管理の実態に応じ、管理規約(区分所有法第三十条第一項(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する規約をいう。)を定めるものとする。

(総会の開催等)
第十一条 管理組合は、少なくとも毎年一回総会(区分所有法第三条及び第六十五条に規定する集会をいう。)を開催するものとする。

2 管理組合は、総会が開催されたときは、速やかに議長(区分所有法第四十一条(区分所有法第六十六条において準用する場合を含む。)に規定する議長をいう。)に議事録を作成させるものとする。

(管理費及び修繕積立金の額の設定等)
第十二条 管理組合は、マンションの管理及び維持保全の実態に応じ、管理費(当該マンションの敷地及び共用部分(区分所有法第二条第四項に規定する共用部分をいう。)の管理に要する経費の充当金をいう。) 及び修繕積立金(当該共用部分について管理組合が行う修繕に要する経費の充当金をいう。)として区分所有者等が拠出すべき額及びその徴収方法を定めるものとする。

(修繕の計画的な実施)
第十三条 管理組合は、マンションの維持保全の状況に応じ、一定の年数が経過するごとに修繕を計画的に実施するものとする。

(適正な管理の推進等)
第十四条 この章に定めるもののほか、管理組合は、指針の定めるところにより、マンションの適正な管理の推進及び社会的機能の向上に資する取組を実施するよう努めなければならない。

第三章 マンションの適正な管理を促進するための施策

(管理状況の届出)
第十五条 要届出マンション(マンション管理適正化法第五十六条第一項に規定する人の居住の用に供する独立部分を六以上有し、かつ、昭和五十八年十二月三十一日以前に新築されたマンションをいう。 以下同じ。)の管理組合は、その管理状況に関し、マンションの適正な管理の促進に必要なものとして東京都規則(以下「規則」という。)で定める事項 (以下「管理状況に関する事項」という。)を、知事に届け出なければならない。

2 知事は、マンション(要届出マンションを除く。)の管理状況について、第九条から第十三条までの規定に照らし、適正な管理を促進するために必要があると認めるときは、当該マンションの管理組合に対し、 管理状況に関する事項を届け出るよう求めることができる。

3 前項の規定により知事から管理状況に関する事項を届け出るよう求められたマンションの管理組合は、当該管理状況に関する事項を知事に届け出なければならない。

4 前項の規定による届出を要するマンション以外のマンション(要届出マンションを除く。)の管理組合は、管理状況に関する事項を知事に届け出ることができる。

5 第一項、第三項又は前項の規定による届出を行ったマンションの管理組合は、当該届出の内容に変更(建物の滅失その他の事由を含む。)が生じたときは、その旨を知事に届け出なければならない。

6 第一項及び第三項から前項までの規定による届出は、管理者等(やむを得ない事情があると認めるときは、知事が適当と認める区分所有者等)が、規則で定めるところにより、届出書を知事に提出することにより行うものとする。

(届出の更新)
第十六条 要届出マンションの管理組合は、定期に、前条第一項の規定による届出の内容の更新を知事に届け出なければならない。

2 前項の規定による内容の更新の届出を行った要届出マンションの管理組合は、当該更新した届出の内容に変更(建物の滅失その他の事由を含む。)が生じたときは、その旨を知事に届け出なければならない。

3 前条第六項の規定は、前二項の届出について準用する。

(調査等)
第十七条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第十五条第一項若しくは第三項から第五項まで又は前条第一項若しくは第二項の規定による届出を行ったマンションの管理組合又は区分所有者等に対し、その管理状況について必要な報告を求め、又は当該管理組合若しくは当該区分所有者等の協力を得て、その職員又はその委任した者(以下「職員等」という。)に、当該マンションに立ち入り、書類その他の物件を調査させることができる。

2 知事は、第十五条第一項、第三項若しくは第五項又は前条第一項若しくは第二項の規定により管理状況に関する事項について届出を要するマンションの管理組合から正当な理由なく届出がない場合においては、 当該管理組合又は区分所有者等に対し、前項の例により、報告を求め、又は職員等に調査させることができる。

3 前二項の規定によりマンションに立ち入り、調査しようとする者は、規則で定めるところにより、 あらかじめ調査の実施を通知し、第一項の協力を得るための必要な要請を行うとともに、調査の実施に際しては、身分を示す証明書を関係者に提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(管理に関する助言及び指導等)
第十八条 知事は、第十五条第一項若しくは第三項から第五項まで又は第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出を行ったマンションの管理組合に対し、第三条第三項に規定するデータベースに記録された管理状況に関する事項その他のマンションに関する情報を用いて、当該マンションの管理状況について必要な助言をすることができる。

2 知事は、第十五条第一項、第三項若しくは第五項又は第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出を要するマンションの管理組合から正当な理由なく届出がないときは、この条例の施行に必要な限度において、当該管理組合に対し、必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。

3 知事は、第十五条第一項若しくは第三項から第五項まで又は第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出の内容が事実と著しく異なると認められるとき又は第一項の助言によっては管理状況の悪化を防ぐことが困難であると認められるときは、その管理組合に対し、必要な措置を講ずるよう指導し、又は勧告することができる。

4 前三項の規定による助言又は指導若しくは勧告は、やむを得ない事情があると認めるときは、知事が適当と認める区分所有者等に対し、行うことができるものとする。

(管理組合等に対する支援)
第十九条 知事は、管理組合又は区分所有者等に対し、そのマンションの適切な維持保全及び適正な管理の推進のために必要な支援を行うことができる。

第四章 雑則

(委任)
第二十条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(区市町村の条例との関係等)
第二十一条 区市町村の条例中に、この条例に定めるマンションの管理状況に関する事項 の届出、調査等並びに助言及び指導等に関する規定に相当する規定がある場合は、当該区市町村の区域においては、第十五条から第十八条までの規定は適用しない。

2 前項の規定にかかわらず、当該区市町村は、その地域の実情を勘案し、都と協議の上、当該区市町村の区域における第十五条から第十八条までの規定の適用を都に対して求めることができる。

3 知事は、区市町村から前項の規定による求めがあったときは、当該区市町村の区域において第十五条から第十八条までの規定を適用する旨を公示するものとする。

附則

附 則
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第十五条から第十八条までの規定は、平成三十二年四月一日から施行する。

(2020年1月31日掲載 随時更新)