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5.違法民泊対策

違法民泊対策

2008年に米国で誕生した民泊は瞬く間に世界中に広がり、 日本でも2014年頃から違法民泊が問題化し、旅館業を監督する厚生労働省は 違法民泊の取り締まりを強化してきました。

1. 違法民泊の取締り通知(H26.7.10)

 2014年(H26.7.10)健衛発0710第2号通知文書

(都道府県・政令市・特別区 各衛生主管部(局)長殿 宛 厚生労働省健康局生活衛生課長通知)
「旅館業法の遵守の徹底について」

宿泊業については、旅館業法に基づき指導が行われているところであるが、 先般、東京都内で、自宅の一部を用いて宿泊料をとって外国人を宿泊させる宿泊施設を営んでいるとして、 旅館業法第3条違反(無許可営業)で逮捕され、同法の罰則に処せられるという事案が報道されたところである。

もとより、自宅の建物を活用する場合であっても、宿泊料とみなすことができる対価を得て人を宿泊させる業を営む者については、 旅館業法第3条の許可を取得する必要があるので、上記の違反事例も踏まえ、 改めて、貴管下において、旅館業法の遵守について周知徹底を行うとともに、 事業者への指導を徹底されたい。

2. 違法民泊の取締り通知(H26.12.19)

 2014年(H26.12.19)健衛発1219第2号通知文書

15年11月に、京都市内右京区で大規模に民泊を行っていた業者が旅館業法違反で摘発されました。

旅館業法で定める旅館やホテルに関するさまざまな規制は、 宿泊者の安全を守るという目的が第一ですが、治安の維持のために必要な規制でもあります。

宿泊者名簿の記載義務と提出義務
現状、警察官は裁判所の令状はもちろん、捜査関係事項照会書の交付を行うことなくホテル等の宿泊者名簿を閲覧できます。 これについては、個人情報保護法は適用されないとされています。(H26.12.19健衛発1219第2号通知文書)。

ところが現状の民泊では、警察は「誰がどこに泊まっているのか」ということが把握 できていません。 テロリストや振り込め詐欺グループ、あるいは反社会勢力が民泊を利用して犯罪行為を画策しても、 これを予防することは事実上困難となっています。

3. 違法民泊の取締り通知(H28.10)

 2016年10月(H28.10)通知文書

2016年10月、厚生労働省生活衛生課と観光庁観光産業課は両課長連名で警察庁生活安全局生活経済対策管理官宛てに

「旅館業法の許可 を得ないで旅館業を行っている者に対する取り締まりについて(依頼)」とする文書を提出し、 悪質な違法民泊の取り締まり強化を文書で要請しました。

旅館業法の許可を得ていない違法な民泊が広がっているとした上で「放置した場合、感染 症の発生等公衆衛生上の問題が生じ得るだけでなく、 行政が把握することができない違法な民泊施設にテロリスト等が潜伏して、これを悪用するなど、我が国の安全性が損なわれ、 観光立国の基盤に支障が生じかねない事態に発展することも考えられる」として、都道府県警察署に対し、 取り締まりを強化するよう協力を求めています。

具体策としては、各地域の保健所と連携することを要請。 大規模民泊の運営や近隣トラブルの放置などで、 保健所の再三の指導に従わないなど、「特に悪質な民泊等を対象とした取り締まりの強化」に協力を求めています。

4. 国際テロ対策

警察における国際テロ対策
テロはその発生を許せば多くの犠牲を生むことになります。 そのため、テロ対策の要諦はその未然防止にあります。 一方、万が一テロが発生した場合には、被害を最小限に食い止め、 犯人を制圧・検挙することが必要です。

警察では、未然防止及び事態対処の両側面からテロ対策を推進しています。

(1)「警察庁国際テロ対策強化要綱」の策定
政府は、平成25年12月、「「世界一安全な日本」創造戦略」を策定し、 2020年東京オリン ピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、 「世界一安全な国、日本」を実現することを目指して各種犯罪対策を推進してきました。

テロリスト等の入国を阻止するため、入国管理局、税関等の関係機関と連携し、 事前旅客情報システム(APIS)(注1)や外国人個人識別情報認証システム(BICS)(注2)、 乗客予約記録(PNR)(注3)、等を活用した水際対策を推進しているほか、 今後、顔画像照合機能の活用・強化も図っていくこととしています。(注4)

注1:
Advance Passenger Information Systemの略。 航空機で来日する旅客及び乗員に関する情報と関係省庁が保有する要注意人物等に係る情報を入国前に照合するシステム

注2:
Biometrics Immigration Identification & Clearance Systemの略。 来日する外国人に入国審査の際に提供させた個人識別情報と関係省庁が保有する要注意人物等に係る情報を照合するシステム

注3:
Passenger Name Recordの略。 航空券を利用して入国する旅客の予約情報

注4:
入国管理局では、平成19年から、上陸審査時に外国人から顔画像情報の提供を受けており、 今後上陸 審査時に当該顔画像情報と警察が保有するテロリスト等の顔画像情報を照合することにより、 テロリストの我が国への上陸の阻止を図ることとしている。

さらに、旅館、インターネットカフェ、賃貸マンション等を営む事業者に対しても、 これらをテロリストが利用する可能性があることから、 本人確認の徹底を促進するとともに、利用者に不審な点を発見した場合には、 警察に速やかに通報するよう協力を求めるなどの対策を推進している。

なお、いわゆる「民泊サービス」についても、テロリストを始めとする犯罪者の潜伏場所等として利用されるおそれがあることから、 政府において行われている「民泊サービス」の在り方に関する検討に警察庁も参画している。

掲載 2018/5/17