9.民泊と消防法
(共同住宅の一部を民泊に活用する場合に必要な消防用設備)
簡易宿所に係る客室の延床面積基準緩和
旅館業法に基づく許可の取得促進を図るため、 簡易宿所に係る客室の延床面積基準を緩和することを内容とする旅館業法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令第98号)が平成26年4月1日から施行されました。 但し、この旅館業法施行令の一部改正により消防法令の適用が変更されるものではないことに留意してください。(消防庁予防課・平成28年3月30日 事務連絡)
1. 戸建住宅の場合
出典:消防庁予防課 平成28年3月30日(「民泊サービス」を提供する場合の注意喚起リーフレット)
通常の戸建て住宅の場合、全体の面積の半分未満、なおかつ、50平方メ-トル以下のエリアが民泊の用途に供される場合については、 当該建物は一般住宅として取り扱う。通常の一般住宅は全ての住宅に住宅用火災警報器の設置義務付けがある。それ以外、特に新たな規制はない。
民泊用途が非常に大きくなるような場合、一部新たにその設置が必要となる設備がある。(消火器、自動火災報知設備、誘導灯)
消火器は、面積が150平方メ-トル以上には設置義務がある。150平方メ-トル未満は不要。
自動火災報知設備は延べ面積300平方メ-トル未満で民泊部分が半分以下の場合については民泊部分に設置すれば足りる。
民泊が半分を超えるような場合と半分未満で50平方メ-トルを超える、ないしは半分の場合で必要な設備はやや異なる。(消火器、自動火災報知設備、誘導灯)
自動火災報知設備であれば、無線方式のものも最近開発されているので、簡便な工事で対応が可能になる。
2. 共同住宅の一部を民泊として活用する場合
出典:消防庁予防課 平成28年3月30日(「民泊サービス」を提供する場合の注意喚起リーフレット)
共同住宅で延べ面積500平方メ-トル以上の共同住宅には自動火災報知設備の設置義務がある。
一般住宅と同様に、必要な設備としては自動火災報知設備、誘導灯、消火器が一般的に想定されるが
延べ面積500平方メ-トル以上であれば、もともと自動火災報知設備はついているため、新たな対策というのは不要となる。
500平方メ-トル未満であった場合、全体の面積が300平方メ-トル以上で、 なおかつ民泊が1割を超えている場合については建物全体に自動火災報知設備が必要になる。 それ以外の場合、300平方メ-トル未満の場合、ないしは民泊が1割以下である場合については、 民泊の用途に供される部屋と、管理人室のように受けて火災対応する部屋に火災が発生したことを報知する。 こういう対策をとることによって対応すればよい。
消火器については共同住宅と旅館・ホテル設置基準は一緒なので、新たな規制はかからない。誘導灯については個々の居室の中につけるというよりは、 新たに廊下とか階段とかにつけることになるが、避難口までの歩行距離、視認性、例えば避難階でない2階とか3階であれば歩行距離10mとか、 そういう規定があるが、そういったものを満たしている場合については設置不要となる。必要な場合について誘導灯の設置が必要となる。
旅館・ホテル営業の許可を持っているところでは、以前までは延べ面積が300平方メ-トル以上の施設については、 自動火災報知設備の設置が必要だったのが、2015年4月1日から300平方メ-トルが撤去されて、全ての、 何平方メ-トルであっても設置義務が課せられている。共同住宅の一部を活用する場合 もともとは共同住宅の用途に供されているということなので、共同住宅の用途の部分について、 300平方メ-トルを下回る場合は特に不要であるが、民泊の用途の部分は、旅館・ホテルと同様なので自動火災報知設備をつけるkとになります。 建物全体が旅館・ホテルないしは民泊として使っているということであれば、 面積にかかわらず全部つける必要があるが、例えば250平方メ-トルの共同住宅があって、ごく一部だけ民泊の用途に供されていれば、 その部屋と管理人室に自動火災報知設備をつけるということで足りる。
Q2:一部が民泊であろうが全部が民泊であろうが、お客様を預かっていることに変わりはないので、 当然、設置義務を外す必要はないのではないか。
A2:消防庁としては法改正をする前、また法改正した後もこういう形の運用で、 今回特に緩和しているという趣旨ではない。端的に言うと、共同住宅は恒常的にその部屋に住んでいる。 したがって、出火危険性であったり、また火災時の初期消火、通報、さらには避難という観点について一定の対策が取り得るだろうと。 他方、民泊の用途に供されている部分は、その建物に不案内である。
したがって、火事が起きたときに速やかに避難していただかなければいけない。 そういう観点から、そこの部分についてはしっかりと対策をとっていただきたいということで、 いわゆる旅館・ホテル系と共同住宅の火災危険性に着目して、危険性の高いところについてしっかりとした設備をつけていただく、 そういう考え方である。
共同住宅の一部を民泊として活用する場合
新たに設置が必要となる設備は、自動火災報知設備及び誘導灯が想定される。なお、消火器については、 共同住宅と旅館・ホテル等の設置基準が同一であるため、新たな規制はかからない。
○ 延べ面積が500u以上の共同住宅には自動火災報知設備を設置する義務があるため、
新たな規制はかからない。
また、延べ面積が500u未満の共同住宅にあっては自動火災報知設備を図2のように設置する必要が
生じるが、既存の建物であっても無線方式のものを用いることにより簡便な追加工事により対応可能である。
○ 誘導灯については、新たに廊下、階段等の共有部分に設置すれば足りる。 さらに、避難口までの歩行距離や視認性等の一定の条件を満たせば設置は不要となる。
【参考】自動火災報知設備の取扱い
参考1 ホテル、簡易宿所等に設置すべき消防用設備等
○消火器-150u以上の場合○ 自動火災報知設備-全て○ 誘導灯- 全て(下記参考3〜4についての緩和規定の適用有)
参考2 民泊部分のカ-テン、じゅうたん等は防炎物品とすることが必要(高さ31m超の建築物では防炎物品が必要なため、新たな規制はかからない)
参考3 ホテル、簡易宿所等に設置すべき消防用設備等
○消火器-150u以上の場合○ 自動火災報知設備-全て○ 誘導灯-全て(緩和規定の適用有)
参考4 宿泊施設として取り扱われる部分のカ-テン、じゅうたん等は防炎物品とすることが必要
出典:総務省消防庁2015年11月27日 第1回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 (資料4−5)