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13. 総会Topics マンション認定制度

マンション認定制度
 令和2年のマンション管理適正化法改正によって、マンションの管理水準の向上に
 向けた政策誘導の仕組みとして、管理計画認定制度(※)が制定されました。

 (※) 地方公共団体がマンション管理適正化推進計画を作成して
     適切な管理計画を有するマンションを認定する制度。
     但し、マンション管理適正化推進計画を作成するかどうかは各地方公共団体
     の県及び区・市それぞれが任意で行うもので、義務付けされたものではない。

 同様に認定申請も義務ではなく、管理組合としての自発的意思によるものです。
 管理組合がまず、しなければならないのは、自分達が属する自治体の
 推進計画について、区分所有者と情報を共有することから始まります。

 以下、簡単にその手続きの概要を示します。

管理計画認定の申請から取得までの流れ

1.管理組合の事前確認

(1). 当該自治体が選定計画
    を作成済みか

マンション管理適正化推進計画の作成は市区(町村は都道府県)単位です。

※ 似たような制度に建築基準法の定期報告制度がありますが、 こちらは、特定行政庁という建築基準法だけの行政区分(全国に451) で、適正化法の行政区分や組織とは別になります。

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お住まいの区・市(町・村の方は都道府県)のホームページで、 ご自分の属する自治体が推進計画を作成済みかどうかを確認して下さい。 認定制度のない自治体には申請できません。

(2). 推進計画が策定されている場合、その認定基準を確認して下さい。
認定基準は、地方自治体が独自基準を定めることができます。その認定基準の中に、
ご自分の管理組合に不適合の項目があった場合は、その時点で、申請は諦めてください。

(例) 「修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内」或いは「単位平米あたりの
    修繕積立金」などの項目で不適合があったら、後の項目で幾ら頑張っても無理です。

(3). 認定によって得られる具体的な利益(実益)は何かを確認してください。

   (行政手続法第2条第3項) 
   申請とは、行政庁に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為で、
   当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。
   処分とは、行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為を言う。(同第2項)

   「認定管理組合」とは、「(何らかの利益を求めて)行政庁の認定処分を受けた管理組合」
   のことです。管理組合の認定や評価をしている団体は他にもあります。紛らわしいので
   気をつけましょう。(マンション管理業協会、日本マンション管理士会連合会等)

   この認定処分によって得られる利益・インセンティブは、各自治体ごとに異なります。
   認定管理組合に対する具体的な支援策には次のようなものがあります。

○ 住宅金融支援機構融資のフラット35及びマンション共用部分リフォーム融資の金利の引下げ措置  ※フラット35は当初5年間について年0.25%の引き下げ、共用部分リフォーム融資は全期間について年0.2%の引き下げ。

○ マンションすまい・る債※の利率を上乗せ
※マンション管理組合が行う修繕積立金の計画的な積立てや、保管・運用をサポートするため、住宅金融支援機構が発行している債券。 令和5年度募集分より上乗せ。

○ 新築分譲マンションに対する認定(予備認定という)を開発計画段階から申請を受け付け、 新築マンションの購入者に対して住宅金融支援機構融資のフラット35の金利を引き下げる(当初5年間:年0.25%の引き下げ)

○ 修繕工事資金を借り入れる際、マンション管理センターへ債務保証委託をした場合の保証料の一部を助成(大規模修繕工事債務保証料 助成)

○ 分譲マンション共有部分リフォームローン償還助成

○ 大規模修繕を行う前に建物の計画修繕調査を実施する際の調査費の一部を補助

○ 固定資産税減額:2年間(令和5年4月1日〜令和7年3月31日)の特例措置
  大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減税措置は、
  下記の要件を満たす管理計画認定マンション等が対象となる。
【対象となるマンションの要件】
  築後20年以上が経過している10戸以上のマンション
  長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施
  長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保
  (積立金を一定以上に引き上げ、「管理計画の認定」を受けていること等)
【固定資産税の減額】
  マンションの各区分所有者に課される工事翌年度の固定資産税額(建物部分:
  100u分まで)を減額する。
○ 減額割合は、1/6〜1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定める

※ 上記優遇制度は大都市圏だけのもので、経済力のない地方は格差が増大していきます。
    「マンションストックの47都道府県別比率」

(4). 認定申請の窓口となる機関に、審査・申請費用総額が幾らになるかを確認して下さい。

管理会社と管理業協会を通すルートもあります。また、マンション管理センターを通すルートでは、 国の審査基準に相当する部分だけは審査するが自治体の独自基準分は個別にマンション管理士に、 或いは、審査機関からの適合確認通知書を添付して自治体へ申請する際の申請代行は行政書士にというように、 ルートは複雑で、個別に見積をとることになるかも知れません。

審査・申請に添付する規約の写し、会計帳簿、議事録、修繕計画書等の電子複写の手間と経費も無視できません。

これらの経費と(3)の利益を比較して、管理組合にとって総合的なメリットがあれば、
認定申請の可否を総会議案にかける理由になります。

(5).認定申請の窓口と申請方法
認定事務を支援する法人及び事前確認団体には、公益財団法人マンション管理センター、
(一社)マンション管理業協会、(一社)日本マンション管理士会連合会などがあります。

申請方法は、各自治体ごとに決められています。 申請する自治体のHpで確認して下さい。

(6).政策誘導助成金
マンション管理適正化推進計画を作成または予定している地方公共団体と連携する法人民間事業者等に対して、 国から、1事業主体あたり1,500万円限度で支給する制度等を通じて、 地方公共団体や管理組合の活動を支援する法人等を支援する制度があります。

(7).建築基準法の定期調査・検査報告関係団体とは別の団体組織が新たに作られます。
○ 当Hpの「建築基準法の定期報告制度の実態 (共同住宅関係)」
    「2. 各自治体における定期報告制度の実態」-「調査・検査機関の組織と手続き」
      定期調査・検査報告関係団体一覧 参照

  これと同じような組織が、この認定制度に向けて、今、新たに整備されつつある状況です。

(2023年2月15日初版掲載・随時更新)
(Initial Publication - 15 February 2023/ Revised Publication -time to time)