X3.建築の用語説明
1. 構造に関する用語
鉄筋コンクリート造(RC造) 柱や梁などの構造部分の周囲に鉄筋を配して型枠を組み、
コンクリートを打ち込んで一体構造にした工法。
日本建築学会 建築工事標準仕様書 |
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 鉄骨で柱や梁などの構造部分を組み、その周囲に鉄筋を配して型枠を組み、
コンクリートを打ち込んで一体構造にした工法。
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RC造とSRC造の違い |
構造部材の用語 |
構造部材の用語 |
プレキャストコンクリート造(PCa造) プレキャスト材とは工場で製作される製品のこと。 柱や梁を重量鉄骨の「H鋼」で組み、プレキャストコンクリート・パネルを接合して建物を建築する工法 |
用語編
現場工程 : 配筋ー型枠建込みーコンクリート打設ー養生ー離型
主筋 : 主に曲げに対して効くように配置されている鉄筋のこと。柱では縦筋、梁(はり)では横に走る鉄筋、 床では短辺方向の鉄筋を指す。
フープ(帯筋) : 柱筋・梁筋の主筋を束ねる状態で、主材に対して直角に帯状に配置されている鉄筋のことで、 柱に使用されるものをフープ(帯筋)といい、梁に使用される鉄筋をスターラップ(あばら筋)という。
かぶり厚さ : 鉄筋と表面とこれを覆うコンクリート表面までの最短距離のこと。 かぶり厚さが確保できていないと躯体の強度など性能に問題が生じる。
最小かぶり厚さ : 鉄筋コンクリート部材の各面、 またはそのうちの特定の個所において最も外側にある鉄筋の最小限度のかぶり厚さのこと。
強度の分担 : コンクリートは圧縮に対抗し、鉄筋は引張に対抗する。
せん断とねじりもコンクリートに伝わった力が鉄筋に伝達されて、鉄筋は引張力で対抗する。
但し、柱の鉄筋は引張力と圧縮力の両方に対抗する。
ラーメン構造 (独 Rahmen 英 rigid frame) : 骨組みに外力が加わっても節点が変形しない (これを剛に接合という)剛接架構の骨組構造のこと。 柱と梁のようなふたつの部材が剛に接合されている交点を節点(せってん)という。 ラーメン構造は梁の曲げ、せん断応力をそのまま柱に伝える。
工事監理 : 「「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、 それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。」(建築士法第2条第8号)
発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、 (中略)当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」 という。)を置かなければならない。(建設業法第26条第2項)
技術者の職務 :「当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、 品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督」(建設業法第26条第3項)
技術者の資格 :建設業法の1級施工管理技士、建築士法の1級建築士、技術士法の技術士試験の合格者
建設業者 : 「建設業者」とは、第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者をいう。(建設業法第2条第3項) 建設工事の種類ごとに、特定建設業許可/一般建設業許可の別で許可が必要
発注者から直接請け負った建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が3,000万円 (建築工事一式の場合は4,500万円)以上となる場合には,特定建設業の許可が必要になるとともに ,主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない。(建設業法第26条第2項) 4. 建設業法2019年改正内容
※ 指導監督的な実務経験とは: 4,500万円以上の元請工事で建設工事の設計または施工の全般について、 工事現場主任者または工事現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験
丸投げ(一括下請負) :
建設業法22条第1項
「建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、
一括して他人に請け負わせてはならない。」(・・・としつつ)
建設業法22条第3項
「(公共工事及び政令で定める多数の者が利用する重要な施設の建設工事)以外の建設工事の場合、
当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。」
(解説) 丸投げによる無責任な施工で人の安全を脅かす建物を作ってはならないが、民間工事で発注者がそれを了解するなら構わない。
丸投げ(一括下請負)を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、 実際の工事施工の責任の不明確化等が発生するとともに、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招きます。
現在、管理会社各社は自社で修繕工事を受注する営業体制を強化し、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者そのものになっています。
大規模修繕の業者選定は元請業者の建設業者としての規模(経営管理能力、資力、社会的信用)、技術力(過去の施工実績、施工能力) など様々な点を考慮して選定しますが、一括下請負を容認した結果の不利益は発注者である管理組合が蒙ることになります。
一括下請負に該当する条件
1. 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
2. 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、
自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
2. 鉄筋のかぶり厚さの規定
1. 建築基準法の鉄筋のかぶり厚さの規定
部材の種類 | 標準・長期 | 超長期 | |||
屋内 | 屋外 | 屋内 | 屋外 | ||
構造部材 | 耐力壁、柱又は梁等 | 30 | 40 | 30 | 40 |
構造部材 | 耐力壁以外の壁・床(スラブ) | 20 | 30 | 30 | 40 |
直接土に接する部分 | 40 | ||||
基礎 | 60 |
〔建築基準法施行令第79条〕
1. 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2p以上、
耐力壁、柱又は梁(はり)にあつては3p以上、直接土に接する壁、柱、床若しくは梁又は布基礎の立上り部分にあつては4p以上、
基礎(布基礎の立上り 部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて6p以上としなければならない。
2. 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、 同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、 国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。
2. 建築学会標準仕様書(JASS5)による鉄筋のかぶり厚さの規定
項 目 | 1975年(S50年)版 | 1986年(S61年)版 | 2003年(H15年)版 | |
常用(乙種) 高級(甲種) | 基本仕様 高耐久コンクリート | 標準供用級 長期耐用級 | ||
スラブ・耐力壁以外の壁 | 屋内 | 仕上げ有 2cm 仕上げ無 3cm | 30mm 仕上げ有 30mm 仕上げ無 40mm |
設計かぶり厚さ 仕上げ有 30mm 仕上げ無 30mm |
屋外 | 仕上げ有 2cm 仕上げ無 3cm | 仕上げ有 30mm 仕上げ無 40mm 仕上げ有 40mm 仕上げ無 50mm |
設計かぶり厚さ 仕上げ有 30mm 仕上げ無 40mm | |
柱・梁・耐力壁 | 屋内 | 仕上げ有 2cm 仕上げ無 3cm | 40mm 仕上げ有 40mm 仕上げ無 50mm |
設計かぶり厚さ 仕上げ有 40mm 仕上げ無 40mm |
屋外 | 仕上げ有 3cm 仕上げ無 4cm | 仕上げ有 40mm 仕上げ無 50mm 仕上げ有 50mm 仕上げ無 60mm |
設計かぶり厚さ 仕上げ有 40mm 仕上げ無 50mm |
JASS5:日本建築学会 建築工事標準仕様書 JASS5 鉄筋コンクリート工事
JASS6:日本建築学会 建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事
○「設計かぶり厚さ」は、「最小かぶり厚さ」に「施工誤差」を加えたもの
○ PCa造のプレキャストコンクリート柱・梁部材は、国土交通大臣が定めた構造方法による場合、
鉄筋に対するコン クリートのかぶり厚さを3p未満とすることができる。
○SRC造の鉄骨に対するかぶり厚さは、「耐火性、耐久性等を確保する」ためには、建築基準法施行令79条の3で定められた最低50oでよいが、
鉄骨と鉄筋の納まりやコンクリートの充填性に配慮すると、一般に150o程度は必要になる。
○「仕上げ」とは、タイル張り、モルタル塗り(10mm以上)、打増し(10mm以上)等の耐久性上有効な仕上げを施すことをいう。
3. 社団法人日本建設業連合会 設計委員会 鉄筋コンクリート造配筋標準図WG
※1:耐久性上有効な仕上げがある場合、表4-1の※1の値を10mm減じてよい。
※2:軽量コンクリートを用いる場合は表4-1の※2の値に10mmを加えた値とする。
※3: 設計かぶり厚さ
施工誤差の割増10mmを標準として見込むことによって、打設後最小かぶり厚さ
を下回る危険性を少なくするように、設計時点で配慮したかぶり厚さを示す。
※4: 最小かぶり厚さ
建築基準法施行令に規定されたかぶり厚さを基に、屋外側については
耐久性の観点から10mm増したかぶり厚さを示す。
3. 特定建設業と一般建設業
1 マンション大規模修繕工事の施工会社に必要な許可の種類
@ 特定建設業と一般建設業許可について
発注者から直接工事を請負い3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)
以上を下請け契約する場合は、特定建設業の許可が必要です。
下請け契約が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)を超えない場合、あるいは自社で
すべて行う場合等は一般建設業の許可で良い。
A 業種
業種は下記の二つに分かれます。
○ 指定建設業:土木工事業、建築工事業、管工事業、造園工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、電気工事業
○ その他(21業種):防水工事業、塗装工事業、大工工事業等・・・・
この場合、防水工事を行うときは防水工事業の許可、塗装を行うときは塗装工事業の許可が必要で、
基本的には、許可を受けた業種の工事しかできません。
防水工事と塗装工事を行う場合など複数の工事の時は建築工事業が必要です。
2 まとめ (大規模修繕の施工会社を選考する時の注意点)
建設業の許可が特定建設業、業種は建築工事業で、
工事現場に技術者の資格要件を満たす監理技術者の配置ができる会社であること。
4. 建設業法2019年改正内容
建設業3法(品確法と建設業法・入契法)の一体的改正内容
品確法:令和元年6月14日公布・施行、
建設業法・入契法:令和元年6月12日公布、1年6ヶ月以内で政令で定める日から施行
生産性向上への取組
<品確法> ○発注者・受注者の責務 ・情報通信技術の活用等による生産性向上
<建設業法> ○建設現場の生産性の向上・限りある人材の有効活用と若者の入職促進から、工事現場の技術者に関する規制の合理化した。
建設業法第二十六条関係
以下に示す第二十六条関係は、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの」についての規定であり、
民間工事には政令で定める新築のマンション工事以外には適用されません。
従って適用する場合は工事発注契約書に第二十六条と同じ条件を明記する必要があります。
<現行>
・発注者から直接当該建設工事を請け負った特定建設業者の監理技術者もしくは主任技術者は、
請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事については、工事現場毎に専任が必要。
(主任技術者及び監理技術者の設置等)第二十六条
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、
前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。
<改正>
(特例監理技術者)第二十六条関係
・監理技術者(元請):元請の監理技術者に関し、これを補佐する者(※ 技士補)を工事現場ごとに専任で配置する場合は、
監理技術者は専任を要せず、複数工事現場の兼任をすることができる。
・主任技術者(下請):特定の専門工事につき、元請負人が工事現場に専任で置く主任技術者が、 下請負人が置くべき主任技術者の職務を併せて行うことができることとし、この場合において、 当該下請負人は、主任技術者の配置を要しないものとする。
※ 技士補:技術検定試験を学科と実地を加味した第1次と第2次検定に再編成。第1次検定の合格者に技士補の資格を付与。
新建設業法改正規定は、施行日前に締結された建設工事の請負契約については、適用しない。
持続可能な事業環境の確保
○経営業務に関する多様な人材確保等に資するよう、経営業務管理責任者に関する規制を合理化
※ 建設業経営に関し過去5年以上の経験者が役員にいないと許可が得られないとする現行の規制を見直し、
今後は、事業者全体として適切な経営管理責任体制を有することを求めることとする。
○合併・事業譲渡等に際し、事前認可の手続きにより、許可の空白期間なく事業承継が可能となるよう、 円滑に事業承継できる仕組みを構築。
改訂:2019年8月18日